多パラFN1242Aは実現するか?の巻き 2008.8.27

これほど途中でとん挫しそうな企画はないだろうな〜と思いつつもページを立ち上げてしまいました。
というのも、FN1242はフルーエンシー型ディジタルフィルターを搭載したユニークなDACで、
DAC1242に使用しましたが、かなり入手性に疑問符がつきます。
まず、製造元の新潟精密は民事再生法の適用を申請している(受理されたのかな?)し、
そこの通販であるNSダイレクトも現時点では閉じてしまっています。
あとは、秋月電子という入手ルートが最後の手ですが、これもどの程度の在庫をもっているか
かなり不安な要素。それにWEB通販では、まとめて32個も買えない事態が続いています。
基板の設計途中で、とん挫しそうな感じが満点です。

でも、考えるだけでも楽しそうなので検討記をはじめましょう。

なぜ多パラ?
 これについては、メリットとデメリットがありますが、一度頭の整理も含めて列挙してみましょう。
まあ、あまり定量的な話ではないので、結局のところメリットが勝るのか、デメリットが勝るのかは
よくわからないところはあります。

多パラのメリット
1.平均値ゼロのノイズについては、Nパラにするとその平方根でノイズが低減する。すなわちS/Nがよくなる。
2.取り扱う電流値が大きくなるので、アンプの動作インピーダンスが低くなり、外来雑音に強くなる。
3.自作としての満足感(自慢できる?)

多パラのデメリット
1.部品代が高くつく(財布に厳しい)。
2.実装面積が大きくなり、組み立ても大変。
3.配線ケーブルが必然的にながくなり、外部からの雑音に弱くなる。また、ディジタル系ではノイズ放射が大きくなる。

といったところでしょうか。
本当はDAC-ICは1個だけでシンプルに作るのがよいのかもしれませんが、メリットの3番目である
「自作としての満足感」は、Pricelessですね(どこかのCMだ〜!!!)。


何パラにするか?

これは、考えどころですが、蛇の目基板の手配線ではとてもできない範囲でないと面白くありません。
かといって、あまり大きくしすぎると組み立てるのがプリント基板といえども大変です。以前つくったDAC8D
DAC8D-SUPERを考えると32素子をつかって32パラあたりが一番素直なところかもしれません。

構成は?
FN1242A自体は差動出力が可能なステレオ出力ですから、32個使えばそのまま32パラの差動になります。
またFN1242Aはモノモードもあるので、差動の差動とすることもできますが、受側のアンプが一挙に3倍になるので
ちょっと大変そうです(DAC1794-3はつくるの大変でした)。それにIC制御のためのマイコンも必要なので、
ちょっと面倒です。ということで素直な32素子の32パラがよさそうです。

基板構成は?

平面配置にするか、DAC8D-SUPERのようにドータボード方式にするか? ここは悩みどころです。


平面配置の方が、すっきりしていいのですが面積が必要になります。
ドータボード式は全体の高さが高く、コネクタの接続など組み立ても面倒ですが、
実装密度は上げられます。
またドータボード式の方が配線がやりやすいというメリットもあります。というのも、
平面配置ですが、ICがマトリックス状に並ぶのでそれらにどうやって信号線を
配線するのかの工夫が必要です。ただし、平面配置の方が見栄えもいいことも
確かです。

ちなみに平面配置にするとどの程度の面積が必要かな?と思ってパターンを
引いてみると、IC1個あたり必要な部品全体で21×33mmくらいです。


これで32個並べられたとして、約170mm×130mmくらいの面積でしょうか。
200mm×200mmの基板を考えた場合、あとは差動アンプは乗りそうですが、
DAIまでは難しいかな〜。もちろん電源はのりそうにありません。


予感的中?

