札幌市のKさんから頂きました。
読み応えのあるなる内容なので頂いたメールをそのまま転載しています。


本日3月10日、ようやく PCM-61P 8パラ構成 DAコンバーター を完成させました。名は「 DAC-539 」。とりあえずは本品を見てください。
  
                            
いかがです? いいでしょう。まさに苦心の作です---。自分で設計した訳でもないのにどこが苦心かって? まあ、他のお仲間と同じように地獄のループにはまりつつあるからかも知れません。

 実装技術がへたくそなので自作基板の見栄えが大層悪いですね。これでもドローソフトを使って詰めたつもりなんですが。いや、老眼のせいかも。オークションでゲットしたPEAKの15倍ルーペが大活躍しています。
 
 
 LPFはOPアンプ AD797AN を反転増幅にて動作させています。反転増幅は音が良いですね。要参考 「ラ技1997年3月号 石塚峻氏の記事」。NF型 RIAA EQも MCカートリッジ対応であれば 反転増幅アンプで作る事ができます。 コンデンサーはポリエステルフィルムを手持ちから。抵抗はカーボンと手持ちのリケノ−ムRMD。オーディオ向きの品質の良い小容量のコンデンサーは益々入手難になりつつあります。ご当地 札幌の「梅沢無線」も歯抜け状態です。
しかるにカットオフ周波数は1次、2次供 理想から高めにズレています。後はOPアンプの間近に15マイクロ25vのOSコンを電源にパラっています。出力に10マイクロの
フィルムコンを入れていますがDC漏れでプリアンプのボリュームがガリオームになるのが心配で入れています。当然、このコンデンサーのキャラが出るんでしょうね。尚、自作の真空管プリは全段SRPP構成で12AX7 + 6922ミューフォロワ−+ 6FQ7です。ボリュームはALPSのデテントステレオタイプを擬似定インピーダンス接続しています。
 

 I/Vコンバーターは手持ちの NE5534 を使っていますがいずれ OPA627BP に換装します。音の変化が楽しみです。
帰還抵抗は KOWA の2W型でゴロンとしたタイプですが癖のない音が気に入って使っています。本音は DALE のNS-2Bを使いたいのですが、札幌の「梅沢無線」にあろう筈がなく通販に頼ることになります。時々利用させていただいている「若松通商」にはないのでラジオデパートの「海神無線」ですか ?。振り込み手数料や運送賃を考えるとある程度まとめ買いをしなければ単価が跳ね上がりますし電話とFAXで何回もやり取り ?。うーん、躊躇するところです。今は1個90円のKOWAで我慢。
 
 雑音はディジタルIN開放、出力無負荷で 1.7mV (フルーク179で測定) でした。はて dB換算は ? 周波数特性は L,R 供-3db落ちの点は約 54KHz です。PCM61P と I/V の結線を外し360オームをつなぎ入力INPとして測定しましたがオシレーターの出力INPが600オームですので測定のセオリーから外れています。アバウトな値だと思って下さい。バルボルはTRIO VT-103、オシレーターはAG-201と「化石」です。ちなみにオシロは菊水の 537。まだまだ、三田無線(デリカ)のミニブリッジM-1まで持っていますぞ。
 
 
 電源トランスはメカニカルフロートさせました。製作マニュアルにも書かれてあるように今回は「RSコンポ−ネンツ」よりトロイダルトランスを取り寄せました。一般にトロイダルトランスは「鳴き」が出るといわれますのでシャーシーよりフロートしようと思い、ゴムブッシュを捜しましたが良いものが見つかりません。ネットで検索して行く内に「ゲルブッシュ」というキーワードに当たり HOMEPAGE を開いてみました。「GELTEC」 というメーカーです。
 

HDDやファンの防振に使われており共振点周波数、適正荷重等のデータが示されています。勿論、直販もしていますが何せ単価が高い。4個一組で1900円ですよお客サン ! !。1万円以上でないと送料が無料にならない。エーイ、十勝岳から飛び降りる覚悟、後30年の残り少ない余生、いや、レコードプレーヤーの防振にも使えるではないか、製作予定のプリアンプにも。というわけで適当に見繕って買っちゃいました。届きました。見ました。「ふにゃふにゃ」の代物です。シリコンゴムの可塑材を極端に少なくした感じで大丈夫なのかな〜。とにかく柔らかい。今回はA-1というタイプを使いました。
 

このブッシュを1mm厚の銅版の4隅に9mmの穴をあけはめ込みます。天側を金属ワッシャとナットで固定するのですがワッシャの径が小さいとゴムが柔らかいのですっぽ抜けます。気をつけなければいけません。
銅版は両サイドをアルミのサッシで補強しています。トランスを3個載せてみます。おー いい感じですね。いかにも振動を吸収しそう。ここはメーカー発表のデータを信用しましょう。トランスの固定は付属のビスナットではなく皿頭にし、銅版にザグリを入れて固定しました。でないとビスの頭がケースの底板とぶつかります。フィルター内臓のACインレットはバラしてアース結線を全て外しています。雷が怖い。本当は「安井明氏」発表のノイズフィルターを使いたいのですがスペースがありません。その代わり銅版は SN8S-400 に 39オームをパラってシャーシに落としています。

