LM3886アンプをリニューアルする!の巻き 2019.4.26

さて、明日から10連休です。折角の長い休みなので何か作ろうと思ったところ、無性にLM3886をつかった
アンプをつくってみたくなりました。なんといってもLM3886は簡単な回路で大出力のアンプがつくれる、便利なICです。
さらに部品箱に6個もLM3886があるのを見つけてしまったことも作りたくなった理由の1です。

どの基板を使おうかな?
で、基板としては小型のLM3886用のアンプ基板が便利そうです。
BTL用のお気楽アンプ3もありますが、少々つくるのが大変そうなので思わず日和ました。


部品箱に6個のLM3886がありました。


LM3886をつかった超簡単なパワーアンプ基板です。これがよさそうです。

随分前につくったんだな〜

基板には最初に製作した西暦を記載しているのですが、どうやら15年ほど前につくったようですね。


2004年に初版をつくったようです。

基板を眺めていて、すこし思ったのが電源用の電解コンデンサの容量がすこし小さかったかな?
ということです。整流回路に大容量のコンデンサを搭載しておけば問題ないのですが、アンプ基板側にも
すこし容量の大きなものをのせたいな〜という思いがでてきました。
 さらに入力のカップリングコンデンサも電解コンデンサを想定していますが、ここにもフィルムコンデンサが
使えるようにしたいところです。

というわけで、折角つくるならすこし改良した基板で作ろうという気になってきました。

回路は同じで

基本的に、回路はまったく同じですが、搭載できる電源用と入力カップリングコンデンサがすこし大型のものが
使えるようにしました。

簡単な回路なので、一気にパターンを描いてみました。また基板サイズもSTD-Hサイズに合わせてみました。
さらに、配線も直線と円弧の組み合わせにすることで、なんとなく信号の通り方も滑らかになるようにしてみました。


こんなパターンで描いてみました。

ステレオ配置を考えると・・・・

さて、実際にステレオ構成にするとなると2枚基板をつかうわけですが同じ基板だと、向かい合わせてに配置したときに対称性がとれません。
となると、中央にトランスとコンデンサを配置するとした場合に、どうしてもケースの中が乱雑になってしまいそうです。


同じ基板を向かい合わせでとりつけると、入出力が逆になるので見た目がすこし難があるかな?

折角なので・・・・
向かいあわせにしたときに、対称性がとれるようにした片方の基板も描いてみました。


左右対称で配置できるような他方の基板も描いてみました。

どうしてもパターン自体は2枚の基板で異なりますが(当然ですが)、部品配置も対称になるので、ケースに納めたときに綺麗に見えるはずです。


2枚を向かい合わせて並べたときに部品の配置が対称だと、綺麗にみえると思っています。

ついでに電源も 2019.4.27

LM3886のアンプ基板と電源が接続しやすいように、電源基板も新調を考えてみまし。ちょっとした変更点ですが、
電源端子を左右(上下?)の両側面から出せるようにしてみました。
 あと、ひょっとしてOPアンプをつかう可能性もあったので、簡単に正負の三端子レギュレータも搭載できるように
しておきました。


 左右(上下)に電源の出力端子を持たせた電源基板を描いてみました。

やっぱり・・・

上の基板はいわゆる非安定タイプの電源回路ですが、パワーアンプといえども電源にリップルがのるのはトラブルの原因にもなりかねないので
定電圧電源タイプも描いてみました。さすがに、整流用のコンデンサは2個ほど減らす必要がありますが、比較的スペースに余裕もあるので、
空いたところに定電圧用のトランジスタ等を詰めこむことができました。


すこし整流用のコンデンサを減らして定電圧回路を実装するタイプも描いてみました。

そういえば、基板屋さんも10連休だろうな〜

よく使わせてもらっている基板屋さんの営業カレンダーを確認しましたが、やはり10連連休ですね。
こりゃ、連休明けに頼んでもおそらく一気に注文がいくだろうから大変だろうな〜、と休み明けは
ちょっと気の毒にも感じました。まあ、発注する側の一人ではあるのですが・・・・。


基板屋さんの営業カレンダー。10連休ですね。

基板作成にかかりました 2019.5.15

まだまだバグはあるかもしれませんが、基板作成にかかりました。
週明けには手にすることができるでしょう。
週末はプライベートですが一大イベントがあるので、準備にかからなくっちゃ!

