リニューアルその2の巻き 2008.6.19

つれづれに・・・・・ のコーナで電流帰還型アンプの高速性をあらためて認識しました。また
BBSでもヘッドホンの話題がのぼったこともあり、なにやらヘッドホンアンプを作りたくなって
きました。といっても、手元に基板は一枚しかありません。同じ物を作ってもおもしろくないので、
すこしリニューアルしてみましょう。基板もすこし大きめのサイズにして、部品サイズと配置に
余裕を持たせたいと思います。


左がHPA-SLIM  1枚しかないのステレオにはできません。
右はリニューアルしたプリアンプ基板。一回りサイズが大きい。

まずは部品配置を決めよう
部品の配置自体はHPA-SLIMとほとんど同じだけれど、かなりゆったりした感じになりそうです。
GNDの引き回しはどうしようかな?

上:HPA-SLIM 下:リニューアル中のHPA

まずはこんな感じ。配線チェックをすれば完成です。


次は電源部!2008.6.23

アンプに使う電源を非安定化とするか安定化とするかについては多分に好みが大きいかと思うのだけれど、
あつかう電流が小さいのなら安定化したものをつかった方がハムや回路の安定性にもよいでしょう。
ということで電圧レギュレータ考でちょっと試した定電圧回路を採用してみようかと思います。
横着して抵抗の数は少な目です。この回路については@立てばさんのブログにも書いてありますが、
違いは電圧源としてツエナーで回路を書いています。TL431は安価ですし、それに電圧精度もよいので、
是非ともつかいたいですが、ちょっと気になるところがあります。


今回採用しようと思っている電源回路。

気になるところというのは、定電流用のFET(回路図ではJ1,J3)の電圧降下が大きくて、
たとえば電圧降下が2V以上あると差動アンプが動作できなくなります。そんなこともあり、5V程度の
ツエナーをつかった方が安心かな、というところがありました。

でも、悩んでいるだけでははじまらないのでちょっと測定してみました。
単純にFETに電源をつないで、流れる電流とそのときの電圧を測定してみました。


測定した回路。

使用したFETは2SK117のGRランクです。で、測定した結果は下図になります。
ちょうど1Vを切ったあたりから定電流の特性が急激に悪化している様子がわかります。
逆にいえば電圧降下は1V程度でおさまりそうですから、TL431をつかっても
差動アンプは十分に動作できるようです(約1Vの余裕があります)。
まあ、TL431あるいはツエナーのどちらも使えるようなパターンにしておけば
色々と遊べるでしょう。

2SK117をつかったときのIdsとVds電圧

おっと、R.さんからコメントいただきました。もうちょっと修正していきましょう。

9260 ちょっとコメント R.  - 2008/06/24 00:21 -
リニューアルその2ですが、アンプの方は電源ラインのパターンをできるだけ
太くされてはどうでしょうか?
終段のパスコンからMOSのドレンまでと、電圧増幅段のパスコンから電圧増幅段の各素子までです。
両方のパスコンの間は逆に細いパターンにすると、電圧増幅と終段のデカップリングを少しは助長しそうです。
電圧増幅段のパスコンは各素子にできるだけ近づけられるとよいとよいと思います。

高速なアンプなので電源のインピーダンスも影響が大きそうです。パターンの修正で少しはグレードアップするかも?


安定化電源の方はダーリントンの最初の石のエミッタと出力間に抵抗を追加できるようにした方がよいかも
しれません。
負荷電流が極端に小さい場合にIcが小さすぎて、ftが下がりNFBの安定性の低下が懸念されます。
抵抗を実装しないこともできるので、製作される方の使い方と好みで選択できた方がよいかもしれません。


まずはアンプ基板の電源ラインを太くしてみました。


9289 ちょっとコメント2 R.  - 2008/06/28 01:12 -
気づくのが遅く申し訳ないですが、パターンを改良した方がよい点があります。

出力のLR近傍からNFBの帰還点をもうけていますが、実際の音声信号はここからずれた
場所から出力されています。
音声信号は主にLを経由して出力されるので、Pch側にずれていることになりますが、
出力がB級動作の場合には、帰還点から出力点までの間のパターンに半波分の電流しか流れずに、
歪が発生します。
負荷が重く出力電流が大きいほど歪は増大します。

LRを出力端子側にずらして、LRをパターンでまとめてから現在に帰還点の部分につなぐ形に
できるとよいと思います。

言葉ではわからないですかね?

LRの移動はスペース上難しいですが、パターン変更で対策するとこんな感じでしょうか。



電源回路もR.さんコメントを踏まえて修正です。どこが変わったかわかるかな?



