ちょっとWM8741を試してみる、の巻き。 2010.10.2


ついでで購入したWM8741

いつものように海外の電子部品通販をつかっているが、なかなか
送料無料になるまで総額が積み上がらない。あと2〜3千円というところなので、
こういったときはつい、何かおもしろそうなパーツはないかと捜してしまいます。
それでDACを調べてみると、WM874Xなるものがみつかりました。
シリーズとしてはWM8740,WM8741,WM8742の3種類ありますが、
データシートのタイトル、ニュースリリースの文言、性能、価格を見ると、
それぞれ特徴があります。どうやらWM8741がもっとも性能が良さそうです。

WM8740 24bit,High Performance 192kHz Stereo DAC
@545円 120dB SNR

(‘A’-weighted
mono @ 48kHz)
一般機器用
WM8741 24bit 192kHz DAC with Advanced Digital Filtering

(2007-11-07)
ハイエンド・オーディオ製品向け
         ステレオDACの出荷を開始しました。
@1285円 128dB SNR

(‘A’-weighted
mono @ 48kHz)
ハイエンド用?
WM8742 24・bit 192kHz DAC with Advanced Digital Filtering

(2009-02-06)アドバンスト・デジタル・フィルタリング技術の採用で
         広範囲なオーディオ・アプリケーションをサポート
@1185円 126dB SNR

(‘A’-weighted
mono @ 48kHz)
WM8741の廉価版

ということでデータシートのAdvanced Digital Filterなる言葉にも魅せられてWM8741をついでで購入。
スペックを見る限り、かなりの高性能なので期待できそうです。

特徴は?
特徴を列記すると(ref http://www.incom.co.jp/newsroom/desc.php/3096)

<WM8741の主な特長>
■ 超高性能を兼ね備えながら、帯域外ノイズの低減や線形性の向上を実現し、
  プログラム可能な先進デジタル・フィルタの組み合わせを提供することで、
  従来のDACよりも自然な「アナログ・フィール」のサウンドを生成。

■ ハイエンド・ホーム・オーディオ、プロフェッショナル・レコーディング、およびスタジオ機器など、
  Hi-Fiオーディオが必要とされるあらゆるハイエンド・オーディオ製品に最適。

■ 高性能DACであるWM8740の後継、次世代製品であり、PCMモードを使用しているアプリケーションでは
  WM8740と簡単に置き換えも可能となり、製品の設計仕様によっては開発期間の最小限化が可能。

■ 128dBのS/N比(モノラル)を実現し、必要とされるリスニング性能に適合するようオーディオ・フィルタを
  調整することで、最も厳しい性能要求を持ったアプリケーションにも対応可能。

■ 独自の先進デジタル・フィルタの組み合わせにより、オーディオ出力に影響を与える数多くのパラメータを
  精彩に制御可能。群遅延、位相、レイテンシー、インパルス応答、遷移域ロールオフなどの多種多様な
  特性をユーザーが柔軟に選択可能。

■ 独自の低次モジュレータとマルチビットDACアーキテクチャの採用により、帯域外ノイズの低減と
  世界クラスの線形性を可能にし、音質のさらなる向上を実現。

■ SACD(TM)とCDの両ディスクの再生に対応する広範囲のオーディオ・インターフェース機能を搭載した
  完全差動ステレオ・オーディオDACシステム。マルチビット・シグマデルタ・モジュレータや差動電圧出力を
  持ったスイッチトキャパシタ・マルチビットDACに加え、ディザ付きデジタル補間フィルタ、
  高解像度ボリューム・コントロール、デジタル・デエンファシスを搭載。

となると、市販のDACのどのクラスに使われているか気になるところです、
ネットで調べてみると、Linnの新製品Akurateというのに搭載されているらしい。
それなりに値段がします。
□AKURATE CD
 SACD/CD/DVD-AUDIO (プレーヤー)
 <販売予定価格> ¥997,500(税込) 

これかな?

