ASRCリニューアル?の巻き。 2010.4.3

ASRCは在庫切れになった状態が続いていますが、リクエストも多くできるなら再び
リリースしたいとは思っていますが、最大の課題はキーパーツが手に入りません。
いや、入手しようと思えば手に入りそうなのですが、購入価格がかなり高くなっています。
ここでいうキーパーツは次の通り。
1.DAI:DIR9001
 これについてはDIGIKEYで手に入りそう。でも、在庫が心許ない状態。
 たぶん、次に在庫切れになったらリードタイム20週くらいで、いつ
 はいるかわからない状態になるでしょう。
  リニューアルするとなるとCS8416に切り替えたほうが良さそうです。
 それにCS8416に変えると、入力回路がかなり省略できるのと192kHzまで
 対応できるメリットがあります。

2.SRC:SRC4190/4192
 これがないと始まりません。ASRCの心臓部です。DIGIKEYをみるとSRC4190
はなさそうですが、SRC4192は少しだけあります。でも在庫がいつまであるか心配。
AD社のAD1895/96に切り替えたほうがいいか〜とも浮気心。これは基本的にSRC4190と
AD1895はほぼピンコンパチになっているようです。でも、微妙に機能が違っています。
これって、どちらかがOEMなんだろうか?それともひょっとして同じ人が設計したのかな?

3.DIT:DIT4192
 これはトランスミッターですが、DIGIKEYには在庫ありませんが、BBSで教えてもらった
ところに在庫がありそうです。

4.PLL:PLL1707
 これが最大の課題です。DIGIKEYにはありません。若松通商にはありますが@900円と
ちょっと高めです。ちなみにDIGIKEYで買うことができれば@300円くらいです。まあ、600円の
差なのですが3倍を払うことに対して、ものすごい抵抗感を感じてしまいます。
こうなったらPLLを使わないでいこうかと思いますが、周波数を32〜192kHzで7段階で切り替える
ことを考えると水晶が2つ必要です。それにSRC4192用のマスタークロック用にさらに1個。
やはりPLLの威力は絶大です。

キーパーツ入手に目処?
いろいろと探していると見つかるものです。まだ実物は手にしていませんが、なんとか
手に入りそうな感じです。ということもあり、このページを立ち上げています。
そのため前作とはすこし構成が変わってしまいますが、新しいASRCを設計したいと
思います。まずは、仕様というかコンセプトを列挙していきましょう。

コンセプト&仕様
1.入力
 CS8416をDAIにつかうことを考えて4ch入力。うち2chは光コネクタがつけやすいように
電源端子も出力しておきましょう。入力の切り替えは、2線あれば4ch切り替えできるけど、
こうすると切り替えのロータリースイッチに2回路4接点のものが必要になるので、
一度74139あたりでうけたほうが便利かもしれません。これなら1回路4接点のロータリー
スイッチで足りますし、配線も簡単になるでしょう。

2.出力
 (a)デジタル出力は前作と同様にパルストランスを介した出力と、TTLレベルの出力の
   2系統としましょう。あとはDAC1794-5などとも接続しやすいように、制御線(BC,WC,DT)
  の出力も10Pのコネクターで出すようにしておきましょう。

3.周波数切り替え
 これは32〜192kHzそしてTHR(なにも変換しない)という出力切り替えとしましょう。

4.基板サイズ
 これは前作より一サイズ小さくして、DAC1794-5や電源基板等と同じサイズにします。
 これで2階建てが可能になります。

5.電源入力
 前回はACトランス接続にしていましたが、基板サイズを小さくすることもあり
 平滑回路を搭載するのは難しそうです。ということで、5Vの外部電源供給にしましょう。
 3.3Vについては内部で生成することにします。

さて、仕様がかたまったところですが、
今回は前作とは一部違った石をつかうので(DIR9001→CS8416,PLL1707→PLL1705)、
どのような設定にするのか再度確認しておきましょう。

