PCM/DSD信号のHDMI/RJ45接続を考えてみよう、の巻き(後編) 20216.7

(前編はこちら)


メールでRJ45をつかったオーディオに関する情報をいただきました。 2021.6.7


メールをいただいたのは秋葉原でのオフミに参加された方からでした。あのころは若かったな〜(って、15年も昔のことだから若いのは当たり前ですが・・・)。

1.RJ45をつかったオーディオ機器があるようです。

ACCUPHASEにはHS-LINKなるものがあってCDトランスポートDACの間の信号伝送につかっていたようです。
しらなかったなあ〜。

引用:https://www.snakeoil-os.net/forums/Thread-Computer-to-Accuphase-via-HS-Link


そこにはRJ45のピンアサインがありました。Pin7,8のKEYとはなにか分からないですが、どちらにしても
4組のツイストペア転送になっています。気になるがPin4の使い方ですが(-)極になっています。
順番に考えると番号の若い方が+になるはずです。でも、Pin4を(-)極にしているのは物理的な
配置からのようです。下図をみるとわかるようにすべての偶数ピンが(−)になっています。


こんなピンアサインになっています。Pin4は(-)極なのですね。



RJ45のコネクタのピンは2列千鳥になっているので、偶数ピンをすべてGNDあるいは(−)極にするのは
物理的にいいのかもしれません。


私は、最初は1000Base-Tのピンアサインをみて、Pin4を(+)にしていてこれが標準かな〜と思っていましたが、
なにやら1000ABase-TXではPin4は(-)極です。もうどっちでもよいということですね。


引用: 100Base-TX、1000Base-TX、1000Base-Tにおける伝送方式の違い | エイム電子株式会社 (aim-ele.co.jp)

ならば、RJ45のPIN4は(-)極に変更だあ〜。基板のアートワーク変更しないといけないけど、まあいいか!

2.終端抵抗内蔵のLVDSレシーバもあるようです。

SN65LVDT348Dには内部に終端抵抗を含んでいます。これを使えば、部品点数は少なくなるし、
それに終端抵抗の位置がレシーバアンプの直近になるのでノイズにも強くなりそうです。
この素子はDS90LV048ともピンコンパチですから置き換えができます。


SN65LVDT348Dは内部に終端抵抗を含んでいます。

でも、DS90LS048に比べて少し高価です。高価といっても100円ほど高いだけですが・・・・。
一日おやつのアイスクリームを我慢すればいいだけです(笑。


一旦整理しておきましょう!

まずは、製作候補となる回路図とパターンを整理しておきましょう。

1.HDMI-LVDS-T
 10PのコネクタでのPCM信号(CMOSレベル)をHDMIコネクタ(LVDS)に変換します。
 3個連なっていますが、1個づつ切り離しても使えます。絶縁はありません。


部品面です。


半田面です。



2.HDMI-LVDS-R 
 HDMIコネクタ(LVDS)の信号を10PのコネクタでのPCM信号(CMOSレベル)に変換します。
 絶縁も可能です。

 
 部品面です。                                   半田面です。



3.HDMI−LVDS−T/R

HDMI(LVDS)と10P(CMOS)との送受信の兼用基板です。部品の実装で送信・受信のどちらもで可能です。
絶縁も可能です。

 
部品面です。                                   半田面です。




4.RJ45-HDMI-T/R 

LANコネクタをつかった送・受信兼用の基板です。LVDS伝送のほか、シングルエンドでの伝送も可能です。
絶縁はありません。小さいので4連基板です。切り離すのは無理なので、使う分だけ実装します。基板の余白に3.3Vレギュレータを搭載しました。
 
部品面です。                      半田面です。



5.PiLVDS v1

Raspberry Pi用のHDMI、RJ45そして10Pコネクタでの出力基板です。MCKは内部でICS570Bをつかって生成します。
絶縁はありません。

  
部品面です。                                            半田面です。




さてさて
 どれを作ってみような〜 これが悩みどころです.

基板製作中 2021.6.16
 6/26には納品されそうです。

試作(?)基板が納品されました. 2021.6.25


色々とあります.

休日に試せるように、いまのうちにルータで切り出しです.3枚一組になっています.
3枚程度を一組にしておけば、複数個をケースに実装するときのネジが少なくて済みますからね.

切代は2.5mmあるので鋸でも切れます.一番簡単なのはカッター等で溝を掘ってペキと割ってしまうのが早いですが、
切り口の綺麗さを考えてちょっと面倒ですがφ2mmのルータをつかってCNCで切り出しです.


こちらは受信基板です.


こちらは送信基板.

寸法はOKでした.

一番気になったのはHDMIコネクタの取り付けですが、大丈夫でした.HDMIコネクタの固定用のバッドの直径は
すこし小さめにしたのですが、実際にはまだ余裕がありました. コネクタは4点で半田付けされるので、しっかりと
半田を流しておけば十分な強度が得られるでしょう.


HDMIコネクタもヒッタシはまりました.

さてm休日はこれらを試してみましょう.

