パラアンプ考 2008.11.16

一枚の写真が非常に印象にのこった。

それは、これである。ksさんのblogにあるものがだが、無断引用(笑)。

ref: http://d.hatena.ne.jp/platycerus/?of=10
file http://f.hatena.ne.jp/images/fotolife/p/platycerus/20080929/20080929000037.jpg


なにが印象にのこったというと、その基板のシンプルさである。
パラアンプ用の基板となると、それなりにサイズが大きくなるのがが、
この基板が結構小型になっていそうだ。小型にできるということは、それだけ
信号のパスが小さくなる。ただし、問題がないわけではない。
この基板の配置だとパワートランジスターは羽状に広がるわけで、
必要な放熱板が大きくなってしまう。パワートランジスタが横一列に並べば
放熱板も小さくなるし、なにより基板と放熱板を直角に配置できるので
レイアウトの自由度があがるというものだ。


羽を広げた形でのトランジスタ配置の場合。基板は小さくコンパクト。



トランジスタを一列に配置した場合。実装の自由度が高くなる。

メーカ製はどうなっているのだろう?
ちょっとWEBを探してみた。放熱板と基板と一体になっているものが多いようだ。それにしても
放熱板が大きい。

これはアキュフェーズM-6000で8パラ構成のもの。


これもアキュフェーズP-4100で3パラ構成のもの。


これはラックスマンM600Aで4パラ構成のもの。
トランジスタは折り返して基板の裏側に実装してある。

それにしても、パラアンプにちょっと興味が出てしまった。ちょっとパラアンプについて考えみよう。

パラアンプの目的
自宅のオーディオシステムはもちろんシングルのアンプである。
というのも、どちらかといえばBGM的に鳴らすことが多く、
それほどの出力を必要としていない。大きな音量をだす場合でも、スピーカ端子
の電圧を測定してみると最大でも5Vを超えることはない。スピーカのインピーダンス
が4Ω程度であることを考えると、電流値で1.25A、出力で6W程度であろうか。
これはあくまでもボリュームをかなり大きめにして、さらにその中でパルス状に大きくなる
音でのピーク値なので、ごくまれに発生する音量である。実際には平均出力は1W程度
あるいはそれ以下だろう。こんな出力ではパラアンプはまったく必要なさそうである。

そもそもパラアンプの目的は第1義的には出力の増大である。
たとえば出力200Wのアンプを考えてみよう。
8Ωの負荷を想定した場合、
流れる電流は5Aで電圧は40Vになる。これらは実効値になるので
ピーク電流はその1.4倍、すなわち7Aと56Vということになる。
出力につかうトランジスタとして2SC5200を考えると、IC=15A、PC=150W
であり、まず電流値的には問題なさそうだ。余裕も約2倍ある。

パワーアンプでは定番(?)な2SC5200。秋月で@200円で購入できるが、さらに安いところもある。

パラの理由は消費電力対策
ただ、問題は消費電力側にありそうである。
アンプの電源電圧を60Vと仮定して考えてみる。負荷抵抗が8Ωだとして、
アンプ側の消費電力Pは

P=(60V-負荷電圧)×(負荷電圧/8Ω)

の計算式で簡単に出てくるが、この最大値はちょうど負荷電圧が電源電圧の1/2のとき、
すなわち30Vのときに最大になる。そしてその最大値は113Wになる。2SC5200の定格値
の75%にもなる値だ。実効値でこの値だから、ピークだと定格をオーバーしてしまいます。
そのため、すくなくとも2パラにはする必要がありそうです。

さらに低負荷時が問題
スピーカ負荷が8Ωと限定されれば2パラ程度ですみそうだが、
4Ω程度のスピーカ(負荷)を2個くらい並列につないでしまう場合もあるかもしれない。
そうなれば負荷抵抗は2Ωまで下がる。このときの電流、電力を
アンプの電源電圧を60Vとして計算してみよう。

電流値は60/2=30Aとなる。2SC5200(15A)をつかうのなら、2個でぎりぎり、余裕をみるなら4個は必要だろう。
電力値は出力30Vのとき最大で(60−30)/(30/2)=450Wとなる。ピーク値に換算すれば630W!。
こうなると最低5パラは必要で、余裕を考えると10パラは必要になる。

すなわち低負荷を接続した場合にアンプの損失が増えるために、それに耐えるために
トランジスタの多パラが必要であるということになりそうだ。

現実的な路線で考えてみると

いままでは200Wのアンプで電源電圧を60Vに仮定していたが、現実的にはもっと
低い出力のアンプで十分であるから、電源電圧を30Vとして計算しなおしてみよう。

まとめると下表のようになる。

電源電圧
(V)
負荷抵抗
(Ω)
ピーク電流
(A)
実効電流
(A)
出力
(W)
Tr消費電力
(W)
必要パラ数
(余裕2倍)
20 8 2.5 1.8 25.0 12.5 1
20 4 5.0 3.5 50.0 25.0 1
20 2 10.0 7.1 100.0 50.0 2
20 1 20.0 14.1 200.1 100.0 3
30 8 3.8 2.7 56.3 28.1 1
30 4 7.5 5.3 112.5 56.3 1
30 2 15.0 10.6 225.1 112.5 2
30 1 30.0 21.2 450.1 225.0 4
40 8 5.0 3.5 100.0 50.0 1
40 4 10.0 7.1 200.1 100.0 2
40 2 20.0 14.1 400.1 200.0 3
40 1 40.0 28.3 800.2 400.0 6


30Vの電源電圧で4Ω負荷程度とするならパラは必要なさそうである。

でも、ちょっと負荷抵抗が低くなる可能性があるのなら2パラ程度にしておいた方が
安全かな〜、さらに短絡に近い状態になるならもっと必要かな〜・・・
その前にトランスがもつかな〜・・・・

パラにするならバイポーラかFETか?

