TPA6120でアンプでヘッドホンアンプをつくってみようかな?の巻き 2019.5.9
GWの帰省先で秋月のHPをみていて、こんな素子が売っているのに気づきました。
TPA6120という素子ですが、どうやらステレオヘッドホン用のアンプとして適しているようです。
特性の中でもスルーレートが極めて高いので周波数特性は良さそうです。
さらに出力も700mAまであるので、ヘッドホンだけでなく小型のスピーカの駆動にも適していそうです。
なぜか秋月からはDIP化キットはあるのだけれど、素子単体での販売がないのですよね。
普通は素子の販売があって、それを販促するように変換基板とのペアがあるような気がするのですが・・・・
なかなか魅力的な素子があります。 |
メーカからマニュアルをダウンロードしてもう少し特徴をさらっておきましょう。
パッケージのピン配置は極めて簡素。ほとんどOPアンプ 気分でつかえそうです。NC端子が多いのでパッケージが 大きいのはICの素子内部のチップが大きいためでしょう。 なんせ700mAの出力がえられますから。 |
特徴の1番目のSNRがいいですね。130dB近くあります。 ノイズが低いのもいいです。 |
応用例としてのプロオーディオの項目にかなり惹かれます。 |
秋月からキットもでていますね
秋月からはTPA6120をつかったヘッドホンアンプキットも売られているようです。
これは便利そうです。電源電圧は±5Vとなっていますが、普通のOPアンプつかえば15V程度まで電圧が上げられるでしょう。
ただ、ヘッドホンアンプなのでそこまでの電圧は不要かもしれません。
TPA6120をつかったアンプキットも秋月から販売されています。 |
個人的には、もうすこし下記の点について手をくわえたい気がします。
@ヘッドホンジャックにはφ6mmの標準ジャックもつかえるようにしたい。
A出力のポップノイズをなくすためのリレー出力がほしい。
Bボリュームのギャンギングエラーがちょっと心配(アルプスの高品位品なので問題ないでしょうが・・・)。
Cボリュームの配置をかえようとすると5本の配線とノイズ対策が必要になってくる。
@については、外付けするかな。
Aについてもリレーと制御回路を外付けするかな。
BCについては、いわゆる電子ボリュームを使いましょう。
しかしここまで変更するとなると、新しく基板を作成したほうが早そうです。
基板パターンを描いてみましょう
個人的に手を加えたい点を入れた基板を描いてみました。
@構成
入力 → LM1972(電子ボリューム) → OPアンプ → TPA6120 →リレー → 出力
A電源回路
入力電圧は±12〜15Vを想定
電子ボリューム用の±6VはLM317/337の電圧レギュレータを使用
PIC用には3端子レギュレータ7805で5Vを生成
B入出力
入力はRCAコネクタも使用可能に。
出力はφ3とφ6の両方のフォンジャックを使用可能に。
としました。TPA6120の使い方は非反転増幅器でつかっています。秋月のキットは反転増幅器でつかってあります。
反転増幅でつかうことにすれば入力の+側はGNDに直接落とすことができるので抵抗の本数が減らせされます。
反転増幅にすると位相が反転してしまいますが、人間の耳には関係ないので部品点数が減らせられる点はメリット大です。
今回描いた基板についても反転入力でも変更できるようにパターンに冗長性を持たせています。
基板の部品面パターンです。
基板の半田面のパターンです。
さてさて、つくってみようかな?
基板作成にかかりました 2019.5.15
まだまだバグはあるかもしれませんが、基板作成にかかりました。
週明けには手にすることができるでしょう。
週末はプライベートですが一大イベントがあるので、準備にかからなくっちゃ!
基板ができてきました。 2019.5.27
HPA6120基板です。
部品を実装していきましょう! 2019.6.12
その前に・・・・
基板を眺めていて違和感が・・・、なぜかリレーの電源の取得がV-からになっています。本来はV+からなのに・・・
リレーの動作電圧は12Vですが、電源電圧を15V以上にする場合、たとえば18Vとかに設定するとリレーに電流が流れすぎるので、
その場合の電流制限抵抗(R17)を設けていたのですが、その接続端がV+ではなくV-になっていました。
もともとR17は使わない予定なのでジャンパー接続してありましたが、そこを切断した上で、V+に接続することにしました。
この調子だとまだまだミスがでそうだな〜。
黄色の部分を切断します。 |
切断した状態です。 |
V+へ接続します。 |
まずは完成しました!
RCAコネクタは赤と白がなかったので、黄色で代用です。
ボリュームも調達できていなかったので、まだとりつけていいません。買ったはずなのにな〜・・・・どこに仕舞ったのか忘れてしまいました。
まずは完成です。
あった!
