マルチビットは復活するか? の巻き 2017.1.25

昨年末に買ってみたAD1860があるのを思い出しました。
さて、さてどう料理するかな?


昨年末に買ったAD1860です。


まずは簡単に、というよりおもいっきりレトロな感じで描いてみました。
DAIには昔なつかしTC9245と、ディジタルフィルタにはPD0060を使っています。
本当はDAIには192kHzまでつかえるDIX9211かCS8416が使いたかったのですが、
PD0060の動作クロックが384/392fsが必要なので、DIX9211やCS8416では供給できません。
これらは256,512fsなどの2の倍数しかだめなんですよね(これが普通ですが)。


思いっきりレトロな感じで描いてみました。2パラのDACです。

必要なTC9245やPD0060はまだ秋月で売っていそうです。でもでも・・・・

面白くないな〜。

折角なんだから、もっと面白いものを作ってみたいものです。
やっぱりずら〜と並べてみるかな?


今度は8パラ差動の32個の構成で描いてみました。なんとか部品はのりそうです。

さて、さてこんな企画は実現するだろうか?

DAI基板はどうしよう? 2017.1.26

AD1860に接続することを考えると、DAIにディジタルフィルターを搭載してその出力を用いる方法が簡単です。
このためには、PD0060もありますが、すこし高機能となると24Bit対応のDF1704やDF1706などのディジタルフィルター専用の
ICを用いることになります。
すでにDF1704は入手は困難(あるいはとても高価)なのでDF1706をつかうことになるでしょう。
ただ、ディジタルフィルターを用いるとオーバサンプリングされてしまうので、AD1860などの速度帯域だと
48kHzが上限になってしまいます。192kHzでの使用を考えるととNOS(Non-Overs sampling)にした上で、
18Bit右詰めフォーマットへの出力が必要になります。
 一般に入力のフォーマットは24Bitあるいは32Bit、または16BitのI2S、右詰フォーマットが多いことから、
各種の入力フォーマットに対応して18Bit右詰に統一的に変換する必要があります。
 ということもあり、DAIにDIX9211を用いて、ディジタルフィルターにはDF1706を使い、NOSでの使用時には
フォーマット変換のために数個のロジックICを搭載することを考えてみました。


まずはこんな感じで描いてみました。

部品点数多いな〜。。。

AD1860につかうDAIにしては部品点数が極めて多いような感じです。
なんか無駄に複雑かな〜という気がしてきました。

と、思っているとこんな提案もいただきました。




そういえば、

SRC4392をつかえば一気に解決ですね。SRC4392は18Bitの出力長で右詰フォーマットが選択できます。
以前にSRC4392をつかってRENEW FFASRFCまで基板化までしたのに忘れていました。
DAI基板については、もうすこし検討してみましょう。

AD1860の基板構成を検討してみましょう!

検討したスペックは以下のとおりです。
ベースの基板は8パラ差動。基板上にはIVアンプ、差動アンプも搭載しています。
最大で4枚をつかって32パラ差動構成も可能にする。やろうと思えば64パラ差動でも可だがここまではしないかな?
重要なことは、1枚の基板上に8列×4行のDACを載せていますが、それぞれの行のDACが
左右の選択と反転、非反転の出力が選べるようにします。そうすれば、8パラ以上の他パラも実現容易です。
あ、左右の選択はどちらかといえばDAI側の仕事ですね。

考えられる構成は

1.構成1(8パラ差動)
これについては、以前にリリースしたDAC8Dと同じ構成で。全部で32個のAD1860を使用します。
この構成についてはDAI機能は含みませんが、基板上の1枚でIV、差動合成含めて実装可にしてみましょう。
  

1枚で8パラ差動の素子を実装します。


2.構成2(16パラ差動)
  基板2枚を用いて、それぞれモノラル構成で使用します。合計で64個のAD1860を使用します。
 


2枚で使用で16パラ差動のです。

3.構成3(32パラ差動)
  基板2枚を片チャンネルのそれぞれ正負に割り当てて使用します。

4枚で使用で32パラ差動のです。こんな構成はまずしないかな?

