久しぶりにスピーカを作る!の巻き。 2019.11.14

久しぶりのスピーカの製作です。
そのきっかけはAMAZONで、10cm口径の結構安価なスピーカを見つけたこと。PANASONICです(生産は中国のようです)。
もともとは、このユニットは小さめのサブウーハとしてつかうつもりで1個だけ購入しましたが、
単体で鳴らしてみると結構よさげな感じがしたので、もう1個買って普通のフルレンジスピーカとしてつかってみようかと思っています。


AMAZONでみかけたスピーカです。これをつかってスピーカ作ってみとうかと思っています。

まずは図面から作成です。というのも、エンクロージャの製作は、去年に導入したCNCをつかおうかと思っています。
そのためには、図面を起こしてCNCが動くためのNCデータを作る必要があります。

私が買ったCNCはCNC3020というもので、その数字が示すように動作範囲は30cm×20cmになります。
しかしながら大きなスピンドルモータのものにしたので、モータフォルダーが標準より大きく、実際には動作できる範囲は30cm×18cmになっています。
このサイズが丸々、加工できれば結構大きなスピーカボックスが作れるのですが、実際には材料を押さえるための部分や、
材料をくり貫いても、残材に一定の強度をもたせる必要がありますのでかなりの余白が必要です。
私の場合は、最低の余白は1.5cmくらいにおいているので、加工できるサイズは最大でも27cm×15cmです。
 ということもあり、今回は25cm×14cmの寸法を最大としてエンクロージャを作ることにしました。
 この場合、奥行きも14cm程度として容量としては4L程度が確保できるでしょう。

CNCの特徴を出すために
 折角のCNCを使うのだから、凝った形にしてみたいと思う反面、それも面倒そうなので
結局のところ直方体のエンクロージャにしました。ただ、バスレフポートだけはCNCの特徴がでるように
擬似楕円形状にしてみました。

エンクロージャの図面です。正面はこんな形です。

バスレフポートの設計は、色々なHPで紹介されていますが、今回は下記の式を参考にさせていただきました。
今回の設計ではバスレフポートの面積は約13cm2で、長さが5cm、そしてエンクロージャの容量が約4Lなので
共振周波数はおよそ110Hzになる見込みです。
 本来はもっとも下げて90Hzくらいでもいいのですが、10cmのフルレンジで帯域を欲張ってもしかたないので、
できるだけ低音の量感がでるように共振周波数を高めに設定します。本当はもっと高い値として150Hzくらいが
よかったかもしれませんが、まあこれで試してみましょう。


バスレフポートの共振周波数を求める式として参考にしました。
引用:http://kanon5d.web.fc2.com/audio/kouza13.html

材料を調達しよう!

 今回も100円均一のMDFボードを使います。前回はダイソーの6mm厚の400×300のMDFを半分に切って加工していましたが、
ダイソーに材料の在庫がなかったので、違う100円均一のお店で5mm厚の450×300のMDFを使うことにしました。
 450×300を半分に切ると225×300になるのですが、CNCのテーブルサイズの関係から200×300に切り出して使用します。


まずは材料の切り出しです。450×300の素材から200×300の材料を切り出すので、
約50×300の残材が大量に発生しました。


どんどん加工していきましょう

CNCを動かすと約20000rpmで回転するモータ音と切りくずを吸うための掃除機が唸りますますので、
結構な騒音です。ということで家族の白い目を気にしつつ、あまり遅い時間にならないように、一気に切り出しです。
ただ、急いで切ろうとすると色々とミスがでてしまい、結局20%くらいの材料が無駄になってしまいました。
まあ、それを見越して材料は買っているのですが、考えればミスをすれば時間も材料も無駄ですよね。

ドンドンきりだしていきます。

バスレフポートは積層構造で

バスレフは長楕円形状にしているので、MDFを同じ形で切って何枚も重ねてポートを作成します。
ただ、普通に重ねて接着しようとすると、必ずずれてしまうので、ずれが生じないようにガイドのφ3mmの穴を4箇所にあけています。
ちょうど竹串のサイズが直径約3mmなので、これを突き刺して位置あわせを行っています。


ガイド穴に竹串を突き刺して位置を合わせます。

2枚重ねで補強!

用いるMDFは5mm厚さなのですこし薄いです。ということで、フロントとリアについては2枚重ねで10mmとすることにしました。
側版については5mmのままですが、適当な補強板を接着すること強度をもたせようかと思っています。

フロントとリアは2枚重ね(10mm)にするので接着材で予め張り合わせおきます。


リアパネルも2枚重ねです。四角い穴はスピーカ端子が取り付きます。

組み立てよう!

