評価環境を整える!の巻き。2019.8.26
なんとかしなくっちゃ!
電子回路を試作したときに、色々と特性を評価するときに各種の機器を使用します。
お金があれば専用の計測器を買えばいいのですが、そうはいきません。それに、それらを置く場所も
問題です。ということで、機能的には縮小したものになりますが、簡単に自作のものを使うことが多いです。
でも、色々と問題があります。
@実験用電源(下の写真の黄色枠上側)
出力は正負15Vと5Vとまずまず。15Vの電源の容量が0.5Aとやや小さいけれど、いままで不足するような
事態はなかったと思います。不満だったのは電流値がわからないということで、以前に電流センサを用いた
電流計を追加しました。それで、だいぶ使いやすくなったのですが、最大の問題は、スペースがなくて電流計を
電源の上においているので、すぐに視認できないということです。というのも、机の上のスペースを広くとるため
電源装置などはLCDモニターの下側に押し込んでいます。そのため、わずかな隙間からしか見えないので、
すぐに電流値を確認することができません。
ADDS発振器(下の写真の黄色枠上側)
随分昔につくりましたが、DDSを用いた発振器でかなりの高周波数まで出力できるし、振幅可変、オフセット可変
もできるのでかなり重宝しています。最大の問題は、押し込んだケースが小さいために出力端子が裏側についています。
よく使うので、ケーブルは常に接続しているのですが、どのケーブルかがわからなくなったりして、いちいち確認したり
してました。っケーブルにラベルを貼ればいいのですが、つねに机の上にケーブルがあるのも邪魔だったりします。
使うときだけ、ケーブルをすぐにつないで使えるようにしたいな〜とい想いが以前からありまました。
Bゲインフェーズアナライザ(下の写真の黄色枠上側)
これは最近つくったもので、PEQの検討でも大活躍です。一応、単独でも動作するようにI/O基板もあわせて、
入出力コネクタを取り付けていますが、このままにしておいたら、すぐに壊れてしまいそうな気がして、早くケースにいれなくっちゃ
と焦っているところです。
ということで、ここいらで上記の問題を一気に解決しようと重い腰をあげることにしました。
よく使うのだけど問題がある評価用の機器たち。それぞれに問題が・・・・
ケースを作る!
電源、発振器、ゲインフェーズアナライザーをすべて入れて前面で操作できるようにするとなると、
結構なサイズのケースが必要です。すくなくとも前面パネルのサイズは一定の大きさが必要です。
でも、市販品を探すと、結構高かったりします。安価なものだと、前面パネルがケース底板と一体型
になっていたりするので、そうするとCNCで加工ができません。 CNCも折角買ったのに、使わないと勿体ないです。
というのも、CNCを購入したのは丁度1年くらい前ですが、購入当初は面白くてスピーカボッスをつくったりして
遊んでいましたが、一段落するとその後は休眠状態です。結局1年くらい使わなかったので、
家族からは、粗大ゴミ扱いされる有様です。ここらあたりで、使わないと、本当のゴミになりそうなので、
こちらも再度思い出して使うことにしました(でも1年使っていないと、図面CADの使い方を忘れてしまっていて
結構l苦労しました)。
アルミ板とLアングルで作る!