各ICの設定

1.SRC4192の設定


SRC4192設定

Pin 名称 設定 説明 Pin 名称 設定 説明
1 LGRP L 28 MODE2 L Slave mode
(DIT4192がマスター)
2 RCKI 27MHz PLL1705(MCKO2)より供給 27 MODE1 L
3 N.C. 26 MODE0 L
4 SDIN CS8416-P26 DATA INPUT 25 BCK0 DIT4192-P11 BCK INPUT
5 BCKI CS8416-P27 BCK  INPUT 24 LRCK0 DIT4192-P12 LRCK INPUT
6 LRCKI CS8416-P28 RCK INPUT 23 SDOUT DIT4192-P13 DATA OUTPUT
7 VIO 3.3V CS8416も3.3V動作 22 VDD 3.3V
8 DGND GND 21 DGND GND
9 BYPAS 20 TDMI L 未使用
10 IFMT0 H(3.3V) 入力
24Bit-Right Justified
19 OFMT0 H 出力Right-Justified
11 IFMT1 H(3.3V) 18 OFMT1 H
12 IFMT2 H(3.3V) 17 OWL0 L 出力24Bit
13 RST リセット回路 負論理 16 OWL1 L
14 MUTE 15 RDY OPEN 未使用


2.DIT4192の設定


DIT4192設定

Pin 名称 設定 説明 Pin 名称 設定 説明
1 CSS L 28 MODE Hardware mode
2 COPY/C H 27 U L
3 L L 26 V L
4 CLK1 L CLK0=L (128fs) 176.4,192kHzのみ
CLK0=H (256fs) 上記以外
25 BLS OPEN 未使用(OUTPUT)
5 CLK0 * 24 BLSM H
6 MCLK PLL1705-SCK02(P2) 256fsを接続 23 EMPH H 未使用
7 VIO 3.3V 3.3Vロジックレベル 22 AUDIO L
8 DGND GND 21 MONO L
9 FMT0 L 入力は24Bit Right Justified 20 MDAT L
10 FMT1 H 19 VDD 5V
11 SCLK SRC4192-P25 BCK OUTPUT 18 TX+ OUTPUT 出力
12 SYNC SRC4192-P24 LRCK OUTPUT 17 TX- OPEN
13 SDATA SRC4192-P23 DATA INPUT 16 DGND GND
14 M/S H Master MODE 15 RST リセット回路 SRC4192-RST

3.PLL1705の設定


Pin 名称 設定 説明 Pin 名称 設定 説明
1 VDD1 3.3V 20 VDD3 3.3V
2 SCKO2 DIT4192-P6(MCK) 256fs基準 19 SCKO1 OPEN
3 SCKO3 OPNE 未使用 18 SCKO0 OPEN 未使用
4 DGND GND 17 DGND3 GND
5 FS1 * 下表参照 16 DGND2 GND
6 FS2 * 15 MCKO2 SRC4192-P2(RCKI) 27MHz出力
7 SR * 14 MCKO1 OPEN 27MHz出力
8 VCC 3.3V 13 VDD2 3.3V
9 AGND GND 12 CSEL H
10 XT1 XTAL 水晶発振子へ 11 XT2 XTAL 水晶発振子へ

PLL1705のSR,FS1,FS2設定

SR FS2 FS1 SCKO2出力 DIT4192設定 サンプル周波数
L H L 8.192MHz 256fs 32kHz 32kHz系 Standard
L L H 11.2896MHz 256fs 44.1kHz 44.1kHz系 Standard
L L L 12.288MHz 256fs 48kHz 48kHz系 Standard
H L H 22.5792MHz 256fs 88.2kHz 44.1kHz系 double
H L L 24.576MHz 256fs 96kHz 48kHz系 double
H L H 22.5792MHz 128fs 176.4kHz 44.1kHz系 double
H L L 24.576MHz 128fs 192kHz 48kHz系 double


アートワークにかかろうかな。


まずは基板サイズに必要な部品がどの程度の密度感で実装できそうかを確認。
結構密なような粗なような・・・・・
プルアップ抵抗は集合抵抗にした方がいいかな?


まずは必要になりそうな部品を載せてみる。

ザッと配線をしながら、部品配置をトリミング。
なんとか、配線はできそうです。

まずは、仮配線。

デバッグ用に回路図を作成しましょう。これは、また今度。


回路図を書く前に、もう少しパターンを見直し。これで回路図をおこしましょう!


回路図はこんな感じ。(図をクリックするとPDFファイルが立ち上がります)


パターンこんな感じ。(図をクリックするとPDFファイルが立ち上がります)

あとはもう2回ほど回路図とパターンを見直しておきましょう。


久し振りに作業再開。内蔵介さんから「96kHzもプルアップしたほうがよい」とのご指摘もあり
若干パターンを修正しました。これが最終版かな?

