MUSES72323をつかった電子ボリュームは実現するか? 2021.2.13
電子ボリュームはいままでに何度か使ったりしました。電子ボリュームをつかうようになった理由はいくつかありますが、
最大の理由は可変抵抗器のギャンギングエラーを回避するためです。高価な可変抵抗器や、抵抗+ロータリースイッチを
つかえばギャンギングエラーは気にすることはないのですが、どうしても普及価格帯の汎用品だとギャンギングエラーが
気になります。ちなみにギャンギングエラーとは左右との音量差のことで、可変抵抗だと音が小さいときに顕在化しやすくなります.
その他、電子ボリュームのいいところとしては基板の実装位置が自由に選べますので、入力の近いところに配置できます。
また、減衰カーブを自分で弄れますのでよく聞く音量でのボリューム位置を12時にもってきたりということもできます。
もっとも欠点もあるわけで回路が複雑であったり、プログラムが必要であったり、CPUのクロックノイズが気になったり、
余分な半導体素子を通るために音に影響があるのではとの懸念があったりです。
まあ、このあたりは個人の好き嫌いもあるのでどちらが良い悪いかは結論がでるようなものではないでしょう。
どんなものをつかった?
いままで基板化までおこなった電子ボリュームをすこしピックアップしてみました.
PGA2310・・・電子ボリュームとしてはかなり有名です.
これはDDS発振器での出力制御につかいました。お値段は1000円以上と結構お高い。
パッケージもDIPもあればSOPもあります.
DDS(ダイレクト・デジタル・シンセサイザー)で発振器を作る!
NJM1159・・・秋月で150円と安く、お気楽につかえました。いまは在庫ないようです。
ちょっと小粋に(電子ボリュームの巻き)
50(前)の手習い。PICを勉強する(電子ボリュームは実現するか?)の巻き
LM1972・・・・秋月で300円と安く、これもお気楽につかえます。、色々なところに使いました。
マルチボリュームコントローラの巻き
TPA6120でアンプでヘッドホンアンプをつくってみようかな?の巻き
電子ボリューム版ヘッドホンアンプ2種の巻き。
ちょっと小粋に(電子ボリュームの巻き)
50(前)の手習い。PICを勉強する(電子ボリュームは実現するか?)の巻き
MUSES72320・・・日本無線のハイエンドな電子ボリュームです。1個2500円もするので、使うには気合が必要です。
マルチボリュームコントローラの巻き!EVC72320編
マルチボリュームコントローラの巻き
電子ボリューム版ヘッドホンアンプ2種の巻き。
50(前)の手習い。PICを勉強する(電子ボリュームは実現するか?)の巻き
CS3318・・・シーラスロジックの6ch内蔵の電子ボリューム.マルチアンプなどに便利です.(2021.2.19追記)
いろいろと遊んでみましょう!
いろいろと遊んでみましょう!(PART2)
ディスククリート電子ボリューム・・・マ-クレビンソンのアンプをベンチマークして製作しました.結構苦労した覚えがあります.
(2021.2.19追記)
電子ボリュームの巻き
電子ボリューム(その2)
電子ボリューム(その3)
電子ボリューム(その4)
電子ボリューム(その5)
電子ボリューム(その6)
MUSES72323 vs MUSES72320
ところでMUSES72323なるものはMUSES72320より高性能になっているようですが、
でもどこがどう違うのでしょう?一応、スペック表から主要な違いを整理してみました。
MUSES72320 | MUSES72323 | MUSES72323の特徴 | |
減衰量設定 | 0 〜 -111.5dB (0.5dBステップ) |
0 〜 -111.75dB (0.25dBステップ) |
減衰量の調整ステップが細かくなった. でも、ここまでは必要ないかも. |
増幅量設定 | 0 〜 31.5dB (0.5dBステップ., 一部は0.25dB) |
0 〜 21dB (3dBステップ) |
増幅量の設定は粗くなったが、 特に使う機能でもありません. |
チャンネルセパレーション (1kHz) |
-110dB | 同左 | |
全高調波ひずみ BW= 400 to 30kHz |
0.001% | 0.0007% | |
出力電圧雑音 | -118dB | -124dB | |
データシート | MUSES72320_J.pdf | MUSES72323.pdf | |
パッケージ | SSOP32 | 同左 | 同じパッケージです. |
値段 | 2300円 | 2600円 | 秋月価格(2021.2時点) |
性能面で、大きく改善したのはSNRなんでしょうね。MUSES72323では6dB改善しています.それにあわせて全高調波ひずみも改善しています.