9630 RE9623 うずら  - 2008/09/01 01:02 -
<1242Aを32個の半数以下の確保でも、空きスペースが少なくチャレンジし易くなる。(8〜16パラ)
16パラずつ二段構成にするのもいいかもしれませんね。32個も確保できなかった人には嬉しいかも(私を含む)
さんちぇさんの重箱方式?も捨てがたいし・・・
いやあなんだかわくわくしてきます。

わくわくしながら、秋月HP見ればFN1242Aがついに売り切れ・・・はああ〜
9668 秋月FN1242A ヒロ  - 2008/09/04 22:08 -
秋月の在庫が復活したようですので、見積もりだしたところ
10個が上限との返事が返ってきました。安価でかつ安定な
入手性を得るのは、もうすこし時間がかかりそうです。

状況(入手性)が安定するにもうすこし時間がかかりそうです。



基本パターンを見直し 2008.9.6

ICを32個並べるのは簡単だけど、実際に配線ができるように考えないと行けないので
ちょっと基本パターンを見直しました。
ユニットサイズは約18×34mmです。
これを8×4で並べると、サイズは144mm×136mmになります。


32個ならべるとこんな感じかな。


必要な部品をとりあえず配置してみましょう。
かなり長細くなってしまいます。
計ってみると、285mm×140mm。まあこのくらいならケースに入るでしょう。


タカチ電機のYM-350ケース(350×230×55)に入れることを想定すると
こんな感じの配置になるでしょうか。実装密度は高くなります。
2階建てくらいにすると余裕がでますが、そうすれば32パラの勇士が隠れたりするので
ここは平面配置を極力採用しましょう。



とりあえず完成?

バグ出しはまだですが、とりあえず完成。石の入手のあてもないのに基板パターンを作成するのって初めてです。
さて、これからどうしようかな?


 (クリックするとPDFファイルが立ち上がります)

忘れないうちに特徴を列挙しておきましょう。
1.基板サイズ 285×140mm(結構大きい)。
2.FN1242Aの32パラ構成(抵抗加算)
3.DAIは無し。外付けのDAIあるいはメモリバッファー等を接続。
  基本的にはDAC1242用のDAI基板は搭載することを想定。
4.DACの制御線は74VHC245をつかって8個づつドライブ。
5.DACの電源はディジタル(3.3V)およびアナログ(5V)の2系統。アナログは左右分離。
6.アナログ回路はOPアンプあるいはディスクリアンプを使用。サーボ回路付き。
 (これはDAC1242-2と同じ)。

9715 パターン ほい  - 2008/09/08 07:49 -
新基板パターン拝見しました。
4列の並び方、一段目のAと二段目のA、三段目のAと四段目のAを同じベタにした方が良いです。
見た目は悪くなりますが・・・

ちょっとアースラインについてはディジタルとアナログを同一にしていたので
気になるところはあったのですが、折角なのでアナログとデジタルはベタを分離して
IC直下で接続という基本をできるだけ再現してみたいと思います。
ということで、基本パターンのデジタルとアナログのベタ面を分離。
これをペタペタと32個張り付けます。

新しいベタ面。

DAC部以外のパターンはできているので、新しいパターンを入れ替えれば完成です。
書くと簡単ですが、結構時間がかかってしまいました。

全体のパターンで見ると何がどう変わったかわかりにくいかもしれませんが、
ベタ面だけ観察すればどこが変わったかはすぐにわかると思います。

全体のパターン


ベタ面だけのパターン

微修正

パターンを少し見直して、シルクも整えました。これでひとまず完成です。


1242-4d-p.pdf 全体を重ねたパターン
1242-4d-b.pdf 半田面のパターン
1242-4d-t.pdf 部品面のパターン
1242-4d-s.pdf シルク


大幅修正?

9745 判り辛かったかも ほい  - 2008/09/10 23:23 -
え〜っと、一段目と三段目の向きを上下逆にした方が宜しいかと思いまして・・・
今のパターンだと、2・3・4段のアナログを引っ張ってる部分にクロックが近づいてしまいます。
できればアナログ・ベタで囲ってやりたいところです。
(以下略)

なるほど、ちょっと勘違いしていたようです。
では、早速修正してみましょう。FN1242Aの基本モジュールを反対にしてコピペして、
さらに繰り返してコピペ、コピペ・・・・・・・
そのあと、パターン修正・・・・・・

こんな感じでしょうか。折角なので信号ラインのガードパタンも追加してみました。



1242-4f-p 全体のパターン
1242-4f-s シルクパターン
1242-4f-t 部品面パターン
1242-4f-b 半田面パターン


電源基板も作成

納めるケースはタカチのYM350を想定していますが、DAC基板とトランスを入れると隙間はそう大きくありません。

タカチ電機のYMシリーズのケース(カタログより抜粋)