#って、そんな時間あったっけ?

まずはHDMI-LVDS-RとHDMI-LVDS-Tからテストしましょう 2021.6.27

一番ベーシックな基板がこの2枚の基板になります。
部品はさほど多くないので、短時間に組みあがります。
ただし、動作確認はステップバイステップなので、受信基板にはアイソレータのSi8660はまだ搭載していません。
Si8660の部分はジャンパー線としています。アイソレータまで必要ないときの配線になります。


左:HDMI-LVDS-R 右:HDMI-LVDS-T


Si8660の部分はジャンパー線としています。1.27mmピッチですが、
直線でのジャンパーなので簡単です。



裏面側にLVDSの変換ICが実装されます。こうすることで基板を小さくしています。

動作確認です
 送り出し(ソース)にSRC4137をつかい、受信側にFESP5142をつかっています。どちらもワンボードで動作するので
こういったテストのときには便利です。
 基板への電源供給は10Pのリボンケーブルの未使用線(No.9,10)をつかって、SRC4137とFESP5142の両方とも
5V電源を基板に供給するようになっています。
 テストはすんなりOKになりました。FESP5142からアナログ信号が出ています。

まずはアイソレータを使用せずにテストです。


192kHzのPCM信号でも問題なく動作しました。


次はアイソレータを搭載です
 今度は、アイソレータを搭載です。
 受信基板(HDMI-LVDS-R)のLVDS変換は送信側からHDMIケーブルをつたって5V電源が供給されます。
受信基板のアイソレータの電源は10Pコネクタから供給されるので3.3Vに変更です。

左:HDMI-LVDS-T 右:HDMI-LVDS-R(アイソレータSi8660を搭載しています) 

こちらのテストも問題なく動作しました。アイソレータのテストということなのでSRC4137とFESP5142の2枚の基板は
それぞれ異なるACアダプタ電源から供給しています。
 またHDMIケーブルですが、手元には2mのものと3.5mのものの2本あるのですがどちらでも問題ありませんでした。
この長さでも安定して信号伝送ができるのはさすがにLVDSですね。シングルエンドならとても無理でしょう。

次はRJ45-LVDS-T/R基板を試してみましょう

まずは、基板にRJ45コネクタを差し込みます。抜け防止の樹脂ピンを押し込みますので
ちょっと力が必要ですが、力を込めて差し込みます。一度差し込んでしまえば、ほとんどガタはありません。
十分な強度で基板にとりつくようです。
 注意は一度差し込んだものを抜くと、樹脂ピンが損傷したりするので、抜き差しは控えたほうがいいでしょう。
部品の実装はさほど多くありません。ただ、コネクタを挿してからだとICの半田付けがちょとやりにくいです。
ICを取り付けてから、コネクタを挿せばよかったですね。


RJ45コネクタを基板に強く差し込みます。そうすればほとんどガタ無しで取り付きます。


部品を搭載です。4ケ口あるうちの両端の2つをつかいます。右側が受信で、左側を送信にしています。送信用のLVDS素子は
基板の裏面にとりつけています。

受信側の半田面です。
受信用の終端抵抗は51Ωを2個直列にしているので
合計8個あります。
送信側の半田面です(ちょっとピンぼけ)
こちらは部品は少な目です。

動作確認のためのケーブルはCAT6のものです。シールドはありませんので、送受信基板間でのGNDは共通にはなりません。
その状態で通信できるかどうかのテストです。事前テストでは問題なかったので、基板にしたからといって問題にはならないでしょう。
とはいえ、ちょっと不安です(笑。
 

LANケーブルはこれを使いました。2m長さがあり、これが160円です。


動作確認の様子です。

こちらも問題なく動作しました。家の中には20m以上のLANケーブルもありますが、それはおいおいテストしてみましょう。


問題なく動きました。事前実験の通りでした。

最後はHDMI−LVDS−T/Rです。

こちらは、1つの基板を送信と受信のどちらでも組み立てることができます。
送信、受信ともアイソレータを入れることができますが、現実的にはどちらか片方だけになります。両方にアイソレータを入れたら
ケーブルの伝送信号エネルギーはどこから供給するの?という話になりますからね。

でも、この基板の最大の特徴はHDMIのピンアサインを自由に変更できるということでしょう。
基板の中ほどに13列のジャンパー部分がありますので、ここを変更すれば自由にピンアサインを変えられます。
世の中にはHDMIケーブルを使うが、ピン配置が異なるDAIやDACもあるでしょうから、これを使えば便利でしょう。


左側が送信用で、右側が受信用です。基本送信用のICは半田面にとりつきます。
送信用のアイソレータは省いているので、ジャンパー線をとばしています。


左側が送信用で、右側が受信用です。

こちらも、問題なく動作しました。

そろそろ長くなって来たので、後編パート2を作った方がよさそうです。
このシリーズの最後はPiLVDSですが、ソフトも必要なのでちょっと時間がかかるかもしれません。
といっても、複雑なソフトではないので、ものすごく短く終わったりするかもです。

(後編パート2につづく