今回はコストも抑えたかったこともあり、アルミ板2枚とLアングルを使ってケースをつくることにしました。
ケースといっても、前面パネルと底板があるだけで、覆いはありません(笑。どうせLCDモニターの裏側に
隠れるので、ケースの上蓋はいらないです(変なものが落ちて内部でショートしないように注意する必要がありますが)。
で、用いた部材は
1)底板用 300×200×3t アルミ板 約1300円 (AMAZON)
2)パネル用 300×150×2t アルミ板 約900円 (AMAZON)
3)Lアングル 12×20×1t (2m長さ) 約900円 (AMAZON)
いづれも送料無料のモノばっかり選択しました(笑。Lアングルなんかはホームセンターにいけば、もう少し安かったかもしれませんが、
ホームセンタにいく時間がなかったのと、どうやって2mのものが配送されてくるか興味あったので注文してみました。
(ちなみに、厚紙のLアングルを保護材にして送られてきました。包装の手間や送料を考えると、赤字では・・・と思ったりです)。
加工
フロントパネルの加工は、休眠状態のCNCを起こして加工です。アル板が圧延材ですこし延性が高いので、
かなりバリがでてしましました。その除去の過程でパネルに一杯傷がついたので、最後にヘアライン加工をして
ごまかしました。ヘアライン加工といっても、紙やすりで表面をごしごしこするだけですが・・・・。
底板は穴をあけるだけなので、ハンドドリルと格闘です。ボール盤があれば良かったのですが、引越しのときに
捨てちゃいました。また新しいの買いたいな〜でも、どこに置こうかな〜。
Lアングルも切って、穴をあけるだけです。穴あけはハンドドリルですが、切断は金ノコです。久しぶりに使ったので
手が疲れちゃいました。それに、結構大きな音がするので、家族の顰蹙をかいました。ジグソーと使ったほうが、
短時間で済んだので、よかったかもです。でも夜だったしな〜。
ケースの組み立てに必要な部材を加工していきます。
フロントパネルにつまみ類を実装
このときが一番緊張します。というのも、CADの図面の寸法を間違えたらどうしよう〜ってなりますから。
現物あわせてつくるときは、そんな心配ありませんが、CAD上で図面を書く場合はどうしても、実物がなおざり
になってしまうとところがあります。
今回は幸運にも寸法間違いはありませんでしたが、BNC端子の間隔は30mmないと狭いかな〜とCAD上で考えましたが、
実物をみみて、もうちょっと狭くても良かったかな〜と。これがCADだけでモノをつくるときの問題点かもですね。
必要なつまみ類がつきました!
裏側の様子です。
ケース全体を組み立てる。
前面パネルを組み立てたら、底板と組み合わせてケースの形にしていきましょう。ついでに
トランスもとりつけておきます。構造的には前面パネルと底板をLアングルで結合させているだけなので、
そのままでは、前面パネルがゆらゆらします。
それを防ぐために筋交いを入れますが、これがあると配線がしづらいので、完成後にとりつけることにします。
だんだん雰囲気がでてきました。
筋交いは完成後に取り付ける予定です。
ここからが本番!
今回の作業は、すでにあるものをケースに入れなおすだけではありません。ゲインフェーズアナライザ自体は
そのままケースに納めますが、電源と発振器については新調したうえで、搭載します。
で、その2つをこれから考えるというわけです。
完全な泥縄状態です(笑
でもこれが以外と楽しいです。ケースに納めるとい制約のもと、何を、どのように載せていこうかを考えるのって
結構パズル的な要素がありますからね。
まずは電源部から 2019.8.28
最初は搭載したRコアトランスRA40で、実験用電源と内部用の電源をふくめて、すべての電力をまかなおうかと思っていましたが、
よく考えるとちょっと力不足の気がしてきました。というのも、コントローラ部分の電力が結構必要と想定されるからです。
一番電力を喰うのがアナログの15Vですが、もともと実験用としては1Aの出力が得られればと思っていました。この値は
RA40トランスを15Vメインでつかった場合のほぼ限界値です。というのもドロップ型の定電圧電源を用いますが、15Vで1Aの
出力を得た場合、正負30Vで1Aなので30Wですが、整流後の電圧は20Vくらいありますから、そこで1A流れると20×2×1A=40W
となり、ほぼトランスの定格となります。
そして、内部のコントローラで必要とされる電流を概算すると、ゲインフェーズアナライザ100mA、発振器100mA、そして電源部の
コントローラ100mAの計300mAです。まあ、300mAは最大で必要となるけれど、もともと1Aの容量があるので300mA程度なら
我慢するか〜と思っていましたが、電源部には12Vのパワーリレーを使います。これは出力電圧のON・OFFを行うものですが、
必要なリレーの数は3個。1個あたりの消費電流は約60mAなので、3個で180mA! さらにこれが加算されるわけです。
となると、300mA+180mAで480mAとなり、内部だけで480mAもつかうと、外部に供給できるのは500mA程度にしかなりません。
こりゃ、ちょっと我慢できないっす!
ということで、内部電源用には別途電源を設けることにしました。ああ〜すでに当初構想からずれてきている・・・・・
用いる電源は?