ということで、電源基板もあたらに設計しました。電源回路に3端子レギュレータやLM317などの
ICをつかええば設計はものすごく楽ですが、折角なのディスクリ型を採用しました。

 電源回路とあわせて配置した図(クリックするとPDFファイルが立ち上がります)

図の左側の基板が、ディジタル(3.3V)用の電源です。以前のディスクリ電源基板と同じ大きめの放熱板
をつけています。というのも、この3.3Vラインが最も電流が大きく500mA程度流れる見込みです。
となると1次電圧を8Vとして約2.5Wの消費電力ですからこのくらいのサイズの放熱板は必要です。
これでも結構な熱さになるかもしれません。

図の下側がDAC用の5Vアナログ電源(左側)とアナログ用電源(正負15V)です。
DAC用のアナログ電源も電流が100mA以上流れると思われるので、放熱板は少し大きめの
ものをつかっています。ちょうど秋月で@100円の放熱板をつかうことを想定しています。

秋月のHPより抜粋(なぜ穴が2個あいているのかな?)

アナログ用電源は、電流は流れても50mA程度でしょうから小さい放熱板にしています。


頒布の方法について

DAC1242-3を頒布についての情報です。

頒布時の内容物

<基板>
FR4-1.6mmT、
70um銅箔、
金フラッシュ>
DAC基板 × 1
DAI基板 × 1
専用(?)電源基板(2枚1組) ×1
ディスクリアンプ基板 A6B × 2
ディスクリアンプ基板 A7  × 2
ディスクリアンプ基板 A11 × 2

(以上10枚組。製造時の最大面付け数です)
<部品> CS8416×1
74AC245×4
チップコンデンサ×160個くらい

(FN1242Aは含みません)

(トランスはオプション(現在製作中))。

 
予約方法

価格 18,000円(予約製作時)
最小遂行セット数 10〜15くらい
希望される方 連絡先(住所、TEL、氏名)、必要セット数、総額を記入して
メールの件名を「DAC1242−3」としてここからメールください。
締め切りは9/21(日)とします。
9/29頃まで
予約数については随時BBSへアップ予定です。


(注)DAC1242-3以外の予約はできません。

さて、希望される方はどのくらいでしょうか・・・・・
予想では5セットくらいじゃないかと・・・・・・・


まだまだ?

色々な意見をいただきます。
(ひょっとして注目されているということかな?)

9772 パターン拝見 ほい  - 2008/09/14 14:54 -
クロックラインの裏がアナログベタじゃないでしょうか?
できればデジタルベタの下にクロック通すべきです。
またIC外側にクロックライン通せれば最高なんですが、完全に書き直しになってしまいますしね。
9778 電源基板のパターン N  - 2008/09/15 10:28 -
DAC1242-3の+V×2ですが回路構成が半波整流になっていますが意図的なものでしょうか?
ダイオードの出力側同志をジャンパーすれば簡単に全波できるのでこのままでOKですが
9781 DAC1242-3 うずら  - 2008/09/15 14:07 -
新しい基板のパターン拝見いたしました。上から2列目の左から4番目のコンデンサーのシルクCdが無いみたいですね、

ということで、さらに修正。
もうこれで最後にしましょう。あとは、細かいところを見直して試作!

電源回路とあわせて配置した図(クリックするとPDFファイルが立ち上がります)


こんなものも描いてみました。 2008.9.22

32パラをつくたら、多分かなりの確率でお腹一杯になりそうですが、
軽いデザートなら入るだろうということで、FN1242Aを1個だけつかって
アナログ回路もオペアンプのみ(サーボ回路は有る)の、お手軽なDACを描いてみました。
基板サイズはリニューアルアンプシリーズと同じ大きさで、これに電源回路
も入れています。定電圧回路には久しぶりに3端子レギュレータをつかっています。
アナログ用の電源トランスをつないで、DACの5Vや、ディジタルの3.3Vもアナログ電源から
調達する、ほんとにお手軽なものです。一応デジタルだけは別電源供給になっていますが、
まあ、面倒なのでトランスは1個にしてしまうでしょう。

これを描いた理由は2つあって、
1つは、32パラに挑戦する人は、1〜2個程度のFN1242Aは余分に入手しているだろうと想像できるので、
こういった簡単なDACがあれば面白そうかな、ということ。私もFN1242Aは余分に買っています。

