DAC1794−Vは実現するか?(後編)2007.5.15

基板到着!

いやいや、やっぱり200mm四方の基板はデカイです。
70umで金メッキフラッシュでつくりました。半田メッキとはちがって、ちょっとしっくりした雰囲気です。
さて、いつになったら作れるかな?

 
電源基板です                                       本体基板です。


IV+差動合成基板です。

ぼちぼち組み立てていきましょう。
2007.5.17

まずは電源基板から組み立てていきましょう。というか、本体を試験するにも電源がないといけないので、電源から作ることに必然性があります。
最初はアナログ電源からです。これはNON-FBタイプのものです。
 
 ダイオードを取り付け。600V2Aの秋月のもの。                   放熱板を取り付ける前にパターンと触れないようにテープを貼る。

 
 パワトラの取り付け。                                  電コンを植え付け。1000uF/50VのLXZで@20円なり。

簡単なところほど・・・・

間違えるのですよね。電源基板のチェックは甘い、というよりほとんどしていなかったので間違いありました。
半田付けしながら、違和感を感じてたどったらTRのB,Eの接続が反対でした。ということで、修正!


 このくらいの修正なら簡単。

そしてチェック
トランスをつないでチェック。こんな回路でも通電時はびくびくするものです。
まずは電源ONして、トランスから異音無しを確認。そしてトランジスタも発熱ないことを確認して、
出力電圧を測定。無事出力がでているようです。

電源部単体でのテスト。

負荷をつないでみよう。アチャ!!!!

電圧を測るときに適当な負荷として200Ωの抵抗を差込ました。
そして電源ON! バチバチ!
なんで〜(汗)。よく見れば(よく見なくても)、抵抗のリード線が基板の裏でショートしています。
これで、ダーリントンの初段のTRが飛びました。パワトラが飛ばなかったのは幸いです。
おかげでTR(2SC1815/A1015)の交換を余儀なくされました。
でも、交換したら無事動き出しました(ホッ)。

こんな差し方は御法度!

電圧測定

用いたツエナーは公称値17.2Vのものです。正負の出力はこんな感じです。

電圧測定結果

ツエナー電圧
(実測)
無負荷時電圧 負荷(200Ω)有り ツエナー電流 1次電圧
(無負荷時)
正側 17.53V 17.03V 16.24V 1.4mA 24.0V
負側 -17.65V -17.10V 16.33V 1.1mA 23.9V


ツエナーダイオードに流す電流は1.1、1.4mAと少な目ですが、ドライブTRがダーリントン接続なので余裕有るでしょう。
もう少し電流を流したいときは、FETのGS間の抵抗を200→100Ωくらいにすれば、2〜3mAは流れるでしょう。

今日はここまでにしましょう。明日も、また上京だ!!!!!

作業再開 2007.5.18

この週末は合宿がある(ほんとなにやってるの?)ので、時間がすこしあるときにでも、
半田ゴテを握っておこうと思う。目標は電源部分の完成だ。
残りの電源部分であるディジタル用とDAC用を一気につくろう。
あ、MUTE回路も作っておかないと、後で鏝がはいりにくい。
バグも発見した。やっぱり簡単なところほど間違うようだ。
電源の確認は、トランスをつないで電圧を確認するだけだが、どんな小さい回路でも緊張はしてしまう。
スイッチON!電圧も正常だ。無事、電源回路は完成である。


電源基板が完成!

 
またまたミスも発見!                       動作はOK!