ラジコンではFETは単純なパラ使用

アンプといっても色々とあって、中でもパラアンプといえばすぐにラジコンのアンプを思い出してしまいます。
ラジコンのアンプというのはモータコントローラであって、これで電動ラジコンカーや電動飛行機のモータの
出力を制御するものです。そこに使われる素子はパワーMOS−FETがほとんどで、PWM制御が行われ
ます。なぜ、FETをつかうかというと、最近では低ON抵抗(数mΩ〜数10mΩ)のものが安価に手にはいる
ということでしょう。これらを数個パラに接続することによって、さらにON抵抗を減らすことができます。
(パラというのはエミッタ抵抗とかもまったく無しで、単純にFETを重ねて半田付けしているだけです。)
なぜそこまでON抵抗を減らすことが必要かというと、モータに流れる電流が中途半端ではありません。
平均値でも数10Aで、ピーク値になると100Aを軽く越えてしまいます。そうなると、わずかな抵抗値が
モータ出力の低下を招き、その結果としてタイムの低下や走行時間の低下となって現れてしまいます。

 反対にパワーMOSFETが現れるまではラジコンカーなどのモータ制御は巻線抵抗やセメント抵抗を
直列に接続する”損失型”がメインでした。一部にはバイポーラトランジスタをつかったものが、個人の間
では使われていましたが、なんせ0.6Vの電圧ドロップが無条件に発生してしまいますから大きな
損失が生じるので巨大な放熱板無しでは実用になりませんし、バッテリー電圧が7.2Vしかないのに
0.6Vのドロップは大きすぎです。

ラジコン用のモータアンプ。素子はパワーMOSFET

FETを単純にパラ接続して大丈夫?という疑問が沸くかとおもいますが、FET自体は発熱して温度が上がると
内部抵抗が上がる特性があります。もしパラにつかうFETの特性がばらついて、1つのFETに電流が
集中したとしても、そのFETが発熱して抵抗値があがるので、電流は他のFETに流れることになります。
そのため、単純にパラにしても電流が自然と分散して流れることになるからです。

バイポーラで単純にパラをするとどうなるか?
これはかなり、危険な要素をはらみます。というのはバイポーラトランジスタは発熱するとみかけの内部抵抗
が小さくなります。ということは、一旦1つのトランジスタに電流が集中すると、
発熱→抵抗低下→電流増加→発熱
のサイクルに入ってしまって、最悪の場合は焼損してしまいます。
このサイクルを防ぐためには、トランジスタの特性を揃えることも重要ですが、
なんといってもエミッタ抵抗の役割が重要になります。
エミッタ抵抗があれば、電流が流れすぎた場合、トランジスタのVbe電圧を下げる役割をもちますから、
トランジスタへの過電流を防ぐことができます。


エミッタ抵抗

エミッタ抵抗を適切に選べばバイポーラトランジスタをつかう場合でも、
パラ接続が容易になります。

どのくらいのエミッタ抵抗が必要?
シングルのアンプを作るときのエミッタ抵抗は、経験というかなんというか色々な記事を参考に
0.2〜0.5Ωをつかっていますが、パラアンプのときはどのくらいをつかえばいいのか考えてしまいます。
パラアンプの回路図を眺めていると、やはり0.5Ω程度のものが多そうです。なんか、参考になる資料は
ないだろうか・・・・・
 と、いろいろとクグってみるがみたらない。ということで、自分なりに考えてみよう。
まずはトランジスタの特性表を眺める・・・・エミッタ抵抗に関連することだから、VBEに関連した値が無いかを
調べてみると、ありました。2SC5200のデータシートにこんなグラフがありました。



このグラフはVBEとコレクタ電流の関係を示しています。VBEが上昇するとコレクタ電流が増えるという
簡単なグラフですが、逆に考えるとエミッタ抵抗があると、電流が流れればVBEが下がってコレクタ電流を
抑制する方向にはたらきます。ということで、エミッタ抵抗を大きくすると前述の抑制効果が強くでるので、
少々トランジスタの特性がばらついていても、パラにできると考えるわけです。
 上のグラフから傾きを概算してみると、おおよそ30A/V程度です。おっと、A/Vというディメンジョンは
抵抗と同じです。すなわち抵抗値に見たてるとちょうど0.033Ωになります。直感ですが、この抵抗値の
数倍あれば、少々コレクタ電流が変動しても、十分な抑制効果がでそうです。
 たとえば10倍とすればエミッタ抵抗値は0.33Ωですが、入手性を考えると0.47Ωあたりを採用するのが
良さそうです。まあ、手元にある0.22Ωでも大丈夫でしょう。
 なんやかんや考えても、結局は0.2〜0.5Ω程度の値に落ち着いてしまいました。


部品は集まる
でも設計は進まず(爆)。これもつかうかどうか怪しいかも・・・・



放熱器、ケースも悩みどころ

パラアンプとなると、放熱器も大きいものを探さないといけないが、
いっそのことケースそのものが放熱器になると実装も便利だ。
いつものタカチのカタログをみていると、つかえそうなものは、やっぱりこれかな?
奥行が230mmしかないので、ちょっと短い。幅でカバーするのがいいか、
高さでカバーするのがいいか、悩みどころです。





話変わって 2008.11.24
 この3連休は岡山へ出撃!といっても新幹線で1時間弱なので、
旅行という気分も無し(それに、もともと観光ではないので・・・・)。
岡山市も来年には政令指定都市になるようだ。
人口70万人とそこそこ大きいが、大都市圏から離れているので物価も安そう。
初乗り400円のタクシーがあった。こういう町にパーツ屋さんがあると、安くなるのだろうか?
と思ったが、需要がたぶん少ないから、反対に高くなるのだろうか?

このくらいの町の規模になると音楽ホールもある。
岡山シンフォニーフォールという非常に音の響きのいいホールだ。
ちなみに”シンフォニーホール”という名のホールって日本にどのくらいあるか探してみると
大阪の”ザ・シンフォニーホール”、”福岡シンフォニーホール”、川崎の”シンフォニーホール
がみつかった。結構あるものである。


配置はどうしよう?