ハードウエアモードで使えるかな?
データシートを眺めて見るとハードウエアモードでも使えそうなのでホットしました。
マイコン制御が必要だと、ちょっとややこしくなります。
データシートをさらに眺めていくと、動作周波数の一覧があります。

え?
256fsモードでは192kHzは動作しないようです。192kHzで動かすにはシステムクロックは128fsあるいは、192fsにする必要があります。
すなわちCS8416のシステムクロックは256fs(あるいは128fs)なので、直結した場合は32〜192kHzでは連続で動かない
(動作保証されない)ということですね。これはRenew DAI for DF1706と同様のシステムクロックの分周回路を入れなくてはなりません。


  WM8741のシステムクロックの動作表(32〜192kHzを同一fsで動かすことはできない)。

そういえば・・・
PCM1794やFN1242は大丈夫なのかな〜。
PCM1794は大丈夫のようです。192kHzでも256fsもサポートしています。


  PCM1794のシステムクロックの動作表(32〜192kHzは128fs〜384fsの広範囲で動かすことが可能)

FN1242Aは128,192fsであれば32〜192kHzに対応していそうです。



さて、組み立てて見ましょう。

DAIはCS8416をつかいますが、基板はRenewDAIを流用・改造することにしました。
これは動作周波数に応じてシステムクロックを切り替える機能があるからです。
まずは変換基板と小さいユニバーサル基板に組み付けていきます。
久し振りのユニバーサル基板での半田付けに手が振るえてしまいました(笑)。

まずはテスト用の基板が完成!

Renew DAIと接続して動作準備完了です。

動作確認はこんな感じでおこないました。

動作確認!
このDACは差動電圧出力なので、その様子を確認しておきました。
アナログ電圧は5Vなので、出力は2.5Vをセンターにして振幅が1.5V程度で出力が得られるようです。
このまま差動アンプに通すと出力振幅は3Vになりますから、実効値も2V強でちょうどいいくらいですね。
]
動作確認時の波形(1kH正弦波および三角波、サンプル周波数は44.1kHz)

一番気になるフィルター特性

WM8741で一番気になるのがフィルター特性です。色々と可変できるようなので、どのように変わるか試してみました。
Pin4とPin22の組み合わせで変わるので、一通りみてみましょう。
調査時の波形はパルス波でサンプル周波数は44.1kHzです。

サンプリング周波数 44.1kHz システムクロック11.2896MHz(256fs)
Pin4 (FSEL/DINR)
L (GND) Z (Open) H (3.3V)
PIN22

OSR/
DSDR


L
(GND)

Low rate
Z
(OPEN)

Midium
rate
H
(3.3V)

High
rate

これだけ変わると面白いですね。どんな音がするのかワクワクしてきました。
ちなみに44.1kHz以上ではどんな感じになるか試したいところですが、44.1kHz以上に変換するにはASRCを通す必要があります。
しかしそうすると、ASRC内部のフィルターを通ってしまうので何を評価しているかわからなくなってしまうと想定されるのでちょっとパスです。

もう少し調べてみよう!

マニュアルを読み進めると気になる一文がある。

すなわち、動作周波数に応じて常にPIN22(OSR/DSDR)端子は設定を確実にしなさいということである。
これがどういったことを意味するのかも含めて、フィルターによる変化の様子と合わせて調べてみました。

まずは96kHz入力時。重要なことは波形の変化(これはASRCのフィルタのため、ほとんど変化がない)ではなく、Pin22がL(Low rate)ではうまく動かないということです。

サンプリング周波数 96kHz(ASRC使用) システムクロック24.576MHz(256fs)
Pin4 (FSEL/DINR)
L (GND) Z (Open) H (3.3V)
PIN22

OSR/
DSDR

L
(GND)

Low rate
Z
(OPEN)

Midium
rate
H
(3.3V)

High
rate


次は192kHz入力時。こちらもPin22がL(Low rate)およびZ(MIdium rate)ではうまく動かないということです。マニュアルに書いてあることは正しいですね。

サンプリング周波数 192kHz(ASRC使用) システムクロック24.576MHz(128fs)
Pin4 (FSEL/DINR)
L (GND) Z (Open) H (3.3V)
PIN22

OSR/
DSDR

L
(GND)

Low rate
Z
(OPEN)

Midium
rate
H
(3.3V)

High
rate

となると、このDACは44.1kHzあるいは48kHzをメインにして、色々なフィルターを楽しめるようにするのがいいのかもしれません。
しかし、どんな音がでるのかな?