内部用の電源として使えそうなものを、部品箱から探してきますが、ちょうど小型のトロイダルトランス2個とスイッチング電源がみつかりました。
こんなん買ってたとは・・・かなり昔のようです。
トロイダルトランスはほぼ同じスペックで18V×2で7.5AV×2ですから、電流としては400mA程度は供給できそうです。
もっとも簡単なのはスイッチング電源で、これを採用しようかな〜とおもってしまいましたが、すこしノイズも気になるので
面倒ですがトランスを用いることにしました。
そうなれば基板用のトランスをつかうのが簡単です。というころで、一番左のトランスをつかいました。
使えそうな電源パーツを探します。左からトロイダルトランス(基板用)、トロイダルトランス(通常品)、スイッチング電源
ちなみに、スイッチング電源の表示をみて、すこし苦笑してしまいました。これはRSコンポーネンツから買ったと思うのですが、
袋の原産地表示は中国になっていて、現物の原産地はベトナムになっています。
さて、どちらが正しいでしょうね。まあ、工業品なのでどちらでもいいですが、食品なら大問題です。
さて、原産地はどちら? まあ現物に書いてあるベトナムでしょうね。
内部コントローラ用の電源完成!
基板用のトランスをつかって内部電源用の電源回路を作成しました。手抜きのようですが、
三端子レギュレータの15V品をつかっています。整流ダイオードもブリッジW02です。
夜遅くなると、どうしても頭が簡単な作業しかうけつけないようです(笑)。
内部コントローラ用の電源が完成しました。
電源部を組み込んでいきましょう!
さきほど完成した内部コントローラ用の電源(左)と、5V系の電源を組みこみます。5Vの電源は容量が必要なのでスイッチング電源を
用いました。そして、その元電源はRA40トランス出力の7−0−7V'(AC)の両端をつかって14V(AC)を整流して用います。
元電源の電圧は無負荷で22V程度になるのでスイッチング電源用としても好適です。元電源にはシンプル電源基板を用いましたが、
正電源側しか使用しないので、コンデンサも片側だけの実装になっています。
電源部を組み込んでいきます。
5V/3.3Vの切り替えは?
5V系は5Vと3.3Vの切り替えが出来るようにしたくて、最初はフロントパネルのスイッチで抵抗値を変える様に考えていましたが、
DCDCの電圧調整の抵抗は帰還回路に組み込まれているので、その部分を長い配線にするのは、すこしノイズの面で躊躇してしまいました。
ということで、ちょっとだけ手間がかかりますが、リレーを抱かせてやり、できるだけ帰還回路に近いところで抵抗が切り替わるようにしました。
ちなみに、これらの部品はグルーガンをつかってとりつけています。これが結構便利で、一度使い出すとやめられません(笑)。
でも、あまり使いすぎると、糸引きが多くて、くもの巣になってしまいます(これは使った人でないとわからないかも)。
5Vと3.3Vの切り替えの抵抗は基板上にリレーとともに実装しました。グルーガンで接着です。
アナログ用の15V電源は?
これも最初はTYPE-S電源あたりを使おうかとおもっていました。電圧の精度も高いしノイズも小さいです。
でも、最大の懸念は保護回路がないことです。実験用の電源ですから、負荷に何が接続されるかわかりません。
すくなくとも短絡される事態にでも、壊れないことが必要です。その点で保護回路なしの電源の使用はすこし躊躇されます。
ということで、簡単に日和ってしまってLM317/337をつかうことにしました。これなら、色々な保護回路が搭載されているので
安心です。いわゆる7815/7915でもよかったのですが、流せる電流が1Aだったので、ここは1.5Aまで使えるLM317/337にしました。
そうきまれば、アナログ用の電源は単純なシンプル電源基板のみでOKです。そしてLM317/337はケースの底板(3mm厚)に
直付けです。面倒なので空中配線です(笑)。でも、このときの配線のミスがあとあとのトラブルに・・・・!
アナログ用電源の整流回路をとりつけました(右奥)。これにLM317/337をとりつけてアナログ電源とします。
こんな感じでLM317/337を底板にとりつけです。LM337は絶縁タイプの手持ちがなかったので
絶縁グッズをつかってとりつけます。抵抗などは空中配線です!このとき重大ばポカをしました。
電源のコントローラを作成する!