もう1つの理由は、今回のDAC1242-3の予約数では、DAI回路はすでに手元にあるもので
数が足りそうです。となると、基板の面付けが1つ余ります。そこで、この程度の基板なら収まりそう
だということで、描いてみたわけです。この基板を予約いただいた方への限定プレゼント企画に
できるかもしれません。ただし、動作確認はしません(DAC1242-3の量産である本チャン用の基板
に直接面付けて製作するため)ので、当たるもはっけ当たらぬもはっけ状態です(笑)。


(クリックするとPDFファイルが立ち上がります)

ちなみにコードネームはDAC1242−1.5です。1.5にあまり意味はありません(笑)。


部品調達!

このDAC基板では同じ定数の値の部品をたくさんつかいます。1つは電解コンデンサですが
47uFのものです。これは別に22uFになろうが100uFになってもどちらでもいいのですが、
気分的に22uFは小さいし、100uFだとサイズが大きくなるので47uFをつかいました。
耐圧自体は10Vあれば十分ですが、通販リストになかったのと、あとあと別の用途でも
つかうことを考えて25V耐圧のものを選びました。購入個数も300個です。実際につかうの
は100個程度です、200個程度あまりますが、またストックにしておきましょう。

抵抗はDACの出力抵抗として7.5kΩをえらびました。7.5kΩは以前にR-2R DACをつくる
ときに7.5k(1/6W)のものを大量に買いましたが、ちょっと小さいこともあり、
今回は1/4Wのものを買いなおしました。タイヨームのRN25シリーズです。これもさほど
高いものではありません。@3円で100本単位売りですから必要数128個を考えて
200個かいました。しかし、こうやっていつも多目にかっているから、つねに部品箱は
オーバーフローするのですよね。
 いづれも通販で買いました。送料がかかりますが、ガソリン代や駐車代を考えると安いものです。


部品をそろえよう(コンデンサと抵抗器)

一番重要なのはFN1242Aです。これは秋月電子より買いました。
以前は1個1個が説明書つきの袋に入っていましたが、いまは多く注文すると
カットテープを必要な長さに切ったもので送られてくるようです。このほうが
店としては作業が楽ですし、注文した方も不要な説明書やビニール袋を捨てる手間が
かかりません。地球環境にやさしいですね。
FN1242Aは半田付けに失敗するかもしれないので、少し余分も買っています。

キーパーツのFN1242A


基板到着!

この「基板到着!」って何回書いただろうか。でも、基板を発注して到着
したときは結構感慨深いものがあります。というのも、基板の発注自体が
色々な検討をした結果であり、発注してから納品までも数日かかるので、
納品されると、1つの仕事をやったという感じになります。もっとも、
基板の作成等が仕事の人は単なるルーチンワークでしょうが、趣味人としては
ちょっと違うものがあります。


宅配便で送られてくる基板


今回のDAC基板はでかいです。長さが285mmもあります。

 さて、基板が到着しましたがパターンをざっと確認。CAD上ではわかりくに
ところも実物だと、案外ミスなども簡単に発見できたりします。
さて、今回の試作基板については大丈夫そうです。ただし、部品を実装して
電源をいれてみないと、間違っているかどうかについてはわかりません。

さて、早速実装していきましょう。まずは電源基板からです。

正電圧基板から実装

最初は正電圧基板からつくっていきます。回路的にはすでにリリースしていている平滑電源付き正出力
基板と同じですが、あたらにパターンを引きなおしていることもあり、組み立てて動作を確認します。
今回の、この基板では出力電流は500mA程度を想定しているので、
放熱板もすこし大き目のものがつくようになっています。

500mAといえば、さほど大きくないように思えますが、結構な電流です。
100Vの電灯ラインだと50Wの電流です。って書くとなおさら小さいように思えまますが、
50Wといえば、便座のヒータ電源と同じなんですよね・・・まだ実感わかないかな?