しかし、いったいいくつAD1860が必要だろうか?デジットに在庫あるかな〜?

DAI基板を描いていきましょう。 2017.1.27

SRC4392を使うことを考えていきましょう。Renew FFASRC for SRC4392がベースになりますが、
このときに使ったクロックはすこし複雑です。
発振器にはPLLであるMAX9485をつかい、そのジッタを除去するためにSi5317を使う構成にしていました。
Si5317をつかうと、その制御信号が多く必要でPICだけのIOでは不足するのでIOエキスパンダーも
つかいました。ということで、結構ICの数は増えてしまいます。

ベースはこの基板かな? Renew FFASRCです。

クロックはSi514がいいかな?

Silicon Labは面白い会社で、とくにクロック関係で便利で高性能なICをラインアップに備えています。
その中でSi514が便利そうです。これ1個で高性能な可変クロックが実現できます。

SI514がクロックに便利そうです。

外観だけみると、普通の水晶発振器に見えますが、I2Cで周波数がプログラムできます。

ブロックダイアグラムです。

ジッタ性能も0.8psであり一般的な水晶発振器よりも良好です。さらにSi570を使うと、ジッタ性能が0.3psになりますが、
Si570ではクロックの最低周波数が10MHz(最高は1.4Gと高い)となるのがネックです。
たとえば44.1KHzで128fsのマスタークロックを考えると約5.6MHzになるのでSi570はすこし厳しいです。
Si514は100kHz〜200MHzが動作範囲であり、必要とする周波数帯を十分にカバーできます。
これって、ダウンサイジングのDAC9038Sにつかうのもいいかもしれません。というのも100MHz以上のオーバクロックの
設定が200MHz以下で比較的自由にできます。さらに、ES9038PROの最低周波数での動作も可能です。
最低周波数はPCMでは192FSR、DSDでは3FSRになるので、44.1kHz入力時(DSDでは2.822MHZ)で8.5MHzになるので、
これを実現することができます。まあ、こんな低い周波数で動かすことはないとは思いますが、
いろいろと実験することができておもしろいでしょう。

まずはDIGIKEYに注文しておきましょう。

コードネームはDAI4392です。 2017.1.28

本当はコードネームはSRC4392にしたかったのですが、それだとICの名前とかさなるので
DAI4392にしました。基本的にはサンプルレートコンバータになります。
RENEW FFASRC for SRC4392のさらなるリニューアル版です。
ただし、AD1860のDAIと考えた場合には、LCDまでは必要はないので、LCDなしでも各種のモード設定が
できるようにジャンパーポストを設けました(LCDの制御ピンと共通ですが・・・)。


DAI4392を描いてみました。

まずは基板の製作にかかりました。2017.1.29

来週明けにはできあがるでしょう。
基板ができるまでは、色々と組みあげたときのイメージを膨らましていきましょう。

ところで?

AD1860ってPCM61Pとどうちがうんでしょうね?
ピン配置はまったく同じで性能的にも同じです。
大きく異なるのは消費電流です。負電源の消費電流がPCM61Pの半分です。
製作する側にとって、消費電流が小さいことはいいことなのですが、
なぜ半分なのか、反対にPCM61PがなぜAD1860の倍なのか・・・・わからないですね。

最初はPC61PはAD1860はまったく同じで、どららかのメーカがOEMで出していたと思っていたのですが、
それならばカタログスペックは同じになるはずです。

あるいは、基本的な設計は共通で、あとはメーカが独自色を一部いれているのかな?