つぎは、メインのDAC本体


これの組み立ては上流側からおこなっていこう。すなわち
DAI→DAC→IV→差動アンプである。
上流側から信号を確認して進めていけば、作業も確実に進むだろう。

まずはDAIの組み立て。

この部分は回路図的には実績のあるものなので、とくに心配はしていないが
パターンミスは気になるところ。それにSN75157をつかうのもはじめてだ。
今回SN85157はシングルエンド(片側はGND)でつかうので、コールド側はGNDに接続する
ジャンパーをいれておく。もっとも差動ケーブルなんてつかうことは、ないだろうからこの手のパターンは必要ない。
でも将来は気が変わって差動接続派になるかもしれない(笑)のでとりあえず入れてある。
またSN75157は初めてということもあるが、あとあとのことを考えてICソケットをつかっておこう。
DAI部分は使う抵抗の本数は多いが、種類は少ないのでパーツ箱から探してくるのは楽だ。
とくに47kΩをたくさん使うが、そろそろこの値がすくなくなってきた。また買っておこう。
  
SN75157周辺。シングルエンドで使うのでジャンパーを挿入             CS8416周辺。47kHzの抵抗を沢山使う。

今日も遅いので、動作確認はまた日を改めて行うことにしましょう。


#合宿終了。もう声でませ〜ん・・・・・・

DAIの動作確認。 2007.5.20

疲れた体にむち打って、作業再開です。まずはDAIの動作確認から。
動作確認は、同軸信号をch.3につないでCS8416から所定の信号が出ているかどうかで確認します。
とくにLRCKがでていれば一安心です。
なおディジタル系のチェックのための同軸入力はPCのUSB出力から同軸に変換するアダプターをつかったものをつかっています。
これはEletctrartさんのところから購入したもので、DACの調整などの必需品です。
というのもWaveGeneratorソフトと組み合わせて、いろいろな信号を発生させることができるので便利です。

 
USB-SPDIF変換器                        中味はこんな感じ。

さて、とりあえず入力し動作を確認してみよう。無事、LRCK信号がでていているようで安心ですが、
ん?なんな信号が安定しません。ちょっと焦ってきます。
    
テストの様子。まずはDAIのみ。                LRCK信号。なぜか信号がオシロにSYNCしない?

原因を調べるためにPLLフィルタ電圧を観測していみると、やはりフィルター電圧が安定していません。
こういうときは、だいたいフィルター定数を間違えているときが多いのですが、再度確認してみたらPLLフィルタにつかう
2つのコンデンサが入れ違っていました。
 
PLLの電圧信号が不安定。ここですね。

再度、確認!

PLLのコンデンサを付け替えて、再度確認です。今度は無事動作しました。
  
LRCK信号(48kHz)                          BCK信号                          SCK信号

つぎはDAC部の組み立て。

今度はSSOPであるPCM1794が相手です。といっても、さほど難しいわけではないのですが、一気に4個つけるのはやはり結構大変かも。
ところで、最近DIGIKEYでPCM1794Aを買うとカットリール品になっています。


カットリールに入ったPCM1794A.

PCM1794AなどのSSOPパッケージの半田付けにはこれは必需品です。そう、フラクスです。
私はHOZANの液体フラクスを愛用しています。先が筆状になっているので、塗りやすいです。
フラクスはケチらずにたっぷりつけてやります。

これがないとSSOPは半田付けできません。

でも、フラクスを塗ると仕上がりが汚くなります。でも、気にしない気にしない。
あとで、綿棒等の先にアルコールを含ませて、シコシコと拭いてやれば綺麗になります。
 
フラクスが残った状態は汚い。                半田付けのあとはアルコールで洗浄。

SSOPの半田付けで重要なことは、その後の確認です。ルーペ等で2度3度といわず10回くらい確認します。
動かない場合のほとんどの原因はSSOPの半田付け不良です。ルーペも虫眼鏡ではなく、写真の確認用などの
高倍率の物が小さくて使いやすいです。ディジカメを通しても撮影ができます。


ルーペで確認(半田づけ前の様子)。

PCM1794の半田付けが終われば、チップコンデンサや電解コンデンサを取り付けておきます。
DACの周辺はOSコンをつかってみました。容量はマニュアルには電源は10uF、制御用には47uFとありましたが、
面倒なのですべて68uFにしました(というか、その容量しかなかった)。

青いコンデンサはOSコン。

PCM1794の動作確認!