部品箱を探していたら可変抵抗をみつけました。2連タイプですが、まあいいでしょう。本当は1連でよかったのですが。
見つけました!ただ2連の可変抵抗でした。
ボリュームをとりつけました。
動かしてみましょう!
まずは入力はとしては発振器を接続して動作を確認しておきましょう。電源は正負15Vとしています。
まずは電源投入後に異常な電流が流れないことを亥の一番に確認です。
電流はとくに問題ないようです。
そして電源を投入後に約3秒後にリレーがONすることを確認しました。プログラムも問題なく動いているようです。
さらに出力の信号もボリュームに連動しているので、無事動作していることが確認できました。
まずは動作確認からです。
周波数特性はどうでしょうか
ざっと周波数特性をみてみましょう。ゲインは2倍程度に設定しています。
周波数特性は文句なしです。これはLM1792の周波数特性がいいこともありますが、
やはりTPA6120の特性がいいことに依存していますね。普通のアンプだと、なかなかここまで
周波数特性を伸ばすことができません。
周波数:1kHz 上:出力(2V/div) 下:入力(1V/div) |
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周波数:20kHz 上:出力(2V/div) 下:入力(1V/div) 20kHzはフラットです。 |
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周波数:100kHz 上:出力(2V/div) 下:入力(1V/div) 100kHzでもフラットです。 |
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周波数:2MHz 上:出力(2V/div) 下:入力(1V/div) -3dBポイントでしょうか。 |
試聴してみましょう!
と思いましたが、夜も遅いのでまた明日・・・。
試聴のソースはDAC9038S 2019.6.14
試聴のためのアナログソースにはDAC9038Sをつかいました。DAC9038Sは差動出力ですが、そのホット側のみをつかっています。
そのような使い方をするとオフセット電圧がのった状態での出力になりますが、HPA6120側にDCカット用のカップリングコンデンサが
付いているので問題ありません。
アナログソースにはDAC9038Sのホット側のみを接続してつかっています。
ちょっとレベルが小さいかな?
音楽CDをかけて試聴にかかりました。すこし大きな音のレベルで鳴らそうとするとほぼボリュームはMAXの状態です。
DAC9038Sを音楽ソースにした場合にはちょっとゲインが小さかったようです。オシロで波形をみてみると
およそ1Vpp程度です。もう、3,4倍は高いゲインでもよかったかもしれません。
ボリュームMAXでおよそ1Vppの出力とすこし低めです。
えい!
音を大きくするためには、ゲイン調整用の抵抗を変更すればいいのですが、都合4本の変更が必要なので、
ここはアンプ出力の電流制限抵抗(39Ω)をジャンパーすることにしました。
使用しているヘッドホンのインピーダンスが50Ωなので、電流制限抵抗をはずすことでほぼ出力電圧を倍にすることができませす。
電流制限抵抗をジャンパーして音が大きくなるようにしました。本来はゲインを上げるべきですが・・・
おお!
しかし、電流制限抵抗をはずすとより音がクリアになり迫力が増してきますね。やっぱりダンピングファクターが改善するためかな?
いや、音が単純に大きくなっただけかもしれません。しかしTPA6120というアンプ素子の素性っていいですね。こりゃヘッドホンアンプには
この石を今後はつかってしまいそうです。なんといってもOPアンプ感覚で使えるのがいいです。
さらに!
いままでは実験用電源で鳴らしていましたが、さらに改善できないかとRA40トランスとTYPE-D電源(15V)出力にきり変えてみました。
一瞬聞いた感じでは、別次元になりますね!実験用電源でも実用上は問題ないと思うのですが、やはりちゃんとした電源を使うと
効果大です・・・。おもわず聞きこんでしまって写真を撮るのを忘れてしまいました(笑)。
LED表示も接続
2桁LEDのユニットも接続してみました。やはり、こういったアクセサリがあるとすこし雰囲気がでてきます。
表示が浮き上がって、夜の夜長のリスニングにアクセントを与えてくれます。
ボリューム表示用のLEDもつけてみました。
製作マニュアルができました。
ここです→HPA6120manual.pdf
夜の夜長に・・・・ 2019.6.19
RasPiのVOUMIOでWEBラジオを楽しんでいます。久しぶりにVOLUMIOもバージョンアップしました。
現時点のバージョンは【2.587】のようです。
ちなみに構成は
RasPi 3 Model B → PiSRC4137 → PiDAC4497 → HPA6120
です。
RasPiのVOLUMIOにつないでWEBラジオを楽しんでいます。
VOLUMIOもバージョンアップしました。フロントページはあまり変わってないです。
ついでなので、
基板類を重ねてコンパクトに構成です。ノイズ源となりやすいRasPiは一番離れるようにしています。
すなわちRasPiが一番下、そしてアナログで動作するHPA6120が一番上です。
得意の基板重ねです(笑)。基板サイズを統一しているのでこういった構成が楽です。
ノイズ源になるRasPiを一番下にもってきています。
単電源で動くようにさらに改造!