とりあえず、消費電流が小さいので電源の作成が楽なのが助かります。

PCM61P AD1860
 Icc(5V) = 10mA
-Icc(-5V) = -25mA
 Icc(5V) = 10mA
-Icc(-5V) = -12mA


部品の調達にかかりましょう! 2017.2.6

そろそろ基板もできあがるところなので、部品の調達にかかりましょう。
まずはAD1860です。これがないとはじまりません。

これで3レール分(75個です)。



裏面に生産国が書いてありました。フィリピンでの製造のようです。

DAI、DFあったかな?
TC9245とDF0060も必要になる場合があるのですが、これは10年以上前に買ったものがあるはずなので、
押入れを大捜索です(笑)。なんとか、みつけることができました。


往年のICもみつかりました。

さてさて、あとは基板の到着をまつだけです。

基板到着しました。 2017.2.7

さて一気に基板が到着しました。しばらく遊べそうです(笑)。


AD1860の8パラ差動のベースとなる基板です。32個のAD1860が搭載できます。


レガシーなTC9245とPD0060と2パラのAD1860をつかった基板です。


SRC4392をつかったDAI基板です。Renew FFASRCのさらなるRENEW版です。

手当たり次第・・・

手元のある部品を手当たりしだい取り付けていきましょう。
まづはDAC1680である8パラ差動バージョンに部品を載せていきました。とはいえ、
最初は最低限のDAC素子のみ載せていきます。

まずはロジックICと4個だけAD1860をとりつけました。


アナログ部はIV抵抗だけとりつけています。


電解コンデンサは裏面に大容量のセラコンに代替しています。

ちょっと気分を変えて

DAC1680-miniも平行して組み立てていきましょう。

こちらも主要なICは取り付きました。

最近のマイブーム

SMDのICの取り付けで、SSOPなどでは半田ブリッジが簡単に発生してしまいます。
それを除去するには、一旦フラックスをベタっと塗って再度半田コテをあてて、半田の表面張力を利用して
ブリッジを取り去る手法を用いていましたが、最近になってですが半田吸い取り線を使うと簡単にブリッジが
除去できることに気づきました(ほんと、いまさらですが・・・)。
それと、半田吸い取り線をつかうと、半田仕上がりを綺麗にすることもできます。


普通に半田すると、もっこリと半田がついてしまいます。


半田吸い取り線で余分な半田を吸い取ります。半田吸い取り線は1.5mmのもので秋月電子で購入したものです。


余分な半田がとれて綺麗な仕上がりです。ほとんど半田がついていないようにも見えますが・・・・。

DAC1860-miniが完成しました。 2017.2.8

部品点数もそう多いわけではないので、部品の準備がそろえば実装はさほど時間がかかるわけではありません。
ちょっと心配したのは-5Vのレギュレータである7905があるかな?と思いましたが、レギュレータの箱を探せば見つかりました。
7905はPCM11704をつかったDACあたりに使った以来、つかうこともなかったのですが、おそらくそのときに多目に買っていたのでしょう。

DAC1860-miniが完成しました。

OPアンプはなににしようかと考えましたが、折角なので往年のOPアンプをさがしました。
ちょうど8パラ(PCM61Pの8パラ)を作ったときに多用した4580があったので、それをつかってみることにしました。
往年といっても、まだまだ現役のOPアンプです。


懐かしの4580です。

DAC1680-miniの動作確認!
結構簡単な基板ではありますが、それでも電源投入は緊張しますね。
15V電源を接続して、出力にオシロを接続して、いざ電源投入です。

こんな感じで動作確認しました。

ほ!
無事出力がでることが確認できました。緊張の一瞬ですが、波形が確認できれば、このような簡単な回路でもうれしくなります。



正弦波でも波形が確認できると一安心です。


DFの次数も小さいので矩形波の再現も比較的素直です。

DAC1680もボチボチと

まだすべてのAD1860をとりつけてはいませんが、動作確認に必要な最低限はとりついているので、
DAC1860-minのDAIを用いて動作確認を行いましょう。というかDAC1860-minのDAIは半分、DAC1860用の
DAIとしても使えるように設計しています。

