DIV5142の1WAY化(BPF)を確認!の巻き 2020.4.28

こんな投稿を頂きました。

以前にDIV5142を高次の2WAY化を行いました。あとは1枚をDIV5142をBPF(ミッドレンジ用)として使おうかと思いましたが、
BPFにした場合ではDSP内部でのディジタルフィルタの段数がLPF、HPFと異なり音のずれが発生する懸念があることから、
すこし検討が中断してました。
 しかし、投稿頂いたようにすべてBPF構成にしてしまえば、それぞれの基板毎での遅延差は抑制されるのでいいかもです。
ただし、基板枚数がすこし多くなります。時間差を気にしないのなら、DIV5142は3WAYで2枚あるいは、4WAYで3枚で済みますが、
すべてBPF構成にすると3WAYで3枚、4WAYで4枚と1枚づつ多くなってしまいます。

まあ、基板の枚数はさておき、まずはBPFとして動作するかを念のため確認しておきましょう。
改造に使うのはすでに2WAY化に改造したDIV5142を使います。
INTEGRATION UNITの検討中でしたので、色々とクリップがとりついていますが、改造のため引っぺがします。

改造はこの基板を使いました。

改造は簡単です

2WAY化してある状態からBPF(1WAY?)にするための改造はジャンパー線1本と、パターン切断1箇所で済みます。
これで4つのPCM5142がすべてシリーズにつながることになります。


黄色矢印の線が新たなジャンパー線です。


CN3(CH2の出力)の1番ピンからジャンパー線を飛ばします。


CH3のDTのランドに接続です。


カットする部分の位置はここです。


黄色矢印の部分をカットします。

動かしてみましょう!

ソフトは2WAY版を未改造のまま使用します。特段のソフトの改造は必要ではないはずです。
接続はCN1を入力として、CN5を出力となります。

動作確認のための接続です。

まずは簡単に2000〜4000HzでのBPFに設定です。HPF側が2000HzでLPF側が4000Hzになります。
ゲインは0dBにしています。

まず設定は2000〜4000HzでのBPFに設定です。

結果は想定どおり、BPFとして機能することを確認できました。


f=1600Hz

f=2000Hz(-3dB)

f=2500Hz(0dB)

f=4000Hz(−3dB)

f=5000Hz


周波数範囲を広げましょう!

現状のソフトは2WAY用なのですが、カットオフ周波数は20〜20000Hzの範囲に限定しています。
通常の2WAYのクロスオーバ周波数はこの範囲を超えることはありえませんが、BPFをLPFあるいは
HPFのような使い方を考えたときに、下限の周波数が20Hzで上限が20000Hzというのは、
すこし気がかりです。周波数をもっと拡大することは簡単で、下限については1Hzくらいまで低くすることが
できますが、問題は上限です。FSの1/2までしか設定できません。すなわち44.1kHzサンプルなら
22.05kHz以上は設定できません。FSが96kHzなら48kHz未満まで設定できますが、FSが変更になった
場合には常に上限周波数を変更する必要がでてきます。

そこで、LPFあるいはHPFのように扱うために20Hz未満あるいは20000Hzを越える場合は、フィルター
は通過するけど、フィルター係数はスルーになるようにソフトをすこしいじりました。
これで、純粋にLPFあるいはHPFとすることができます。


現状のカットオオフの周波数は20〜20000Hzまでの範囲になっています。


20Hz未満はTHR-L、20000Hzを越える場合はTHR-Hとして
フィルター係数をスルーにしました。


これで、DIV5142を超高次でのBPF化することができました。
私の3WAYのシステムだと、DIV5142が3枚必要ですが、案外このほうがスッキリするかもしれません。

INTEGRATION UNITの必要性

DIV5142をBPFに変更できることは確認できましたが、DIV5142は基本は個別設定なので3WAY用に3枚のDIV5142を
つかったら、それぞれにLCDとスイッチを搭載する必要があります。それではあまりにも大変なので、1つのLCD、SWで
多数毎の基板と接続できるようにINTEGRATION UNITの必要性がかなり高いように思えてきました

 本来は3WAYあるいは4WAY用に統一したソフトがあれば一番スマートではありますが、DIV5142以外にもDAIやASRC
なんかも接続する可能性も高いので、汎用性の高い方法(INTEGRATION UNIT)で進めましょう。

(つづく)