PCM1794は電流出力なのて、適当な抵抗を出力に負荷として与えておく必要があります。
このDAC1794では実質4パラ構成になるので40mA近くの電流が流れるから抵抗値は11Ωにしました。
単にこの抵抗値がほとんどつかっていないので、ちょっと活躍してもらうことにしました。

 
IV用の抵抗をとりつけた様子。                             オシロのプローブを接続

無事に信号がでていることが確認できました。振幅はPP値で340mVです。
PCM1794Aでの電流値は7.8mAですから4パラで約31mA。11Ωの抵抗を入れて340mVですからピッタシです。
これが、違うようだとどこか配線にミスがることになります。
 
差動出力の様子。                       PP値は340mVくらいです。


次はアナログ回路だ!

事、信号が確認できました。ここまでできれば、作業の30%くらいは終わったでしょうか。
さて、この後は大量の部品(?)が必要なアナログ部になります。
一番面倒なのは数が多い抵抗値ですが、意外と種類が少ないので基板に差し込む作業は早くおわりました。
一気にすべての抵抗値を基板に差し込みます。、


抵抗の差込終了!

しかし、抵抗を一気に差し込むと基板の裏は剣山のようになってしまいます。もはや半田ゴテははりません。
いつものことですが、部品面から半田付けをしていきます。人によっては部品への熱ストレスが大きいので、
嫌がる方もおられますが、こっちの方が作業が早いので、いつも愛用しています。

基板の裏側は樹海です。

を!ミス発見。
抵抗を挿していてミスを発見しました。なんとR39の片側がGNDになっています。どうやったらこんな間違えするのだろう?
サーマルランドになっていますが、これを切り離すのは大変なので、半田面のパターンを一本切断して対応しました。
 
 アリャ、ミス発見。                    R39のどちらの端もGNDにつながっていないのだが・・・・・

さて、抵抗も取り付け終わったので次は小物類(VR、フィルムコンデンサ)をつけていきます。
とくにカラフルなコンデンサがついてくると、雰囲気がでてきます。

コンデンサはカラフルだ!

そして次はトランジスタの取り付け。とくにNPNとPNPならびに向きは間違えないように気をつけます。
今回は2SC1815/A1015をつかいました。秋月で200個600円で買ったものですが、こういったDACを作り出すと
アットいう間に在庫が少なくなってきました。そろそろ追加で購入するかな?

トランジスタの取り付け完了!

最後に、電解コンデンサ等を取り付けて完了です。終段のトランジスタが見えますが、
2SC3421/A1358をつかいました。IC=1AでPc=10Wのものです。

部品の取り付け完了

全体の動作確認!
動作確認は日を改めて行おうとおもいましたが、ここまで来たらちょっと突っ走ってしまいます。
電源を接続し、オシロのプローブをIV変換アンプの出力点の所に接続します。
電源ON!このときは、緊張が最高潮です。
オシロに無事、信号が表れたときはホッと一安心です。
今回の試作ではIV抵抗は120Ωをつかいました。出力電圧は計算上は3.74Vです。
オシロの画面からも3.8Vくらいになっていますから、問題なく動作しているようです。
 
IV出力段のチェックの様子。                    IV出力の出力電圧(約3.8Vpp)

差動出力後の出力もこの通り。LRとも問題なく信号がでています。
ほぼ2Vrmsの出力になるように回路定数を設定しました。
 
  LR信号の出力も確認。

ふう!ここまでくれば一安心かな。
こまかいチェックは色々ありますが、ケースに収めることも考えていきましょう。
電源とDAC基板の2階建て構成ですが、あまり高さもないので愛用のタカチのケース(ケース内高さ60mm)にも
おさまりそうです(というか、収まるように設計している)。
でも、ケースに収まるのはいつになるかな?
でもその前に、バラックの段階でも音だししてみましょう。

2段重ねのようす。もう少し上下間のスペースをあけるかな?