ようやく納品されました。 2019.5.27

Renew LM3886-A,B 基板です。左右対称になっています。


電源基板はTYPE-Sのみ作成しました。TYPE-Rは次回かな〜。

まずはRenew LM3886から作ってみましょう! 2019.6.4

で、いきなり・・・
C4のシルクに間違いがあるのを見つけてしまいました。コンデンサは足ピッチjが2.54mmと5.08mmピッチの両方に
対応できるようにしていますが、その区切りのシルクの位置がずれていました。

白の区切り線は間違いで、黄色線が正解です。

その他はとくに問題ないようなので、部品を搭載です。

まずは完成しました。

部品箱からどれにしようか悩みながらもすべての部品の実装が終わりました。

まずはこんな感じで完成です。


裏面の様子です。パワーンはRをつけて配線しています。

動かしてみましょう!

回路自体は従前のLM3886基板と同じなので、とくに問題なく動くはずです。
でも、このような簡単な回路でも実際に電源を入れて、動作を確認するまでは安心できません。
なんせ、さきほどのシルクミスがあったくらいですからね。
で、動作確認のためにはICに放熱板をとりつけておいたほうが無難なので、秋月で買ったものをとりつけました。

放熱板をとりつけて動作確認を行います。

左右対称なので動作確認のための接続はすこし変則的です

同じ基板なら、配線をそのまま差し替えるだけで済みますが、左右基板なのでそれを意識して配線しないと怪我をしてしまいます。

 Renew LM3886-A基板の動作確認中です。                          Renew LM3886-B基板の動作確認中です。

周波数特性も良好ですね!

無負荷状態ですが、入力と出力の関係を観測しておきました。
周波数特性としては100kHzでもフラットですね。

周波数1kHz
上:出力 CH2(1V/DIV)
下:入力 CH1(100mV/DIV)
周波数20kHz
上:出力 CH2(1V/DIV)
下:入力 CH1(100mV/DIV)
周波数100kHz
上:出力 CH2(1V/DIV)
下:入力 CH1(100mV/DIV)


まずRenewLM3886の製作マニュアルが作成しました
 2019.6.7

 これです→RenewLM3886Manual.pdf

電源(TYPE-S)を組立てましょう。 2019.6.17

TYPE-S電源はディスクリートタイプの電源でTYPE-Dと回路は同じですが、出力段が3段ダーリントンにしているので
大電流を得ることができます。そのため最終段のトランジスタは外付けになります。
 ディスクリタイプですが、さほど部品点数は多くないので組み立てにはさほど時間はかかりません。

まずはお出かけ用の写真をとりました。

出力トランジスタは

部品箱にあるアンプ用に購入したと思われるトランジスタがあったのでそれを使うことにしました。
マークから日立のトランジスタです。実は取り付けてからわかったのですが、これ自体がダーリントンのトランジスタでした。
Ic=15Aなの容量的には余裕のあるものです。

アンプ用に購入したと思うトランジスタ。
データシートみて2段ダーリントンであることがあとで知りました。


基板には秋月で購入した放熱板とともにとりつけました。

こんな感じでとりつけています。

動作確認は

RA40トランスを接続して動作確認をしておきましょう。


RA40トランスと接続しています。

出力電圧は

出力電圧は15Vで設計しています。分圧に用いた抵抗は10kと2kなので、基準電圧TL431の2.495V(typ)の(10+2)/2=6倍ですので
およそ15Vになるはずです。でも、TL431に5mVの誤差があるのと、抵抗自体に1%の誤差がありますので、ジャストで15Vにはなりません。
実測の結果は下のようになりましたが、負側が^14.87Vなので約0.67%の誤差ですのでほぼ設計どおりでしょう。

 
出力電圧の測定結果です。

やっぱりトランジスタを交換しましょう。

このまま使用してもよかったのですが、やっぱりダーリントンでないトランジスタに変更することにしましょう。
で、部品箱を探しました。定番の2SC5200/A1493があったはずなのですが見つかりません。
ということで、その他にも使えそうなトランジスタを探しました。
ちょうど良さそうさトランジスタがみつかりましたが、とりつけようとしたときに
このままネジ止めするとコレクタ間がショートするので、このタイプは駄目でした。

コレクタが金属板むき出しのものは直接とりつけられないので、これはパスです。

もうすこし探したところ、このトランジスタが見つかりました。これを使うことにしましょう。

これを使ってみることにしました。Ic=10Aのものです。


出力トランジスタを交換しました。

出力電圧はかわらずですね。

トランジスタ交換後に電圧を再測定しましたが、同じ値でした。
 
トランジスタ交換後の出力電圧は同じでした(無負荷状態です)。

負荷をかけてみましょう
本来は1A程度の負荷をかけたかったので、適当な抵抗がなかったので手持ちにあった
150Ωの抵抗を5本並列にして30Ωにして負荷としました。この負荷だと500mA流れることになります。
負荷を接続して電圧を測定してみましたが変化なしでした。