少し見直し(図をクリックするとPDFファイルが立ち上がります)


こちらもリニューアル?

パターンこんな感じ。(図をクリックするとPDFファイルが立ち上がります)

PLLは必須じゃないな〜と思い、PLLレスでのパターンに変更。

パターンこんな感じ。(図をクリックするとPDFファイルが立ち上がります)

これはADC(アナログーデジタルコンバータ)です。何につかうかといえば、FMの出力を
ディジタルに変換しておけば、DACで切り替えられるので便利ということで、以前作りました。
そのときはPCM1804をつかいましたが、さらに性能の高いPCM4202が出たので
それを使ってみようという企みです。

ちなみに、PCM4202のマニュアルを見ると

という文字が最初のページに見えます。置き換えできるのなら、以前の基板が使えるかな?
とも思いましたが、DIT4192のディジタル出力がややひ弱なところがあって、パルストランスを
うまく駆動仕切れなかったので、出力をバッファリングする回路を入れることにしました。
しかし、マニュアルを最後まで読んでいくと、なにやら単純に以前の回路をそのまま踏襲する
には問題の有りそうなところもでてきました。



微妙に違うようです。
まず、PCM1804に対してPCM4202は入力が6Vppと1Vppアップしています。これがダイナミックレンジがPCM4202が118dBと
高い理由にもなっているのでしょう(PCM1804は112dB)。
次は、PCM1804はロジックレベルは5Vでも良かったのですが、PCM4202は3.3Vにする必要があるようです。以前の回路では
DIT4192を5V動作させていたので、これは問題ありです。
次はリセットピンがPCM4202ではプルアップに変更(PCM1804ではプルダウン)。

というところでしょうか。しかし、これだけ変更されるとピンコンパチじゃないのでは?と思ったりします。
それと、マニュアルを眺めても各種のロジック入力PINがプルアップされているのかプルダウンされているかの
記述がありません。ということは、明確にVccあるいはGNDに接続しないと、動作が不安定になるということですから
ここも、PCM4202をつかうには注意のいるところかもしれません。


とりあえず基板は試作に!

今回は2回ほど回路とパターンを見直しましたが、見直すたびに間違いがみつかって、
こりゃできあがってもなにかありそうです(汗)。でも、試作に出すには思いっきりも大切(笑)。

これで試作にだしましょう!(図をクリックするとPDFファイルが立ち上がります)

回路図はこんな感じ。


PLL1705の在庫がない〜〜!!

試作用のPLL1705は入手したものの、追加で購入しようとしたら在庫検索すらひっかからない。
取り扱いやめたのかな〜?
しかたがないのでRSコンポーネンツで注文。納期は未定だけど、先日回答がありました。

こりゃ、気長に待つしかないようです。お盆休みの工作ですね。


試作基板到着! 2010.4.28

まずはASRCから。
基板自体はさほど大きくありませんが、部品点数も少な目なのでなんとなくゆったり・・
かな?

基板到着しました。

最初はひたすら表面実装部品を半田付け。SSOPが3個あるけど、、もう慣れました。
反対にSOPの大きさだと、面白くありませんので(笑)。こうゆう油断が危ないのですよね。

表面実装部品の取り付け完了。

そして残りの部品を取り付けて完成です。ほんとに部品点数少な目なので
早くできあがりました。

完成!まずはお出かけ用の写真をパチリ

動作確認! 2010.4.29
実験用電源に接続して動作確認です。動作のためには5V電源が必要です。
すべての配線を行って、あとはスイッチを入れるだけですが、この瞬間っていつも緊張します。

動作確認の様子!動くかな?