トランジスタの放熱板への取り付けも悩ましいところ。

普通に考えるとCASE1が良さそうだが、放熱フィンの”谷”のピッチにトランジスタをあわせないと
ネジのタップが立てられない。それに、基板サイズが小さくなってしまうデメリットもある。
タカチの放熱板付きのケースの高さは149mmが最大なので、CASE1だと基板の幅は100mm以下
となりそうで、すこし小さい。
ここはLアングルを介在させたCASE2がよさそうだ。こうするとちょっとアングルを切ったりする手間が
あるのと、放熱の効率が少し落ちるが、トランジスタの取り付けに自由度が増す。またCASE3のように
TO-3型のTRもとりつけられそうである。ただし、この場合はTRの銘板が見えないので少し寂しい。
この場合は、上下逆にすれいいだろう。

ケース内の配置はこんな感じになるだろうか。POWER UNITは早い話がコンデンサの固まりだ。
大型のブロック電解でもいいけど、秋月の3300uF/50Vを大量に並べるのも容量が稼げるので
良さそうだ。それに、電圧増幅段は定電圧駆動をすることも考えて、POWER UNITは基板にした方が
便利かも。



トランスはどうしよう?

必要な電源は、電力増幅段用と電圧増幅段用と、そしてミューティングリレー回路用の3回路が
必要になりそうだ。ミューティング回路用は安物のEIトランスでもいいのだが、変に磁場をまき散らして
ハムがでたり、磁歪振動がでるといやなので、これらも上質なものにしたい。
 そして、なによりもせっかくなので左右独立でかんがえるとなると多タップ出力のトランスが必要だ。

いつもつかっているRコアトランスを考えてみよう。左右独立となるとトランスは2個必要になるが、
ケース内に納めるサイズとなると、最大でもRA200くらいかな?
これでも1個3.8kgあるから2個で7.6kg、ケースが4kgあるからこれだけで11.6kg。
さらに部品等で14kgくらいだろうか。



RA200をつかうとすると、電圧、電流配分はこんな感じかな?
スピーカ負荷が6Ωくらいで、ちょうど最大出力がでるくらいでしょうか。
電圧の値の一つの制約としては、耐圧50Vのコンデンサをつかうことを想定して、
整流後は45Vを越えさせたくない点です。無負荷だと1割強は電圧があがると思われるので
40Vに設定しておけば、最大でも45V程度には収まる計算です。

RA200をつかう場合の電圧、電流配分

電圧(AC) 電圧(整流後) 電流(A) 電力(W) 備考
電力増幅段 20 28 5 200 CT付き
電圧増幅段 28 39.2 0.2 11.2 CT付き
リレー回路 10 14 0.1 1
合計 212.2

アンプの構成は? 2008.11.29

アンプはどうしようかなやみどころ。とくに電圧増幅段は低歪み、低ノイズ、高帯域などの何を狙うかによって
回路が大きく変わってしまう。いっそのこと、ドータボード方式にして色々と試せるようにするのが面白いかもしれない。
と考えて、まずは共通となる電力増幅段を書いてみよう。

電力増幅段について

ここは、非常にオーソドックスなプッシュプル回路になる。
大電流が流れる回路となるので、保護回路は必須だ。
そして、ついでというわけではないが、バイアス発生回路も同居させることにしよう。
こうすると、電圧増幅段がさらにシンプルになるはずである。

電力増幅段の回路図


回路は3段ダーリントンとした。終段のトランジスタへのベース抵抗は不要な気もするが、
終段にFETをつかうことを考えて取り付けられるようにしておこう(FETは入力容量が大きいので、
ベース抵抗が無いと発振しやすい)。

電圧増幅段について
(1)その1
非常にオーソドックスな形。ディスクリアンプのA8回路になる。出力部は適当にダイオードを6本つないで
いるが、ここに電力増幅段が変わりにつながることになる。
ちなみに動作電圧を40VとするとQ4,Q5のVCEは80Vほどかかるので2SC1815/A1015は使用不可になる。
それに電流が5mA程度流れるのでPc=400mWと容量的にもきびしい。
Q1,Q2についても絶対定格に近いので、もう少し余裕のあるTRの選択が必要だろう。


(2)その2
初段を少し変更。A11の初段のカレントミラーを取っ払っただけですが・・・


(3)その3
 
やっぱり高速タイプも捨てがたい(A6回路)。



使えるトランジスタは?

回路を考えるのと平行して、手持ちのトランジスタもちょっと整理してみよう。
有る程度数があるバイポーラのものをリストアップ。

型番 備考 VCB(V) IC(mA) Pc(mW)
2SC1775(A) たくさん(貰い物) 60(120) 50 300
2SA872(A) たくさん(貰い物) 90(120) 50 300
2SC1815 たくさん 60 150 400
2SA1015 たくさん 50 150 400
2SA999 (貰い物) 50 200 300
2SC2320 (貰い物) 50 200 300
2SA988 (貰い物) 120 50 500
2SC1841 (貰い物) 120 50 500
2SA1869 50 3A 10W
2SC4935 50 3A 10W
2SA817 80 300 600
2SC1627 80 300 600
2SA1048 50 150 200
2SC2458 50 150 200
2SC5200 230 15A 150W
2SA1943 230 15A 150W
2SC2878 VEB=25V 50 30 400
TIP31C 100 3A 40W
TIP32C 100 3A 40W
2SA1358 120 1A 10W
2SC3421 120 1A 10W



話はかわって 2008.12.10

注文していた基板類がとどきました。定電圧電源基板の1つにコンデンサがたくさん搭載できる
ロングタイプをいれてみました(写真下)。電圧増幅段につかおうかと考えています。

ロングタイプの定電圧電源基板(写真下)


使えるトランジスタは?(続き)

アンプの電源電圧をE(V)とすると、トランジスタに求められる耐電圧はだいたい決まってきます。
電源電圧を30〜40V程度と見込んで考えてみよう。

電力増幅段:
 いわゆる終段のパワートランジスタを使用するところですが、すべで2×Eの電圧がかかる
可能性があります。ということは最低でも耐圧80V以上になりますが、余裕をみれうば100V以上
が必要でしょう。
 3段ダーリントン構成とすると
  1段目は電流があまりながれないので2SC1775A/A872A (120V)
  2段目は電流が多めにながれるのでTIP31C/32CなどのTO-220タイプ(100V)
  最終段は2SC5200/A1943(230V)
 になりそうな感じです。