まあいずれにしても500mAを流すためには、放熱板も大きなものが必要ですが、
また同様にトランジスタの選定も必要です。というのも、この定電圧回路の出力
段は2段のダーリントン構成になっています。1段目の小電力TRをhFEを50、そして
出力段TRのhFEを20と仮定するとtugihaトータルのhFEは1000になります。500mAの電流を
流すとすれば初段のTRのベース電流はhFE1000ですから0.5mAになりますが、
もとも差動増幅器のトランジスタに流れる電流は2mA程度ですから、そこから
0.5mAを供給するのは、ちょっと負荷が高いかもしれません。私の設計では
差増増幅器に流れる電流の1/10以下としたいこともあるので、もうちょっと
hFEの高いトランジスタを使いたいところです。2SC1815のGRクラスとTIP31C
の組み合わせなら5000程度はいきそうですが、十分な余裕を持たせようということで
終段のトランジスタにはダーリントンタイプの2SD1380をつかうことにしました。
これなら、これ1個でhFEが4000(標準値)ありますから余裕です。それに、秋月では
5個300円です。
 コンデンサはこれも秋月の4個100円の3300uF/50Vをつかいました。
サイズが大きいのと、耐圧が大きすぎるのでもう少し小さい耐圧のものをつかいたい
ところですが、これも安価なのにひかれます。


今回つかった電源回路の出力段のトランジスタ(2SD1830)


正電圧基板の完成!

 
制御回路の部分                       整流ダイオードは容量の大きい31DF2を使用

出力電圧は3.3Vにする必要がありますが、基準電圧のTL431Aが2.5Vですから
分圧抵抗器は1.5kと4.7kをつかいました。これだと
2.5×(1.5+4.7)/4.7=3.298V 
とちょうどいい値です。抵抗値の誤差を1%すると32mV程度の誤差は出ますが大丈夫です。
さて、組み立てて電源投入。出力電圧は3.308Vです。計算通りです。
この値は無負荷の状態ですが、所定の電圧がでているので大丈夫でしょう。
これに負荷として5オーム程度の抵抗をつなぎます。電流値は660mAですから想定電流より
多めです。このときの電圧は3.298Vですから低下は10mVありました。この値なら優秀でしょう。


5Ω(3+2Ω)の抵抗をつないで負荷テスト

この状態でしばらく通電して放熱板の加熱状況を確認します。10分程度通電しましたが
放熱板の温度はほんのりと暖かい程度です。これならば、ケースを密閉しても
大丈夫そうです(だだし密閉すると、それなりに温度は上がるでしょう)。

DACアナログ電源と15Vのアナログ電源!

こちらは出力電流も小さいので普通のトランジスタを使おう。と思いましたが、
DACアナログは120mA程度流れることもあるので、折角買った2SD1380もあまるので、
これをつかうことにしました。パッケージもフルモールドというのも安心してつかえる要素です。


電源基板正面からパチリ


電源基板背面からパチリ(ところでどっちが正面?)

 こちらの方もトランスをつないで電源ON!電圧はそれぞれですから設計値とおりです。
5V出力   : 5.03V、5.00V
15V出力  : 15.05V、−15.14V

誤差にすると最大で1%くらいですが、これは抵抗値の誤差でしょう。
こちらも負荷抵抗をつないで、放熱板の加熱状況を確認しておきます。
なんか無駄なエネルギーを消費しているような・・・・ ちなみに電力1kW/hをつくるときに発生するCO2はおおよそ1kg
です。40Wのトランスを1時間は稼動させると発生するCO2はおおよそ25gです。CO2の分子量は40(だったかな?)ですから、
体積にして約36リットルですね。ん・・・大きいのか小さいのか・・・でも、高校の物理や化学をちょっと思い出してしまいます。

そういえば、大学受験は物理・化学でしたが、授業としては生物が好きでした。
高校の生物の先生が蛙の解剖のときに、脳震盪を起こすために
蛙を机に打ち付ける場面がありましたが、手が震えていたのを覚えています。
女子のみんなも解剖は嫌がっていたな・・・実は私もあまり好きではありません。
血を見るのがあまりすきでないんですよね。

さて、電源の動作が確認できれば次はいよいよDAC基板、本丸です。

DAC基板をつくる

まずはDAI回路ですが、これは作る手間を省略するためにすでに組み立て済みの
ものをつかう予定でしたが、今回は3.3Vのみで動かすので3.3Vレギュレータは不要です。
すでにあるDAI回路からレギュレータを取り外すのも勿体ないので、あたらに製作することにしました。
#ってどっちが勿体ないのかな?

