電子ボリューム版ヘッドホンアンプ2種 の巻き。 2015.12.13
ディスクリアンプの検討の中で、思い立って電子ボリューム版のヘッドホンアンプを描いてみました。
これは電子ボリュームに秋月で安価に購入可能なLM1972をつかったものです。
アンプ部はオペアンプにバッファーをつけた構成で、少ない部品点数で製作ができます。
LM1972とオペアンプをつかったヘッドホンアンプ。
さらに、
せっかくなので、ハイエンド志向でMUSES72320とディスクリアンプ構成でのヘッドホンアンプも描いてみることにしました。
基本的には高精度電子ボリュームのハイパワー版です。ヘッドホンアンプとしての出力が確保できるように、出力段は
2段ダーリントンとして放熱板もとりつけました。そのため、基板は一サイズ大きくなっています。
MUSES72320とディスクリアンプ構成のヘッドホンアンプです。
基板ができました。 2015.12.15
コードネームはHPA1972mk2です。
コードネームはPrecision Evol HPAです。
まずはHPA1972mk2から
まずはお手軽につくれるHPA1972mk2から試してみましょう。
最初に組み立てるのは電源部からです。LM1972は±6Vで動作させる予定なので、
LM317/337の抵抗の組み合わせは240/910Ωとしています。そしてその6Vから5Vを生成して
ディジタル電源にするので5Vレギュレータには低損失タイプを使用します。
まずは電源部分のみを組み立てて、正常に電源がでているかどうかを確認します。
まずは電源電圧が問題ないことを確認しました。しかし、こ時点で背の高い部品が取り付いているので、
あとの半田付けが少し面倒です。といっても、さほど部品点数は多くないので、時間はかからないでしょう。
さて、残りの部品もとりつけましょう。
とくに部品に凝ったところはありませんが、OPアンプには定番のOPA2134を使いました。
入力にコンデンサはバイポーラのMUSEをつかっています。10uFとすこし小さめですが、これで十分でしょう。
あとは出力のトランジスタはTIP31C/32Cです。ここは、別の汎用のトランジスタでも問題ありません。
あ、忘れていました。NFBに直列にいれるコンデンサは無しとしました。そのため、ランドを半田でジャンパーしています。
そのためのランドパターンになっています。
完成しました!
まずはお出かけ用の写真を1枚とりました。
お出かけ用の写真です。
動作確認していきましょう!
まずは基本的な動作ということで、可変抵抗(50kΩ/B)を取り付け、ついでにボリューム表示用のLED基板も接続です。
ソフトはEVC1972と共通です。というか共通になるように基板上で配線しました。
動作チェックです。
今回の製作でのゲインはNFBの抵抗に10kと1kを用いたので総合ゲインは約11倍(1+10/1)です。
で、入力と出力の波形を比較して、ほぼ予定通りのゲインになっていることを確認です。
オシロの波形(上:出力波形Ch1 下:入力波形Ch2)
問題なく動くことが確認できました。オフセット電圧は7mVでした。この値なら、ヘッドホン出力でもまったく問題ないでしょう。
NFBにコンデンサを入れれば小さくなるかもしれませんが、コンデンサレスの方が音はいいかもしれません。
音だし!!!
アナログソースに何を使おうか考えましたが、ここはお気楽な構成としてPCM2707をつかったDAC2707を接続しました。
これはバスパワーで簡単に動作するUSB−DACなので、これ単体でアナログソースとなります。
試聴時の構成です。
出力はヘッドホン(ATH-W10VTG)ですが、音量はまず問題ありません。一応ヘッドホンの保護用に10Ωの抵抗を入れていますが、
なくてもよかったかな〜という感じです。
ひさしぶりに今井美樹さんのレーベルから選んで聞いてみましたが、やっぱりいいですね〜。
一枚CDを丸々聞いてしまいました。
このような簡単な回路のHPAですが、やっぱり動くと気持ちいいいです。
このバイアスがかなり効いているだろうな〜(笑)。
つぎはPrecision Evol HPAです。
とりあえず、明日も仕事だけど作れるところまでつくっちゃえ。
まずはここまでできました。
完成です! 2015.12.22
明日は休日だけど、仕事がたんまりあるので出社予定。でも、時間はゆっくりできるので一気に完成させましょう。
完成しました。まずはお出かけ用の写真です。
反対からもパチリ。
動作確認のためにはボリュームをとりつけて、基板端子にもあまったリードでピンをつくって半田付けしておきます。
こうすればワニ口クリップを挟みやすいです。
動作確認の準備です。
いよいよ動作確認!