差動合成回路はどうするかな? 2010.10.10

アナログ出力を出すには差動アンプが必要になりますが、どんな定数にするか検討してみました。
まずは下図のような回路で試してみましょう。
この回路構成だとシンプルIV基板を使えば、簡単にできあがりです。

差動合成アンプの回路構成


フィルタ特性。20kHzで-1dB、-3dBが約90kHz。
手持ちのコンデンサの都合で変な特性です(笑)。


組上がった差動合成基板。IVアンプは使わないのでスルーです。


早速試聴してみる!
差動アンプが組みがったので早速接続して試聴してみましょう。
DAI基板の上に差動合成基板をのせて、その上にWM8741の基板を載せました。
コンパクトに収まるので机の上が広く使えます。ホントは机の上を片づければもっと広くなるですが・・・(汗)。

まずは電源ON! 煙はでない(笑)。
出力オフセット電圧は左右がそれぞれ0.9mVと1.0mVなので問題なし。
これを確認してアンプに接続します。そして、まずはフルボリューム。ノイズはありません。きわめて静寂です。
これだけのバラックでノイズ無しとは嬉しいです。

バラックでの動作中。

そして、試聴に用いたのは今井美樹のCDです。
まず最初のイントロが流れた瞬間の印象はみずみずしいな〜という感じ。
歌が流れてくると、今井美樹が3〜4才若くなった印象です。
ちなみに、今井美樹っていくつなんだろう?(笑)。
調べてみたら、なんと同い年でした・・・・・。

このWM8741っていいな〜。折角なので基板にしたくなりました。

でも、ケースに入っていない基板がゴロゴロ(Renew DAC1704、Renew R-2R)しているのに
自分自身消化不良になってしまいそう。まあ、趣味だから仕方ないですね。

サンプル周波数96kHz以上のパルスの応答は? 2010.10.11

これって気になるところです。ASRCを通してしまうと、ASRC内のディジタルフィルタの影響が支配的になってしまうのは
すにで掲載した通りですが、素直に96kHzとか192kHzのサンプル周波数でのパルス波がはいると、WM8741のディジタル
フィルターはどんな応答をするのか興味が沸いてきました。

どうやってパルス信号をつくるか?

適当なロジックを組んで波形(BCK,WCL,DAT信号)を発生させることも考えられますが、手っ取り早い方法があります。
それは、メモリーバッファーを使う方法です。すなわち、メモリーバッファーには、たとえば48kHzサンプルでのパルス波形
を入力して、出力は96kHzに設定してやれば出力は強制的に96kHzでのパルス波形になります。音楽信号だったら
音が飛びまくりますが、この手の実験であれば全然問題ありません。

レベルコンバータ基板をつくる!

そうとなれば、メモリーバッファーとWM8741を接続するためのレベルコンバータ基板が必要です。メモリーバッファーの
制御信号のレベルは5Vですが、WM8741の入力は3.3Vです。この差を埋めておかないと、下手にラッチアップでもされたら
大変です。レベルコンバータといっても専用のICは手元にないので、74LVC04をつかうことにしました。この74LVCというのは
高速のロジックICですが、基本は3.3V動作です。が、入力レベルは5Vも可能なので、この74LVC04で5Vで受けて、
出力は3.3Vに変換してやろうという算段です。
74LVC04はインバータ回路なので2段直列にすることで、単なるバッファーとして機能させます。

レベルコンバータ基板の裏側               レベルコンバータ基板の表側

早速実験してみましょう!

メモリーバッファーと接続して早速、パルス波形の応答を調べてみましょう!

メモリーバッファーとWM8741の間にレベルlコンバータ基板を挿入

メモリーバッファーには1kHz周期でのパルス波形を入力しておきます。
そして、出力サンプル周波数を96kHzおよび192kHzに変更してWM8741の出力波形を観測しました。
ちゃんと96kHzあるいは192kHzに変換されているかどうかは、パルス間隔で確認することができます。
すなわち96kHzの場合だったら、間隔は2倍、すなわち500uSになりますし、192kHzの場合だったら
4倍の250us間隔になります。

では、早速観察した結果です。

サンプリング周波数 96kHz パルス波応答 システムクロック24.576MHz(256fs)
Pin4 (FSEL/DINR)
L (GND) Z (Open) H (3.3V)
PIN22

OSR/
DSDR

L
(GND)

Low rate
動作せず 動作せず 動作せず
Z
(OPEN)

Midium
rate
H
(3.3V)

High
rate


サンプリング周波数 192kHz パルス波応答 システムクロック24.576MHz(128fs)
Pin4 (FSEL/DINR)
L (GND) Z (Open) H (3.3V)
PIN22

OSR/
DSDR

L
(GND)

Low rate
動作せず 動作せず 動作せず
Z
(OPEN)