こちらもパターンを書いていきましょう。
3種のバリエーションを書いてみました。
一つ目は正負のレギュレータのみ(図の右上)。外付けのトランジスタをつけて3段ダーリントンにできるようにしています。
これならばパワーアンプ負荷でもOKです。
二つ目は平滑コンデンサ付き正負レギュレータ(図の下側)。これも外付けのトランジスタをつけて3段ダーリントンにできる
ようにしています。
三つ目は正のみのレギュレータのみです(図の左上)。用途としてはDACなどの軽負荷を想定しているので、
外付けトランジスタの取り付けパターンは省略しました。


こちらもリニューアル?
以前に作ったディスクリアンプシリーズもちょっとだけリニューアルです。
対象の基板はA1,A4,A6です。リニューアルといっても、部品配置等には手をつけず
パターン配線のみを太くしました。あと、部品のシルクの位置をづらしています。
初期のころは抵抗の部品番号を部品の中央に書いていましたが、そうしてしまうと
部品の実装後に部品番号が確認できない問題が生じてしまうので、部品の外に番号を
記載するようにしました。いづれにしてもマイナーなチェンジです。

ディスクリアンプ基板もリニューアル

左:リニューアル前        右:リニューアル後

ついでに
例の回路のパターンも書いてみました。部品点数が少ないので配置にも余裕があります。


やっぱり全面リニューアル
 2008.7.9

基板パターンはそのままにしようかとおもいましたが、なおしたいところもあったので
パターンを全面的にリニューアルすることにしました。従来に比べて、部品配置もゆったり
したものになっていると思います。

全面リニューアルしたディスクリオペアンプ基板

それぞれの基板と回路図については下図にまとめてみました。

A6B
従来のA6(電流帰還アンプ)と回路はほとんど同じです。そのため型番もA6BとしてBをつけたて区分することにしました。


回路図:A6B
A7
これはMJ回路のものです。初段のTRの定電流回路をツエナーを用いたものに変更していますが、FETをを用いる方法もOKです。BBSでリクエストがあったようにGND配線なしでも動作できるようにも工夫しています。

回路図:A7
A8 これは従来のA1基板と同じ構成ですが、初段のTRの定電流回路をツエナーを用いたものに変更しています。


回路図:A8
A9
これはA4基板の後継版です。初段のFETのパラ数は3個にしています。ローノイズならやっぱりこれが一番かもしれません。

回路図:A9
A10
A6Bの亜流かもしれませんが、出力段を超高速のLME49600をつかいました。製作コストは若干かかりますが、出力波形が改善されます。つれづれに・・・・・ のコーナを参照してみてください。



回路図:A10

さて、なんやかんや色々書いてみたけど、週末あたりにパターンチェックしてそろそろ試作に出して見ましょう。
と、いいながら他に何を作ろうか思案中だったりします。

評価用ボードもつくろうっと

アンプ基板がたくさんあると、聴き比べするのに評価ボードがあると便利なので作っておきましょう。
左右2ch分を一枚にしていますが、切り離せるスペースも設けてみましょう。


ディスクリアンプをオペアンプに見立てると次のような回路構成にしてみました。
色々な回路を評価できるようにしていますが、逆にシンプルな回路にするときには
ジャンパー線が増えるが難点です。そのため、ジャンパー線も減らすことができるように
半田面にジャンパーハッドをいくつか設けています。
あと特徴的なところはサーボ回路を入れているところでしょうか。
部品番号は左右chで同じです。はやい話が、コピペしただけです(笑)。



9397 評価ボードのサーボ R.  - 2008/07/13 00:57 -
DCサーボの回路ですが、反転入力側にDCサーボをかける構成の方が使い易いと思います。
FET入力のディスクリOPアンプでも入力インピーダンスが低くなってしまいますし、
増幅率の設定もやや面倒な感じ。

DCサーボ回路にRCを追加して非反転の回路にするか、デュアルOPアンプでDCサーボの出力を
さらに反転させるのでいかがでしょうか?