 DAコンバーター基板は入力の 0.1マイクロを EROのMKP1841へ、0.047マイクロをポリエステルフィルムへ換装。470マイクロを100マイクロ20VのOSコンへ換装。+ - 12V電源には SN8S-400 をシリーズに入れてあります。オプションの2200マイクロ35Vも1個160円の新品を付けました。

 ケースはタカチ製。ピンジャックは奮発してCANAREの RJ-RU を取り付けました。
名入れはIllstrator9.0 でポジフィルムを興し製版してスクリーン印刷しました。アルミ用のインクがなくポリオレフィン系のインクにエポキシ硬化剤を混ぜて使いましたが擦ったら取れそうです。なにせナイロンジャンパー用のインクですから。案の定ルーペで観察するとインクが弾いています。一応、車用のクリヤーペイントを吹き付けてあります。

 いよいよ出来上がりました。さて通電。テスターで各部の電圧をチエックしました。あれ ? おかしいぞ IC4 の7905がマイナスコンマ数Vしかでない。7805はきちんと5V出ているのに。すわ、配線ミスか ? 基板を裏返したりルーペで半田ブリッジがないか調べたり冷や汗ものです。三端子レギュレーターはショートして破壊されると一次側の電圧が一気に流れ込むことが有り下流域を全滅させますからそれが心配でした。PCM61Pを8個全部交換 ? 。考えただけでも恐ろしくなります。そんな気力残ってまへんがな。翌日、「梅沢無線」に走り東芝の79005Sを2個買い求めました。付け替えました。-4.95V出ています。少し熱が高いようですが。何とか一安心。

 今度こそ音を出すぞー。欲求不満も限界にきています。RCAケーブルはモガミの2511を80cmにカットし CANAREの F10 RCAプラグに半田づけしたものを使いました。トランスポーターはCD-17a。DAC7搭載でゴリッとした力強い再生音が特徴です。CD-17aの COAXIAL 出力からDAコンバーターのディジタル IN へつなぎ、そして音出し。「ほー」、「ふーん」、「なかなか」 が第一印象。そのまま後かたずけをしていると「ふっ」と音が途切れます。蛍光灯を点けたり消したりすると音が途切れます。冷蔵庫にも反応します。静電気の
ショックにも。これにはまいった。年をとると立ち直りにも時間が掛かります。で、2日程放っておきました。エージングも兼ねて。

 さて2日後、心機一転配線を再度調べました。其処ら中に飛びまわるノイズに反応するのですからディジタル IN 当たりが怪しいとにらみデジ復調 ICの TC9245Nのマニュアルを読むと「同期信号でエラーを検出するとミューティングが掛かる」とあります。そこでディジタル IN の配線を調べると解りました。プラスマイナス逆に半田付けしていました。GNDが浮いた状態だったのです。これではディジタル信号にノイズが重畳しエラーになります。早速正しく半田付けし直しました。OK です。しかし、インバーター式蛍光灯と静電気ショックにはまだ反応します。実は前々からDAコンバーター基板のGNDをどこに落とそうか悩んでいました。とりあえずDACトランスの中点、回路図のP4から落としましたが、只これですとディジタル IN のGNDまで高周波的には相当距離が有る事になりこれが原因でノイズが飛びつくのかも知れません。そこで、ディジタル IN のピンジャックから間近のシャーシにGNDをとりました。2点アースです。これで殆どエラーを起こさなくなりました。強烈な静電気ショックにはたまに反応しますが。

 

 エージングも進んできたようで音質が変化してきました。聞き疲れのしない音です。
「ドン・グル−シンのバナナフィッシュ」、サブウーファーから重厚な低域が再生されます。
クロストークが優れているのでしょう、音像が立体的です。「エイドリアン・レッグのミセス・クロウズ・ブルー・ハウス」ではアコースティックギターの艶やかな余韻と弦をフレットに押さえつけるときのビビリ音が心地よく響きます。
 「ピエール・ヴ−レーズ、ウィーン・フィルのマーラー・第6番」は楽器の分離が良く混濁しません。ダイナミックレンジの大きさを味わえます。AD797AN の功績が大きいようですが NE5534 も充分現役で通ります。出力レベルが少し低いのでI/V変換抵抗360オームの値を上げたほうが良いかもしれません。CD-17a内臓のDACは長時間聞くと疲れます。チョット聞きの印象はすごく良いのですが、今度蓋を開けてI/VコンバーターとLPFの当たりを見てみようと思います。