復刻版(?)とその仲間かな?2006.6.26
今回リクエストがあったDAC1704-4Dを再度作ることにしました。「復刻版!」とどこかに書いたような気もしますが、
復刻の意味は「書物などの以前に出版したものを新しく版を作り直し、もとのとおりに刊行すること」とあります。
ということで、既にDAC1704-4Dについては「版」があり同じものを作るだけなので、復刻版ではなく単純な再製作ですね。
失礼しました。
今回は主に再製作が主体ですが、基板の面付けにも余裕があるので、その他の物も作ることにしました。
基板はすでに発注済みですが、銅箔厚さは70umオプションを選択しています。
1.DAC1704-4D(再製作。DAIはちょっと変更)
さて、DAC1704-4Dですが、DAIだけのリクエストもありましたので今回はDAIだけは少し多目に作ることにしました。
さらにDAIも出力ビット数を変更してDAC63-4Sとの接続をし易くしたり、一部汎用性を持たせるために少しパターンを変更しました。
といっても、回路上はDAC1704-4Dのマニュアルにのせているものと全く同じです。
さて、パターンはこんな感じです。主な変更はDF回りと出力コネクタ回りです。
画像をクリックすれば詳細図(PDF)に変わります。
2.DAC63−4S、HPA−SLIM(再製作)
これは単純な再製作です。パターン変更はありません。
3.DAC1704-4D用DAIのリクロックアダプタ(新規)
これはDAIに子亀方式でのせられるようにネジとコネクタの位置を合わせました。
すでにDAC1704-4Dをお持ちの方も、案外簡単に取り付けられるかもしれません。
ちなみに再製作するDAIにはこのリクロックアダプタの固定がし易いように取り付け孔を1つ増やしました。
画像をクリックすれば詳細図(PDF)に変わります。
3.DAC1794D-woDAI(新規)
woはwithoutの意味で、DAC1794D-NからDAIを省きました。その代わりリクロック回路を同居させています。
基板サイズは余分が有りますが、ASRCと同一サイズにしています。すなわちASRCをDAI代わりに使って、
192kHzで動作させてやろうという試みです。さて、上手くいくでしょうか・・・・・
画像をクリックすれば詳細図(PDF)に変わります。
3.ディスクリ電源基板MINIの正出力だけ(新規)
見ての通りです。ちょっと手抜きです(汗)。
まずはDAC1704-4D DAIのチェック 2006.7.8
さて基板も到着。DAC1704-4DのDAIは回路的な変更はありませんが結構パターンをいじったので、
動作確認をしてみました。たぶんしなくても大丈夫ですが、不安なままリリースするわけにはいきません。
確認のための部品は出来るだけ他の基板から流用しました。とくに高価なDF1704(@2000円くらい)は
実験用にあるDAIからひっぺがしました。その他、レギュレータやコンデンサなども使えるものはひっぺがしました。
まずはこれらの基板からチェックしてみましょう。DAIとリクロックアダプタです。
部品を取り外すので面倒なのがSSOPです。
取りはずしにはまずICにたっぷり半田をつけて、すべてのPinがブリッジするようにします。
そして2本の半田ゴテをつかって、左右の半田を溶かして外してやります。
結構半田を盛りますので、ICが熱でやられるかもしれません。
再利用に不安を感じる人はやめておいたほうがいいかもしれません。
外した部品のPinからは半田を綺麗に除去してアルコールで拭いてやれば再生完了です。
テンコ盛りの半田。ここで半田をケチるとはずれにくくなる。
はずれた直後の様子。汚いですね〜。
外したICを新しい基板に取り付け。この写真はルーペ越しにディジカメでとってみました。
さて、結構部品を流用して新しいDAI基板が完成しました。
完成!外見は従来とかわりません。
DAC1704-4Dに接続して動作確認!
