試作するぞ!
基板が到着するのは来週だけど、届いたらすぐに組み立てられるように部品は揃えておきましょう。
部品は数は多いですが、体積は小さいです(汗)。
でも半田付けの個数は1000個を超えそう・・・・・
部品表はこちら(エクセル型式)。
必要な部品はこれくらい。
エクセル形式で部品表をつくったので、ついでに何点半田付けが必要か計算してみました。
計算の結果は1205点です。1点あたり平均5秒かかるとして、約6000秒。2時間で作れる?
って無理だな・・・・
基板到着!2007.7.25
到着した基板。半分プチプチにくるまれて送られてきます。
これはWRITE UNIT(メインボード) 線が細いです。
やっぱりパターン細いです。0.2mmルールなのでたとえばPCのマザーボードに比べたりすると
太いのですが、それでも普通のオーディオ基板にくらべいて圧倒的に細いです。
ちなみに、いまのマザーボードの配線幅って0.12mmくらいかな?どんどん細くなりますが、
限界幅はどのくらいなんでしょうね。ちなみに、昔によくやったようなサンハヤトの感光基板
をつかって作るような基板だったら、0.2mmの配線なんかでやろうとしたら、
たぶんエッチング時に全部のパターンが溶けて流れてしまうだろうな・・。万が一溶けなかったら
溶け残りで隣の線とひっついちゃうでしょう。
外観チェック!
さて、基板が到着したので外観を一通りチェック。これで、案外間違っているところもわかったりします。
パターンをプリンタに印刷して確認するよりも、やっぱり実物のほうがわかりやすいものです。
外観といってもパターンを追いかけるわけではなく(追いかけるのは印刷物の方が楽です)、
シルクの仕上がりとか、隣のパターンとの接触などです。
次のチェックは電源線です。VccとGND間がショートしていないかテスターで調べておきます。
これは、半分儀式みたいなものですが念のためやっておきます。
ピー・・・・ 0.5Ω!!!
なんとVccとGND間で導通があります。
さっそくパターンを追いかけます。実物の基板でも蛍光灯にかざせば裏の配線も透けてみえますから、
電源ラインを追っていけます。あ、不要な接続箇所がみつかりました。
ということで、カッタナイフでパターンを切り取り。次にはかったときはOKです。
透かして見れば〜!!
不良個所はカット!
これで1つの問題はつぶせました(って、この調子だとこの先いくつ問題点がでてくるだろう・・・)。
では、おもむろに部品を半田付けしていきましょう。
半田付け開始!
今回の部品は表面実装品がほとんどなので、半田付けの準備も片付けも楽です。
なにしろ、リード線の部品があると、そのリード線の折り曲げや、半田付けのために基板を裏返したり、
リード線を切ったりするのは、意外と手間がかかります。1つ1つは短時間で済んでも、塵も積もれば
何とやらです。その点、表面実装部品の場合は、基板を裏返す必要もありませんし、余分なリードも
ありません。机の上はほとんどちらからない状態で作業をすすめることができます。
反面、表面実装部品をつかうデメリットはやはり、部品の選択幅が狭くなるのと、店頭での扱いが少ないこと。
それと、デバッグ作業が難しいというところがありますが、何事にも両面性があるものです。
まあ、ごたごたいわずに言わずにすすめていきましょう。
まずはメモリから半田付け。るんるん!
まずはメモリーから半田付け。とりつける方法はまず1番ピンのところのランドに半田をつけ
ておいて、そこにICを重ねて1ピンだけ半田付けして固定。そのあとに、残りを半田付けしていきます。
SOPですから、テープで止めて仮止め等の面倒なことはいらないでしょう(実はSSOPでも最近は面倒なので
テープで止めたりはしません。フラクスを塗って、その粘性で固定していまいます)。
今回は、ICの数も多いので1つ1つ確実に半田をつけていきます。
あとで、まとめてチェックすると見落としが多くなるものです。
さて、残りの部品もとりつけていきましょう。最初は表面実装部品からつけていきます。
メインボート(書き込みユニット)にすべてのチップ部品がとりつきました。
あらかたつきました。
ちょうど、ここまでで1時間くらいです。ひょとして、全部半田付けしても2時間くらいで組めそうです。
ということで、ちょっと眠たいけど、一気に仕上げておきましょう(平日に何時まで起きてるの?)。
さて、一通り部品の半田付け作業は完了。
水晶発振子のコンデンサは最初はフィルムコンデンサにするつもりでしたが、
周波数合わせのためトリマーを無理矢理のせました。
トリマーコンデンサに変更!