Midium
rate
動作せず 動作せず 動作せず
H
(3.3V)

High
rate

極力リンギングを減らした特性

プリリンギングを無くした特性

通常(一般的な)フィルター応答


といった感じです。なるほど、大まかにはPin4の選択により3種類の特性に変換できそうです。
 @Pin4=L   : 極力リンギングを減らした特性
 APin4=OPEN : プリリンギングを無くした特性
 BPin4=High  : 通常(一般的な)フィルター応答


すこし動作モードを整理しておきましょう。192kHzのみ動作周波数を変更させる仕組みをいれれば良さそうです。

Pin4 (FSEL/DINR) の設定
fs 動作周波数 Pin22設定 L (GND) Z (Open) H (3.3V)
44.1kHz
48kHz
256fs
OPEN

Midium rate

極力リンギングを減らした特性

プリリンギングを無くした特性

通常(一般的な)応答
96kHz 256fs
192kHz 128fs High(3.3V)

High rate


作るならば・・

コードネーム DAC8741-1.5
 小型の基板に整流回路込み。DQAC1794-1.5、DAC1242-1.5と同じ構成。
 wm8741はステレオ使い。

コードネーム DAC8741-2
 メモリーバッファーと同じサイズの基板に本体のみ。
 wm8741はモノ使い。出力アンプはディスクリ構成で、電源も独立供給可能で別基板。
 ハイエンド狙い。

かな?

まずはDAC871-1.5 2010.10.15

まず一つのポイントとしてシステムクロックの切り替え部分があるので、回路図を書いてみました。
周波数の切り替えスイッチのロジックは以前は7400をつかっていたが、今回は74125を使用しました。
この理由はWM8741のフィルターの切り替え入力が3STATEであるため、この出力形態があるロジックの
方が、なにかと流用できそうだからです。
 この周波数の切り替え回路はDAC8741-2でも同様につかえるでしょう。

システムクロック周波数の切り替えロジック

さっそく基板のアートワークにかかります。まずは必要なICを基板上に配置してみました。
今回は出力アンプにはヂュアルのOPアンプを1つだけのシンプルな構成です。
というのも、最近ではOPアンプを買うときに はデュアルの方が品揃えがよかたっりしますからね。

まずは必要な部品を配置してみました。

久し振りに作業再開 2010.10.23

ザッとベタGND以外の配線をしてみました。配線をしながら部品の配置も少し変更。
やはりディジタル部は込み入りますが、なんとかなりそうです。

これをベースにして配線を整えていきましょう。


まずは配線ルートを確保。


回路図を描いてみる。 2010.10.25
配線パターンの確認のためにも回路図をおこしました。
CADをお絵かきソフトのように扱っているので、ちょっと面倒でした。

図をクリックするとPDFファイルが立ち上がります。

パタン作成完了? 2010.10.30
まずは作成完了。一度チェックをしましたが、試作までにもう一度くらいチェックしておきましょう。


図をクリックするとPDFファイルが立ち上がります。

つぎはDAC8741-2!

まずは必要になりそうな部品を配置してみて部品密度を確認。
これくらいなら実装できそうだ。
構成は
 ・WM841は2パラ構成(全部で4つ)
 ・アンプ部はA12(LH0032)のディスクリ構成
 ・DAIも同居

といったところ。電源は別基板になってしまいました。
すべてオールインワンの方が組み立てるのが楽かな?


まずはラフに部品を配置してみました。

だいぶできてきました。2010.11.7


週末はなにかと忙しくて作業がすすみませんが、だいぶパターンができてきました。
結構配線は込み入ります。


だいぶできてきました。

ついでに・・・・
こんなアンプ基板もつくってみましょう。ちょっと面白そうです。

お笑いアンプ?


久し振りに作業再開? 2010.11.20

この季節はなにかと忙しくて、なかなか趣味に走ることもできないのだけど、
思い出したように作業再開です。
でも、作業再開しようとしても、色々と忘れてしまったり資料がなくなったりしているので
ちょっとだけWM8741の動作モードだけ整理しておこうと思います。

