ちょっとTea Time!? DC-DCコンバータキットの憂鬱 2019.8.20

ちかじか実験用の電源をつくろうかと思っていて、その構成を考えています。その中でも5Vは比較的容量が必要になる場合があるので、
シリーズレギュレータだとトランスの選定や定電圧回路の容量、発熱処理が大変なので、この部分はDC-DCコンバータを使おうかと考えています。
そこで、つかえそうなもの、というよりニーズに合致しそうなキットを秋月で購入しました。
今回は国産なので、中華製で遭遇したようなトラブルにはあわないでしょう(笑・・・・それがどっこい。


購入したのは
 下限が0.8Vからつかえるというところに魅力を感じてこれを購入しました。
なんせ、私がディジタル回路を触りだしたころは5Vが主流でしたが、ここ10年くらいで3.3Vが主流に
なっています。さらに、電圧は下がりそうでそろそろ1.8V系に移行してしまうのではないかと危惧しています。
危惧することはないのですが、1.8Vまでさがっちゃうと、LEDが簡単に点灯できなくてこまっちゃいますね。
3.3Vでも青色や白色のLEDの点灯がぎりぎりで、赤色しかつかえないのに、どうしてくれるんだ!という感じです。
まあ、時代の流れには逆らえないので、今後の低電圧化にも対応できるようなものを選択したというわけです。


購入したDC-DCコンバータキット。国産なので説明書も入っています(笑


0.8Vからつかえる点に魅力を感じました。

簡単!簡単!

部品点数は極めて少ないので、あっという間に完成です。一番時間がかかったのが2本ある抵抗の識別でした(笑。
なんせカラーコードがいまだに読めないので、テスター頼りですが、そのテスターが行方不明で探しまわっていました。

完成しました。10分もあれば作れます。

動かしてみましょう!

入力に18Vの実験用の電源(定電流定電圧)を接続して、出力電圧は5Vに調整しました。そして、負荷として2Ωの抵抗を接続します。
これで、どのくらいの効率がでるか試してみました。
 無負荷時  5.00V(多回転VRなので細かく調整できます)
 負荷時   4.96V (約2.5A)
 電源電圧 17.84V 812mA

まず、2.5A流しても電圧降下がほとんどないのは優秀です。で、このとき
電源側の消費電力が17.84×0.812=14.49Wに対して負荷の消費電力が4.96×2.5=12.4Wです。
したがって効率は12.4/14.49=85.6%です。

データシートでは83%の数値になっているので、ほぼその通りですね。いや、カタログ値は保証値でしょうから
それより良くなっています。


使用した条件での効率は約85%と高いです。

気になる電圧変動は?

スイッチング電源で気になるのは出力へのノイズの重畳です。
今回も、負荷を接続したときにどの程度の出力電圧にノイズ(変動)がのっているかを観測してみました。

1)キットのまま
 まずはキットのままでにの測定です。出力には大きな三角波とそれが切り替わる時のスパイクノイズがみえます。
スパイクノイズが40mV強で、三角波が30mV程度でしょうか。まあ、このくらいなら問題ない値だと思います。
ちなみに変調周波数は150kHzのようです。

キットのままでの出力のノイズ。

2)OSコン 100uF/16Vを追加
 こういう時のノイズ取りに効果を発揮するはずなのがOSコンで手元にあった100uF/16Vのものを
とりつけてみました。その結果はスパイクノイズはあまり改善していませんが、三角波のノイズは10mVと1/3くらい低減したようです。

OSコン(100uF)を投入!


OSコンをいれたノイズ。三角波のノイズが1/3に減りました。

3)積層セラミック(1.5uF)を追加

スパイクノイズが取れないかと思い、さらに高周波特性に優れたセラミックコンデンサを追加です。
その結果はスパイクノイズが若干低下して30mV(30%減)くらいになりました。


セラミックコンデンサを追加投入!


セラミックコンデンサを追加。スパイクノイズが減ってオシロのトリガが不安定に。


レベルを拡大した観測です。スパイクノイズは30mVくらいになりました。
約30%減少です。

4)インダクターを追加!

容量はよく覚えていませんがDクラスアンプ用に買ったもので47uH程度のはずですが、電流容量はかなり大きなものです。
これを出力に直列に加えてみました。そうすると、効果てき面ですね。ノイズレベルがぐっと小さくなりました。
三角波のノイズがおよそ2mVと約1/5に、スパイクは15mVと半分程度に低下しました。ただし電圧は30mV程度低下しました。
インダクターの抵抗成分が影響しています。


次はインダクターを追加しました。


ノイズレベルがぐっとへりました。画面の1DIVは2mVです。

さて、これでいきましょう!と思った矢先・・・・

問題発生!

やはり神様は色々な勉強を強いるようです。
DCDCコンバータの元電源を何度も入り切りしているときに、消費電流が異常にあがる現象が発生しました。
定常時は元電源の電流は0.8A程度(最大1Aまで流すことができる)ですが、電源を入り切りしたときに電流値が最大の1Aまで上がって
しまって、電源の定電流回路が動作してダウンしてしまいます。出力電圧も4V程度(設定は18V)に落ちてしまいます。

このときDCDCの出力は10kHz程度の低いリップルが生じ、また出力電圧も当然のことながら低い状態です。
すなわちDCDCが立ち上がっていない状態です。
 
出力に35mV程度の10kHzのリップルがのります。 また出力電圧も2V程度と低いです。

ひょっとして、、あとで追加したインダクターやOSコンや積層セラミックコンデンサが悪さをしているのかとおもい、
外してみましたが状況に変化はありません。しばらくすると、負荷単体のままでも、
今後はまったく立ち上がらなくなってしまいました・・・・・。

ああ〜DCDC壊れちゃったのかな〜〜

原因は・・・
どうやら原因は元電源にあったようです。DCDCの負荷をすこし軽くして2Ωから5Ω(負荷電流は1A)にして、
元電源の必要電流が0.3A程度になるようにしたら、問題なく立ち上がるようになりました。


負荷を軽く(5Ω)にしたら、再度うごきだしました。

問題が起こった現状は次のように考えれます。

 @ 電源投入時にDCDCコンが動きだすが、最初は出力コンデンサのチャージやなにやらで大電流を元電流に要求。
 A 元電源は定電圧定電流型のため、リミット(1A)を超える要求があり、電圧を強制的に低下。
 B 元電圧が下がったので、、DCDCコンはさらに電流を元電源に要求。
 C AとBの悪循環の繰り返し。


上記のようになり、元電源もDCDCも立ち上がらなくなったのでしょう。これは、元電源に定電流低電圧電源を用いたミスなわけですが、
定常時の出力が足りるということだけを考えて元電源を選ぶと問題が生じるということですね。これは勉強になりました。
元電源は少々無理のできるような、普通のトランスなどを用いた電源をつかうべきなのでしょう。


こういう普通の電源をつかうべきなんでしょう。

DCDCコン一つでまた勉強になりました。あとで気づけば当たり前といわれることですが、
なにかトラブルが生じたら、なかなか冷静になって考えて対処できないですね。

(おしまい)