DAC1794-V(仮)は実現するのか? 2007.4.5
ことの始まり?
なにげにBBSに書き込んだ内容がこれ。
DAC1794Dについては、ちょっと茶目っ気を出してDAI込みで2パラ−モノ構成(実質は4パラ)なんかにしたら面白いかな?とは思ったりして(笑)。問題はIVに流れる電流は最大40mAになるのでOPアンプ単体ではだめで、バッファーを追加するかあるいはディスクリートにするか・・・ああ、考え出したら大変だ〜!! |
DAC1794の在庫が無くなって、再製作のご要望を頂きましたが、折角作るのならリニューアルしたい!
PCM1794は非常にコストパフォーマンスに優れたDAC-ICで、2000円ちょっとにもかかわらず、内部に24Bitの
DACが4個はいっていて差動のステレオ出力が可能だ。
音としても分解能にも優れ、さらにホットな感じがするのも特徴だとおもう。PCM1704のクールな音とは個性が違う点も面白い。
以前にリリースしたDAC1794Dはアナログ回路はすべてオペアンプを用いたもので、製作上のトラブルは少ないのだが、
自作としては面白みに欠けるところもある(オペアンプを取り替えられるというメリットはある)。
折角だから、出力段をディスクリートにすれば良いかな、とは思いつつも、ちょっとドライビングフォースがかからない。
そんななか、こんな書き込みも頂いた。
DAIがDIR9001で、DACがPCM1792Aのモノ使いの新DACの企画はどうでしょうか?#6525での書き込みの発展形で。
アナログ部はフルディスクリートでOPアンプでは厳しいPCM1792Aの電流出力でも高精度にIV変換し、 PCM1792Aの精度を損なわないようにアナログ信号にできると現行部品で製作できるフラグシップ機になるのではないかと思います。 いや単に、SOUL NOTEさんのdc1.0がすばらしい製品なので、アマチュアでどこまで近づけるかって思っただけなんですが・・。 http://www.kcsr.co.jp/soulnote/products/dc1.pdf |
なるほど。世の中にはそんな製品もあるもんだ。URLを覗いてみると、こんな製品カタログがでてきた。
シンプルな面構えですね。
で、肝心の回路はこんな宣伝がある。
もう少し綺麗な写真だと良いのですが・・・
パッシブIVを売りにしているようだが、PCM1792などの出力をパッシブ抵抗で受けてしまうと、
出力電圧が変動して歪みが発生する可能性があるんじゃないかな?
やっぱりアクティブIVにしないといけない、ともBBSで指摘があった。
比較的簡単な回路でのIVとなると、どうなるだろうか・・・・ここが肝のようです。
でも、こういった市販品があると、もうちょっと上をいくものを安く作ってみたいという気がフツフツ起こってきます。
となると、IV回路待ち(by R.さん)かな(笑&人任せモード)。
PCM1792 VS PCM1794
ちなみにPCM1794とPCM1792とは何が違うのだろう?
仕様書をみていると特徴自体は同じ内容だ。しかし、これだけの性能が石単体でるのはすばらしいものだ。
それにしてもDレンジが132dBって、どうやって計るんだろう?測定器自体のDレンジがそれより良いって事ですよね。
で、話しは元に戻って1792と1794の何が違うかといえば、ディジタル入力部がちがうようです。
アナログ出力部(PIN15〜28)はまったく同じですが、左側のディジタル入力部(Pin1〜14)が異なります。
PCM1794AとPCM1792。間違い探し?
PCM1792がPin11〜13で3線でのソフト制御を前提にしているのに対して、PCM1794がハード設定のみの違いですね。
もちろんソフト制御ができれば、色々とモード等が変更できるのは面白いのですが、マイコンが必須になる点は
すこしハードルが高くなってしまいます。シンプルに作るにはPCM1794が扱い易そうです。
でも、パターン設計するときはどちらでも使えるようにしておけば、あとあと面白いかな?
さっそくIV回路を頂きました。
そうこうしている間に、R.さんからIV回路の提案がありました(ありがとうございます)。
回路構成としてはHPA-2を少しシンプルにしたものになるようです。ということは低歪狙いでしょうか。
抵抗が14本、トランジスタが11個の構成です。
SPICEでの歪みはこんな感じ。-125dBくらいでしょうか。
かなりの高性能が期待できます。
差動合成も同じ回路構成にすればよいかな?それともプリアンプ基板のような回路にするかな?
