ちょっとTea Time !? 4桁2色LEDを試してみる。 2021.3.6

 MUSES72323をつかった電子ボリュームを検討していますが、音量表示のLEDも他の物も使用できないかと
考えています。というのも、電子ボリュームなどに接続する2桁LEDだと0〜80の表示としているのですが、
もっと細かく表示できたほうがいいかな〜と考えているためです。
 もともと2桁LEDの目的は可変抵抗器の設定位置を示すものなので、電子ボリュームでの減衰量とは相関が
ありません(エンコーダ対応の場合は違いますが)。しかしMUSES72323ではデフォルトで赤外線リモコン対応と
する予定であることから、ボリュームについてもエンコーダの使用を基本と考えています。そうすると0〜80の分割では不十分です。
4桁あれば-99.5といった表示も可能になり情報量が増えます。
 いつも使っている4桁LEDですが大きいので視認性はいいのですが、これではちょっと大きすぎる感じもあります。
そんな中で秋月のHPをみていたら少し小さめの4桁LEDがでていました。それも2色タイプ(赤・黄緑)のものです。
こりゃ、試してみたくなり早速買ってみました。


Precision HPA EVOLに搭載している2桁LEDです。サイズは大き目で視認性はいいです。


こんな2色の4桁LEDがでていたので買ってみました。


いつもの4桁LEDに比べると小さいです。小さいケースにも対応できそうです。

心配は輝度

 いつも使う4桁LEDはちゃんと「高輝度」と書いてありますが、今回買ったLEDには高輝度の文字はありません。
そのため、ダイナミック点灯で十分なあかるさで表示できるかが少し心配です。ダイナミック点灯なので桁数が増えた分
にあわせて電流を増せばいいのですが、PICのI/Oにダイレクトに接続してつかうので流せる電流がかなり制限されます。
ダイナミック点灯駆動用のICを使えば問題はないのですが、そこまで素子を増やすのは大変です。
 PICのI/Oに流せる、あるいは吸い込める電流の最大値は25mAです。
そのため、PICのI/Oだけをつかってダイナミック点灯させた場合を考えます。7セグのLEDには8個のLEDがありますから1つのLEDあたりには約3mAしか流せません。
さらに4桁ですから1桁あたりの定常的な電流値は1素子あたり約0.7〜0.8mAと小さくなります。高輝度タイプならこれでも明るく光りますが、
一般的なLEDだと明るさが心配です。
 また、7セグLEDのコモン側にドライブ用のトランジスタを設けることを考えてみます。こうすれば1素子あたりの最大電流値は25mAまでOKですから、4桁のダイナミック点灯では1素子あたりの定常電流値は6mAくらいは確保できます。
 ということで「0.7mA〜6mAでどのくらいの輝度が得られるか?」 というテーマでまずは調べてみました。


いつも使う4桁LEDは高輝度と明記してあります。PICでダイレクトにいダイナミック点灯接続しても
十分な明るさが得られます。今回買った2色4桁のLEDはどうだろう?


明るさを調べてみましょう

心配事はまず、簡単にブレッドボードで調べてみましょう!
その前にピン配置がすこしややこしいので実態図を書いておきます。



ピン配置はこのようになります。

LEDに1kΩの抵抗を直列に接続して点灯させて、電流と明るさの関係を調べてみました。
LED単独と、黒色透明のアクリル板透過後も観察です。アクリル版を通すことで非点灯のLEDが見えなくなるので
よりクリアに数値を認識することができます。
 観察結果は下記の通りです。

LED電流(定常値) LEDそのまま 黒色透明アクリル板(2mm)透過後
0.7mA

(PICのI/Oのみで駆動可能な限界)


LED単独ならこの電流値でも十分視認できます。

アクリル板透過後では視認はできますが、やや薄暗いです。
3mA

(7セグLEDのコモン側にドライブTR必要)

LED単独なら十分すぎる明るさです。

アクリル板透過後でも十分です。
6mA

(7セグLEDのコモン側にドライブTR必要。これ以上流す場合は各セグメントにドライブTRが必要)。

LED単独ならまぶしいと感じる明るさです。

アクリル板透過後でも十分です。ここまで明るい
必要はなさそうです。

結果としてPICのI/Oだけで駆動すると仮定した0.7mAでは視認はできますが、明るさが少し不足することは否めません。
一方各桁にドライブ用のトランジスタを用いることを想定して3mAまで電流が増やせられれば十分な明るさが確保できることがわかりました。

結論としては
 この2色4桁のLEDをPICで駆動しようと考えた場合には、すくなくともコモン側にドライブ用のトランジスタが必要だが
それで十分な明るさが得られる、ということになりそうです。

具現化してみる
 回路図としては下記のようになるでしょう。LEDに流す電流は定常値で4mAで計算すると、4桁ダイナミックなので
流す電流は16mAです。電源電圧5VとしてLEDのVf=2V、トランジスタの電圧降下0.6V、PICの電圧降下0.6Vとすると
抵抗値は(5-2-0.6-0.6)/0.016=130Ωになります。E24系列から120Ωとなるでしょう。
 反対に120Ωとすると、LEDに流れる電流は15mAになります。ドライブ用のトランジスタに流れる最大電流は
8LED分ですから15×8=120mAです。小信号用のPNPトランジスタで十分です。チップトランジスタでもいけるでしょう。

点灯回路はこんな感じになりそうです。


こんな形で回路を実現してみました。


8を点灯させていますが、定常電流4mAで十分な明るさです。

ソフトはどうする?
 受信はシリアル信号の調歩同期で考えていきましょう。PICを32MHzで動かせば、ダイナミック点灯と
信号受信を並行して処理できるでしょう。これは、ハードが完成してからおいおい考えましょう。

基板にすると・・・ 2021.3.7
できるだけ小さく収めたいので、基板は両面実装になりそうです。
なお、配線は上記の回路図とは異なります。回路図は無視して接続しやすいように配線しています。
そのため組み立てる順番を守らないと、必要な部品の半田付けができなくなってしまいます。


こちらは半田面側です。こちらに部品の多くが実装されます。


こちらが正面側。LEDがとりつく側になります。


部品面側のパターンです。

 MUSES72323をつかった電子ボリュームの基板を製作するときにでも作ってみましょう。


資料として整理 2021.3.10

回路図
 回路図というよりPICのピンの割り当てを整理しておきました。
 PICに水晶が取りつけられるようになっていますが、周波数カウンタなどの時間精度を必要とする場合のことを考えてのことです。
シリアル通信程度なら内部発振器(誤差約1%)で十分です。あと、信号入力がPICの2箇所に接続されています。これは
カウンタ(C0)とADコンバータ(C4)の両方につなげておくことで、PICを交換すれば電圧計測にも使えるかな〜という考えです。



基板パターン

部品面


半田面(LED取り付け面)

(とりあえずお開き)