電圧増幅段:
 2段の差動増幅器を(上記のその2に相当)と考えると、まず2段目についても2×Eの電圧が作用
する可能性がある。そして流れる電流も10mAくらいとなるだろう。となると有る程度の容量が必要だ。
選ぶとすると2SC3421/A1358あたりが妥当だろう。これらは小型の放熱板もとりつけることができます。

 問題は1段目だ。入力信号電圧が0V程度だから、必要な耐圧はE+α程度でいいはずだ。
となると60Vの2SC1815/A1015あたりや、その他のTRも使えることになります。ただし、
入力電圧範囲を制限しておかないと、最大定格を越える可能性がでてきます。う〜ん、
やっぱり2SC1775A/A872Aあたりが無難なところだろうか・・・・・

まあ、トランジスタについて悩むのはもう少し先にしよう(問題先送り?)

放熱板
オークションサイトをみていたら、ちょうど使えそうなものがでていたので落札しました。
3枚で860円で安かったです。オークションは競る人がいないと安く手にはいるので便利です。
手元に届きましたが意外と大きいです。
さてさて、どのように加工してやろうか・・・・・・・


赤い入れ物はCDケース。


裏面がフラットなのでTRを並べてとりつけられます。


またまた 2008.12.19

部品ばっかり集めています(笑)。ちょうどいいおおきさのトランジスタがあったので購入。
@160円とお財布にも優しいです。

 

容量的には2SC5200/A1943と同じですが、サイズが小さいのがポイントです。

部品もそろそろ決まってきたので、そろそろ基板設計にかかりましょう。


全体の大きさは

まずはパワトラを横に並べてみましょう。2SC5200は比較的大きなトランジスタで横幅が最大で20.5mmもあります。
これをつかえることを前提にして、トランジスタの配置ピッチは900mil(22.86mm)にしました。中央にはバイアス電圧発生
用のトランジスタも取り付けられるようにしておきましょう。これは温度補償のため放熱板に取り付けておいた方が無難です。
基板の奥行きは、電圧増幅段の回路が載りそうなスペースを確保しますが、これについてはエイヤで書きました。
まだまだ、修正はあるでしょう。

現段階での基板のサイズは198mm×76mmです。幅はおそらくこれが最大でしょう。
奥行きについては長くなるかもしれませんが、あまり長いと放熱板上に載らなくなるので、最大でも100mmくらいかな、
と思います。



ドライバー用のトランジスターをどこに置くか、ちょっと思案中・・・・


概略のパターンを描いてみる。もうちょっとドライバーTRを下にずらせば、出力ラインを太くできるな〜。

電圧増幅モジュール 2009.1.10

メイン基板はまだ完成していないけど、電圧増幅モジュールも描いてみて、どのような感じで部品が
実装されることになるかみてみました。

シンプル2段増幅アンプ
まずはシンプルな2段増幅基板から。基板サイズが大きいのと、部品点数も少ないので、
かなりスペースに余裕が有る感じです。抵抗のサイズはすべて500milのものをつかっても
かなり、ゆったりします。


次はDAC1242に用いたA11回路をベースにしたものです。部品点数が多くなるため、
抵抗は400milサイズのものにしました。


最後は電流帰還式のA6をベースにしたものです。こちらも部品点数はそれほど多くないので、
抵抗は500milタイプのものをつかっています。


アクセサリー
パワーアンプですから、ミューティングリレー回路も必要です。スピーカの位相補償用のLCRと
含めたアクセサリー基板も設計しましょう。電流がかなり流れることも考えて、2回路のリレーは
丸ごと1個使用することにしましょう。


必要なものは、これでほそろったかな?あ、メイン基板を仕上げなくっちゃ!

一応、完成!
デバッグはこれからですが必要な基板群のお絵かきは終わりました。

クリックするとPDFファイルが立ち上がります。

パラアンプとなると電流も大きくなりますから、太い線を半田付けして入れ替えたりするのは
大変そうなので、廣杉計器の電源端子を使おうと思っています。
定格電流15Aですから、十分でしょう。それに金メッキ品でも@26円と安価です。
錫メッキなら@11円ともっとお財布に優しいのです。

 
廣杉計器のHP-00970 (t=0.8)

影の声につられて
lこんなものも描いてみました。OPアンプをつかったシンプルな電圧増幅段です。
といってもオペアンプだけだと、出力電圧が不足するので、トランジスタで1段増幅をかけています。
TO-220のトランジスタはオペアンプの電源用です。ほんとうは抵抗+ツエナーくらいで十分ですが、
オペアンプのところに何がささるかわからないので、ちょっと容量が稼げるようにしてみました。
オペアンプだけなら、小型のモールドトランジスタでいいのかもしれません。

OPAをつかったシンプル電圧増幅段。お気楽PAと同じ構成です。

でも、全部で基板が6枚で、サイズアップしてしまうな〜〜。どれか1枚削ろうかな〜・・・・悩み

とりあえず基板発注
基板の若干の手直しとデバッグも一通り完了し、とりあえず発注。ついでに、在庫切れのいくつかの基板も面付けしました。
デバッグ一回では心配な面もありますが、何回見直してもミスはなくなりませんし、ここはお気楽に発注しましょう。

部品集め! 2009.1.17
必要な部品をあつめにかかりましょう。部品集めはおもに通販を利用しています。
まずは、廣杉計器より電源端子をゲット。端子だけではなんなんで金メッキのビス付きにしました。
金メッキビス付きだと@32円と6円アップしますが、それでもお財布に優しい端子台です。