DAC1860-minのDAIをつかってDAC1860を動かしましょう。


組み立て途中のDAC1860です。

DAC1860にはとりあえず4つのAD1860が取り付いています。両端にとりついているのは、
この部分にとりつけたAD1860が正常に動けば、中間部はまず問題ないとの判断です。
パターンは繰り返しで作っているので、境界部がもっともミスをしやすいところですからね。

まずは動きました・・・

まずは動作確認ができました。

信号確認です。

ただ、DAC1860に電源部のシルクミスとパターンバグがあることがわかりました。
ちょっと恥ずかしい間違いです・・・・。
 リリースする場合は修正版を出すようにしたいものですが、恥ずかしいミスも
備忘録で記録しておかないと・・・・・、いざ使おうとしたときにミスを忘れていると、
また同じように悩むことになりますからね。

すべて載せましょう!

のこりのAD1860も載せることにしました。ここからは、どちらかといえば修行のような半田付けです(笑)。

部品面の状況です。まるで昔のメモリーボードの様相です。


裏面はチップコンデンサをいっぱい載せています。結構半田付けには時間がかかります。


こちらも動作確認中です。一部恥ずかしいシルクミスと論理ミスがあったので、これは試作機の位置づけだな〜

結合してみましょう! 2017.2.13

ここからは全体テストの形になりますね。

DAC1680-mini(DAI)を使う!
まずはDAIにはDAC1680-min(コードネームは本来はDAC1860-minですが・・・)のDAI部分のみを使い、DAC1860に接続です。
DAC1860の正負5V電源はTYPE-Iから供給しました。この電源基板は800mAまだ大丈夫なので、容量的には問題ないでしょう。
ちなみに正負5Vの必要電流はおよそ400mAになるはずです(32×12=384mA)。

こんな感じでの接続です。 DAC1680-min(DAI)→DAC1860←TYPE-I電源基板 の構成です。

まずは問題なく動作することを確認です。矩形波の波形をみてみましたが、PD0060のフィルタ次数が小さいため、
比較的素直な矩形波になっています。

矩形波出力です。

電流を測ってみました。上記の構成での測定です。
測定の感想として、DAIについてはほぼ想定どおりですが、AD1860の消費電流が
すこし多めな感じです。予想では400mA弱だったのですが、全体的に400mA強です。
とくに−5V電源がすこし多めです。5VについてはロジックICでの消費もあるので、
400mAをすこし越えたのかもしれません。

DAC1680-min(DAI)部は30mA程度です。


-5Vの消費電流は462mAとすこし予想より多いです。


5Vの消費電流は416mAと、まあ予想通りです。

次はDAI4392をつかってみよう。

今度は新たに作ったSRC4392をつかったDAIを使ってみましょう。


DAI4392→DAC1860←TYPE-I電源基板 の構成で動作確認です。

こちらの動作では192kHzまでアップサンプリングしてみました。これでちょうど、48kHzを4倍オーバサンプリングして動作させている形になります。

192kHzにアップサンプリングして、その出力をDAC1860に接続しています。

こちらも問題なく動作することを確認しました。

動作は問題ないですね。

DAI4392の動作電流を測定してみました。一番消費電流が大きくなる192kHz変換時では
130mAくらいです。まあ、このうち10mAはLCDのバックライトLEDが占めています。
ちなみに44.1kHzだと80mA程度まで一気に消費電流が下がるようです。

192kHz動作時での動作電流です。

修正基板がようやくできました。 2017.3.7

仕事でバタバタしていてなかなか半田作業がすすみませんでしたが、ようやく修正基板が出来上がりました。


ようやく修正基板が出来上がってきました。


まずは動作確認のために必要最小限の部品を搭載です。フル実装では動作確認できているので、まずはこれで動作確認です。

DAIはまずはDAC1860-miniをつかいましょう。

DAIにはDAC1860-miniのDAI部分をつかいましょう。
すでに組み上げた基板のDAI部分のみをつかうために、基板を切り離して使用します。

完成したDAC1860-miniですが、切り離してDAIのみを使いましょう。


ミシン穴で切り離してDAI部分のみを使います。

接続してみましょう!