出力の確認はまずは、デジタル出力(SPDIF)にオシロをあてて行います。波形が出てきているのが確認できました。
また周波数を切り替えると出力周波数も変わります。でも、ディジタル出力では、本当に正確な周波数で
出力出来ているかわかりにくいです。
 
デジタル出力の波形(48kHz変換時)          デジタル出力の波形(192kHz変換時)

ということで、オシロプローブをワードクロック(LRクロック)に切り替えて、すべての周波数について確認して
みました。無事出ているようです。やっぱりPLLは便利ですね。
  
      32kHz変換              44.1kHz変換             48kHz変換 

  
     88.2kHz変換              96kHz変換             176.4kHz変換 


    192kHz変換

j実際にDACに接続しての動作確認をおこないました。接続したのはDAC1794−3.5ディジタル+IV変換差動増幅基板です。
接続は普通に同軸ケーブルでおこないます。
 
DACに接続して動作確認。問題なく波形出力が確認できました。

出力は問題ないことはわかりましたが、ディジタルフィルター付きのDACに接続してしまうと、実際の周波数変換
の様子がわかりにくいこともあり、ディジタルフィルターの無いDACに接続してみましょう。
ということで、久し振りにR-2RDACの登場です。久しく、本棚に置いていたこともあり、ホコリをかぶっていましたが、
すこし吹き飛ばしてやって、接続しました。電源は10Pケーブルを通してASRCから供給しています。


R-2RDACとASRCを接続して動作確認

さっそくオシロにつないで波形を確認してみましょう。
変換周波数が高くなるにつれて、波形がなめらかになって来ている様子がよくわかります。
これについては以前のASRCでも同様の実験をしたことを思い出しました。
  
32kHz変換                           48kHz変換


192kHz変換

最後の動作確認としてDAC1794-5に接続してみました。


ASRCを搭載する前のDAC1794-5


ASRCを子亀のごとくDAC1794-5の上に搭載。コネクタの位置は揃えています。

出力も無事確認できました。


DAC1794−5の出力を確認。

さて、これでASRCは完成です。あとはケースに入れるだけですが、GWの楽しみです。
まずはケースを買いだしにいかないといけません。いつ行こうかな?


引き続きADC4202にとりかかろう! 2010.4.29

できあがった基板はこれ。アナログ部は余裕の配置。デジタル部は少し窮屈な感じです。

ADC4202基板

部品点数はそれなりにありますが、あらかじめ部品を揃えておけば1時間程度で完成です。

完成したADC4202基板


さて、このADC基板はどうやって動作確認しようかな?
いずれにしても今日は遅いのでお休みしましょう。これもGWのお楽しみ。
明日は残念ながら出社日・・・・・

まずはジャンパーの設定 
 ADCをどの周波数で動作させるかを決めるためにジャンパーの設定をします。
ジャンパーはいくつかありますが、諸々の動作モードを決めるのはJP1とJP2です。


 JP1とJP2が機能を決めるジャンパー


それぞれの機能を一度整理しておきましょう。整理しておけば、あとあと見返したときに
便利です。

JP1の設定

SM

PCM4202
サンプルモードの設定

L:Master  HSlave L
FR0〜2

PCM4202
サンプルモードの設定

下表参照 48kHz設定時
(水晶24.576MHz)
FR0:H
FR1:L
FR2:L
HPD

PCM4202
ハイパスフィルターの設定

H:フィルタOFF
L:フィルターON

L
MS

DIT4192
Master/Slave設定

H:Master  LSlave L

JP2の設定(DIT4192)

CK0 ,1 マスタークロック設定 下表参照 48kHz設定時
(水晶24.576MHz)
CK0:H
CK1:H
CP Copy Status コピープロテクト設定 H
L Generation Status

変換周波数は用いる水晶振動子の周波数とJP1のFR0〜2とJP2CK0,1の組み合わせで決定します。下表はその組み合わせの一例です。

JP1

JP2

サンプル周波数(kHz)

設定モード

水晶振動子(MHz)

FR2

FR1

FR0

CK1

CK0

32

512fs/Single

16.384

L

L

H

H

H

44.1

384fs/Single

16.9344

L

H

L

H

L

44.1

512fs/Single

22.5792

L

L

H

H

H

48

512fs/Single

24.576

L

L

H

H

H

88.2

256fs/Dual

22.5792

H

L

H

L

H

96

256fs/Double

24.576

H

L

H

L

H

192

128fs/Quad

24.576

H

H

H

L

L

今回の設定では48kHz(512fs/Single)に設定しています。
  
JP1の設定              JP2の設定

いよいよ動作確認!
次は全体が動いているかどうか、すなわちアナログ入力を入れて
ディジタル出力に変換されているかどうかの確認を最優先で行いましょう。
ということで、まずはADCの入力に発振器の出力を接続し、ADCの出力に
DACを接続することにします。そして、波形を見比べて見ましょう。
見比べる前に動かないといけないのだけど・・・・