DACの全景。大きめに撮影すると綺麗に映りますね(ファイル容量が・・・・)。

まだまだ続きます・・・・


ちょっとだけ試聴! 2007.5.21

折角なので、ヘッドホンアンプに接続してちょっとだけ試聴!
慣らしも兼ねて昨日からずっと通電していました。終段のトランジスタは暖かい状態ですが、熱いというところまではいかないようです。
いつものお気にいりのピアノのJAZZナンバーをかけました。
「なんて低音が出るDACだろう」これが第一印象です。
でも、完成したときの喜びもあり、あまりあてにはなりませんが、人間ですから第一印象はあとあと尾を引きそうです。
しばらく音楽を楽しみましょう。


課題もでてきました!(ちょっとシリアス)

1.電源をOFFしたあとにすぐにONすると上手く立ち上がらない。
電源を落として、すぐにONすると上手く立ち上がりません。どういう現象になるかというと音が小さくなってしまいます。
波形を見ていると、振幅が小さくなって少し歪んでもいます。
またPCM1794の出力電位は通常は0Vですが大きな値を示しています。
どうやらやPCM1794が上手く立ち上がらないようです。原因は2つあると思われます。思います。

1つは実は思い当たる節があって、DAC基板の電源シルクを間違えて、一度PCM1794のアナログ部の電源を
正負逆につないでしまいました。このときに、内部の電源回路が損傷したのかもしれません。

2つ目は、PCM1794はディジタルとアナログ部を分離電源にしていますが、アナログ電源の方が電源OFF時になかなか電圧が
落ちません。ということは、アナログ部分の電位が高い状態で、ディジタル部が立ち上がると上手く立ち上がらないのでは?
という懸念です。

とくに2つ目を検証するために、コンデンサのチャージを早く抜くために抵抗値をパラってみました。
こうすることにより症状は改善しましたが、完全というわけにはいきません。


アナログ電源に200Ωの抵抗をつないでチャージを抜く。

さらに、電源を切ったあとに電源端子をショートして電荷を完全に抜いてやれば問題なく立ち上がります。

原因は1つ目か、2つ目か、あるいは両方か難しいな〜。
対処としてはリレーを取り付けて、電源OFF時にチャージがすぐに抜けるようにすれば良いのでしょう。
でもPCM1794が損傷している可能性も高いので、もう一度試作は入りそうです。
試作を行うとすれば、下記の問題もあるので再度基板パターンの作成が必要です。

2.ボリュームを最大にするとヒスノイズが聞こえる。

ヘッドホンならではの現象かもしれませんが、ボリューム最大時にかすかにヒスノイズが聞こえます。
ハムならアースの取り方等で対処できる可能性がありますが、ヒスは固有のノイズの場合もあるので少し対処が面倒そうです。
最初はIVや差動アンプから出ているのではと思いました。もしそうなら絶望的です。でも、すぐに違うということがわかりました。
PCM1794のリセットをかけてやるとヒスノイズはぴたりと消えます。ということはヒスノイズはPCM1794から出ていることになります。
これもまた変です。というのは、DAC1794woDAIなどでは全く問題なかったからです。
ん?違うところは・・・・・PCM1794がパラだ。
違うところはそこだけです。物は試しに、パラ接続を切断してモノラルモードの単一使用としてみました。


PCM1794の2パラを解除!

すると、いままで出ていたヒスノイズはぴたりと消えました。なるほど、PCM1794はパラ接続しちゃだめんなんだ!
僅かなヒス(たぶんスピーカだと聞こえない)を許容すれば、パラ化も面白いかもしれませんが、やはりHiFiを狙う限り
S/Nは重要です。
 なぜパラにしたらヒスが出たかを考える必要がありますが、PCM1794はマルチビットではなくデルタシグマなので、出力はスイッチング
しています。完全に2つのPCM1794が同期していれば問題無いのでしょうが、リセットのかかるタイミングが内部の基準電圧のばらつきで
異なる可能性があります。そうすれば、2つのPCM1794からバラバラで出力がでるので、それらの和を取ることで、混変調歪みが生じて、
可聴音としてのヒスが聞こえたのかもしれません。

パラ化を取りたいところですが、やはりボリュームを最大にしても無音が望ましいのは言うまでもありません。
やはり、PCM1794はシングル(でも2つは必要)にしたほうが良さそうです。
構成的にはDAC1794woDAIのフルディスクリート版になりそうです。

でも、PCM1794の使用個数が少ない分、お財布には優しいかな?