基板到着 2009.1.23
今年はじめての基板到着です。

パラアンプを構成する基板群

スピーカプロテクト基板を作る!
とりあえず一個だけ作ってみよう、ということでスピーカプロテクト基板を作成。
動作も問題ないことを確認しました。今回は初めてネジ端子をつかいましたが、
結構キラキラして綺麗です。半田付けするには結構熱容量の大きな半田ゴテが
あったほうがよいようです。

スピーカプロテクト基板。これで1ch分です。

メイン基板を作る!2009.1.25

基板を作る前に、放熱板に基板をどのように取り付けるかを考えておかなくてはなりません。
そのために、トランジスタの足曲げをしておきます。トランジスタの足曲げはパッケージの
根本から曲げてもいいのですが、”たわみ”が有る程度できるようにしておかないと、
基板あるいはトランジスタに力がかかりそうなので、ちょうど足の真ん中あたりから
曲げることにしました。

足曲げが終わったパワートランジスタ。

そして次に配置を決めていきます。今回つかった放熱板はヤフオフで入手したものですが、
すでにTO-3用の穴が数カ所あいていますし、穴をあける位置がフィンの山の部分にならないように、
位置を調整していきます。

位置決め中です。

位置決めが終わったら、マジックで印を書いて、ドリルで穴あけします。穴があいたら、
とりあえずトランジスタを仮止めしておきましょう。放熱用のシリコンシートは忘れずに
いれておきます。

パワートランジスタを仮止め

メイン基板といってもさほど部品点数は多くないので、すぐに作れますが、どんな部品をつかうかは
悩みどころです。その1つがエミッタ抵抗です。よく使われるのが、下の写真右の膜抵抗ですが、
これはあまり手元の数がありません。次は写真左のセメント抵抗ですが、いつもこれをつかっているので
今回はちょっとおもむきをかえて、写真中央の酸化金属被膜(3W 0.3Ω)をつかってみることにしました。

左からセメント抵抗、酸化金属被膜、膜抵抗

メイン基板の完成!

とりあえず完成です。部品定数は現在のところ仮置きかもしれません。動作確認の中で、
調整していきましょう。

メイン基板が完成。お出かけ用の写真をパチリ!

ドライバ用のTR辺りの実装が少し窮屈ですが、まあこんなもんでしょうか。
放熱板を取り付ける必要があるかどうかは、流す電流にも依存するのですが、
まずはとりつけておきました。

ドライバTR周辺の様子。

メイン基板を放熱板に取り付けてユニットの完成です。




動作確認!2009.1.31

さすがに1週間の平日に3回も新年会があると半田ゴテをもつ気にはなりませんでした・・・
さて、今日はのんびりできそうなので作業を再開しましょう。

まずは、動作を確認するための電源が必要です。本来は電圧増幅段と電力増幅段の2系統の
電源が必要ですが、とりあえず手持ちのトランスで確認をおこないましょう。
RA40-144トランスをつかいました。アナログ用の電圧出力端子をつかいます。
平滑後の電圧は約23Vですが、これを電圧増幅段と電力増幅段の共用としました。


動作確認に用いた電源(RA40-144の16-0-16V出力を使用)

電圧増幅段をつくる(電流帰還アンプ)

まずは電流帰還型のアンプからつくります。というのも、これが本命です。
それに部品点数も少ない点もちょっと作りやすいということもあります。
トランジスタは2SC1775A/A872Aをつかいました。

電流帰還型のアンプのドータボード

このでアンプをつかうためにメインボードの帰還抵抗は3.3kΩ/200Ωとしていて、
ゲインは17.5倍にしています。
完成したドータボードをメインボードに取り付けて、電源配線をすれば確認準備完了です。

メインボードに取り付けて動作準備完了です。

無事に動作しました!
電源をいれて、まず異音がしないかをチェック。そして、加熱する素子がないかをチェック。
電源電圧をチェック・・・・と短時間でチェックする項目は多々ありますが、これを怠ると
取り返しのつかない事態にもなりかねません。チェックする項目を整理しておいて電源を
いれます。

とくに問題もないようなので、バイアス電流を調整します。まずは1トランジスタあたり20mAの
アイドリングに設定しました。これでも4パラなので片側80mAながれることになります。

そして、入力に発振器を接続して波形を確認しましょう。
位相補償コンデンサを入れると、波形が少し鈍りますが、素直なたち上がり、たち下がりに
なるので、小容量でもいれておいたほうがよさそうです。
この値については、別途調整しましょう。

(1)まずは位相補償用のCがない場合

下:入力(ch2) 上:出力(ch1)

(2)帰還抵抗3.3kΩに1000pFをパラ接続

下:入力(ch2) 上:出力(ch1)

(2)アンプ回路に100pFの位相補償コンデンサ接続

下:入力(ch2) 上:出力(ch1)


トランスも到着!2009.2.7

アンプにあわせてトランスも製作しました。いつものフェニックスさんに頼んでRA200でつくりました。
もっと大きなサイズで作ってもよかったのですが、取り回しを考えてこのサイズにしました。
いつもRA40をつかっているので、いざ手にしてみると大きくて重たいです。

左側:RA40 右側:今回製作したRA200

製作した仕様は下記の通りです。電圧は抑えめにしました。

RA200の製作仕様 仕様表.PDF

回路 電圧(ACV) 電流(ACA) 用途
1 30-CT-30 0.3 電圧増幅段
2 22-CT-22 4.2 電力増幅段
3 12 0.3 スピーカプロテクト用
静電シールド付き

なぜこの電圧にしたかといえば、整流+平滑後に電圧が45Vを越えて欲しくなかったからです。
というのは50V耐圧以下のコンデンサは比較的安価に入手できます。とくに秋月の3300uF/50Vは
4個100円ですから、これが使えるのであればとても魅力的です。

今回製作したトランスの整流+平滑後の電圧を測定すると、無負荷時で回路1が42.9V、回路2が31.8V
でしたから、狙い通りです。
 回路1と回路2で電圧差が11Vもありますが回路1は定電圧回路を通して出力電圧35Vで使います。
そうすれば回路2との電圧差は3.2Vくらいですから、ちょうどいいでしょう。トランジスのVbeの5個分くらいです。