まずは、電源を接続してスイッチON。リレーが動くのでPICマイコンは問題ないようです。
次に入力にDDS(発信器)をつないで、MUSES72320の出力をオシロでみます。
波形がでない・・・・
このときは結構あせります。最初は原因がよくわかりませんでしたが、単にDDSの周波数設定が10MHzになっていました。
そりゃ、そんな周波数じゃ動かないですね。
ということで発信器の周波数を1kHzにセットしなおして再起動です。
動作確認中の様子です。
こんどは動きました!
アンプの出力から波形がでれば、まずは一安心です。
つぎはアンプのオフセットの調整とバイアス電流の調整です。エミッタ抵抗は1Ωをつかったので、両端の電圧は
約10mVになるようにオフセット調整です。これで10mA程度のバイアス電流を流すことにします。
まずは動き出しました。
ソフトは・・・
この基板のソフトは基本的に高精度EVOLと同じです。ただし高精度EVOLがプリアンプを想定しているので、
最大ゲインは1倍(0dB)にしていましたが、ヘッドホンアンプとなるとそうは行きません。
かといって、固定ゲインにしてしまうとシステムによってはゲインが高すぎたり、低すぎたりするので、
ジャンパースイッチで変更できるようにしました。これは電源ON時にジャンパースイッチの状態をセンスして、
MUSES72320のゲインレジスタに書き込むようにします。
T1,T2をつかってゲインを調整できるようにしました。
ゲイン設定は
ゲイン設定は4段階として、3倍、6倍、10倍、15倍としました。
最大で15倍としているのは、MUSES72320の最大動作電圧が18Vであり、
この回路を18Vmaxで動かすとしたら15倍もあれば十分と判断したからです。
すくなくともアンプの出力は1V以上ありますからね。通常は2Vrmsとおもうので、
振幅で2.8Vくらいあります。ですから10倍もあればゲインとしては十分なはずです。
ゲインを確認してみましょう!
DDSの出力振幅を0.5Vに設定して、正常に動いているか確認してみましょう。
DDSの振幅は0.5Vに設定です。
下表はそれぞれゲインを変更した場合(T1,T2で可変)した場合の波形振幅です。
あたりまえですげ、計算通りの振幅になっています。
T1 | T2 | ゲイン | 波形 |
開放 | 開放 | 3倍 9.5dB |
|
短絡 | 開放 | 6倍 15.5dB |
|
開放 | 短絡 | 10倍 20dB |
|
短絡 | 短絡 | 15倍 23.5dB |
試聴してみましょう!2015.12.23
HPA1972mk2に接続していた、LED基板とDAC基板を接続変更して試聴してみました。
DAC2702の出力は3.1Vppなので、振幅としては1.55Vになります。ということで、HPA側のゲインは最大の15倍
にしました。計算上の最大振幅は23Vですが、電源電圧15Vなので、もちろん出ませんが、電源電圧を最大限使える
ゲイン設定です。
さて、今回はちょっと雰囲気を変えて、試聴にはラフマニノフの合唱曲から選びました。
ん〜ソプラノの音も綺麗ですね。さらにローベースの重厚感もいいです。
しかし、なんでラフマニノフってこんな低い音を人間に求めるのかな?
ロシア人なら余裕ででるのかな〜っと思ったりです。
休日はこれで楽しみましょう。
試聴時の様子です。
(つづく)