でも、ちょっとショックだな〜(高い勉強代)! 今日は早く寝よ。


ヒスノイズ対策 2007.5.22

折角ここまで来たのにPCM1794をパラにできないのもシャクに触るので、少し対策を考えてみました。
タイミングの異なる2つのPCM1794が接続された場合の混変調が原因と想定していますが、
PCM1794の出力を直接接続するところに問題があるかもしれません。そこで、試しにPCM1794の出力に抵抗を入れてみました。
あまり高い抵抗値を入れると、かなり電流が流れますからPCM1794の動作電圧範囲を超えますからできるだけ小さい値にします。
ただ、普通のリード抵抗を入れるのがちょっと大変だったので、手持ちのチップ抵抗(51Ω)をつかいました。
結果はバッチリ!
フルボリュームでもヒスは感じなくなりました。どこまで抵抗値が下げられるかも試してみたいですが、
SOUL NOTEが抵抗IVを行っていることを考えると、たぶん同じ様な値でしょうから、このくらいの抵抗値でもいいのかもしれません。
ちなみに51Ωだと、PCM1794のモノ出力で約16mAの変動がありますから0.8V程度の電圧が発生することになります。


PCM1794に出力抵抗をつなぐとヒスが消えました。

ちなみにPCM1794の出力端子の電圧を観測してみましょう。
無音時の出力ですが、100mVppくらいのスイッチング出力がでています。
周波数は1MHz以上ありそうですが、このような出力をIC間で出力に直接接続するのは
やっぱり不味いのでしょう。

PCM1794の出力。デルタシグマなのでスイッチング出力になっている。


抵抗値はどうすればいいのか? 2007.5.23

PCM1794の出力に抵抗をシリーズに入れれば、パラにしてもノイズが消えることはわかりましたが、
接続する抵抗値が高いと、pcm1794の駆動電圧が高くなって動作電圧を超えて歪みが発生します。
上のテストでは51Ω(パラ時)で問題ありませんでしたが、どの値まで許容できそうかテストしてみましょう。
テストの回路を等価的に書くと、下図のようになります。IV抵抗は120Ωです。PCM1794の出力はシングルにしています。
値を可変する抵抗値はR2になります。


こんな感じで抵抗値を変えてみました。

R2を代えた場合のB点、すなわちIV変換後の電圧を観測してみましょう。
これからわかるように、R=160Ωではギリギリでダメということになります。R=120Ωなら問題なしです。
このテストではPCM1794はシングル(モノモード)ですから、パラにした場合は電流が倍になりますから、抵抗値は1/2になります。
すなわち抵抗値は60Ω(120/2)以下が必要なようです。ということは、先の実験でつかった51Ωというのはギリギリだったようですね。

R=120Ω
波形に歪み無し
R=160Ω
先端(下端部)がわずかにクリップ)
R=200Ω
下端部のクリップがよくわかる。


ギリギリの抵抗値がわかったところで、どこまで、PCM1794は出力電圧が出るかをみてみましょう。
下図はR=160Ω時のC点、すなわちPCM1794の出力電圧ですが、上端部で僅かにクリップしているのがわかります。
この電圧はオシロ目盛りからみて約3.2Vです。すなわち、この電圧を超えると波形がクリップするということになりそうです。


R=160Ωの場合のC点波形(上端部で僅かにクリップ)

この3.2Vという値を限界に考えると、シリーズにつかえる抵抗値(R2)の上限が導けます。PCM1794を2パラにすると、
最大電流は40.4mA流れますから
Rmax=3.2/0.041 = 78(Ω)です。

実際に抵抗値を選択するときは、余裕を持たせないといけないですから、その半分以下である39Ω以下が安全な領域でしょう。
さらに余裕をみて22Ωくらいにするのがいいかもしれません。これは、次の試作の時にでも試してみるかな?
それよりも51Ωのチップ抵抗をパラにすれば25.5Ωになるので、それでテストしてノイズが発生しないことを確認すればいいでしょう。



リセット問題はやっぱりPCM1794が損傷していたかな?