こんな感じでアンプ用の調整用電源をくみたてました。

基板の上段が電圧増幅段用の定電圧回路(35V)、下側は平滑コンデンサのみ(電圧約32V)。

動作確認のつづき

電源回路とアンプ基板を接続して動作確認のつづきです。電源部も余裕ができますから、
大きめの出力での負荷テストもできます。
 負荷には普通の抵抗をつかいました。4.7Ω50Wのものです。
発熱するので、放熱板の片隅に仮付けしておきました。



電圧増幅基板(A6)

まずはこれからチェック。なぜか取り付けたときに、発信気味な波形だったので、
アンプ基板本体の電力出力段のダーリントントランジスタを3段→2段に減らしました。
1段目のトランジスタのBE間をショートさせました。


電圧増幅基板(A6)

(1)アイドル電流設定
まずはアイドリング電流を調整します。今度は50mAに設定してみました。
アイドル電流をかけると、ゼロクロス歪みが消えるのがよくわかります。

A6基板:バイアス電流無し
A6基板:アイドリング電流50mA
上段:出力(ch1:1/10プローブ)
下断:入力波形
位相補償コンデンサなし
上段:出力(ch1:1/10プローブ)
下断:入力波形
位相補償コンデンサなし

(2)最大出力電圧の確認
つぎはどこまで出力が得られるかみて見ましょう。負荷抵抗をつないだ状態で、出力電圧をどんどん上げて
いきます。出力電圧40Vppくらいでは問題なしです。でも、このときにはすでにピークで約4.3Aの電流が流れいます。
さらに上げていくと、56Vpp(約28V0-p)でクリップしだしました。このとき、電源電圧を測定してみると、
電力増幅段の回路2の方で28.9Vで、リップルも1Vくらいありましたので電源電圧で制約やかかっています。

A6基板:出力電圧40Vpp
A6基板:出力電圧56Vpp

上段:出力(ch1:1/10プローブ)
下断:入力波形
位相補償コンデンサなし
上段:出力(ch1:1/10プローブ)
下断:入力波形
位相補償コンデンサなし

(3)周波数特性の確認
つぎは、周波数特性をみておきましょう。負荷をかけて出力電圧は20Vppに最初に設定しておきました。
100kHzまでほぼフラットで、600kHzあたりで-3dBの特性です。
オーディオ用途では十分すぎるでしょう。
動作安定のためにも、位相補償用のコンデンサをある程度いれておいたほうがよいかもしれません。

A6基板:f=1kHz
A6基板:f=100kHz
A6基板:f=600kHz
上段:出力(ch1:1/10プローブ)
下断:入力波形
位相補償コンデンサなし
上段:出力(ch1:1/10プローブ)
下断:入力波形
位相補償コンデンサなし
上段:出力(ch1:1/10プローブ)
下断:入力波形
位相補償コンデンサなし

とりあえず、これでアンプ基板は無事動作確認終了です。

あとは、その他作った電圧増幅基板を試して見ましょう。

その1:オペアンプをつかったシンプル電圧増幅器

最初は部品点数が少なそうということで、オペアンプをつかった電圧増幅段です。
オペアンプだけだと、出力電圧が不足するので、1段だけ電圧増幅しています。
簡単といっても、オペアンプ用の電源をオンボードで作らないといけないで、そのために
結局部品点数が増えてしまいました(笑)。オペアンプ用の電源はツエナーをつかったものです。
 で、組み立てている途中で、パターン間違いを発見。間違いというより、ずっと勘違いしていて、
この回路はオペアンプの負側が入力で、正側に帰還入力が入らないといけないので、
オペアンプの正負入力を反対にしておかなければだめだったんです。
そのため、ちょこっとパターンを切ってオペアンプの入力の正負を入れ替えています。
OPアンプはOPA627をつかってみました。


オペアンプをつかったシンプル電圧増幅器(間違いがありました)。

この回路の安定度は少し劣るので、位相補償コンデンサを入れています。
でも、ちょっと入れすぎたかな?

(1)まずは最大出力電圧から

こちらも最大電圧28Vを超えるとクリップします。クリップと同時に部分的に発振している様子もわかります。

OPA基板:出力電圧40Vpp
OPA基板:出力電圧56Vpp
上段:出力(ch1:1/10プローブ)
下断:入力波形
位相補償コンデンサ:
 NFB-Rにパラに1000pF
 電圧増幅段の入出力間 220pF
上段:出力(ch1:1/10プローブ)
下断:入力波形
位相補償コンデンサ:
 NFB-Rにパラに1000pF
 電圧増幅段の入出力間 220pF

(2)周波数特性

やはり位相補償コンデンサが多いためか、周波数特性は落ちています。それでも20kHzまではフラットですね。
50kHzで−3dBくらいになりました。
コンデンサの値は、発振しないあたりを見据えて、調整する必要があるでしょう。

OPA基板:f=1kHz
OPA基板:f=20kHz
OPA基板:f=50kHz
上段:出力(ch1:1/10プローブ)
下断:入力波形
上段:出力(ch1:1/10プローブ)
下断:入力波形
上段:出力(ch1:1/10プローブ)
下断:入力波形


その2:電圧増幅基板(A8)

つぎはシンプルな電圧増幅回路であるA8回路を試してみました。これは案外部品が少ないので
いいです。入力のトランジスタはFET(2SK117)をつかってみました。


A8回路基板。OPA基板より部品点数が少ないかも(笑)。


(1)最大出力電圧

A8基板:出力電圧40Vpp
A8基板:出力電圧56Vpp
上段:出力(ch1:1/10プローブ)
下断:入力波形
位相補償コンデンサ:
 電圧増幅段に100pF
上段:出力(ch1:1/10プローブ)
下断:入力波形
位相補償コンデンサ:
 電圧増幅段に100pF

(2)周波数特性
こちらも100kHzはフラットです。

OPA基板:f=10kHz
OPA基板:f=100kHz
OPA基板:f=500kHz
上段:出力(ch1:1/10プローブ)
下断:入力波形
上段:出力(ch1:1/10プローブ)
下断:入力波形
上段:出力(ch1:1/10プローブ)
下断:入力波形