負荷(500mA)をかけたときの電圧も一定でした。

この電源基板をつかった場合の配置は

この基板には左右に電圧出力があるので、ちょうどRenew LM3886-A,Bの中央に配置すると
配線がしやすいようにしています。イメージ的には下図のように左右対称な配置にできることになります。

電源基板を中央に配置してRenew LM3886への給電がしやすい構成になります。


電源供給の端子は位置を合わせています。

音出しは・・・・

とりあえず引越し準備中なこともあり、スピーカなどの接続が大変な環境になっているので、
もうちょっと先になりそうですが楽しみが増えました。

とりあえず備忘録として製作マニュアルも書いておきましょう。

製作マニュアル→TYPE-Smanual.pdf

やっぱり音だししよう! 2019.6.19

HPA6120の検討で、ソースをRasPiのVolumioにして、音量コントロールに高精度電子ボリュームをつかった
システム(?)を作ったので、これをつかってRenew LM3886の音だしをしてみましょう!
本当は引越し終了まで我慢しようかと思っていましたが、やっぱりソースができたら試したくなりました(笑。


音だしの構成です。左半分がこのページ内のRenew LM3886の検討のもの。右側がHPA6120ヘッドホンアンプ関連です。


TYPE-S電源基板(右)とRenew LM3886(左)との電源の接続です。

音だしの接続に関しては最近製作したスピーカ切り替え基板SP-SEL6をつかいました。
空き端子がまだあるので、CH4にRenew LM3886の出力を接続です。
アンプの評価にこのスピーカ切り替え基板は便利です。単純にアンプの出力をこの基板に接続するだけで済みますからね。


Renew LM3886のアンプ出力はSP-SEL6のCH4に接続です。


試聴時の全体構成です。サブシステムに接続しています。
ラックの手前に急ごしらえでテーブルを設けて、そこにアンプ基板を載せています。

音だし!
 スピーカ切り替え基板の設定を変更して(アンプ定義をCH4〜6)にして音だしです。
あまり比較対象がないのですが、いままでサブシステムはDVDレコーダをAVアンプに接続していたものを使っていたのですが、
このRenew LM3886基板とRasPiの音源に切り替えた瞬間、異次元の感じがしました。
これはプラシーボ的なものがあるのですが、DVDレコーダにはCDを焼いて入れてはいるのですが、アナログレコード時代の古い音源ばかり入っているのです。
それに対してRasPiからの音源はCD時代の音源です。そのため両者ではソース自体のダイナミックレンジに圧倒的な違いがあります。
この差を考えずに比較をしても、不公平ですよね。でも、やっぱり、RenewLM3886の方がいいように思えてきます。
 
あ・・・暖かい!
 実は試聴している最中に、LM3886の温度はどうなっているかを調べようとして、ICをみたところ放熱板が付いていません。
「あ!しまった」という感じですが、触ってみて暖かい感じではありますが、触れないほど熱くはなっていませんでした。
このICはAB級で動いていますが、それほどバイアス電流を流していなのかもしれません。それと電源電圧が15Vなので
そもそもの消費電力が小さいのでしょう。
 でも、やはり心配なので急遽、放熱板をとりつけました。その後、小一時間音だしで通電しましたが、放熱板はほんのり暖かい程度でした。
さらに電源基板の放熱板も同じくほんのり暖かい程度です。こりゃ、、あまり大きな放熱板は不要な感じです。ケースは簡単でいいかな〜。


放熱板をとりつけ忘れていたので、急遽とりつけました。

なるほど!
 実はサブシステムは主にTVを見るのにつかっていましたが、スピーカをONKYOの普通の2WAY(D202AX)と小型2WAY(D108)
を切り替えてもあまり音の違いを感じませんでしたが、これはTVの出力の音声帯域(周波数特性)がかなり狭帯域のだったようです。
そのためSPを切り替えても、あまり違いは感じませんでしたがソースを普通のCD帯域(RasPiのVOLUMIO使用)だと、明確に違いが
わかります。低音がズシンとする帯域まで伸びて、高温も可聴域ぎりぎりまで伸びているので、スピーカの違いが本当によくわかります。

まあ、今回の試聴を通じてLM3886の発熱があまりないので、いっそのこと6ch分を組み込んだアンプを構築してもいいかな〜と思ったりです。
そうすれば、メインでつかっている3WAYスピーカのマルチアンプにつかえそうです。

まあ、まずは引越ししてからですが・・・・。でも、LM3886はやっぱり良いICですね。

(つづく・・・かな?)