もう一つの問題として、電源OFF直後に再度ONしたときにPCM1794が上手く立ち上がらない症状の対策のため、
電源基板を改造してみました。リレーを組み込んで、電源OFF時に素早くアナログ電源(+5V)のコンデンサの電荷を抜いてやります。
リレー接点で電源をショートさせると接点が壊れるので、15Ωの抵抗をはさんでみました。


リレーをつけてコンデンサのチャージを抜いてやります。

これにより効果はでましたが、たまに上手く立ち上がりません。やはり、PCM1794が壊れているのかな〜(ショック)。
それを確かめるには、もう1セット作ってみないとわからないでしょう。PCM1794だけ取り替えれば良さそうですが、
外すのも結構大変です。実は、とある事情(みっともなくて言えない?)もあり、もう1枚適当に組み立てあるものがあるので、
こちらでテストしてみました。


もう一枚のDAC1794−3(一杯PCM1794を消費してしまいます・・・・悲しい・・・・)

こちらはアンプの回路は組んでいませんが、出力をみるためにIV抵抗だけ入れてみました。
すると、なんということでしょう。まったく問題ありません。
電源回路に入れたリレーを取り外して、電源ON/OFFを頻繁に繰り返してもOKです。
やっぱりPCM1794が電圧の逆接で壊れていたのかな?(ディスクリートとはいえ、アンプの誤作動は考えられないだろうし・・・・・)。
でも、考えたらいままで初代DAC1794で問題なかったんだから、今回の試作ではPCM1794を壊してしまったんでしょう
(と納得したくなるヒロでした)。


ノイズ要因あれこれ。 2007.5.24

昨日(5/23)はノイズの原因に関して、BBSが盛り上がりました。
ポイントとなった意見を列挙すると、

7016 re:7013 Re: 7012 ヒロ  - 2007/05/22 23:49 -
(中略)
やはりスイッチング出力をしているので、タイミングの異なる出力を直接接続すると干渉が起こるのではないかと思います。ただ、アクティブIVなので出力電圧は原理的にはゼロに保たれるのですが本来は影響ないはずですが、スイッチング周波数が高い分、アンプの入力部の電圧が多少は振れていると思います。
7017 re:7012 TAMA  - 2007/05/23 00:11 -
(中略)
デルタシグマ方式のDACから出てきたばかりの信号は、
数十MHz以上の帯域にパルスノイズが残っている
これを音声信号帯域重視のOPアンプに入れると 飽和
する
 だから、受動素子の抵抗で合成する

ただこれは 今回のようにパラ化した場合にのみ問題
が発生する説明はできませんが 直列に抵抗を入れて
から合成すると 高周波のパルスノイズの減衰に
は効果がある
のかもしれません
7021 I/VのTIM歪 hi_kawa  - 2007/05/23 21:45 -
多分そのノイズはI/VのTIM歪と思います。
TIM歪は飽和により、瞬間的なバーチャルショートが壊れてて、入力ノイズが、増幅されて出力に現れています。
これに関しては、1ビットDACやスイッチングの多いDACでは、よくあることで、
波形をなまらせたり、LPFの抵抗値をあげたりすると収まります。もしかすると初段のI/VのLPFのコンデンサを大きい値にすると解決するかもしれません。抵抗を入れるのは個人的にはよく分かりませんが、その方法しか解決しないのかもしれません。