側板と天・底板には残材をはりつけて補強しておきます。
あとは、直方体を構成する6面を接着すれば完成です。

展開図です。

接着剤をつけて一気に組み立てです。CNCで溝を加工しているので、組み立てたあとは直接クランプで押さえ
つけることができます。これで一晩乾かせばエンクロージャはできあがりです。

接着剤を塗って一気に組み立ててクランプで押さえつけます。

折角なので塗装をしていところですが、まずは音だししてからかな?

まずはエンクロージャの完成!

とりあえず接着材も乾いてエンクロージャが完成です。
ここまでくると、やはりスピーカをとりつけて音を出したくなりますよね。
いわゆるバラックの状態!というやつでしょうか。

エンクロージャが完成しました。

感度低いな〜

Lチャンネルの1個だけSPをとりつけて音だしをしてみました。RチャンネルにはALTECの小型のスピーカがつながっています。
で、最初に音をだしたときの印象ですが、「感度低くい〜」です。
ALTECのスピーカのほうが、大きな音がします。普通は、口径が大きいほうが効率がよい印象があったのですが、
これは逆ですね。

最初に試聴したときの印象は「感度低くい〜」です。


こちらの方が大きな音がでます。

低域はそこそこ

感度は低いのですが、パワーを入れてやると勿論大きな音がでます。
で、低域ですが10cmということで、重低音は望めませんが口径なりの低音はでます。
バスレフポートからも結構な風圧を感じます。で、どのくらいのバスレフポートの共振周波数かを
調べてみると、およそ120Hzのようです。どうやって測定したかといえば、スピーカのコーンを触りながら
周波数を変化させていき、もっとも振幅が小さくなったところを探ります。今回のスピーカでは
なかなか共振点を探るには苦労しました。かなりバスレフの効いたスピーカならばポートの共振点で
いきなりコーンの振動がなくなり、かわりにポートからの風圧が極大になるような感じになります。そして
それ以下の周波数はほとんど音が聞こえなくなるという感じです。
今回のスピーカでは、共振点付近での挙動がかなりマイルドです。その代わりに、共振点を下回ってても
低音が聞こえてきます。
もうちょっと、バスレフの効果をだすならポート面積を大きくしたほうがよかったのかもしれません。
まあ、このくらいの方が音は自然でしょうが・・・。

ちなみに、ポート長をすこし長くしたらもっと低音がでるかな〜とおもって、予備のポートの材料を
付け足してみると、共振点は103Hz程度にさがりましたが、音的にはほとんど変化がわかりません。
ということは、そこまでポートを長くすると共振点はさがるけど、ポートの効果がかなり小さくなってしまうのでしょう。


バスレプポートを延長しても、あまり音の変化はなかったです。

塗装にはいりましょう!

いままでバラックで鳴らしていましたが、やはり最後の仕上げとして塗装にかかりましょう。
塗装の工程の前に、下処理が大切ですが、これが結構な重労働です。
スピーカの塗装なんて、20年ぶりくらいです。

まずはサンディング
#60の紙やすりをとりつけて、端部の「バリ」を落としていきます。
これには電動サンダーを久しぶりにつかいました。手作業だといやになってくる仕事です。

久しぶりリにサンダーを動かしました。

ポートのヤスリがけにはM6のネジにφ20の丸板(MDFから切り出したもの)をとりつけて、
これに紙ヤスリを巻きつけて使用します。これも手作業ならいやになりそうな部類です。

ポートのヤスリがけにはこのような治具をつかいました。結構役にたちます。


サンディングが終わった状態です。

下塗は、ああ〜・・・

MDFは塗料をよく吸い込むので、最初にシーラを塗ります。これも20年ほど前に買ったものがみつかりましたが、
残念なことに、中身はあるのですがガスが抜けていて噴霧しません。そりゃ20年も前のものだから仕方ないですよね〜。

ということで、缶に穴をあけて中身の液体を取り出して、ブラシで塗りこむことにしました。
缶に穴をあけるときは、内部に圧があれば、思いっきり噴出すことが想定されましたので、その対策をとりながら
穴をあけましたが、本当にガスが抜けているようで、なにも起こりませんでした。

シーラ(目止め)はガスが抜けていたので、穴をあけて中身をつかいました。

下塗りが終わったら、すこし乾かして#600の紙やすりで表面をならします。
これで下処理の完成です。

下塗りがおわりました。

最後は上塗り!

最初は黒色にしようと思いましたが、ストックにありません。買いにいこうかとおもいましたが、その時間もなさそうなので、
こちらも20年前につかったニススプレー(ゴールデンオーク色)をつかうことにしました。こちらは、ラッキーなことに
ガスが残っていて、うまく噴射できました。
 スプレーは薄く何回も行うことが鉄則ですが、どうしても焦ってしまうのが厚めに塗ってしまってムラができちゃいます。
まあ、少々のムラがあっても最後はネットをかぶせりゃわからないか〜!!
 って、ネットってまだ売っているのだろうか?