そですね。単純な非反転アンプを考えた場合は、INV側にサーボによる帰還をかけた方がよさそうです。
ということで、若干パターンを変更しました。



基板発注! 2007.7.15

面付け完了しデータをPCでメーカに送付。さて、できあがりは10日後ぐらいでしょう。

ちょっとお遊び
 2007.7.26
今回のリニューアル基板群の納品は7/30頃になりそうですが、その前にちょっと遊んで見ましょう。
今回のアンプで使ってみようかと思っているFETはこれ。IRF540,IRF9540です。
100V20AクラスのものでTO-220ですがサイズ以上の容量があります。メーカはIR VISHAYです。
IRがオリジナルでVISHAYが製造しているのかな?このあたりはよくしりませんが、
いずれにしても安く手に入る素子なので気楽につかえます。
これらは低On抵抗のスイッチ用の素子ですが、もちろんアンプにつかっても問題ありません。
実際のところ、私のウーハー用のパワーアンプも日立の低On高速FETをつかっています。

IRF540(N),IRF9540(P) どちらも@120円(10個購入時)程度です。

そういえば、安価なTRといえば、ハムさんのブログにもありましたが、秋月が2SC5200/A1943を取り扱うみたいです。
2SC5200の値段が@200円(10個以上だと@160円)ですが、秋月の割には普通で、ちょっとがっかり。

試作してみよう
あたらしいFETも手に入れたこともあり、実際に動かしてみました。基板はまだないので、
久しぶりにブレッドボードをつかってくみたてました。
やっぱり、ブレッドボードは便利です。なにが便利かというと、配線を間違えたときの
変更が至極簡単なところですね。単純に組み立てるのなら、本当は基板で半田付けする方が
簡単ではありますが・・・・


ヘッドホンアンプの組み立て

動くかどうかは電源を入れて試してみましょう。最初は位相補償のCを入れなかったのですが。
これでは発振してしまいました。ということで8pFのものが手元にあったので、これを挿入したら
発振は収まりました。


位相補償C無し(上:Ch1入力、下:ch2出力)   位相補償8pF(上:Ch1入力、下:ch2出力)

電流帰還アンプですので、比較的高周波でも難なく増幅することが確認できました。

f=100kHz(上:Ch1入力、下:ch2出力)     f=1MHz(上:Ch1入力、下:ch2出力)

今回の目的は

今回の試作の本当の目的は、バイアス電圧とアイドル電流の関係を調べておこうと思ったのが発端です。
というのも、必要なバイアス電圧自体はトランジスタのVbeあるいはVgsの和で簡単にもとまりますが、
あたらしいFETの確認も含めて調べてみました。
バイアス電圧発生回路につかった定数はBE間が510Ω、BC間が5.6kと2kVRです。なんのこっちゃ?
と思われるかもしれませんが、HPA-SLIMのR14,R13,VR1に対応します。
VRを一番しぼった状態では7.7Vのバイアス電圧です。このときのアイドル電流は13mA。
VRを中央にした状態では8.8Vでアイドル電流は133mAでした。
中央ではちょっとアイドル電流が大きめなので、VRを1/4回転程度させたあたりが50〜60mA程度で
ちょうど良さそうです。VRの値と2kΩにしましたが、実際には1kΩ程度でも良さそうな感じです。

バイアス電圧とアイドル電流の関係FET使用 (IRF540,IRF9540)

つぎはバイポーラ
日頃よくつかう汎用のバイポーラトランジスタに変更してみましょう。
回路上での変更点は
1.バイアス電圧回路のR14を510Ωから2.4kΩに変更。
2.ゲート抵抗R21,22(100Ω)をジャンパー線に変更
の2点です。

1.についてはバイアス電圧は4×VbeですからVRが中央時におおよそ2.4Vになるようにしています。
2.のゲート抵抗はFETのゲート容量による発振防止用にはいっていたものですのでバイポーラでは不要です。
 というより除去しないと、その抵抗での電圧降下が発生して出力電圧が小さくなってしまいます。


使用したバイポーラトランジスタ

こちらもVRを回したときのアイドル電流とバイアス電圧の関係を測定しておきました。
VR中央で12mA、VR最大で100mA程度ですので、ちょうどいいくらいです。
もっと流したい場合にはR13を6.8kΩ程度にすればいいでしょう。
ただし、ヘッドホンアンプあたりだと20mAで十分な気もします。

バイアス電圧とアイドル電流の関係BiP使用 (TIP31C,TIP32C)


はなし変わって 2008.8.1

週半ばだったけど、横浜へ娘と小旅行。横浜が最終目的地ではないけど、折角なのでちょと散策。
TVやパンフでよく見かける風景を目のあたりにすると、ちょっと嬉しくなります。
横浜スタジアムの横を通過したときには人が一杯いました。成績低迷する横浜だけど、
ファンの人は熱心に見にいくのだな〜と思っていたら、なんとオールスターゲームだったんですね。
どおりで人が多い訳です。
それにしても蒸し暑いです。観光にくるなら、もう少し涼しくなってからゆっくり行きたいものです。

