電圧・電流モニタをつくるの巻(非オーディオネタ) 2018.12.14
いまの実験用電源は
電子回路の実験には電源は必須で、現在主につかっているのは下記の2種。
@菊水の1出力のドロップ型の電源(0〜18V可変で最大1A。中古品)
A3出力スイッチング電源(30W品。正負15V最大500mA、5V最大3A。自作箱詰め)
菊水の電源は電圧と電流のどちらも選択して表示できます、スイッチング電源の方には
なにもありません。電圧・電流は必要な場合にテスターで測定しています。
唯一わかるのは負荷の短絡(過電流)であり、この場合は電源のパイロットランプが点灯しないことで
わかります(笑)。まあ、負荷短絡は異常事態ですが、やはり負荷の状態を把握するためにも電流値が常時
モニタリングできる となにかと便利です。
実験用の電源。左:菊水の18V1A電源、右:スイッチング電源の箱詰め電源で±15V500mA、5V3A。
昔から欲しかったが・・・
PICを使いだした数年前から、スイッチング電源の出力に電圧・電流モニータをつけることを考えていました。
というのもPICには10ビットのAD変換器が載っていますし、LCDを表示器につかえば
3電源出力の電圧・電圧値の6表示は簡単にできます。
電流測定が悩み
ただ、電流値の測定をどうしようか迷っていたこともあり、手つかずになっていました。
電圧は単純に分圧してPICに入れればOKですが、電流測定にはすこし工夫が必要です。
電流を測定する方法は、もっとも簡単なのはシャント抵抗を入れて、その両端の電圧を測定することです。
シャント抵抗に発生する電圧は小さいので、OPアンプをつかった高ゲインの差動増幅 器をつかうわけですが、
OPアンプに加える電源は扱う電圧より3V程度は高い必要があります。しかしOPアンプの入力に加わる電圧は
高ゲインにするとほぼ電源電圧に等しく、通常はOPアンプが正常に動作できません。
OPアンプを2段にし、1段目は低ゲインの差動アンプ、2段目に高ゲインアンプと
すればOPアンプに加わる電圧は低いままですが、芸がないなと考えていました。
※いまとなってはそれが一番簡単だったかもです。
そういえばACS712があった
電流値の測定のために電流センサーを買っていたことをふと思い出しました。
ACS712の中でも5Aタイプのものです。動作だけは
過去の記事で確認したことを思い出しました。
これをつかえば、電圧は5Vで動作します。ただ、出力が2.5Vを 中心値として
感度特性が約185mV/Aと低いので0〜500mAレンジで動かすと、出力値は2.5〜2.593の範囲でしか
動きません。PICの10ビットのAD変換機能をつかうとしても分解能は約25mAしかでません。
せめて1mA程度の分解能は欲しいので、すくなくとも20倍程度の増幅器を追加する必要があります。
この部分はOPアンプで作成しましょう。
こんな素子も買っていました。ACS712という内部にホール素子をつかった電流センサーです。秋月で350円です。
ACS712は変換基板に載せて使用します。右2つがACS712で一番左はOPアンプのTL072です。
PICは・・・助かった PICとLCDを使って作るとして、必要なPICの仕様を考えます。
必要なI/O数はLCD用に6本、AD入力用に6本。そしてICSP用に3本なので合計15本あるものが必要です。
ということで18PinのPICがつかえそうです(I/Oは計16ある)。ということで最初はPIC16F819を
つかうことで配線をすすめました 。実は途中でデータシートをみて気が付きましたが、
アナログ入力につかえるのは5本のみのようです。1本アナログ入力がたりません!!!!
あちゃ〜。こりゃ、どれかの電圧表示はあきらめるかな〜
と思ってしまいましたが、他にもっている18PinのPICとしてPIC16F1827を調べると12本AD入力が
確保できることがわかりました。PIC16F1827ではPIN_A群にくわえてPIN_B群もADA入力用に選択できるようです。
いきなり企画がとん挫するかと焦りましたが、助かりました。
PIC16F819はAD入力が5本だけです。1本足りない〜。
PIC16F1827はAD入力が12本もつかえます。
回路図は
面倒なので書きませんが、構成を手で書くと
1)15Vライン
電圧計測:抵抗2本で約1/4に分圧して、直接PICに入力。
電流計測:ACS712で受けて、約20倍の非反転増幅後にPICに入力。
2 )-15Vライン
電圧計測:負電圧ラインなのでOPアンプで約1/4倍の反転増幅させてPICに入力。
電流計測:ACS712で受けて、約20倍の非反転増幅してPICに入力。
3)5Vライン
電圧計測:同値の抵抗2本で1/2に分圧してPICに入力。
電流計測:0.1Ωの抵抗をシャント抵抗としても用いて、約10倍の差動増幅したのちにPICに入力
※思えば、5Vラインは電流も大きいのでACS712をつかうべきだったです。
※2A流すと電圧降下が200mVに及びます・・・。
PICの電源は PICとLCDの電源は15vラインから5Vのレ ギュレータを用いて作成します。もともとある5Vラインをそのまま使うことも
考えましたが、負荷による電圧の変動が心配なのでわざわざレギュレータを使って独立化させました。
黒く見えるのが78M05の5V電圧レギュレータです。PIC用の電源です。
電圧換算はすこし面倒・・・ 回路定数がいい加減(手持ちにある抵抗器を適当にセレクト)なので、一旦PICのAD変換の値と
実測の電源電圧で校正線を作成した上で、電圧あ るいは電流への実測値への変換係数を割り出しました。
15Vラインは5Vレギュレータを動作させているので8V〜15Vの範囲で限定させて測定です。
電流は負荷抵抗をいくつか変えて繋いで測定しました。いくつかと言っても3個程度です。