今回のDAI基板。3.3Vレギュレータは実装しません。入出力を短絡させています。


DAI回路も電源をつないで動作確認!OKです。

DAI基板の動作を確認したところで、DAC基板にかかります。
それにしてもでかいです。


DAC基板。さすがに285mm幅あると大きいです。

まずはデジタル部のみを半田付け。

DAC基板のデジタル部のみ組み立て完了!

ここが一通り組みあがったたら、1個だけFN1242を半田付けします。どこの位置に半田付けす
るかは好みでしょうが、まずは回路的に一番遠いところにつけます。1個だけとりつけて
DAIを接続して、まずは動作確認。これで動かなければ大問題です。

まずは1個だけ取り付けて動作確認。

本当は抵抗と電解コンデンサは実装必要なんかったのでが、ついもののはずみでつけてしまいました。
これがなくても確認はできます。

波形が出て一安心!

1個では大丈夫だったので、つぎは異なる4系列のデータラインにそれぞれ1個づつFN1242A
をとりつけて、動作確認します。

今度は4個のICを取り付けた状態で動作確認!

あれ?
トラブル発生です。4個のうちの1個から信号がでていません。SSOPの半田はルーペで確認したので大丈夫なはずです。
ちなみに、愛用しているルーペはこれらです。小型ですが案外高い倍率までみえたりします。

写真用のルーぺ             いわゆるジュエリールーぺ

状況を列挙すると
 @DATA、BCK、WORD、SYSCLOCKなどの制御線の信号は問題なし。
 A電源は問題無し。
 Bリセット信号が”L”レベルのまま。
どうやらリセットラインがどこかでGNDに接地しているようです。パターンに間違いがあるのかな?
というわけで、予備の基板でリセットラインとベタGNDをテスターで測定しますが、とくに短絡はしていません。
どうやら、半田不良がどこかにあるようです。といっても、ぱっと見渡しても問題はなさそうです。
あ、そうだ。大抵ミスを犯すとすればSSOPの部分です。
FN1242Aのリセットピンの隣はGND接続なので、その部分で半田ブリッジをしていると思われます。
でも、ルーペでみたときは大丈夫だったような気がしたのですが・・・・

強力助っ人登場

実は今回のDAC1242−3の製作時への実践配備も考えて、双眼実体顕微鏡を入手していました。
勿論、新品だと目が飛び出すほど高いので、ヤフオフで安く仕入れたものです(といいながらも、それなり
の値段はしましたが・・・)。でも、どうせ買うならいいものを手にしたいです。道具がいいと、それを使うときも
気持ちがいい物です。ちなみにSHIMAZUのものです。

ヤフオフで入手した実体顕微鏡。

で、観察してみると、ピン奥でブリッジしている箇所を発見です。
なぜこのようなブリッジが起こったかといえば、一端ブリッジしたときに、
半田吸いとり器でシュポっと吸い込んだのですが、奥の半田が流れきらなかったのでしょう。
こんなわかりにくいブリッジだとルーペだと注意しないと見逃してしまうかもしれません。

接眼レンズにディジカメをあててパチリ。ブリッジ発見です。

ブリッジを解消すれば、問題なく動作するこが確認できました。

あとはひたすら半田づけ!
あとはのこり28個のFN1242Aの半田づけと、チップコンデンサ、抵抗、電解コンデンサの半田付けです。
まずは、FN1242Aとチップコンデンサのみを半田づけします。
この段階で、一度通電してそれぞれのFN1242Aが動いているかどうかを確認します。
合成抵抗を接続すると、個別のテストができなくなるのでこの段階でテストをすることが必要です。
あと、本来は電解コンデンサも取り付けておきたいところですが、チップコンデンサが付いているので、
動作確認にはあえて実装する必要はありません。それに、いざつけてしまうと、オシロのプローブが当てにくい
などの支障がでてしまいます。

FN1242Aとチップコンデンサを取り付けた時点で、すべてのFN1242Aが動作しているか確認!