DAIの出力をDAC1860に接続して動作確認です。電源はTYPE-I電源を使用しました。
この接続で、問題なく動作確認できました。

まずは簡単な構成で動作確認です。

DAI4392の修正版も完成!

部品が勿体無いので試作版からSRC4392や発振器をはじめ、色々な部品を取り外して修正版に再度取り付けました。
部品は取り外すときに、大量の熱を投入する(半田モリモリです)ことになるので、熱損傷が心配ですが、
いままでであまり熱で壊れた経験もないので、再利用としました。


修正版のDAI4392も動作が確認できました。

DAI4392とAD1860と接続です。2本のフラットケーブルで接続していますが、1本で済ますこともできます。

DAI4392とAD1860と2本のケーブルで接続します。


DAI4392の出力フォーマットの設定は18bit右詰にします。

波形をみてみましょう。

サンプルレートをあげていきくと波形がだんだん滑らかになっていく様子がわかります。
192kHzの出力だと、ちょうど4倍オーバサンプリングに相当します。



44.1kHzでの出力です。


96kHzでの出力です。


192kHzでの出力です。

ちょっと192kHzのときの波形が歪んでいますね。なぜだろう?(これは原因はあとで判明しました・・・)。

試聴してみましょう! 2017.3.10

さて、まだDAC1860については試聴をしていなかったので、アンプを接続してヘッドホンですが試聴してみましょう。

試聴の構成です。 DAI4392→DAC1860→PrecisionHPA の接続です。

あれ?
ヘッドホンを装着して音だしです。最初は44.1kHzで鳴らして、次に96kHzにアップサンプリングします。
96kHzにアップサンプリングすると、音が広がった感じがします。そして192kHzまでアップサンプリングします。
すると、音が途切れ途切れになります。何が起こったんだろう?
 ヘッドホンをはずすとヘッドホンアンプのMUTEリレーがカチカチと間歇的に動作しています。
どうやら、電源電圧の低下が起こっていてPICマイコンがそれを感知してシャットダウンシーケンスを起動していたみたいです。
オシロで元電源(スイッチング電源)を計ってみると、やはり電圧がゆっくりですが変動していました。
 そりゃ、元電源の15Vの電流容量がMAXで0.5Aなのに、DACだけで400mA超を消費して、さらにそれにヘッドホンアンプを
接続するわけですから、電源容量は足りないですね。

ということで、ヘッドホンアンプ用には別電源を準備しましょう。

ヘッドホンアンプ用にTYPE-M電源を準備しました。

あれ?今度はノイズがでるな〜

44.1kHz〜96kHzではノイズもなく再生できるのですが、176,192kHzでノイズがのります。なぜだろう?
ひょっとして、クロック周波数が高くなって仕様上だめなのかな?
でも仕様では12.5MHzまで対応しています。
 ちなみに176.4kHz再生時のクロックは11.2896MHzで、12.288MHzなので、スペックぎりぎりではありますが、
スペック以下なので問題ないはずです。



AD1860のスペック上は192kHzのノンオーバサンプリングなら動作するはずですが・・・・なぜだろう?

ちなみに
 DAC1860-miniのDAI部を接続して試聴です。ノイズもなく再生ができますね。
こちらは、8倍オーバサンプリングなので周波数に換算するとfs=352kHz相当です。
こちらは問題なく再生できます。ただし、こちらのクロック周波数は8.46MHzなのでDAI4392の176kHzよりクロック周波数は低いです。

DAC1860-miniのDAIとの接続は問題ありません。

ひょっとして?
DAI4392の問題かな?と思って、R-2R DACに仮に接続して試聴してみましたが、問題なく192KHzまで再生できます。
ノイズについてもR-2R特有のものを除けばまったくありません。