電流出力のインピーダンスが下がっているのでTIM歪が発生しているかもしれません。カレントパルスは鬼のようなスイッチングをしていますが、実はそのままI/Vしてもノイズは現れません。不思議ですが、、、。
この問題には
おのおののDACの出力を個別にI/V(当たり前ですが)
電流合成点にベース接地を接続して電流回路のインピーダンス
をあげる(おのおの別にしても良いと思います。)
もし試していただけるのであれば、I/V変換に大き目のコンデンサをパラにして試していただけませんでしょうか?もしかすると直るかもしれません。
7039 ノイズゲイン kephis  - 2007/05/23 23:40 -
ヒロさん、H,S,さん
そうそう、単に帰還抵抗とマイナス入力〜GND間の抵抗とで、オペアンプの入力で発生したノイズやオフセットを非反転アンプとして増幅しちゃうんですよ。
これをノイズゲインと呼んでいて、つまりノイズ発生源に対する増幅度です。
I/V変換のマイナス入力端子にぶら下がるRはノイズゲインを増大させます。帰還抵抗と同じ抵抗で、2倍になる計算です。

ちなみに私のHPの同じpdfに、I/V変換アンプの入力にぶら下がるC
が位相余裕をなくす原理も書いている(つもり(^^;)です。
また同じページの下の方にTIM歪の私なりの解析も載せておきました(題材が金田式ですけど)。I/V変換の入力にCをぶら下げると高域にピークを生じたりします。わずかなCでも効きます。お試しあれ。

といったところでしょう(俺の意見も!という方はメールにて(笑))。

で、いままでの事実を列挙すると、次のようになります。

処置 ヒスノイズの出方
PCM1794をシングル(モノ)の場合 出ない
PCM1794を単純にパラの場合 出る(といっても僅かですが)
PCM1794の出力に51Ωの抵抗をシリーズに入れる 出ない

でも、これだけでは少々情報が不足しているような気もするので、追加で実験して見ましょう。

IV抵抗にパラにコンデンサを入れてみる!

IV抵抗は120Ωをつかっていますが、そこに並列に1200,6800pFのコンデンサをパラってみました。

出力をヘッドホンアンプにつないで、ボリューム最大にしたときの出力の状態はこんな感じです。

Cなし
ヒスはヘッドホンで聞こえる。
C=1200pF
ヒスがかなり減った。
C=6800pF
ヒスがさらに減った。微かにヘッドホンでは残っている。


波形的にはCが大きくなるとレベルが小さくなっているようですが、これは単純にLPFの効果でしょう。もともとこの周波数では聞こえません。
Cを大きくしていけば、効果はあることは確認できました。
Cの追加であれば、パターン修正も無いので一番簡単な対応方法です。

もう一度抵抗を入れてみる!
今度は16Ωの抵抗を入れました。そしてヘッドホンでボリューム最大にしてみると、ヒスがぴたっと止まる感じがします。
 
抵抗を取り付けた様子                                 HPアンプの出力波形

ということで、さらに事実を追加。

処置 ヒスノイズの出方 備考
PCM1794をシングル(モノ)の場合 出ない
PCM1794を単純にパラの場合 出る(といっても僅かですが)
PCM1794の出力に51Ωの抵抗をシリーズに入れる 出ない
PCM1794の出力に16Ωの抵抗をシリーズに入れる 出ない
IV抵抗にCをパラに入れる 小さくなる。
6800pFくらいで、ヘッドホンで聴いた場合に微かに残る程度。
H.S.@山梨 さん:
1794woDAIの2号機では、IV変換の帰還抵抗に2000pFのCをパラしたのですが そちらではNJR2114DをつかってASRCのサンプルレートを上げてもノイズはでません。
なおAD795でも帰還抵抗に並列にCがないと同じようにノイズがでました。
OPA134ではCがなくても問題なかったです。

処置としては、小さくてもよいので抵抗をシリーズにつなぐということになりそうです。
併せてCもパラにすれば完璧かな?