この構成だと、RasPiやDACは5V電源のみで動きますが、HPA6120は正負15Vの電源が必要になります。
そのため、ちょっと持ち運びには不便です。
ということで、5V単一電源で動くようにすこし改造(追加?)することにしました。
5Vから正負15Vを作るために、DC-DCコンバータを使用しますがそれを搭載するためにI/O基板を用いました。
DC-DCコンバータはかなり昔にgenpin.comで買ったものです。5V入力15V出力ですが、絶縁タイプなので2つ並べて
正負15Vになるようにしました。RCA端子はこのI/O基板の下にボリュームコントローラを搭載する予定です。
というのも、DCDCコンバータの容量が結構ある(多分0.5A)ので、あまった容量がもったいないのと
それとアナログ出力の1つのソースにしようと考えているためです。信号レベルが調整できるソースがあると、
これをそのままパワーアンプに接続することができますからね。
I/O基板(STD)にDC−DCコンバータやRCA端子、DCジャックをとりつけました。
DCDCコンバターが左端に寄っているのはRasPiと干渉しないためです。
高精度電子ボリュームもすこし改造
高精度電子ボリュームもすこし改造です。電源部のコンデンサに1000uF/50Vのものを実装していますが、
背が高いので、そのままつけようとしたら長いスペーサを使わないといけません。それもデザイン的に面白くないので、
できるだけ低くなるように、すくなくとも周囲の部品の高さを越えないように220uF/35Vのものに変更しました。
もともと実装していたコンデンサはすこし背が高いです。
220uF/35Vに取り替えて高さを周りの部品と同じにしました。
高精度電子ボリュームとI/O基板を合体
I/O基板の下側に高精度電子ボリュームを配置しました。I/O基板にDCジャック(右側)に2つついているのは、
ACアダプタの出力を他の基板にも供給するためですが、これが後の失敗に・・・。
まずはI/O基板と高精度電子ボリュームを組み合わせました。
次はRasPiと合体・・・あ!
RasPi基板と合体させようとましたが、RasPiのPHONEジャックとI/O基板のDCジャックが干渉することに気づきました。
どうしよう?
最初はRasPiのフォンジャックを削ろうかとおもいましたが、RasPi基板に傷でもつけて動かなくなったら大変なので
残念ながらI/O基板側のDCジャックを1つとりはずすことにしました。
RasPiのPHONEジャックとI/O基板のDCジャックが干渉していまいました。
I/O基板のDCジャックを一つとりはずしました。HDMI端子は計算どおり、ぎりぎり干渉しません・・・
嘘です。たまたま、干渉しなかっただけです(笑)。
組み立て完了!
最後にLED表示器も取り付けなおしました。
これで組み立て完了です。
LED表示基板もふくめると、全部で7層構造です。これだけの基板を5VのACアダプタ1個で全部動かします。
ACアダプターの容量は2Aだけど、足りるかな?
全体で7層構造になっています。
できあがり!
必要な基板間の配線(RCA)を行い動かします。これで5VのACアダプタを1個用意するだけで
鳴らすことができます。このままベッドサイドに持ち込んで、静かにヘッドホンで音楽を聴くのにいい感じです。
こんな感じでスタンドアロンのシステムができました。
時間がとれれば、上裏面にアクリル板を配置してもう少しドレスアップさせましょう!
それにしてもRasPiのおかげで面白い音楽再生器ができます。
外見だけみれば、完全なあばら家ですが、中身はDACにPiDAC4497を使うなど
かなりゴージャスな構成になっています。これも自作ならではでしょう。
(とりあえず、おしまい)
<参考>
ここで登場した基板類のそれぞれの検討記
PiSRC4317
PiDAC4497
I/O基板
高精度電子ボリューム
LED基板
備忘録 2019.6.20
ACアダプタが秋月で買った5V2Aの容量ですが、すこし暖かくなります。
心配なので、全体の5Vの消費電流を測定。
結果は無負荷で1600mA弱です。2Aあれば足りるけど、あまり余裕ないですね。
もう1ランク上のアダプタを使ったほうが良さそうです。今度、通販で買うときに探しておきましょう。
消費電流は無負荷で1600mA弱でした。