ステレオモードでつかう場合の設定。



モノラルモードで使う場合の設定。


とりあえず完成? 2010.11.21

簡単に配線をチェックして、ベタを塗ってみました。
最終チェックはまた後日しましょう。

クリックするとPDFファイルが立ち上がります。

これで試作に出しましょう。2010.11.28


基板はとどけど・・・ 2010.12.5

残念ながら部品が手配ミスで届いていないので、製作は少しお預けです。
といっても、作れるところは作っておこうかな〜。

それはそうと、今回の試作の中でおもしろアンプ(HCU04をつかった)があるので、
早速組み立ててみました。


Funny Amplifier with U04 v1(色調くらいな〜)


どうやって動作確認しようかと考えて、DAC2704を直接接続することにしました。
ボリュームはパソコンでコントロールです。


DAC2704と接続して音だしの様子。


この基板は回路がとても簡単なので、動くかどうかということではなく、
どんな音がするか?が一番のポイントです。
で、鳴らしてみると。
普通になるな〜
という感じです。一度時間があるときに特性も測ってみましょう。


DAC8741の試作にかかる 2010.12.12

この週末は土日も仕事だったこともあり、なかなか時間がとれなかったが
なんとかはんだごてを握る時間がとれました。
ということで、届いた基板の試作にかかりましょう〜!!結構ワクワクしてきます。

まずはDAC8741-1.5から。

部品点数は少な目ですが、それでも2時間弱かかりました。


まずはDAC8741-1.5の試作版完成!

動作確認にはトランスが必要になりますが、部品箱をごそごそ探してトロイダルトランスを見つけました。
RSコンポで買ったもので18V(1.4A)出力のものです。センタータップ方式ではなく単純に半波整流方式
でとりつけました。

トランスを接続して動作確認の様子。

電源を入れるときはいつも緊張します。で、スイッチON・・・・・・
波形は出るのですが、なぜかオフセットが大きくのっています。
WM8741の出力は正常なので、オペアンプの差動回路がおかしいようです。
で、再度基板のパターンを調べてみると回路は問題なさそう・・・・

あ、思いこみ間違い発見!
ふと、OPアンプのデータシートを眺めてみて、ピン配置を間違えていたことを発見。
DUALのオペアンプの場合は、PIN1,2,3がOUT、IN-,IN+になりますが、
反対のIN+,IN-,OUTと勘違いしてパターンを描いていたことが判明!
そりゃ駄目ですね。
ということで、修正方法ですがあんちょこですが、
OPアンプを反対方向に取り付けて、電源を正負入れ替えるという対応をとりました。

基板の修正の様子。電源の正負を入れ替えます(基板ver1)。

これで、無事に動作しました。
入力周波数も44.1〜192kHで問題なく動作することも確認。
さらにパルス波を入れたときにフィルタの切り替え機能も問題ないことを確認できました。
音だしは後ほどです。

さらに確認作業はつづく・・・

まずはDAC8741-1.5がまがりなりにも動いたので、つぎが本命のDAC8741-2にかかります。
こちらは部品点数も多いので、まずはデジタル部とDAC部のみ組み立てました。
この部分が動けばアナログ部分も組み立てることにしましょう!

ディジタル部分の組み立ては約1時間程度で完了!
さきほどDAC8741-1.5をつくったこともあり、同じ部品が手元に揃っていたこともあり
部品を探す手間がだいぶ減ったので短時間に組み上がりました。
本当はWM8741は1つだけ登載して動作確認をしようかと思いましたが、
あとからつけるのは面倒なこともあり、一気に4つ載せることにしました。

まずはデジタルとDAC部が完成!

動作確認にはディジタル用の3.3V電源が必要なので、汎用の可変電源を接続しました。
DACアナログ部は5Vが必要ですが、動作確認だけなのでアナログ部も3.3Vで動作させます。

動作確認の様子!

電源を入れて周波数切り替え回路の時間定数を調整にかかりますが、
なぜか波形が安定しません。よくみると一カ所配線が抜けていました。
ということで基板の裏側で一本ジャンパーを飛ばしました。ランドからランドなので
この程度の修正なら簡単です。

修正部分。

この部分を修正したあとは、無事に動作しだしました。
こちらも入力周波数も44.1〜192kHで問題なく動作することも確認。
さらにパルス波を入れたときにフィルタの切り替え機能も問題ないことを確認できました。

さてアナログ部分を組み立てよう!