基板サイズは意外と大きい。
IV回路だけでどのくらいの面積になりそうかを見るために部品を配置してみた。
縦長にするか横長にするかで配置は異なるが、IV回路が4個は縦に並ぶことになるので、基板としては横長の方がいいだろう。
それでも、サイズとしては58×132mmになる。そして、差動合成部とDAC部が搭載されることになるから、全体の基板サイズとしては、
200 ×150mmくらいを見込んだ方がいいだろうか。それにDAI部も追加すれば・・・・かなり大きくなる可能性あるな・・・・
やっぱり大きくなりそう。2007.4.8
ととえばPCM1794のモノ出力(2パラ)だと最大で20mAなので、Aクラス動作をさせるには終段には30mAくらいのバイアス電流が必要です。
電源電圧15Vで450mWの放熱量と結構な量。モノ2パラ(実質4パラ)だと40mA流れるのでバイアスは50mAは必要で、消費電力も0.75W。
こりゃ放熱板は確定です。ということで放熱板を載せるパターンも描いてみました。
ついでなので抵抗のサイズも500milにてして、トランジスタもTO-126パターンに変更。ますます大きくなってしまいます。
サイズとしては63×58mm!まあ、大きい方が製作するときは楽ですけどね。
部品サイズを小さくして密度を上げればやっぱり小さくはなります。
全体の回路も結構大きいな〜
しかし、上に描いたパターンがほぼ3個分必要となると結構大変かも。
アナログフィルタ部の回路も含めてR.さんからいただきました(ちょっと書き直しています)。
クリックすると大きくすると拡大します。
#この部分だけ抜き出して基板にすれば、DAC1704-4Dの改造にも使えそう。
やっぱりDCサーボいるかな?2007.4.10
回路規模が大きくなるのはよいとしても、調整が複雑だったりするのはいやなので、
出力にDCサーボは必要かもしれません。上図の回路にDCサーボ回路を入れると、
SPICEが上手く動かないので、アンプ部はOPアンプに置き換えて計算させてみました。
こんな感じになりますが、NOSDAC3とほとんど同じです。
DCサーボを付け加える。
周波数特性はこんな感じですが、もう少しローカットの周波数は高くてもよいかもしれません。
f特で言えば、3Hz〜300kHzくらいでしょうか?
そろそろアナログ回路も煮詰まってきたかな?
まだまだ修正はつづきそうです。 2007.4.14
6651 | DCサーボ | R. - 2007/04/11 22:57 - |
私も似たような構成にしようと検討してましたが、冷静に考えるとこの方式で大丈夫でしょうか?
DCサーボ側のOPアンプの出力は音声帯域では基本的にアースされているような動作になるので、差動合成がアンバランスになったりしませんか? ゲイン特性だけ見ていると正常に動作するよう見えたりしますね。 本質的な対策ではないですが、IV変換にDCサーボを掛けるのも良いかなあと思いました。 IV変換アンプの+入力を180オームでアースに接続し、出力からDCサーボ掛け、600オームくらいでIV変換アンプの+入力側にDC帰還を掛けます。 IV変換アンプの出力のスイングが楽になりそうですし、エミフォロのトランジスターの損失がPNPとNPNで揃います。 肝心のDCオフセットは差動合成部分に依存しますが、FETのペア取りすれば、無調整でも大したオフセットがでないような気がします。 |
ん・・・・IV回路にDCサーボをかけるとOPアンプが2回路分増えてしまいますね。実装できるでしょうか・・・・
6652 | re:6651 DCサーボ | TAMA - 2007/04/11 23:20 - |
どうもTAMAです R.さん はじめまして 多分 素人考えだと思うのですが 思いきって質問してしまうのですが DCサーボのOPアンプの出力電圧を 差動合成の +入力側とGNDを繋いでいる抵抗のGNDの代わりに接続したら 差動動作のバランスを保ちながら 動作センターをオフセットするという動作にできないのでしょうか? |
そうですね。シンプルに下図のようになりますね。
DCサーボ出力の接続先をすこし変更。
さらにこんな意見もいただきました。
6658 | re:6651,6652 DCサーボ | hi_kawa - 2007/04/12 15:15 - |
DCサーボのオペアンプは比較的ノイズが多く出ます。このノイズでS/Nに影響する可能性があります。
ちなみに1uFのコンデンサは250kオームの抵抗と同じ熱雑音が出ます。オペアンプのフィードバックに挿入されているので、オペアンプの出力にはその熱雑音がそのまま出てきます。 その為、オペアンプの出力にCRフィルタを挿入したほうがいいと思います。 例として、6652の形で差動合成の +入力側とGNDを繋いでいる抵抗のGNDの代わりに接続したオペアンプの出力に抵抗を入れます。 さらにその抵抗をコンデンサでGNDに落とし、オペアンプの出力に抵抗を挿入してCRフィルタを構成した方がいいと思います。その際の安定性は多少考慮したほうがいいと思いますが、多分大丈夫と思います。 |
ちょうどこんな感じですね。R6とR8の接続点にもコンデンサを入れた方がよいようですが、そうすると差動バランスが崩れてしまうので、
これは避けましょう。
周波数特性をみてみましょう。C5を少し大きめで0.1uFにするとこんな感じになります。
高域側での減衰が2段構えにあんって、ちょうど2つのハイパスフィルタを通したようになりました。
すなわちC5を追加することで、信号のローパスフィルターの回路に影響がでていることになりますね。
差動バランスが崩れるような気がするので、採用はどうしましょう。
高域のノイズを取るだけなら1000pF程度にすれば影響はすくなそうです。
C5をつけるつけないかは実装時に選択できますからパターンは残しておいてもいいかな?