使い方の面からでは、減衰量の設定が0.25dBステップと細かくなりました.でも、これはオーバスペックのような気がしないでもありません.
実用的には0.5〜1dBステップでも十分な気がします.
残念なことに値段は上がってしまいました.といっても、MUSES72320との違いは300円なので買うとなったらMUSES72323を選ぶでしょうね.
残念なのは
MUSES72320もMUSES72323も同じパッケージにするなら、ピンコンパチにしてほしかったな〜.
そうすれば、現在の基板ですぐにでも試せたのですが………… メーカの嫌がらせ?
とりあえず、素子を入手してみましょう.
具体的に考えていきましょう 2021.2.21
基板パターンを書く前に大まかな仕様を検討です。
1)MUSES72323は最大2個使用
基本的には1個使用のシングルエンドのステレオ構成ですが、
バランス入出力での使用も考えて、2個まで使用できるようにしましょう。
また2個つかう場合は2WAYマルチでの使用もできるようにしましょう。
2)操作方法は色々と
基本はVRによる音量調整となりますが、ロータリーエンコーダや赤外線リモコンもつかえるように
しておきましょう。
3)表示はシンプルに
基本は表示器なしでもいいのですが、ロータリーエンコーダや赤外線リモコンをつかうことを考えると
2桁程度のLED表示は必要です。さらに、2CHマルチアンプでの使用とかも考えているので、本来は
LCDをつけたいところですが、あくまでもシンプルなアンプという位置づけにしたいので表示は2桁LEDのみ
にしたいところです。そのため2桁LEDには色々な表示ができるように改造もしていきましょう。
4)入力切替基板との連携もしましょう
この基板から入力切替基板を制御できるようにしておきます。そのためこの基板に接続うる2桁LEDは
ボリューム表示だけでなく、入力チャンネルも表示できるように考えます。
5)電源はセパレートも可能に
極力アナログ回路にCPUのノイズが入らないようにするために、制御回路の電源と電子ボリュームとの電源(GND)
は分離できるようにしましょう。そのためCPUからMUSESへのアクセスはフォトカプラを介します。
必要な電源は最小構成がアナログ用ぼ正負15Vです。制御系を別にする場合は、さらに12〜15V程度の電源を用意します。
6)バッファーはシングルOPアンプを使用
OPアンプはシングルにするかDUALにするか悩みどころですが、シングルの方が高性能なもののラインアップが多いので
シングルにしましょう。またOPアンプもFET入力とバイポーラ入力のどちらにも対応できるパターンにしておきましょう。
回路構成は
上記の仕様を考えて、回路図を書いてみました、まだ部品番号はうっていませんが、配置を考えながらナンバリングです。
基板の配置はすこし余裕を持たせたいので、WIDEサイズになるでしょう。
こんな回路図(超ドラフト)になりそうです。
パターンを書いてみましょう! 2021.2.23
まずは必要な部品を載せて、パターンを描いてみました。
まずはラフに描いてみました。
パターンを作成していると、色々と気づくもので電源監視の機能も追加しました。
電源投入時のMUTEだけでなく、電源が低下した場合にも素早くMUTEをかけることも必要ですからね。
あと、フォトカプラを使用せずにPICとMUSES72323を直結した場合にでも
動くようにフォトカプラの駆動方法を変更です。当初の回路図の方法だと、PICの出力がHレベルとのきに
フォトカプラの出力がLレベルと反対になってしまいます。フォトカプラなんか勿体なくて使わない!という場合に
は省略可能にしました。まあ、フォトカプラ自体は20円/個程度なので4個で80円ですが・・・・・
当初はこの回路に使用と思いましたが、PICの出力とカプラのOUTPUTのレベルは反転してしまいます。
こちらの駆動方法に変更です。こうすればPICの出力とカプラのOUTPUTレベルは対応するのでカプラの省略も可能です。
アートワーク完成!
すこし見直して、最終的にベタ面を塗って完成です。
基板パターン描きが完了です。
すこし回路図の変更もおこなったので修正しておきましょう。
(つづく)