なかなか時間がとれませんでしたが、なんとか完成です。

アナログ部分は完成。

一気に通電して動作も確認できました。あとはいよいよ音だしです。


まずはDAC8741-1.5から2010.12.19

試聴に用いたCDはお気に入りの今井美樹のアルバムからflow into spaceです。
なかでも4曲目の軽快なThe Days I Spent With You を選んで聴きましたが、
いままでのDACにはない訴求力があるような気がします。
こればっかりは主観になるので実際に聴いてみないとわからないですね。

あと、フィルターを切り替えて試してみましたが、マイルドになったりシャープになったりかな?
微妙な変化のような気がしますが、空間の演出が変わる気がします。
これがWolfsonが狙っていたところでしょうか。


まずはDAC8741−1.5から音だし!

一応、最終的にフィルターの切り替えが出来ることを確認しておきました。
CN3のジャンパーで切り替えることがきますが、ここをロータリースイッチなどにすれば
フィルターが随時切り替えることができて面白いかな〜と思っています。

CN3の設定 パルス応答(fs=48kHz)

CN3 LOW

CN3 OPEN

CN3 HIGH


次はDAC8741-2

試聴の前にメモリーバッファーとの接続を確認してみました。DAC8741-2には外部信号を受け入れるコネクタ
を配置していますので、簡単に接続できます(動けばの話しですが・・・・)
今回試したメモリーバッファーは高速版ICを使用したものですが、リードユニット(ドータボード)のコネクタCN2bの
RRとGND間に22pF程度のコンデンサを入れると解消するとのBBS書き込みあり、今回のテストの前に入れておきました。


メモリーバッファーとの接続の様子。サイズが同じなので2段重ねができます。


メモリーバッファー(高速版)の安定動作のためのコンデンサ(22Pf)

なぜ動くの?

まずは44.1kHzで動作させました。実はこのときは動くことは想定していません。
なぜかというと、メモリーバッファーの出力は128fsなのですが、WM8741自体は44.1kHzのときには
128fsはunavailableになっているんですよね。たぶん、動作は保証しないという程度の意味なんでしょう。
とりあえず動くのでこのままでいきますが、本来はメモリーバッファーも改造しておいたほうがいいんでしょう。
ちなみに改造方法はDAC1704は復活するか?の巻き の下の方にあります。


44.1kHzの128fsで動いてしまったWM8741です。

動くのはいいのですが、すこしアナログ電圧が低いようです。上記のオシロの画像だとおおよそ1.2Vrmsくらいです。
適当な抵抗値でアンプを組んだのがだめでしたね。後日もう少しチューニングしましょう。

さて、メモリーバッファーとの組み合わせも確認できたので、フィルターの切り替えも問題ないかついでに確認しておきました。

フィルターの切り替えによるパルス応答波形。


試聴の前にお出掛け用の写真をパチリ!


いよいよ試聴! 2010.12.26

試聴にあたり、電源もしっかりしたものにしようと思います。とういことで、ディスクリ電源を準備しました。
用意した電源は正負15V、正5V、正3.3Vの3系統になります。

試聴のために電源を用意して接続しました。

出力電圧が低かったのを直さなくっちゃ!

そういば出力電圧が少し低かったのでこれを修正しておきましょう。
修正を考えているなかで、結局のところ極力回路構成をシンプルにしようと思って、
ジャンパーを多用することになりました。まあ、音が通過するところに出来るだけ素子
がない方が音的には有利かもしれないし、それに財布にも優しそうです(笑)。


かなりシンプルな構成にしてしまったアナログ段。ジャンパー多数です。

回路定数を修正してほぼ出力電圧は2Vrmsになりました。

出力電圧振幅は約2.8Vですので2Vrmsになりました。

この状態でフィルターの応答を再度しらべておきました。
フィルターの調整は基板上のFSELで設定することができます。これにDAC8741-1.5と同様に
スイッチを取り付ければ、ソースにあわせて可変することもできますね。

FSELの設定 パルス応答

FSEL = LOW

FSEL = OPEN

FSEL = HIGH

試聴は

まずはアンプを接続して、フルボリュームにしてノイズのチェックです。まったくノイズは聞こえません。
ヘッドホンに切り替えてもノイズが聞こえませんので優秀です。
試聴にはまたまた今井美樹を選びました。で、最初に出てきた音の印象は「低音がでるな〜」
という感じをうけました。DAC8741−1.5とはやはり違いがあります。これがWM8741の4パラの効果か、
あるいは出力段のディスクリートアンプの効果かは切り分けはできませんが、いずれにしても
また一つお気に入りのDACが出来たような気がします。
メモリーバッファーと合わせてケースにいれなくっちゃ!

(後編へ)
(つづく)