その3:電圧増幅基板(A11)

最後はDAC1242にもつかった電圧増幅回路です。ただ、そのままでは面白いくないので、入力をFET(2SK30A)
に変更して、入力段の電流も多めにしました。そのため2段目の電流が多くなるので放熱が心配なので、放熱板を
とりつけておきました。


A11回路基板

(1)いきなり周波数特性から測定

最初は位相補償コンデンサ無しで問題なかったので、どんどん周波数を上げていったところ、400kHzでゲインが上がってきました。
そして、つぎのステップ(500kHz)にあげたところ、いきなり発振!こうなるとトランスからうなりが発生して、すごい電力を消費していきます。
ほっとくこ加熱で壊れるので、素早く電源OFFしました。
やっぱり位相補償コンデンサあったほうがよさそうです。

A11基板:f=100kHz
A11基板:f=400kHz
A11基板:f=500kHz(発振)
上段:出力(ch1:1/10プローブ)
下断:入力波形
上段:出力(ch1:1/10プローブ)
下断:入力波形
上段:出力(ch1:1/10プローブ)
下断:入力波形

ということで、電圧増幅基板の方に100pFのコンデンサを取り付けました。
100kHzでちょっと落ちますが、オーディオ帯域は問題ないでしょう。

A11基板:f=10kHz
A11基板:f=100kHz
A11基板:f=200kHz
上段:出力(ch1:1/10プローブ)
下断:入力波形
位相補償コンデンサ(A11アンプに100pF)
上段:出力(ch1:1/10プローブ)
下断:入力波形
位相補償コンデンサ(A11アンプに100pF)
上段:出力(ch1:1/10プローブ)
下断:入力波形
位相補償コンデンサ(A11アンプに100pF)

電圧増幅基板もOPA基板以外はパターンそのものは間違っていなかったようです。回路定数や位相補償コンデンサの容量は
まだまだ詰めるところもありますが、まずは無事動いて何よりです。


シンプル電源基板パート2

パワーアンプとなると、整流ダイオードもそれなりに容量のあるものが必要ですが、
大容量品となるとほとんどがブリッジで直接ケースに取り付けるものが多くなります。
それらを使うために単純にコンデンサのみを搭載できる基板もあると便利です。
秋月の3300uFを8個載せれば、容量も26,400uFですから並のブロックコンデンサより
容量を稼ぐことができます。それに全16個でもコンデンサ代で400円!


コンデンサを沢山搭載するための電源基板


負荷抵抗を減らしてみよう! 2009.2.11

折角パラアンプにしたのだから、大電流を流せる負荷でテストをしてみようと思います。
2Ωのホウロウ抵抗を準備しました。これは、大型ですので放熱板にとりつける必要はありません。

2Ω60Wのホウロウ抵抗

大電流を流すとなると、電源基板側のダイオードの容量も心配です。現在は3Aのものがついていますが、
もうすこし容量が欲しいところです。で、部品箱を探してみるとこんなブリッジがでてきました。たぶん、古い
基板から取り外したものでしょう。型番(M4C51)を調べてみると三菱の200V5Aの容量のようです。
まあちょっと不足している気もしますが、これにつけかえましょう。
 
ブリッジダイオードも容量アップ

負荷を2Ωにして出力を確認しました。40Vppでも問題ありません。50Vになると出力がややクリップします。
これは、負荷電流が大きくなると電源電圧が下がってしまうからしかたありません。ちなみに、
このときの電源電圧は27Vまで下がっていました。しかし50Vppということは、最大電流で12.5Aになります。
こんな出力を出すことって、まず一般家庭ではあり得ないだろうな・・・・・
ちなみにこのときの電力は概算で25×12.5/2=156Wです。
抵抗も熱くなりますし、放熱板もガンガン温度があがってきます。
あまり長い時間の測定はできません。

A6基板:f=1kHz 出力40Vpp
負荷抵抗 2Ω
A6基板: f=1kHz出力50Vpp
負荷抵抗 2Ω
上段:出力(ch1:1/10プローブ)
下断:入力波形
位相補償コンデンサ(A6アンプに100pF)
上段:出力(ch1:1/10プローブ)
下断:入力波形
位相補償コンデンサ(A6アンプに100pF)

お気楽でないPAも試してみよう!

トランスを新調して、電源基板もあたらにつくったのでお気楽でないPAについても一度
試してみましょう。お気楽でなおPAは電圧増幅段と電力増幅段の電源を分離することが
できますから、電圧増幅段には35V(定電圧)を、電力増幅段には約30V(非安定)を
かけることにしました。

お気楽でなおPAのパターンカット!

お気楽でないPAはシングルトランジスタなので負荷抵抗は4.7Ωに変更しました。
出力電圧20V(電流で4A)ですが、これ以上上げるのはちょっと怖いです。
これでも、結構発熱します。
 
負荷テストの様子

しかし、ほんとのパラにする必要あるのかな〜とちょっと自問自答・・・・・・


やっぱり3段に戻そう! 2009.2.16

いままでの動作では終段を2段ダーリントンにしていましたが、10A以上出力をえるのに
2段ではちょっと増幅率不足のような気がします(それでも問題なく動いていましたが・・・)。
ということで、最初の設計通り3段に戻しておきましょう。ただし、3段では少し発振気味という
こともあり、初段のトランジスタのBC間に発振止めのコンデンサを追加しました。
直接トランジスタにとりつけてもいいのですが、周囲に使えそうなパターンがあったので、
そこを活用しました。


発振止めに取り付けたコンデンサ(100pF)

最後は安定性のチェック!