DAI4392とR-2Rとの接続では192kHzも無事再生できています。

もう一度、波形を観測です。

ノイズの原因を調べるべく、まず波形を再測定です。どうやら周波数が176.4kHzや192kHzでの
ゼロクロス領域近くでビット欠けがおこっているような感じです。

44.1,48kHz

問題なし。
88.2.,96kHz

問題なし。
176.4,192kHz

ゼロクロス付近で波形がひずみます。

考えられる原因としては、信号線の波形にノイズが載っているとかが考えられるのでオシロで波形をみてみましたが、おかしなところはありません。
再度データシートを読み直して、タイミングチャートをみていて、原因が判明しました。

下図にあるように、LRCK(下図ではLATCH ENABLE(LE)信号に相当)が立ち下がるのはBCK(図ではCLK)が立ち上がってから60ns以上が必要です。
でも、DAI4392のタイミングでは
 176.4kHzでは、CLK周波数は11.2896MHzなので、その波長(88.6ns)の半分の44.3nsしかCLKが立ち上がってからLRCKが立ち下がるまでの時間が確保できません。
 192kHzの再生ではさらに悪化して、40.7nsです。おそらく、この時間が短いことからうまくデータがラッチできなかったものと推測されます。


ノイズがでる原因がわかりました。LRCKのタイミングの問題です。60nsより短い時間となっていました。

原因が推測できたので、対策をうっていきましょう。
基本的な対策はLRCK信号にローパスフィルタを入れて、信号をちょっとだけ(20nS程度)遅延させるようにします。

対策その1.ダンピング抵抗を大きくする。

ICの入力にはかならず入力容量なるものがあります。通常は数pFなのですが、AD1860は8パラあるのでおそらく数10〜100pF程度の入力容量があるはずです。
それを利用してLRCKのダンピング抵抗を大きくすれば、LRCK信号が遅延してくれます。
ただAD1860の入力容量がわかりませんので、取り替える抵抗値はカットアンドトライです。

ちなみに、入力容量が50pFとすればダンピング抵抗を1kΩとすれば50nsですから、数100Ω程度の抵抗がマッチするかもです。

まずは510Ωの抵抗を1つだけ交換してみました。

LRCK部分のみ510Ωに取替えました。510とあるのは51Ω、511とあるのは510Ωの意味です。


波形は大丈夫そうです。

抵抗値はいきなりですが510Ωで良さそうなので、全部(4箇所)を交換して、これで試聴してみましたが。
が、片側のチャンネルでわずかにノイズがあります。どうやら510Ωではだめな場合があるようです。

というわけで、すこし抵抗値を変化させて調べてみました。
結果としては、下表のように1kΩであれば大丈夫のようです。ただし1.4kΩになると、
だめで、あまり数値に余裕はありません。

抵抗値 改善状況
260Ω ×
510Ω △  (4つのうち1つにわずかにノイズあり)
1kΩ
1.43kΩ ×
2kΩ × 

ダンピング抵抗を入れ替えるだけの対策がもっとも簡単ですが、
もしこれでうまくいかない場合を考えて、というかAD1860の入力容量が一定でない可能性もあるので、
もう少し確実な方法も検討しておきましょう。それにダンピング抵抗が1kΩというのもおおきぎる気もします。

2.対策その2。コンデンサを信号ラインに挿入する

信号ラインには51Ωのダンピング抵抗が入っているので、その抵抗とコンデンサでローパスフィルタを形成して
信号伝達時間を遅延させてやります。たとえば100pのコンデンサをいれれば

51Ω×100pF=5.1ns  になります。

ICの入力容量も含めて、もうすこし大きくなるでしょうから、100pFからトライしてみました。
コンデンサの取り付け位置はICの6Pin(LE)とGNDの間に挟みこむ形になるので、ICのPin6とPin2の間に入れてみることにしました。
この位置が一番簡単そうです。