DCサーボもテストをしなくっちゃ!
ヒスとPCM1794のリセットに時間をとられましたが、DCサオーボの動作確認が残ってした。
DCサーボの効果を確認するためにも出力にオフセットがでていないとまずいので、まずはVRをセンタ(VRを使わない状態を仮定)
にセットしました。このときの出力は下記のようになっています。

IVアンプ1 -2.715V
IVアンプ2 -2.730V 差動アンプ1 -0.249V
IVアンプ3 -2.733V
IVアンプ4 -2.856V 差動アンプ2 -0.129V

IVアンプ1〜3はほぼ同じ値ですが、IVアンプ4だけは少しづれています。入力段のFETをペア取りしなかったツケでしょうがこのくらいなら問題なしでしょう。
差動アンプについては、大きめのオフセットがでています。VR群で調整できますが、この状態でDCサーボの効果をみてみましょう。

まずはオペアンプ(OPA134)差し込んで、配線をしてテスト準備完了です。
パターンミスがあったので、ジャンパー線をつかっています。
ちょと不味かったのは、DCサーボにオペアンプをつかうことを忘れていて、電源電圧を少し高めにしています。
電圧が16.3Vくらいありますので、OPアンプの標準動作電圧の15Vをすこし越えています。
でも、最大定格が36Vですから大丈夫です(余裕がないが・・・・)

DCサーボのテスト準備完了。

さてさて、DCサーボの効果は?

やっぱり、効果大きいですね。これなら、わざわざVRを使わなくても良さそうです。
でも、ちゃんとFETはペア取りしたほうがいいかな?

DCサーボ無し DCサーボ有り
差動アンプ1 -0.249V 0.1mV
差動アンプ2 -0.129V 0.0mV

ケース加工! 2007.5.26

ちょっと気分を変えてケースを加工しておきましょう。次に再試作するときまでには、時間がありますが休日しかケースの加工はできませんからね。

アリャリャ
DAC1794-3は基板サイズが大きいのですが、愛用のケースであるタカチのOS70-37-23には余裕で収まります。
でもネジピッチのことを余り考えずに適当に穴を開けたら、裏面(外側)でサンの所のギリギリに穴があいてしまいました。

 
ケース内側(こちらから穴をあけた)            ケースの外側(ギリギリだ〜)

このままネジを締めれば段差がありますので、上手く締結できません。ということで、初めて皿ネジ加工具の登場です。
取り付け部が6角形状になっていますから普通のドリルとかネジ回し用のドリルでも使えます。
この手の工具は意外と高い(これで1500円くらい)のですが、1つあるととても便利なので揃えておきたい一品です。

皿ネジ加工用のドリル。

皿ネジ加工をサンと一緒に行います。こうすれば皿ネジが安定的に収まります。
考えれば、折角この工具があるのなら、すべて皿加工にすればケースの底面がスッキリするんですよね。
次のケース加工のときにはそうして見ましょう。

 
皿ネジ加工した様子                   皿ネジがきちんと収まります。当たり前ですね。

パネルの加工も済ませます。今回は入力は2系統のみとしました。いつも光入力もつけますが、あまり光入力は使わないので、
同軸だけで十分です。パネルの加工が終われば、レタリングをしておきます。表パネルはインレタをつかいましたが、裏パネルはテプラです。
ちょっと手抜きですね。表面のタイトルは
DAC1794-3 ALL DISCREATE DAC WITH QUAD PCM1794A
としました。ALLじゃなくてFULLのほうがよかったかな?

 
パネル加工はケース加工の天王山です。                         部品も取り付け

さて、ケースも半分組み立ててトランスや基板を固定するスペーサも取り付けておきます。
ここまですれば、あとは簡単な組み立てでできあがりです。

 基板が完成すればすぐに取り付けられる状態にしておきます。


基板のバグ修正にかかりましょう!


試作で判明した基板パターンのミス等を修正していきましょう。
修正版ができました。

1794-3e.pdf (パターン全体) 1794-p6.pdf (パターン全体)


(つづく)