久しぶりにDAC1704-4Dの中を開けました。こんな感じだったんですね。
レジストグリーンが今のものよりすこし薄いのでちょっと雰囲気が違います。
DAC1704-4Dの中味。
新しいDAIはプラ板の上に置いて、絶縁を確保します。そしてDAIと10Pのフラットケーブルで接続して動作確認。
まずは問題なく動きました。ホッと一安心です。ここで動かなかったらシャレになりません。
新しいDAIをDACに接続して動作確認の様子です。
つぎはリクロックアダプタをつくってみよう
これは比較的部品点数が少ないので作るのは簡単です。
クリスタルは鈴商(秋葉原)で80MHzのものを買いました。
これは400円だったかな?違う店で買おうと思ったら、倍ほどしたので、出戻って買いました。
リクロックアダプタが完成。この基板で8ラインをリクロックできるので汎用的に使えると思います。
DAIにリクロックアダプタを差し込んで(2階建て構造)、アダプタ基板からDACに接続します。
ケーブルが短いので、ちょっと確認の様子が窮屈です。まあ、こちらも動作を確認できました。
リクロックアダプタの取り付けと動作確認の様子
DAIとリクロックアダプタは10Pのコネクタで結んでいます。ただ、それだけだと強度的に心配なので、
スペーサ(15mm長さ)を取り付けました。3カ所に取り付けると十分な強度が得られそうです。
本当は4カ所で固定できるといいのですが、DAI側にネジ穴のスペースが1カ所分とれませんでした。
DAIとリクロックアダプタの接続
とりあえずここまでチェックができたので、かなり安心できました。次はDAC1794D-woDAIが控えています。
DAC1794D-woDAIをつくってみよう。
この基板はサイズおよびネジピッチはASRCと同じです。
というのも基板を2階建てにして、ASRCをDAI代わりにつかってやろうと企てています。
またASRCをつかうことで192kHzまで内部サンプリングを上げてやる目的もあります。
勿論24Bit右詰フォーマットであれば、その他のDAIも接続可能です(システムクロックの供給も必要です)。
まあ、本当に動くかどうかはとりあえずつくってみましょう。
DAC1794D-woDAI基板
このDACの心臓部のPCM1794です。SSOPパッケージなのですが、慣れると半田付けもさほど難しくはありません。
ポイントは仕上がりをルーペで十分に観察することです。ルーペがなくても最近のディジカメならマクロで撮って、
半田の状態を確認するのもいいかもしれません。
半田付けのチェックは入念に!これが成功のための王道です。
さて、部品自体もさほど多いものではありませんので、比較的短時間に仕上がりました。
安い部品ばかりを用いています。「OSコンあるじゃない!」といわれそうですが、これは現品.comで以前に安くかったものです。
さらの電コンなんかは貰い物だったりします(笑)。
一番高いのはPCM1794ですね。これが約2500円(送料+消費税含まず)で2個つかいます。
#あ、基板が一番高いかも・・・・・(汗)。
オペアンプは最近もっと多くつかうOPA134です。最近DIGIKEYで買えないので困っています。
DAC1794D-woDAIの完成!
動作確認!
接続はASRCから10Pフラットケーブル1本のみですので簡単です。
5Vのディジタル電源はASRCからフラットケーブルを通じて供給をうけています。
さらに横着してPCM1794のアナログ電源(5V)もディジタル電源からジャンパーで接続しています。
本来は別電源にすべきですが、動作確認だけですからいいでしょう。
アナログ電源は正負15Vの電源が必要ですが、実検用のスイッチング電源を接続しました。
電源だけみれば貧弱の固まりです(笑)。
動作確認の実験の様子
しまった!
このDAC1794D-woDAI基板にはリクロック回路が付いています。クリスタルも取り付ける訳ですが、
80MHzのものを直接半田付けしてしまいました。96kHzまでは80MHzで大丈夫ということは確認していて、
丸ピンのICソケットが無かったのでうっかり直付けです。考えてみればASRCで192kHzまで行くんだ〜〜。
どうしよう・・・・と言っても外すのはかなり面倒なので、動かなかったらそのとき考えましょう。
で、いざ動かしてみると192kHzでも大丈夫でした。
直付けしてしまったクリスタル。
44.1kHz〜192kHzまでOK!
PCM1794はシステムクロックを供給しますが、クロック周波数が128fsから768fsまで自動追従します。
ASRCでは96kHz以下は256fs、それを越える場合は128fsに設定していますが、この自動追従のおかげでとくにジャンパーの変更も不要で
44.1〜192kHzまでスムーズに動作しました。
肝心の音質は?