無事動きました。
結線は
発振器→ADC4202→DAC(DAC1794-3.5)
としています。
入力信号に対して、DACから出てくるときにはトータルで2mSの遅れが
でている様子がわかります。

上:ADCへの入力信号 下:DACからの出力信号 2msの遅れ。


上:ADCへの入力信号 下:DACからの出力信号
一致しているようだが、実際には2ms遅れている。



話はASRCに戻り・・・・

ケースに収める! 2010.5.1

今回用いたケースはタカチ電機のYM−200(200×40×150mm)という小さいケース。
ASRCはアクセサリーの類だから、できるだけ小さくまとめたくこういったケースを調達しました。
電源も小さいトランスで適当なモノがみつから無かったので今回はACアダプターを使用することにしました。
5V出力のアダプターを使えば、電源基板も不必要になりますが、手持ちに15Vのアダプターがあったので
これがつかえるように電源基板も搭載します。電源基板には整流用のダイオードも実装しましょうl。
そうすれば、ACアダプターの極性が間違っても問題なく動作するので、リスクが小さくなります。
ASRC基板にはパルストランスがのっているので、そのままディジタル出力もできますが、
現在検討中の空芯タイプのPOWERED ISOLATERも搭載することにしました。

配線前のASRC

POWERED ISOLATERは74AHCU04を2パラのプッシュプルで計4個使っています。

74AHCU04を4個搭載したPowered Isolater

電源基板の部品も実装し終わって全体を配線していきましょう。配線数も多くはないので
案外短時間で完成しました。


まずは後ろからパチリ!



次は前からパチリ! テプラで銘板もいれておきましょう。


表パネルの様子。テプラが少し傾いて貼ってあるのはご愛敬(笑)。

ロータリースイッチに4接点のものが手持ちにあったので、これをつかいました。そのため周波数の切り替えは
44.1kHz、48kHz、96kHz、192kHzの4種類のみですが、とくに問題はないでしょう。

さて、DACに接続して動作を確認したので、ASRCは完成です。ちゃんちゃん!


話はADCに戻り・・・・

ADCについては、単純にオシロで動作を確認するだけでなく実際に試聴してS/Nなどの確認が重要です。
ということで、
PC(トランスポート)→DAC(DAC1794-3.5)→ADC→DAC(DAC1794woDAI)
という組み合わせで試聴です。


DACの出力をADCに入れて、その出力をDACへ。ややこしいですね。

ノイズ感もなく、ADCを通している感じはまったくありません。これはPCM4202になって
性能がアップしたというよりも、パターンの作成技術が以前に比べて向上したからかな(笑)。
まあ、いずれにしても性能的には満足な結果が得られました。

どこまで変換できるのかな?

ADCの設定は48kHz変換にしていますが、このときどの帯域まで変換できるのかちょっと
試して見ましょう。
構成は
発振器→ADC→DAC
です。DACの出力を観測しますので、ADCでの変換限界か、DAC側での変換限界かは
区別がつきませんが、トータルとしての変換周波数の観測です。

1.現状の48kHz変換時
 1/2fsまでは問題なく変換できているようですが、1/2fsを越えると当たり前ですが、
出力ゼロになってしまいます。
 
  f=9.94kHz                         f=22.06kHz

 
f=24.5kHz                         f=25.57kHz

2.96kHz変換時
96KHzも同じように、1/2fsで限界です。
 
f=44.5kHz                         f=51.17kHz

3.192kHz変換時
192KHzも同じように、1/2fsで限界です。また91kHzでも振幅が落ちていますが、これはアナログ回路の
フィルターの都合によるものでしょう。
 