ランドマークタワー:夜も綺麗              怪しい建物も多い中華街


横浜スタジアム:オールスターなんだな〜


基板到着 2008.8.2


今回試作した基板類が到着。正確には到着していました。
ということで、早速組み立ていきましょう。

まずは電源基板から確認です。
今回の基板類は平滑コンデンサ付きの電源基板と、レギュレータのみの基板、そして正出力のみの基板の3種類をつくっています。


製作した電源基板類

まずは平滑コンデンサ付きの基板から組み立てて行きましょう。
ちょっとおごって、整流ダイオードは31DF2をつかってみました。リード線が太いのですが、きちきちではいりました。
もうすこしランド径を大きくした方がよかったかもしれませんが、あまり大きいと普通のダイオードをつけた時に
ガバガバになるのでトレードオフが大切です。

部品点数もさほど多くないので、すぐに完成します。コンデンサは秋月の3300uF/50Vも搭載できます。
が、ちょっと背が高いのでいつもの1000uFにとりかえることにしましょう。こちらは放熱板の高さと一致するので
見かけ上はGOODです。容量は約1/3になってしまいますが、ヘッドホンアンプ用なら4000uFもあれば十分でしょう。

 
秋月の3300uF/50Vを実装した場合                  1000uF/50V(LXZ)を実装した場合。

やっぱり間違えた!
部品点数が少なくても、間違えるときは間違えてしまいます。実装後に部品の確認をしたら、
トランジスタの取り付け向きを間違えていました。つかっているトランジスタは"SA1015/C1815の汎用品で、
安価なものですが、それでももったいないです。それ以上に取り替えるために結構時間がかかるし、面倒です。
こちらの方が精神的なダメージが大きいです。部品の取り付けは、最初から最新の注意を払うのが吉です。
急がば回れですね。

取り付け方向を間違えたTR。             向きを修正

その他の基板も作成しましょう。

ひとつはレギュレータのみの基板です。こちらの基準電圧はツエナー(5V)をつかうことにしました。
もうひとつの正出力レギュレータ基板ですが、こちらはどちらかといえばディジタル用の電源基板です。
基準電圧源がTL431Aをつかって、出力は5Vに設定しました。


動作確認はトランスや電源につないでチェックしますが、3枚の基板とも問題なく動作しました。
と、いいながらも部品のとりつけ間違いも、いくつかの基板であったので、ノートラブルはありませでした。
でも、とりあえず動作が確認できて、第1ステップは完了です。

次はリニューアルヘッドホンアンプ

さて、つぎはこちらにかかりましょう。あれ、なんか変。あれ、C7のパターンが抜けています。
と、データを見直したら抜けていました。いつ抜けたのかな〜。まあ、これもご愛敬でしょうか。
必要ならC9に電解コンデンサをつけましょう。
 
リニューアルしたHPA                           C7が抜けています。

部品をつけて組み立てていきます。とくに気をつけるところは無いのですが、
レジストがはがれて放熱板とベタ面が接触するとまずいので、念のため放熱板の下に
テープをはりました。手元にあったメンティングテープを貼っています。
普通のビニールテープの方が厚みがあっていいかもしれません。

放熱板の下にテープを貼って、念のための絶縁強化です。

完成!
1時間もあれば完成です。C7の対となるC8についても今回は実装しませんでした。
C9,C10については高周波でのパスコンとしてフィルムコンデンサ(104)を入れておきました。
出力にはインピーダンス補正用のLとRを取り付けるところもありますが、今回はジャンパーで
とばしています。

完成したリニューアルHPA

動作確認のための準備
さきほど作った電源基板を取り出して、きてトランスに接続。この基板に30mm高さのスペーサをとりつけて
その上にアンプ基板が載せられるようにします。
 
動作確認のためには電源が必要です。

そして、アンプ基板をその上において電源配線をすれば動作確認の準備OKです。
で、おもむろに電源ON!とくに異音・異臭・過加熱等なさそうです。たぶん動いているでしょう。
ということで、まず最初にアイドル電流を調整します。今回は50mAに設定しました。
つぎはオフセット調整。これも極力ゼロになるように調整しました。

電源基板とアンプ基板を接続して動作準備OKです。

動作の確認は入力に信号入れて、出力を観測します。
問題なさそうです。とりあえず一安心です。
 
周波数1kHz(上:入力1ch、下:出力:2ch)  周波数100kHz(上:入力1ch、下:出力:2ch)

最後はディスクリアンプ!