C5=0.1uFのときのf特
6659 | re:6651,6652 DCサーボ続き+ | hi_kawa - 2007/04/12 16:24 - |
(中略) また、I−V変換アンプと違い、差動合成アンプは入力FETの電位が振られるので、ひずみの発生原因になる可能性があります。差動合成アンプだけでも、初段の構成をカスコード接続にして下さい。 (中略) |
どんどん回路が大きくなっていきそう(といってもコストはほとんど変わらないのですが・・・・+100円アップ?)。
ここは簡単にHPA-2の定数をそのまま持ってくればいいかな?
HPA-2の入力段
全体を書き直してこんな感じになりました。
(クリックするとPDFファイルが開きます)
SwCADV用のファイル
SPICEソフトのDLはここから。→ http://www.linear-tech.co.jp/designtools/software/switchercad.jsp
使えると便利ですよ。
電源回路はどうするか?分離しました。
アートワーク開始!。
まずは2回路分のIV回路です。
IVを2回路と差動増幅+LPFを合体。まずは部品配置を決めて、配線ができるか確認してみた。
左側に無駄なスペースが多いけど、ちょうどDAC1704-4Dの上にアドオンできるサイズにするためです。
しかし部品数多いな〜。トランジスタ37個と抵抗+ダイオードで約70個ですからね。
PCM1794を入れたときに、ASRCやDAC1794Dの基板と同じサイズに収まりきらないだろうな・・・・・・
サイズは125×94mm。DAC1704-4Dと部分的に取り付けネジピッチを合わせた。
部品番号と入出力端子の番号を入れるとだいぶそれらしくなってきました。
この段階で、回路図の部品番号をつけ直しましょう。そうしないと、配線のチェックができません。
回路図も部品番号を振り直しました。さて、配線のチェックをしていきましょう。
本当は回路図とPCBソフトが一体なら、ボタン一発で完了するとことですが、
なにぶんイレギュラーな使い方をしている面があるので、大変なところです。
部品番号を振り直し
さて、大体パターンもOKそうなので最後の仕上げにベタ塗って仕上げます。
こんな感じで完成です。
個別のパターンの様子はここにあります。
パターン全体
半田面(+シルク)パターン
部品面(+シルク)パターン
シルクパターン
この基板は差動出力のDACを受けるのに適しているのだけど、これ単体で欲しい人いるのかな?ちょっと心配。
DAC1704-4Dとは接続し易い基板の大きさにはしているのだけど・・・・・
やっぱりPCM1794も搭載したパターンの製作にかからねば!
DAC1794-3のパターン検討
基板のサイズは198×198mmの正方形を考えてみましょう。これは電源基板も同じ大きさにするつもりなので、
電源基板tとDAC基板が正方形で同一サイズだと、色々な向きで2階建てにできるからです。
問題は198mm四方に収まるかどうかですが、IV&LPFを2回路分とPCM1794、そしてCS8416DAIのパターンを適当に配置してみました。
案外余裕がありそうです。
さて192kHzまでつかえるCS8416をつかうか、あるいは96kHzまでだけど高性能DIR9001をつかうかは悩ましい選択です。
198mm四方の基板に仮配置。
PCM1794のアナログ側の配線までは完了。DAIはCS8416を想定して配線を検討中。
今日の作業はここまでかな(2007.4.22)。
#HPの容量がだんだん心細くなってきました・・・・・
部品の配置はこんなところでしょう。2007.4.28
DAI回りの部品を配置してパターンを描いてみましょう。ベタは最後の仕上げですが、
DAI周辺は比較的スペースに余裕があり配線が案外楽でした。
SN75157も実装できるようにしてみました。
ディジタル入力についてはRS422レシーバであるSN75157もつかえるようにしてみました。
でも、あまり見かけないICなので、スルーできるようにパターンは工夫しています。
といっても、シルクを描かないと何がなんだかわからないですね。
SN57157もつかえるようにしたパターン。
SN75157の特徴をデータシートから転記してみました。
5V単一で2回路入りというのが使いやすそうです。
DIGI-KEYで@227円ですね。高いのか安いのか・・・・
74HCU04が@30円くらいだということを考えると・・・・複雑。
とりあえず完成形!