f=52.86kHz                         f=91.27kHz

 
f=111kHz                         f=129.4kHz

この実験で192kHzまでの変換が行えることが確認できたのと、ディジタルオーディオでは1/2fsが再生の
限界になっていることがよく認識できました。

さて,ADCの話題もこのあたりでお開きかな?あとは、どのようにケースに収めようか考えていきましょう。

ケースに収める。 2010.5.3

ケースとトランスを買いだしに日本橋へ。GW真っ最中ということもあり、車が混んでいるかとおもいきや、
いつもの土日よりも空いている感じ。いつもはいっぱいの堺筋の路上パーキングスペースも所々空いていた。
さて、デジットに入りどんなケースにしようかと迷いながらも、色々といじれそうな
弁当箱ケースにすることにしました(というか、これが一番安かった)。
ちょうど、電源基板と2枚並べて入れられることができます。
トランスは0−15−16−17V、0.3Aの小型のものです。正負電源が必要なので、半波整流でつかうことにします。
EIなのでハムが出なければいいのですが、それだけがちょっと気がかり。
トランスとの距離も離れているし大丈夫だとは思うのですが・・・
ちなみに漏洩磁束の影響を受けにくくするためにもトランスは45度に傾けて取り付けます。

ADC4202はお弁当箱に入れましょう。

折角なので、ロータリースイッチを取り付けて変換周波数が変えられるようにと
3接点4回路のスイッチをとりあえず確保。
切り替える周波数は48,96,192kHzの3パターンでいいでしょう。
でも、家に帰って確かめたら3接点4回路だった・・・・、良く確認しなかったからな〜。

切り替えるために必要な箇所を洗い出すと、JP1のFR2,FR1、JP2のCK1,CK0の
4カ所・・・。やっぱり4回路3接点のスイッチでないといけないような感じ、どうしよう?
ちょっと一晩考えましょう。

JP1

JP2

サンプル周波数(kHz)

FR2

FR1

FR0

CK1

CK0

48

L

L

H

H

H

96

H

L

L

H

192

H

H

L

L

部品箱捜索!  発見!

ロジックを組んで対処しようかと思ったけど、面倒そうです。やっぱり3回路4接点のスイッチがあると便利だな〜
ということで、部品箱を大捜索!こういうモノはどこかに潜んでいるものです。
そして、発見。いつ買ったかわからない(10年以上前?)だけど、賞味期限が有るわけではないので
使えるでしょう。でも、表面はだいぶ酸化しているので、少しだけ掃除してやりました。

左:今回発見  右:先日買ってきたRSW
(色が違うのは変色ではなく、ベークライトの種類が違う?)

さて、ロータリースイッチが見つかったのはいいのだけど、どのように切り替えるかを少し検討。
というのも、制御しようとしている端子がIC内部であらかじめプルアップされているのか、
プルダウンされているのかを把握しておかなければいけません。マニュアルには何も書いてなかった
ので、フリーの可能性もあります。
 もし、内部でプルアップされているのに、外部でプルダウンでもしようものなら、設定電圧が中途半端
になってしまいかねません。

どの方式にするかを検討。一番右は絶対駄目なパターン(理由は、って?考えてね)

 ということで、制御端子のジャンパーを一度はずした状態で通電して電圧を測定してみました。
0.2〜0.3Vあたりでふらふらしています。どうやらプルアップもプルダウンされていないようです。
ということで、47kΩの抵抗でプルアップして、GNDに落とすか落とさないかで電圧設定をすることに
しました。

  
ジャンパーをはずして電圧を確認。              プルアップ方式にしましょう。

さて、設定方式も決まったことだから、ケース加工にはいります。弁当箱は1mmアルミなので加工も簡単!
加工が終われば、おもむろに配線をしていきますが、ADC基板がロータリースイッチの下に入り込むかたちに
なってしまったので、ちょっとだけ配線が面倒です。

ケース加工も完了し、配線スタート!

サンプル周波数の切り替え線はラッピング用の細い単線で配線しました。これで十分!
あとは、レンジオーバの確認用のLEDもとりつけています。これは基板端子から750Ωの
抵抗を直列につなげて赤色LEDにとりつけました。

ADC基板回りの配線を済ませました。左上はレンジオーバ表示のLED。

ADC完成!
ADC回りの配線が終われば、最後に電源回りの配線を済ませて完了です。
完了と同時に、通電して動作の確認を済ませました。

完成したADC4202!

最後にテプラでパネルに機能表記して完成です。これをしておかないと、時間が経つと何がなんだか
わからなくなってしまうんですよね。それに、テプラでもいいので、機能表記すると、なにがしら締まってみえます(笑)。

表面の機能表記


裏面の機能表記

さて、これで完成です。
GWの工作の宿題にASRCとADCを作りました。

今度は何をつくろうかな?

(つづく?)