最後にディスクリアンプを組み立てましょう。基板は5種ありますが、使う部品に共通点が多いので
一気につくると意外と時間がかかりません。

今回試作したディスクリアンプ群

で、いきなり完成です。それぞれ一枚づつ作りました。


製作上の工夫はほとんどありません。使用した素子は次の通りです。

No 特徴 使用素子
A6B 従来のA6(電流帰還アンプ)と回路はほぼ同じ。
トランジスタ
2SA1015/C1815
A7 MJ回路 初段2SK30A(非ペア)
2段目2SJ103
終段2SC3421

定電圧源はLED
A8 従来のA1基板と同じ構成。
一般的な2段差動方式で入力段はBiP.
トランジスタ
2SA1015/C1815

定電圧源はLED
A9 A4基板の後継版。一般的な2段差動方式で入力段はFET(最大パラ数3個)。
トランジスタ
2SA1015/C1815
入力段は2SK30A(非ペア)

定電圧源はLED
A10 A6Bの亜流。出力段を超高速のLME49600を使用 トランジスタ
2SA1015/C1815

評価用マザーボード
ディスクリアンプの評価用にマザーボードもつくっています。これがあると便利です。
今回のマザーボードは色々な回路に対応できるようにしていますが、今回の評価では
一般的な非反転型のアンプにしています。NFB用の抵抗は750Ωと200Ωとしていますので、
トータルゲインは(750+200)/200=4.75倍になります。帰還抵抗としては低い値としていますが
これは電流帰還アンプもあわせて評価するためです。

評価につかうマザーボード

評価方法は
評価といっても音質評価ではなく、信号波形を比べてみます。本当は音質も比べたいところですが、再現性のある評価も難しい
ところがあるので、ここは物理的な評価だけにしておきます。物理的な評価といっても、所詮計れる項目は周波数特性程度です。
どれも可聴域(-20kHz)では問題ない特性で比較にならないので、ここでは高周波特性として約300kHzの矩形波をいれて、
その応答をみてみました。この帯域ではさすがに特徴がでてきます。
 安定性をだすには、位相補償用のコンデンサも必要なものがありますが、あえて無い状態から測定しています。

各アンプでの波形比較    上段:入力(ch1)、下段:出力(ch2)、テスト波形は約300kHzの矩形波
A6B

電流帰還アンプ

位相補償Cなし

波形の安定性はよい。たち下がりのところで若干暴れ有り?位相補償のCは数pFでいいので入れるべきかも。
A7

MJ回路

位相補償Cなし

ちょっとリンギングがあります。
位相補償C=22pF

この容量では逆にリンギングが大きくなってしまいました。

位相補償C=120pF

まだ少し残っています。

位相補償C=220pF

この位のCを入れる方が波形としては素直になります。
A8

BiP入力

位相補償Cなし

位相補償なしでは発振しています。

位相補償C=22pF

発振はとまりましたが、ちょっとリンギングがみえます。

位相補償C=100pF

位相補償を強くすると、周波数特性に結構響きます。
A9

FET入力

位相補償Cなし

かなりリンギングがでます。


位相補償C=2.5pF

もうすこしでリンギングがとれそうです。


位相補償C=22pF

この位の値で素直な特性になりそうです。A8と回路構成はほぼ同じですが、入力段の素子の違いが大きいです。
A10

電流帰還アンプ
(LME49600使用)

位相補償Cなし

これはなにもしなくても波形が綺麗です。

あらためて比較すると、それぞれ違って面白いですがこんな周波数(300kHzの矩形波)の再生能力なんてあまり関係ないだろうな〜。
いづれも好みの世界になってしまいそうです。
でも、すべての基板で問題なく動作して、こちらも一安心です。

これで、今回試作した基板類はすべて動作確認おわりました。
リニューアルHPAのC7が抜けてしまっていたのは、ちょっと残念でしたが、反対にそれだけで済んでラッキーというところでしょうか。
さて、忘れないうちに製作用の資料を残しておかないと・・・・・

聴き比べ!
ちょっと気になる2種類のアンプについて、ヘッドホンアンプとして使って聴き比べてみましょう。
その2つのアンプというのはA10(電流帰還+LME49600)とA7(MJ回路)です。
ちょいちょいと30分程度で追加の2枚を作成。

聴き比べ用の2つのアンプ。左がA10、右がA7

もちろんマザーボードも2ch用に部品を実装しておきます。出力にはヘッドホンを接続。

試聴の準備

(後編へつづく)