動作そのものはオシロで確認できますが、実際の音質は聞いてみないとわかりません。
とくに微小なノイズはヘッドホンでないと判らないので、ヘッドホンアンプにつないでみましょう。
電源は上述のように、5VはASRCがら借用しています。またアナログ電源はスイッチング電源です。
まず一番気になったノイズですが、これはクリヤです。ボリューム最大でもノイズは聞こえません。
さて、音を出してみると・・・・電源がショボイわりには、最初からいきなりがんがんきます。
PCM1794ってこういう音だったんだというのを再認識します。
音が細身ではなく、空間の広がりもあり、ホットな音です。これで電源を変えたらどうなるだろう・・・ワクワクしてきました。
サンプル周波数の変化も高い周波数の方が、音の広がり、ツヤがでるような気がします。
とくに最初に44.1kHzから96kHzに変えたときは、いきなり空間の広がりがフワっと増したような感です。
そして192kHzに変更すると、空間の広がりは変わらないんだけど、なにがし音のツヤが増した感じです。
まあ、半分(ほとんど?)気のせいかもしれませんが(笑)。
自分自身の耳があてにならないのは、自分自身が一番知っています(爆)。
ヘッドホンで音を確認するためアンプに接続!
最後は電源基板。
今回新規につくった基板群での最後のチェックは電源基板です。
これはディスクリ電源MINIの正出力のみを取り出したものです。
問題は無いはずですが、DAC1794D用の電源として5V仕様で組み立てて、動作確認しました。
DAC1794D-woDAIを形にしょう。2006.7.16
まずは構成を考えます。
DAC:ASRC+DAC1794D-woDAI
電源トランス:RA40×1個
電源基板:完全ディスクリート正負電源(アナログ用)
ディスクリート基板MINI-PLUS(DAC用)
バッファーアンプ(ヘッドホンアンプ兼用):プリアンプ基板 + MUTE回路着き
こんな感じでしょう。結構実装密度は上がりそうです。
構成が決まればケース内のレイアウト決めです。方眼紙に書いたものは、まだ見ぬプリアンプ基板です。
レイアウト検討
レイアウトが決まれば、さっそく穴開けです。φ3.5mmの穴はウルトラ武蔵ドリルを使いたかったけど、
まだ届いていません。いつもの普通のドリルで穴を開けますがバリが凄いです。早くこないかな〜。
しかし、この季節(夏)の穴開けは勿論外(ガレージにボール盤をおいている)ですが、蚊が多いこと。
虫除けスプレーをかけていますが、最近の蚊はおかまいなしに攻撃してきます。
結局5カ所くらい刺されたでしょうか。その代わり5匹は撃墜しましたが・・・・・
穴開け完了!
穴開けが完了したら、切削油がついているので洗面所でマジックリンを使ってよく油を落とします。
そして、アルコールでさらに脱脂してインレタを張り付けます。このインレタ作業は結構手間です。
インレタすると雰囲気がでてきます。
さて、インレタができたらパネル面に部品を取り付けていきましょう。ここからは楽しい作業です。
表パネル:大きいツマミで周波数と入力の切り替え 後パネル:入力4系統、あれ上下逆さま!
あとは、基板の取り付けスペーサをつけて、とりあえず生基板をのせてレイアウトの再確認です。
ふう、ここまでできました。
基板の作成!
今回の製作で新たに実装する基板はASRC、電源基板2枚、MUTE基板です。プリアンプ基板はもう少し先でしょう。
さて、ぼちぼち製作にかかりましょう。
しかし、この完全ディスクリート電源って部品多いですね。LM317や3端子レギュレータをつかった電源にすぐに日和見しそうです。
高電圧・大電流を考えるとこれが適しているのですが、15Vくらいならディスクリ電源の方が作るの楽だった・・・・・
まずは電源完成。結構疲れました。
次はASRCの番です。これはICの数は多いけど、CRの種類や数が少ないのでパーツ箱から探す手間があまりかかりません。
そういう点では作るのは比較的楽な部類です。ASRCはDACの下側になるので高さ制限(30mm)があります。
コンデンサは高さ25mmのものをつかいました。手持ちでは50V/1000uFのものです、すこし容量は小さめですが十分でしょう。
ASRCも完成。試作から数えると一体何枚目のASRCだろう?
ケースに組み込み!
さて、メインの基板類の製作も終わったことなので、さっそくケースに組み込んで行きましょう。
まずは一階部分から組み立てていきます。まずは、電源とASRCですね。あと、2階部分(DAC)を入れると
入出力の配線がしにくくなるので、この時点でやってしまいましょう!
電源部のチェック!あ、トラブル発生・・・・・・
電源部の配線が済んだところで、一度通電して電圧を確認してみます。多分大丈夫だろうけど、
DACをつなぐ前に一応はやっておきましょう。
ASRC:3.3V,5Vがでてますね。大丈夫です。
電源MINI-PLUS:5VもOKです。
完全ディスクリ電源:ぎゃー、-22Vと18Vだ〜!VRを回しても変わらない!!!!!