問題ないようなので、あとは合成抵抗(7.5kΩ)と電解コンデンサをとりつけます。
まず抵抗からですが、すべての抵抗(128本)を挿すと基板の裏は剣山状態になります。
これだと、半田ゴテがとおらないので、半田は部品面から行います。

抵抗を挿した状態の基板の半田面。

抵抗がとりつけ終わったら、電解コンデンサ(全部で96個)をとりつけます。
ああ〜しんど。

抵抗と電解コンデンサも実装完了!あとすこしで完成です。

完成!
あとは、アナログ部分をちょこちょこと部品をとりつければ、完成です。

ようやく完成した、DAC1242−3のDAC基板。

試聴準備!
最後の仕上げにかかりましょう。サーボ回路用のICはOPA134をつかい、ディスクリアンプ基板はA7をつかいました。
なぜA7かというと、A11はDAC1242−2に載っかっているので、A7がたまたま空いていたという理由です。
それとA7の出力TRはやや大きめの容量が付いているからです。というのも、帰還抵抗値は240Ωと低い値ですので、
アンプのドライブ能力が必要になります。

ディスクリアンプ基板を載せて、これで完成形

バラック配線
ケースはまだ調達していないので、バラックでの動作確認と音だしになります。
必要な電源等をつないで行きます。

バラック配線での動作確認の準備


ディスクリアンプ基板にはA7をのっけっています。

最初はWAVE GENERATORを接続して信号のチェックです。問題なく信号がでることが確認できました。
出力レベルは2.8Vo−pですから、ちょうど2Vrmsになります。これならば他のDACとレベル差はありません。
オシロの波形をみていると輝点にちょっとだけ段差が残っていてDACからの出力であることがよくわかります。
現在のところフィルタのコンデンサの値は6800pFにしています。DAC1242−2では220pFだったので、
約30倍の値です。これは32パラにしていることで帰還抵抗値が1/32になっているためです。

パルス波の場合(f=3.15kHz)             矩形波の場合(f=3.15kHz)

いよいよ試聴!
今回、最初の試聴につかったのはFOUR PLAYのyes,please!というアルバム。
このアルバムは、それぞれの音源(楽器)がクリアーで、ベースの音も豊か(ちょっと恣意的?)で
オーディオ的には聞いていて気持ちがいいものです。

今回の試聴につかったアルバム

最初の印象は「ベースが良く鳴るな〜」でした。最近気温が下がってきたので空気の密度が上がってきたからかな?
それとも、朝の試聴なので体がまだ起きていないのかもしれません。人間の声も朝方は低音がよくでますしね(笑)。
しかし、昨晩に32個のSSOPとそれぞれ100個以上の抵抗とコンデンサを半田付けしてつかれた体には
真剣な試聴はちょっと酷な感じです。今日は、バラックだけど完成したDAC1242−3の奏でる音を
聞きながら、本でも読んでゆっくりしよおっと。

じっくりした試聴はケースに入ってからでも、遅くはないでしょう。


本チャン用の基板の発注は来週(9/29〜)にでも行う予定です。
一旦予約は締め切っていますが、ぎりぎりまで延長受付しま〜す。


2008.10.18 基板を梱包して予約いただいた方に発送。お待たせしました。


最後の仕上げ! 2008.10.18

では、最後の仕上げにかかりましょう。え、何かって?
勿論ケースに納めることです。といってもケースは手元にないので、買い出しです。
朝9;30に家に出て、10:00頃にデジットでケースとか必要なケーブルを買い込んで、
10:40には退散です。

まずは位置あわせ
ケースの中に基板やトランスを配置して、位置関係を確認します。そしてポジションがきまでば
マジックインキでドリル穴の印をしておきます。ケースはタカチのYM-350をつかっています。

まずは基板をおいて位置関係を確認。うん、予想通りです。

YM-350は1mm厚さのアルミなので加工は簡単です。電源インレットの穴あけもハンドニブラでチョイチョイと
加工できます。

ケース加工が終わればスペーサ(8mm)を立てて配線の用意。

基板のスペーサはタカスギの8mm高さのものを使用。たぶん10mm高さでも問題ないのですが、あまり高いものをつかうと
ケースの上蓋に電解コンデンサがあたってしまいます。

完成!
基板間の配線をすれば完成です。

背面からのVIEW


前面からのVIEW

これだけ1枚の基板サイズが大きいDACをつくるのは初めてですが、32個のFN1242Aが並んでいるのは壮観です。
オフミの機会があれば、是非もっていきましょう。

その前に、ディスクリアンプを色々と交換して、音色を確認するなどして、マッタリして週末を過ごしましょう。

(おしまし?)