最後に上塗りをして塗装終了です。

完成!
ちょっと半乾きだけど、ユニットをとりつけて配線をすませて完成です。
100円均一のMDFをつかったとは思えないできばえと自我自賛です(笑。
MDF自体の材料費はステレオ分で10枚(失敗入れて)なので1100円です。


完成です!


裏側は塗装を1回しかしていない手抜きです。


いや、それにしても久しぶりに塗装まで行うスピーカ作りを楽しみました。
音的には10cmのフルレンジの限界はあるけど、元気一杯なってくれます。

ちょっと問題があって、スピーカ切り替え基板の端子が足りません。このスピーカを
システムに組み込もうとすると、他のどれかのスピーカをラインから外さないといけません。
もう1枚、切り替え基板を増設するかな〜。

ちょっとドレスアップ? 2020.2.10

折角塗装までしたスピーカのエンクロージャですが、ちょっと気に入らないところが一つ。
それは、スピーカのフレームが冷延鋼板のままのむき出しであるということ。
これが、黒塗装されたアルミダイキャストなら格好いいのですが、ちょっとこのままでは気になります。

ということで、フレームが隠れるような目隠し板をつくってみました。


スピーカから採寸して目隠し板の図面を作成します。


CNCをつかって切り出します。5mmのMDFをつかいました。


まずは簡単に黒色で塗装しました。

さて、どうかな?

まずはとりつけてみましたが・・・・・・
なんか、白と黒が強調されてしまって、パンダみたい・・・・・・
ん・・・・センスが問われそう・・・・。

黒じゃないほうがよかったかな〜????


BEFORE


AFTER・・・・ちょっとカッコ悪いです・・・・。

ん・・・・・ちょっと失敗かなあ〜。

ツイータを追加! 2020.2.16

以前に2WAYスピーカをつくるときに購入したツイータをこのスピーカに試しに追加したら、すごく音の立体感がでたので
これ専用のツイータを追加することにしました。
 といっても、新品のツイータを購入するのは勿体ないで、今遊んでいるスピーカをツイータ代わりに追加します。
以前にフルレンジでつかっていたALTEC LANCINGの小型のスピーカですが、高音再生が得意そうなので、
これをツイータとして追加します。

ツイータなので、特段エンクロージャはなくてもいいのですが、やはり後々の見栄えもあるので
木枠を作ることにしました。結構、スピーカの落としこみの形状が複雑ですが、現在製作中のスピーカ
採寸してあるので、そのまま流用です。


5mmのMDFをつかってスピーカの枠作りです。6枚を合わせて接着します。


基準穴に竹串を差し込んで、位置あわせします。

とりあえず試聴

まだ、接着剤も乾いていませんが早速とりつけて試聴です。
今の予定では、サンディングが勿論のこと、塗装したあとに
アクリルのベース台をとりつけて、端子もとりつけます。

まずは、こんな感じでとりつけます。

いままで聞こえなかった音が聞こえる・・・・

1uFのコンデンサをつけて試聴です。
やはりツイータ(本当はフルレンジですが)を追加した効果は絶大です。
いままで聞こえなかったハイハットの音などがはっきりと聞こえてきます。
音の立体感が増しました!
 ただ、レベルがすこし高いので、6dBくらい落としたほうがいいでしょう。

高音が聞こえると、低音がなっているのもよくわかってきます。
それなりにHiFiな音に近づきました。これで、このスピーカも鳴らす機会が増えてくるでしょう。


このスピーカにはツイータは必要でした。
ちなみに、パンダのようなスピーカグリルはだいぶ見慣れてきました。


軽〜く 2020.2.20

サンディングと塗装をしておきました。サンディングは#100の紙やすりで、
塗装は下地にクリアを1回塗って、その上に黒(つやなし)塗装1回です。
塗料は100均一のスプレーを使いました。


なんか木炭みたい・・・・


スピーカの保護色です。

さて、アクリル板は明日にでもとりつけましょう。

ツイータを仕上げる! 20202.23

5mmのアクリル板を加工してツイータの台を組み立てました。


アクリル板にとりつけて完成です。


フルレンジの上に配置です。難点はゴムシートなどを入れないと滑ります。



出力レベルを下げるために、ツイータには減衰用の抵抗も入れています。
回路は下記の通り。

アッテネータの回路です。


カットオフは10kHz程度とかなり高めです。

一応、SPICEを通してみましたが、カットオフの周波数はかなり高いです。およそ10kHzかな。
普通にツイータとして必要な4kHzあたりだと-20dBくらいの出力です。これでも、しっかり聞こえるので、
いかに10cmフルレンジが低能率、逆にいえばALTECのスピーカが高能率なのかわかります。

コンデンサの容量はもうちょっと上げてカットオフを下げて、抵抗による減衰量は上げたほうが
いいかな〜。

(つづく?)