トラブル発生です。でもDACをつなぐ前でよかったです(とポジティブシンキング)。
VRを回しても変わらないということなので、とりあえずVR回りの半田付けをチェック!
ん・・・大丈夫そうだ!
次はトランジスタの向きと型番のチェックです。おおお、発見しました。
Q12a,bの2SC1815/A1015がお互い逆になっていました。
部品の引き抜きは足を切って、取り外します。@3円なので、再利用は考えません(というか壊れている可能性が高い)。
で、再度通電。正電源側はVRを回すと電源が変わってくれます。まずは15Vにセットしておき、正側が問題解決。
次は、負電源です。あれ、症状変わらない・・・・-22Vのままだ〜
トラブル続きます。どうやらQ12を間違って取り付けたことで、他のトランジスタも壊れたみたいです。
電源基板はTRが多いので、すべて交換するのはかなり面倒です。そのため、どれが壊れているかを探さねばなりません。
でも、案外探すのは簡単です。Vbe電圧を一通り調べていきます。Vbeは大体0.5〜0.7Vくらいのはずなので、
それより大きくはずれているものは壊れていると判断できます。ということで、探してみると、2つほど1V以上のものと、
0.4Vくらいのものがありました。Q9,10です。ここまで被害が飛んでいたとは・・・。なぜ壊れたかはとりあえず置いといて、
トランジスタを交換しましょう。
ブチブチ!←足を切る音
安いトランジスタで助かりました(考えれば小学4、5年のときに初めてトランジスタを寺町に買いに行ったとき、
2SC372が1個300円もしたんだよね・・・・。うう、感慨深い)。
トランジスタを交換して、電源再投入!無事VRで電圧が変わるようになりました。負側も−15Vに設定して電源部も調整完了です。
次はDAC1794Dをのせましょう。
ASRCの上側にDAC基板がのっかります。
30mmのスペーサで浮かせますが、この高さでDACのコンデンサとケースの上蓋まのでクリアランスは約3mmです。
DAC基板は子亀。
VRの取り付け基板
今回のDACはヘッドホン出力と可変出力(RCA)を取り付けるので、ボリュームもとりつけます。
使用するのはアルプスのミニデテントです。この端子は、プリント基板用なので、端子に配線をするのは意外と難しいんですよね。
変換基板は便利そうだと写真館のコメントに書いたらMatthewさんから、送ってきてくれました(From
Hong Kongです)。
どうもありがとうございます。このままだと少し大きいので、片側を切ってつかうことにしました。
配線はすすむよ、でもごちゃごちゃ
さて、基板間の配線等を進めていきますが、だんだんごちゃごちゃになってきました。
とりあえず、このまま進めて最後に配線を束ねる作業を行います。
組み立て途中は結構な配線樹海になります。
ようやく完成!
配線を束ねてようやく完成です。またプリアンプ基板が届いていないので、ヘッドホンアンプはまだ取り付いていません。
しかし配線はすぐにできるように、準備だけはしてあります。
完成だ!名付けて「DAC1794D&ASRC」
ボリューム回りはこんな感じ。ボリュームの下にヘッドホンのジャックがあります。
ふう、疲れた!
3連休の終わりにちょうど1作品できました。ちょうどよいので、7/29のオフミにもっていきましょう。
これから散らかった机の上を片づけて、しばし眺めて悦にはいることにしましょう。
あ、まだ音がでるかどうか確認してないや・・・・・
さっそく試聴 2006.7.18
今日は飲み会。さすがに週はじめなので早めに散会になったが、それでも帰宅は11:00時すぎ。
ふう、疲れた・・・・。ここで疲れを癒すべくDAC1794D&ASRCを結線し通電。
やっぱり、製作したての機器から心地よい音が聞こえてくると嬉しくなります。
で、サンプル周波数を32〜192kHzに変えて音色の変化を楽しみます・・・・と言ってもよくわかりませんが、
32kHzはあまりよくないことは判ります。かといって192kHzまで上げると、ちょっと合わない感じ(酔っぱらっているので
細かいところが判らないのですが・・・・)。今日は96kHzが音の広がりもあり、一番バランスがよいみたいです。
でも、ほんと気分的な問題だけです。言い換えればオカルト(笑)。
サンプル周波数の違いが聞き取れるほと自分の耳がよくないことは自分がよくしっていますが、
自分がよいと思う(信じる)音に酔いしれるというのも、個人で楽しめるオーディオのよい所ですね。
空いたスペースにヘッドホン兼バッファーアンプ基板をのせた様子はこちらになります。 2006.7.30
(おしまい)