バイアス電流とオフセットの変動について調べておきましょう。
測定の方法は、電源投入直後にバイアス電流を10mA(トランジスタ1個あたり)に設定し、
オフセット電圧をゼロ近くに合わせて、その後15分に再度測定するというやり方です。
すべてのアンプ基板で測定してみました。

電源投入時 15分後
アイドル電流
(mA)
オフセット電圧
(mV)
アイドル電流
(mA)
オフセット電圧
(mV)
A6基板 10 3.0 19 0.3
A8基板 10 0.3 21 3.0
A11基板 10 1.6 15 20.1
OPA基板 10 1.8 28 1.8 OPA627使用

オフセット電圧はA11が少し悪いようです。もう少し回路定数の調整が必要かもしれません。
それ以外はそこそこ安定していそうです。OPA基板はさすがに安定しています。OPA627を
つかっているからかもしれませんが

アイドル電流は設定直後から約2倍程度に増えています。調整は、電源投入後にしばらくたってから行ったほうが
いいでしょう。しかし、熱暴走しないかを確認しておく必要があるので、OPA基板を搭載した状態で、負荷抵抗に
ガンガン電流を流して放熱板を暖めてやります。そして、その後に再測定するとアイドル電流は28mAから20mAに
減っていました。バイアス電圧発生用のトランジスタを放熱板に固定しているので、温度補償がうまく効いています。
バイポーラではなくFETなら、その必要はないかもしれません(FETは温度が上がるとON抵抗が下がるので、自動的に
電流を抑える方向となる)。

さて、これで完成です。

あとは、一度スピーカにつないで鳴らして見ましょう。


電源基板も到着です。 2009.2.24

ひさしぶりの更新かな?

なんの変哲もないコンデンサを沢山実装するための基板です。
これで、大容量の電源基板を作ってやろうと思っています。



部品を載せるろこんな感じです(秋月の100円/4個コンデンサを搭載)

これだけ容量があると、電源OFF時は放電しておかないと危険なので
放電用抵抗をつけておきましょう。


とりあえずトランスとブリッジを接続して電源on。
この後、悲劇が・・・・・・
1個のコンデンサが、パンという音とともに、頭頂弁が開いてシュワーと
電解液が飛び出す羽目に・・・・
さてどのコンデンサでしょう? トホホ

電圧測定中。このあと・・・・

気を取り直して、コンデンサを取り換えましょう。破裂したコンデンサはかなり加熱していました。
そりゃ、爆発するくらい内部にエネルギーがたまっていたのだから当たり前ですよね。

さて、ちょっと試したくなってLM3886基板を組み立てることにしました。
このLM3886は非常に使いやすい(足の配列がまっすぐだったもっといいのですが・・・)ので、
オーディオ以外の用途で理系の実験室でよく使われていると聞きますが、
どの程度の出力が得られそうかみておきたくなりました。


LM3886基板を組み立て。必要部品は最小限に。

電流を相当に流すことになりそうなので、放熱板には取り付けました。

LM3886の実験開始! 

まずは無負荷
まずは負荷抵抗をつながずにテストです。電源電圧は31Vありましたが、
最大振幅は30Vまででそうです。それを越えると当然のことながらクリップしてしまいます。

無負荷 上(CH.1):出力(1/10プローブ使用)  下(CH.2):入力

負荷抵抗4.7Ω
次は4.7Ωですから、ちょっと低め公称インピーダンスのスピーカに近い負荷になります。
まあ、実際のスピーカはL成分やC成分がまざるのでややこしいのですが、ここではとりあえず無視。
負荷をかけると、さすがに出力電圧が下がります。電源電圧も28.4Vまで低下しました。
最大振幅は25V程度でしょう。それを越えるとクリップがはじまります。
25Vだとすると、最大電流は約5.3Aになりますから、すくなくともこの値では電流の制限がかからない
と思ってよさそうです。

負荷4.7Ω 上(CH.1):出力(1/10プローブ使用)  下(CH.2):入力

負荷抵抗2Ω

つぎはちょっときついのですが負荷を2Ωにしてみました。出力12V程度までは問題ないのですが
それを越えると、クリップというのではなく正側の出力がやや不安定になる現象がみられました。
ひょっとして内部の保護回路が働きだしたのかな?放熱板もかなり暖かくなってきます(熱い程度ではない)。
このときの最大電流は6Aです。まあ、これが最大値なのかもしれません。
パラアンプにすれば、この程度の電流は余裕ですが、これだけ小さいパッケージでこれだけの電流が流せる
ことができるのですから、大したものです。家庭用途では十分過ぎるくらいでしょう。

負荷2Ω 上(CH.1):出力(1/10プローブ使用)  下(CH.2):入力



話は戻って 2009.3.7

コンデンサ基板の修理(パンクした物の取り替え)後に、電源基板を組み替えました。
3300uFが8本で26,400uFと大容量になりました。


電源基板(下側)を取り替え

さてさて、全体をバラックですが組み上げます。これで1ch分です。結構大がかりになります。
ステレオにするにはアンプとプロテクト基板を追加すればいいわけですが、完全にモノラル構成に
するのも面白いかもしれません。ただ、大きなケースになりそうで、コンパクト化を常に目指している
私のポリシーからはちょっとはずれそう〜(悩)。

まずは全体を組み立て(これでモノラル)

出力にヘッドホンをつないでテストです(ヘッドホンをつなぐと小さいノイズなんかがわかりやすい)。

電源ON!
入力をショートさせて、電源ONします。すると小さくブーンというハム音がでました。
で、トランスを触ると小さくなります。トランスからの配線の位置を変えると小さくなります。
ん〜バラックでやっているので配線長も長いし、トランス本体も接地してないし・・・仕方ありません。
一番効くのはトランス出力の電力ライン(橙-赤)です。これを束ねるとノイズが小さいなります。
ここには電流が結構ながれますから、そのノイズが飛びついているのでしょう。
ちゃんと三つ編みとかにしないといけないようです。
これはケースに入れるときの宿題事項です(っていつになったらケースに収まることやら)。

音だし!
入力はとりあえず、USB-DACの出力をつなぎました。で、再度電源ON! う〜うるさい!
ゲインが高いので、USB-DACの出力を最低にしてもかなりの音量がでてしまいます。
こりゃ、ちゃんとプリをつながないとだめのようです。