まずは電流はAD変換値(下段)のみを表示させます。
負荷用に用意したセメント抵抗
5VラインのAD変換値と電流の関係。
15VラインのAD変換値と電流の関係。
−15VラインのAD変換値と電流の関係。
完成!PICの表示は
上段が電圧(左から-15V、15V、5Vラインで単位はV。表示は4ケタなので15ラインは100mV毎、5Vラインは10mV単位です)
下段が電流(左から-15V、15V、5Vラインで単位はA。一応m(ミリ)は余裕があるので追加)
ユニバーサルで組んだので、あまりきれいではありませんが完成です。
最近つくったRrenewA12Aアンプを接続してみましたが、すぐに電流値が見えるので便利です。
完成しました。実験用電源の上に搭載です。すでにRenewA12Aアンプ基板を接続しています。
もうすこし高電圧で電流容量のある汎 用の実験用電源が欲しい・・・DAC程度ならこの程度の低電圧の実験用電源でことたりますが、アンプ等の動作確認を考えると
もうすこし電流容量も大きく、かつ高電圧も発生できる実験用電源が欲しいところです。
必要仕様としては
正負0〜35V/0.5A
正負0〜25V/3A
程度あればいいかな〜。
RA200トランスを用いて作るか検討してみましょう。
高電圧・大電流用の実験電源の回路を描いてみましょう
とりあえず正電源回路だけです。電流リミット機能もつけました。
正電源側の基本回路はこんな感じです。
動かしてみましょう! 2018.12.20
SPICEで動作することは確認しているのですが、どうも回路の構成によってはシミュレーション自体がうまくうごかなかったりします。
おそらく回路の動作が不安定になって、計算に多大な時間がかかっているようです。
こうなると、実機でも本当に動くのか心配になってきます。ということで実際の回路をブレッドボードで組んで動かしてみることにしました。
ブレッドボードをつかって動かしてみましょう。シミュレーションだけでは安心できないところがあります。
1)基本形・・・・動きません
まずは定電圧部分の基本回路だけを組んで動かしてみました。負荷はつないでいません。
出力電圧を観測してみると、22kHzという周波数で妙な発振が起こっています。
定電圧部分の基本形回路です。うまく動きません。OPアンプはOPA2134をつかっています。
22kHz程度で変な発振があります。
2)軽い負荷を追加・・・まだ動きません
おそらく負荷が軽すぎて、トランジスタがうまく動けていないのしょう。ということで、負荷に1kΩを接続して
常時数mAの電流がながれるようにしました。そうすると、発振していますが周波数が高くなりました。
今度はあきらか発振です。誤差増幅にOPアンプを入れているので位相余裕が小さくなったのでしょう。
負荷抵抗としてR5(1kΩ)を追加しました。
今度は明らかな発振です。
3)OPアンプに位相補償をいれました・・・・動きました。
手元にあった270pFのコンデンサをOPアンプにはさみこみました。
これで発振はとまりました。なんとなく動いているようです。
OPアンプに位相補償用のコンデンサを追加しました(高域での増幅率を抑えている)。
出力が落ち着きました。
4)出力に10Ωの負荷をつなぎました。
出力に10Ωの負荷をいれました。
出力電圧は計算上は4.65Vになりますが、ほぼ計算どおりの電圧になりました。
負荷抵抗に10Ωの抵抗を接続しました。
所定の電圧がでています。
ところで
以前にこんな投稿もいただきました。
この電圧・電流計については以前から安いな〜と思っていて、試しに買っていました。
amazonでも1個381円で送料無料と激安です。送料無料なんてすごいな〜と思って2個買おうとすると送料がかかってしまう不思議はありました(笑。
こんなものが381円で買えるとは・・・便利な世の中です。 |
3連休に帰省したら届いていました。
4〜5日で届くようなことが書いてありましたが、結局2週間程度かかったようです。
届いたのはこれだけ。説明書もなにもありません。
この電圧・電流計の使用先については自動車用のバッテリーの充電用電源としました。
ちょっと前に自動車のバッテリーがあがってしまって、充電しようと部品箱を探してトランスとダイオードで
急ごしらえでつくったものです。しかし、このトランスはたぶん高校生のときに買ったと思われるので、
40年ほど前にかったものです。12V5Aの出力はあります。当時は、高い買い物だっただろうな〜。
たしか4000円程度したと思います。
自動車のバッテリー用の充電器にとりつけました。
いきなり壊しましたが・・・・
接続を間違えて、大電流が流れてしまい電流計の部分が壊れてしまいました。
そのため負荷を接続しない状態でも15.3Aの値を示しています。まあ、安いので
また買いなおしましょう。
電圧表示は問題ないようですが、バッテリーを接続すると表示がフラフラします。
1V程度の変動があるのですが、他のテスターで測定すると表示が安定しているので、
この激安メータに問題があるようですが、原因はよくわかりません。
原因は電流計を壊した大電流かもしれませんが、ひょっとしてこの激安さが影響していたりして、です。
まあ、買いなおしているので交換したらわかるでしょう。
こんな感じででとりつけています。。
買いなおしました・・・が・・・ 2019.1.5
帰省している間に、帰省先に買い直した電圧・電流計がとどきました。
で、早速動かしてみました。が・・・・・
電流値が全然安定しません。バッテリの充電につかいましたが、
電流値の表示が0.00になったり5A以上になったりと、全然安定しません。
こりゃ、つかえないですね。
まあ、パイロットランプ代わりかな〜(ランプにしては高価ですが・・・)。
色々なメーカからこの手の電圧・電流計がでていますが、運悪く不良品のメーカに
あたったのかもしれません。
(ひょっとして、つづく?)