コントローラといっても大したものではなく、電圧と電流を表示するだけのものです。
電圧は、適当に分圧してPICの内蔵ADで測定するだけです。あ、負電圧については反転させないとPICの
ADでは測定できませんのでOPアンプをつかって反転増幅をかけています。
すこし面倒なのは電流の測定ですが、これについては以前に用いたACS712の電流センサをつかいます。
手元に予備はないので、一旦つくった電流計から拝借です。
短い間でしたが電流計として活躍してくれました。ここからACS712を拝借です。
今回の電源コントローラにはこういう形でACS712が搭載されています。
ACS712を使うのはアナログ用電源である正負15Vの部分だけで、5Vディジタル系については一般のシャント抵抗を用いた電流計としています。
前回はシャント抵抗の値が0.1Ωと大きかったので、今回は0.02Ωとしました。ほんとうは0.01Ω程度がほしかったのですが、
手元にありませんでした。部品箱も膨張する一方なので、消費にも入らないと爆発してしまいそうです。
電源コントローラが完成しました。5V系のシャント抵抗は一番左下の白いプレート抵抗です。
簡単に動作確認
電源コントローラが完成したので、簡単なソフトを作成して動作確認をしておきます。まあ、AD値が正常な範囲となっているか、
リレーが動作するか、等々のチェックだけです。実用ソフトは組み込んでからAD値の校正とともに行います。
簡単なソフトを組んで動作確認です。
いよいよ電源コントローラの組み込み!
動作チェックも済んだので、本体に組み込みます。結構配線が多いです。気をつけないといけないのは
5V系の配線です。流れる電流も多くなるので細い電線だとそこで電圧ドロップが生じます。手元にあった
一番太い配線材料をつかいました。
電源コントローラ部分の配線です。
校正テーブルを作成! あれ・・・-15Vが???
あとは、表示ソフトを完成させるだけです。その前に、AD値は電圧あるいは電流値に換算するために、適当に何点か実測値と
比較して校正テーブルを作成しておきます。
正負15Vの出力に、適当な負荷抵抗を接続して流れる電流値をテスターで測定し、AD値をメモっておき、あとでAD値から電流値
への校正線をつくるわけです。まずは正側(+15V)の校正データの測定は問題なく完了。で、次に-15V側の測定にはいったところ、
負荷に抵抗を接続すると、途端に出力電圧が10V以下に低下してしまいます。負荷も500mA程度なので、LM337(1.5A)なら問題ないはずなのですが、
なぜだろう?元電源の電圧も低下していませんから、LM337に問題があるのは確かなのですが、すぐに原因がおもいつきません。
使い方は間違っていないのだけどな〜。そうそう、このとき出力電圧が-14.5V程度しかなかったことに、もっと注意を払うべきでした。
というのも用いた抵抗から得られる電圧は E=(1+R1/R2)*1.25=(1+2700/240)*1.25=15.31Vです。抵抗の誤差(1%)を考えても
かならず15Vは越えてくるはずです。
原点にもどる意味からも、データシートを読み返すと次のような注釈がありました。
あ、出力コンデンサをつけていない!
そうです。LM337ならびにLM317の出力には平滑コンデンサをつけていませんでした。
で、出力端子に適当な値のコンデンサを挿入したら、負荷を接続しても問題なく電圧がでました。
ふう、こんなことでポカをするとは・・・です。
で、ここからが大変ですでに配線が終わっているとうこともあり、配線の合間を掻き分けてLM317/337
の出力に390uF/25Vの電解コンデンサをとりつけました(恥ずかしい絵なので省略)。
ソフトも完成!