まだパターンチェックや、線の引き回しの修正などが残っているけど、こんな感じになりそうです。
大きく変わることはないでしょう。
(クリックすると大きくなります)。
しばらくしてこんなコメントをいただきました。なるほど、DAIのアナログ部は重要ですね。パターンを修正しましょう。
といってもすでに手を入れるところが難しいところもあるので、すべてに対応できるわけではない点がつらいところです。
|
電源基板も完成しようやく全体像がみえてきました!
まだこまかいチェックは十分ではないですが、全体パターンができてきました。
DAC1794-III 本体 | DAC1794-III 電源部 |
全体 部品面 半田面 シルク |
1794-P4-all(全体) 4/30更新 |
更新記録 2007.4.29 1794-3B | 更新記録 2007.4.29 1794-p4 更新記録 2007.4.29 1794-p4 基板が大きいので、保持のためのネジ穴をDAC基板と同じ位置に追加 |
更新記録 2007.4.30 1794-3C ・シャーシアース用のランド追加 ・同軸入力のガードアース追加 ・PCM1794のGND接続変更 ・PLLフィルターのアーススリット幅変更 全体(4/30更新) 半田面(4/30更新) |
はやければ連休明けに試作に出せるでしょう。
しかし、部品点数多いな〜。DAC8D(PCM61P版)と同じサイズの基板だけど、こちらの方がかなり複雑!
ほんとうに動くのか心配になってきました(笑)。
ついで?
Non-NFBタイプの電源部を抜き出して電源基板のアートワークを描いてみました(左側)。
右側はディスクリmini電源基板でOPアンプをつかったNFB有りのものです。
どちらも同じサイズ、同じネジピッチですので置き換えが可能です。
電圧の安定性からいえば、圧倒的にディスクリmini電源基板のほうがよいのですが、
Non-NFBタイプも低ノイズに特徴があり、それぞれキャラがまったくちがいます。
どちらがよいとかではなく、適材適所が重要ですね。
部品点数のすくなさでいえばNON-NFBタイプに軍配があがります。
NON-NFBタイプの電源基板 NFB有りのディスクリmini電源基板
|
というご指摘の元、じゃっかん修正しました。
なんとなく部品面パターン(赤)がタコのように見えるのは気のせい?(
DAC基板についても修正しました。修正パターンはちょっと上にありますが、ここにもコピペ。
いろいろみていたら、コンデンサの極性(+)シルク間違いなどがいろいろありました。
DAC本体 | 電源基板 |
更新記録 2007.4.30 1794-3C ・シャーシアース用のランド追加 ・同軸入力のガードアース追加 ・PCM1794のGND接続変更 ・PLLフィルターのアーススリット幅変更 全体(4/30更新) 部品面(4/30更新) |
更新記録 2007.4.29 1794-p4 基板が大きいので、保持のためのネジ穴をDAC基板と同じ位置に追加 1794-P4-all(全体) 4/30更新 |
最終版!2007.5.2
いろいろとリクエストがありました。
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上のコメントだけみるとよくわからないと思いますが、CS8416を外部クロックで動かしてWORD CLOCKを外に取り出そうというものです。外部クロックの効果はよくわからないところがありますが、これについてはmaさんにレポートをお願いしましょう。
パターンの変更は結構面倒でしたが、こんな感じになりました。
これが恐らく最終版です。何回見直しても間違うところは間違うし、踏ん切りが大切です。
DAC1794-III本体 | DAC1794-III用電源 |
基板サイズ 198.1×198.1mm |
基板サイズ 198.1×198.1mm |
1794-3D-all.pdf(全体) 1794-3D-top.pdf (部品面) 1794-3D-bot.pdf (半田面) 1794-3D-silk.pdf (シルク) |
1794-P5-all.pdf(全体) 1794-P5-top.pdf (部品面) 1794-P5-bot.pdf (半田面) 1794-P5-silk.pdf (シルク) |
これがおそらく最終版!
(つづく)