テストではこんな形でコンデンサをとりつけました。

実験をするとこんな感じです(下表)。以外と広いコンデンサの値でノイズが消えることが確認できました。
100〜540pFまですくなくとも大丈夫そうなので、10nS遅らせるめのほぼ計算値である220pFを採用しましょう。
ちなみに、コンデンサの値が大きすぎると、LRCKの立下りタイミングが1BCK分ずれてしまうので、波形がとたんに崩れます(C=760pFの場合)。

波形(192kHz時) C値
Cなし
C=100pF
C=320pF(100+220)
C=540pF(100+220×2)

C=760pF(100+220×3)

修正の状況は

計4箇所にコンデンサをとりつけました。手持ちにフィルムタイプもあったのですが、セラミックがあったので横着して
それですべて済ませました。



ICのPin2(左側:GNDとPin6(右側:LE)間にコンデンサをいれました。

これで、無事ノイズのない192kHz再生ができました。
しかし、AD1860のクロック上限が12.5MHzなのに、LEの立下りタイミングがCLK立ち上がりから60nS以上必要というのは
ちょっと盲点でした。これで、一つまた勉強になりました。

試聴結果は
またまた耳たこの今井美樹さんを引っ張りだしてきましたが、暖かい音調です。
やっぱりマルチビットでしょうか(ってなんやねんって突っ込まれそうですが)。
以前につくったPCM61Pでの8パラ差動版の音を思い出します(って覚えてへんやろ!ってこちらも突っ込まれそう)。
いづれにしても、こういったマルチパラができるのは自作ならではの楽しさですね。

さて、他のDAIともつないでみましょう!

DAC1860を動作させるには、18ビット右詰フォーマットが必要なので、一般的なDAIでは対応できませんが、
PCM変換基板をつかえば、たいていのDAIと接続が可能です。ただ、PCM変換基板はいわゆるステレオ用のDACを
想定したものなので、DAC1860との接続には若干手を入れる必要があります(一本線を飛ばす)。

SRC4137と接続してみましょう!
まずそれぞれの基板の設定です。

1.SRC4137の設定

 
はJP7を接続して、PCM変換基板に電源を供給するようにします。

SRC4137のJP7を接続

2.PCM変換基板は色々と
 i)CN1の下のV1をCNのPin9,10に接続してSRC4137からの電源を受けられるようにします。
 ii)JP6はN側に設定。あまった端子はAD1860のCN2のPin3に接続(青線)
 ii)フォーマット設定はJP3のNo.2をCに接続(黄色線)

 PCM変換基板の設定です。

3.AD1860の設定です。
 下のジャンパーピンの設定にします。
 CN2のPin3はPCM変換基板からのジャパー線です

DAC1860の設定です。

4.基板間をコネクタで接続

このように基板間を10Pのフラットケーブルで接続します。

基板間の接続です。



PCM変換基板とDAC1860の間には青線のジャンパーが1本はいります。

5.SRC4137の設定は
I2Sフォーマットに設定しておきます。

この設定です。


動かして見ましょう!

もちろん最大周波数は192kHzまでです。さすがに384kHzは動作しませんでした(波形にノイズが載っている)。

設定は192kHzに設定です。


問題なく波形がでることを確認しました。


この設定ではほかの基板も接続できます。

上記のSRC4137との接続はI2Sフォーマットからの変換なので、他にも色々と応用できます。
DAC2707とも接続ができるようになります。

ソースにDAC2707をつかいUSBからの入力としています。


出力は44.1kHzなので、分解能はそれなりです。補間フィルターはないですからね。

最終動作確認は 2017.3.17

New DAI for DF1706と接続して動作確認してみましょう。やっぱり往年のDACに対しては往年のディジタルフィルターの組み合わせがいいかもです。
ただ往年の、といってもDF1706はそれ自体はまだまだすばらしい性能をもっています。


New DAI for DF1706とDAC1860を接続して動作確認してみましょう。ちょっとピンボケだな〜。


DAIの設定はOW1を短絡です。これで出力ビットは18Bitになります。

あちゃ!!!

