DAC1242リニューアルの巻き 2008.8.16

FN1242AというDACはフルーエンシー型のフィルターを使用しているのが特徴ですが、
電圧出力というのも一つの特徴でしょう。これはIV変換が不要なので回路規模も少なくなります。
DAC1242も素直に差動増増幅器をつけているだけですのでさほど部品点数も多くありません。
その差動増幅器に使用したアンプはDAC1794-3に使用したものと同じですが、アナログ回路は
音質に与える影響も大きいと思われます。反対にアナログ回路を色々と試すことができれば
どの回路が自分の好みかを探す一助になるかもしれません。
 DAC1242はすでに在庫切れですが、リクエストもあるので前作のままで再製作をする予定でいましたが、
時を同じくして、ディスクリオペアンプもリニューアルしたことなので、ちょっと茶目っ気を出して
アナログ部を交換できるようにDAC1242もリニューアルしてみようと思います。

リニューアルの基本はディスクリOPアンプ基板が差動増幅器として搭載できることにありますが、
搭載しない場合はオペアンプをつかって簡単に動作できるようにしておくと何かと便利そうです。
それと、サーボ回路については、不要な場合も多いのですがオフセットフリーとするための保険みたいな
位置づけもあるので、同じく機能として含めておきましょう。

メインボードはこんな感じ
アンプ部はドータボードとして搭載すると割り切ってしまえば、非常にすっきりした形になってしまいます。


A11ドータボード

DAC1242-2に搭載する差動アンプはディスクリOPアンプ基板全般がつかえるはずですが、
DAC1242のオリジナル回路について作っておきましょう。部品点数が少し多いので
ユニバーサル部分については割愛したのと、FB用の抵抗の実装部も省略しています。




とりあえず基板は作成中

在庫切れの電源基板の再製作を含めて、まずは基板制作中です。たぶん9/1頃にリリースできるかもです。
そのあとにFN1242の8パラ(32パラ)を検討していきましょう。


ちょっと話変わって

今回の基板製作の中で、こんなものもつくりました。
電源基板の正のみのものに平滑回路をつけたものです。基板の縦寸法を
アンプ類と同じにしたのでちょっと面積に余裕ができて、コンデンサも比較的太めの
ものを3本載せることができます。


秋月の3300uF/50Vのコンデンサを載せた場合。


デジットの1000uF/50Vのコンデンサを載せた場合。


閑話休題

基板に部品を取り付け!
基板も到着したので、早速つくって行きましょう。
まずはA11基板から。これは、リニューアルDAC1242(DAC1242-2)のアナログ回路になります。
新規のパターン設計ですので、不安があるとすればやっぱりこれです。ということで
まずはこれからチェックです。完成後に評価ボードに差し込んで動作チェックをしますが、問題なしで一安心。
入力のTRは2SK117をつかいましたが、無選別にもかかわらず、VRはほぼ中点でゼロオフセットに
なりました。

完成したA11基板。

つぎはメインボードにかかります。A11基板に比べると、こちらの方が部品点数が少ないので
製作は簡単です。というか、これだけの面積があるのに、ちょっとしか部品が載っからないのが
ちょっと寂しいです。

完成したDAC1242-2のメインボード

この時点で、一度メインボードにA11基板をのっけてみて、どんな感じになるか確認します。
やはり、A11基板がのっかったほうが外見が引き締まってみえますね。

A11基板を搭載して、これが本来の姿?

今回のメインボードではサーボとNONサーボの切り替えのためにジャンパーポストをたてました。
いつもは、半田付けで簡単にすましますが、ちょっと入れ替えを何回かしそうな予感もあったためです。

サーボとNONサーボはジャンパー切り替え

動作確認するぞ!
動作の確認には、電源基板やDAI基板が必要ですが、ちょっと横着して以前につくったものを流用しました。
ということで、ケースに収めたDAC1242をちょっとだけ間借りすることにしましょう。
DAC1242のケースを開けると、まず一番上にメモリーバッファーが見えます。
この下にDAC1242の基板があります。

DAC1242のケースを解体すると、最初に見えるのはメモリーバッファー

ようやくDAC1242が見えました。あらためて見ると、結構部品配置が綺麗です(自画自賛?)。
さて、この基板をはずして、DAC1242-2に入れ替えます。電源ラインとアナログ出力を入れ替えるの
ですが、おなじ位置ですから至極簡単に入れ替わります。

これはDAC1242。整然と部品がならんでいます。

さて、DAC1242-2に入れ替わりました。ものすごくスペースがもったいないような基板ですね。


動作の確認は、WAVE GENERATOARソフトでPCにて信号を発生させてDACに入力します。

(1)OPアンプのみ
差動アンプにオペアンプ(OPA134)を使用した場合の構成はこんな感じです。ジャンパーポストはNS(ノンサーボ)にします。
この状態で入力にパルス波を入れてオシロで信号を確認。無事動いているようでなによりです。
このときの出力オフセットはL:-23mV、R:56mVでした。ちょっと大きいですね。
抵抗器の誤差やFN1242Aの出力誤差などが重なっているのでしょう。大きいとはいえ、カップリングCの
入ったアンプと接続するなら、問題にはならないでしょう。

 
OPアンプのみですっきり増幅。サーボはありません。  出力波形も問題無しです。

(2)OPアンプ差動+サーボ回路
次は、サーボ用のOPアンプ(こちらもOPA134)を載せてサーボ回路をONします。
このときのオフセットはL:0.9mV、R:0.0mVときわめて小さくなりました。



(3)ディスクリアンプ+サーボ回路
つぎは差動アンプをディスクリアンプに載せかえます。この手順は差動アンプ用のOPアンプを抜いて
ディスクリアンプを追加で挿すだけです。サーボ回路が効いているので、出力オフセットは(2)と同じで
R:0.9mV、L:0.0mVでした。ディスクリアンプ基板のオフセットは無調整で単にVRを中央にセットしているだけです。
   
ディスクリアンプ基板を挿す前の状態                挿した後の状態


パルス波形にて動作を確認

ケースに入れ込み!
ディスクリアンプ基板毎での音質評価とかも考えてケースに入れることにしましょう。というか、前回つくったDAC1242と
入れ替えるだけの作業です。ただし、今回作ったDAC1242-2はドータボード有りになるので、高さが結構あります。
そのため、メモリーバッファーとの同居は難しいので、DAIには純正(?)のものをつかいました。


ケースに入れて完成!

音質評価はいかに?


(つづく?)