(適当な)校正も終わりあとはソフトをつくって完成です。
ちなみに今回の電源装置は以下の出力があります。
@5V系 5V/3.3V切り替え式 最大電流 約5A
A15V系 -15/+15Vの定電圧出力 最大電流 約1.5A
B24V系 -15/+15V生成前の元電圧(非安定) 無負荷時に23〜24V程度。
今回の実験用電源の最大の特徴は、パワーアンプ等への適用を考えて、非安定化電源の出力端子を設けています。
これは正負15Vの元電源になります。非安定なので、負荷がかかると電圧変動も生じますが、一番大きなのはリップルです。
そこで、測定値としては最大値と最小値が同時に表示できるようにしました。これで、最小値と最大値の差をみれば、
リップル量がわかります。
表示はこんな感じです。下2桁は非安定化電源の最大値と最小値を示しています。
測定値をモニタリングしておいて、閾値を越えたら出力をOFFにする機能もつけています。
出力をOFFにする直前の値を表示しておいて、原因がわかるようにしています。
あとは老後の楽しみ!
完成した電源部の端子類にテプラで機能を表示させておきます。ここまでくると、ほんとに老後の楽しみのようなものです。
いまとなって、思うところですが電源端子ももっとカラフルにすればよかったかな〜、です。
秋月で色々な色があったのですが、この端子も部品箱にあまっていたので、そちらを消費させることにしました。赤と黒しか
なかったので、ちょっと色彩的に寂しいです。まあ、すくなくとも正電圧のところに黒の端子をつかわずに済みました。
テプラで機能を表示しておきます。これがないと、あとあと間違って接続するかもしれません。
この段階で実戦配備!
まだ、半分も完成していませんがこの状態で実戦配備です。いままであった実験用電源と交換です。
電流値が見やすくなりました。
BEFOREです。
AFTERです。まだ右半分は空き家です。
次は発振器をつくっていきましょう!
その前に・・・LM317の罠・・・
実際に電源をつかってみるということで、ゲインフェーズアナライザを接続してスイッチオン!
すると、オーバロードで出力が停止してしまいました。オーバーロードの機能が働くのは、
過電流が流れた場合と、電圧が一定値以下に低下した場合です(定電圧電源なので、電圧の低下はすくないはず)。
ゲインフェーズアナライザーを接続して動作させてみると・・・・ オーバーロードが!!
症状をみるとLM317の出力である+15Vの電源電圧が9.8Vまで落ちています。電流は173mAとさほど流れていません。
ラッシュカレントが流れたのでしょうが、電圧の応答性が悪すぎます。
LM317出力の+15Vの電圧が9.8Vまで低下。オーバロードを検出しました。
でも、この原因はすぐにわかりました。LM317のノイズを低減させるために、
下記の位置に電解コンデンサを入れていました。ここにコンデンサを入れるとノイズが減るよ、
という書き込みもありいれるようにしていたのですが、これが悪さをしていました。
青色のコンデンサが出力の過渡特性の悪化の原因でした。 |
というのも、LM317はADJ端子の電圧が1.25Vになるように帰還回路が働きます。
コンデンサがないとR1,R2で分圧された電圧がADJ端子に直接加わるので、外部の電圧変化に対して
高速に応答します。
ところが、このコンデンサがあると、外部の電圧が変化しても、コンデンサの両端の電位はゆっくりと
しか変化できません(まあ、それがフィルターの役割になっているのですが)。たとえば、外部回路が起動して
急に電流が必要になった場合などは、電圧が低下します。そこで、本来はLM317はADJ端子の電圧が
下がったことを検知して、出力電圧を上昇させる動きに転じるのですが、ここにコンデンサが入っていると
ADJ端子の電圧がすぐに低下しないため、LM317の出力電圧が下がり続けるのと防止できず、
実験装置のオーバロード回路が起動してしまったというわけです。
とっちゃえ!
原因がわかったので、対策はコンデンサを除去するか、あるいはオーバロードの検知条件を変更するかですが、
やはり電源出力の過渡応答は必要でもあるので、ここはコンデンサをとることにしました。
すでに配線済みなので、隙間を狙うようにこて先をいれてコンデンサを除去しました。
除去の目指すは黄色矢印のコンデンサです。
これでOK!