出力をオシロに接続して電源ON! あれ、出力はうんともすんとも言いません?なぜ・・・・・・。
配線を確認すると、なんとDAC1860に供給する電圧でDAC用(±5V)とOPアンプ用(±15V)が入れ替わっていました。
まあ、AD1860は電源電圧12Vまで使えるので15Vくらいかかっても大丈夫でしょう(と楽観的観測)。
それに対して、ロジックICに15Vがかかっていますから、これは致命的です。
配線をもとに戻しても、ロジック出力は本来5V出るはずですが2V強しかでていません。
これじゃあ、AD1860は動作できないです。

ということで、ロジックICの総入れ替えです。ああ〜夜中の集中力のないときに作業すると駄目だなあ〜。
ロジックICの入れ換えですが、SOICなのでICの足をニッパでブチブチ切ってやれば簡単にはずせます。
これがSSOPのように足ピッチが短いものだとニッパが入らないないので、半田をすべて溶かして外す作戦が必要なので、
面倒です。


ロジックICの入れ替えです。まずはICを取り外して、ランドを綺麗にお掃除(半田吸い取り線で余分な半田を除きます)


新しいロジックICに入れ替えました。

無事動きだしました!

ロジックICを入れ換えてスイッチON! 信号の出力電圧も5Vがでていることを確認したので一安心。
そしてDACのアナログ出力も確認しましたが、問題なしです。
よかった〜!!AD1860が逝ってたらどうしようかと思ってしまいました(笑)。


無事動きだしました。

コンデンサは必要なようです

ためしにDAC1860の裏面にとりつけたコンデンサが必要かどうか試してみました。
コンデンサをとりはずすと波形が乱れます。DF1706で動かすときは必要になるようです。
これは、スペック的にも自明ですがビットクロックの周波数が12.288MHz(半波長41ns)と高いので、
タイミングチャート上ではビットクロックの立ち上がりから、LE(LATCH ENABLE)の立下りの時間(>60nS)
を満たせませんからね。


DF1706のビットクロックの波形は12.288MHZです。

この連休で製作マニュアルを書きましょう!

FFASRCと接続してみましょう。 2017.4.2

FFASRCは18Bitの右詰フォーマット出力ができるので、DAC1860と接続できます。
ただし、右チャンネル用にLRクロックを反転した信号を生成する必要があります。これについては
DAC1860のIC2のあまりのゲート回路を使用すると簡単です。

まずは

ここではIC2のPin3,4をつかってみましょう。Pin4はフリーなのですが、Pin3はVddに接続してあるため、
まずはこれを外す必要があります。IC2の取り付け前であれば、事前にパターンを切断しておけばいいでしょう。
 
IC2の取り付け前なら事前にパターンを切断しておきます。(左:切断前、右:切断箇所)

すでに取り付けた後なら、IC2のPin3を浮かせます。これは半田を溶かしながら、先の尖がったピンセットなどで
ピンの裏側から起こすように力を加えれば、浮かせることができます。

 
まずはIC2のPin3を浮かせます。浮いた様子はすこしわかりづらいかな?    

ジャンパー線の接続は

DAC1860のJP2の真ん中のLのジャンパーから接続します。
JP2のLのCN1側をIC2のPin3へ、JP2のLのCN2側をIC2のPin4に接続します。

接続した様子です。


全体の接続とジャンパー設定の様子です。

これでDAC1860側の設定は完了です。
で、FFASRCと接続してみましょう!


FFASRCと接続します。もちろんRenew FFASRCとも接続可能です。


問題なく出力を確認しました。192kHzでの再生です。

思い出したように 2017.5.14

DAI4392用のプログラムを改訂して、20列4行のLCDも使えるようにしてみました。
一応、これでプログラムの作成は完了です。

思い出したようにプログラムを作っています。

すこし長くなってきたのと、作業中断が長くなったこともありこちらに集約していきます。
→ 気分一新!の巻き