コンデンサを除去したら、オーバロードもなくゲインフェーズアナライザも動きだしました。
測定すると、意外と15V電源の消費電流が小さいです。ほとんど5V系のPICやAD/DAに電力を喰われているようです。
OPアンプの消費電流はわずかでしょう。
これでオーバロードの表示もでなくなりました。
話はもどり、発振器を組み入れよう! 2019.9.1
さて、九州から戻ってきたこともあり作業再開です。
発振器は新調の予定でしたが、流石に大変そうであることを悟り、一度は作ったゲインフェーズアナライザ2作目の
発振器部をつかうことにしました。まあ、もともと発振器単体としても使えるようにと製作したこともあるので、
ほとんど無改造のままつかえるはずです。
ただ、ゲインフェーズアナライザ3作目に部品が盗られてしまって、なんとなく残骸のようになっています。
ゲインフェーズアナライザ2作目の発振器を復活させて組み込みます。
不足する部品の中で、もっとも重要なのがDDSであるAD9834ですが、幸運なことに部品箱に予備がいくつかあったので、
それを変換基板に新規に載せました。しかし、なんでAD9834の予備なんかあったんだろう?ひょっとして、昔にDDS発振器を
つくったときに余分を買っていたのかな?ほんと、思い出せなくなってしまいました(笑)。
発振器の要のDDS(AD9834)です。
発振器の基板の完成
完成といっても、不足していたAD983と、その他の部品を差し込んだだけです。
これで動くでしょう!
ちょっと前につった発振器の基板が再度復活です。
本体に組み込み!
配線は電源部に比べると比較的少ないので、短い時間ですみました。
本体内部に発振器基板を組込みです。
ソフトも完成!
ソフトも完成です。ソフトの作成の中で時間がかかるのが、全体の構成や画面のレイアウトの検討ですが、
移動中の新幹線の中で、あらかた済ませました。そのため、家に買えてからは一気に書き上げです。
いつもは、サブルーチンを1個つくっては動作確認するなど、たらたらと作っていましたが、一気につると
全体として短時間でできることがわかりました。もちろん、最初に大量のコンパイルエラーがでますが、
その対応ってあまり時間がかからないんですよね〜。
発振器の機能は
時間があれば、発振周波数のスイープ機能などもつけたかったのですが、まずはシンプルに2つの機能だけを
組み込みました。
@独立2周波数発振
完全に独立した2つの発信源を出力します。ちなみに、発振範囲は
1)周波数 1Hz 〜 9,999,999Hz (分解能1Hz)
2)振幅 0 〜 5Vo-p (分解能約1mV)
3)オフセット −5 〜 5V (分解能約2.5mV)
としました。
独立2周波数数発振の画面
2つの周波数を同時に発振できます。
A任意位相差発振
もう一つの機能は、周波数は同じで位相差を0〜360度で可変できる機能です。
分解能は0.1度になります。
位相差発振の画面
90度ずらして発振させた場合。
まずは、これだけの機能があれば実戦に持ち込めるでしょう。
最後にゲインフェーズアナライザーの組込み! 2019.9.2
ようやくゴールが見えてきました!
あとはすでに、完成済みのゲインフェーズアナライザを組み込むだけです。なぜ、これが一番最後になったかといえば、
まだまだ細かいソフトぼバグがたくさんあるので、いつでも修正できるようにアクセスしたかったからです。
といっても、あまり手を入れることはないかもです。まあ、基本部分は問題ないので、バグは放置される可能性が高いでしょう(笑。
あとはこのゲインフェーズアナライザーを組み込むだけです。
発振器の上に取り付けます。
すこし面倒だったのが、USB−RS232の変換基板からUSB端子用の信号線の取り出しです。もともとUSBのミニコネクタが
付いていますが、その端子からだとピッチが小さくて小手先がはいりません。丁度、フィルター用のチップコンデンサにD+,D−の
信号がでていたので、そこを利用することにしました。取り出した線をフロントパネルのUSB−Aコネクタに接続です。
USBのD+(白)、D−(青)はチップコンデンサのところから信号を横取りです。
ついでに、
5Vの電源出力にはノイズ低減用のインダクターをとりつけました。あとで調べたら10uHで10.8Aのものでした。
半田だけでもしっかりと固定できそうでしたが、折角なのでグルーガンで最寄のリレーに接着してやりました。
5Vの電源出力にノイズ低減用のインダクターをとりつけました。
完成!?
ひとまず完成です。
机の前もすこしスッキリした感じになりました。
これで気になっていた実験環境が、すこし整備されました。夜の夜長の実験も楽しくなってきます。
(完成・・のはず。一旦お開き)。