ようやく完成!
WRITE UNIT | READ UNIT(ドータボード) |
まだ、メインボードとドータボードをつけるためのコネクタの半田付けはしていません。
これをつけると、デバッグがしづらくなるので、両者を合体させるときにとりつけます。
動作確認はまた次の日にでも行いましょう。あああ、、、早く寝ないと・・・・
動作確認! 2007.7.26
まずはCS8416が動作しているかを確認します。
CDPと接続してLRCKから44.1kHzの出力がでていて、BCK、DATAにそれぞれ信号が
でていることを確認しておきます。まずはここは無事通過・・・のハズですが、上手く動きません。
入力のカップリングコンデンサが直列でなく、GNDに対して接地する形で入っていました。
CS8416は何度も設計していますから、油断したんでしょうね。
こりゃ、先が思いやられます。
メインボードのみチェック!ありゃ動かない?
つぎは何をチェックしようか?
回路図を見ながら、想定どおりのパルスがでているか確認していきましょう。
なんとなく問題ないようです。ひょっとしてあとはノーミスかな(笑)。
では、つぎにドータボード(読み出しユニット)をとりつけましょう。
50Pと40Pのコネクタを取り付ければ完了です。そして、2つを重ね合わせ。
電源ONで、まずは2つの水晶発振器からの出力を確認しておきます。
それぞれ24,576MHzと16.9344MHzが確認できました。
そして、CDPとの周波数差を示すビートチェッカのLEDがゆっくり(それでも3Hzくらい?)
点灯していますから、すくなくともいまのところはバグは見つかっていないようです。
で、出力を観測してみましょう。ドキドキしますね。
まずはBCK。44.1kHzの64fsですから、周波数は2.8224MHzでした。
無事でていますね。次はSCKも128fsで問題なし。
次はLRCKです。これも44.1001kHzで,OKです。
次はDATAです。これも無事でているようですが正しいかどうかはわかりません。
ドータボードを取り付けて動作確認。最終工程です。
ひょっとして動いているのでは!!!!!!
淡い期待がこみ上げてきますが、動作にはDACが必要です。
というころでDAC1794をDACとしてつないでみます。
10Pのフラットケーブル1本でつながります。
DAC1794woDAIを取り付けて動作確認!
そして、その出力を見ると、んんん・・・0
無茶苦茶です(想定内?)
やっぱり動いていません。まあ最初ですから、こんなもんでしょう。
あああ・・・やっぱり動いていない。
ここから本格的なデバッグ開始です。
でもデバッグは楽しいですよ。間違い箇所を推理して、それを検証するために実験して、
その積み重ねで、最後に動くところまでこぎ着ければ、達成感120%ですからね。
今回のデバッグは難航するかと思いきや、意外とすんなり進みました。
各ポイントの波形をみていて、タイミングチャートと異なるところを探していくのですが、
こんな波形がありました。
グリッジがでています。
これは非同期タイプのカウンタ(74393)の出力をゲートで論理演算をした出力ですが、
どうしてもグリッジがでています。これが、誤動作の原因でした。
修正はとりあえず、コンデンサを入れてグリッジを除去します。コンデンサを入れると波形がすこし鈍りますが、
D-FFに入力するDATAリセット信号なので、問題ありません。肝心なBCK信号はクリアなままです。
それと、ついでに論理ミス(設計ミス)が1カ所判明したのと、入力端子がオープンになっているところもあったので
併せて修正します。あ、BBSで指摘のあった箇所も含めると2カ所でした。
手直し!修正はこれくらいで済みました。
動作確認!
修正して無事動作することを確認しました。
CDを再生するとコンマ数秒遅れて、波形がでてきます。
そして再生を終了するとコンマ数秒遅れて、波形が止まります。
無事音楽波形がでてきました。
でも、これだけでは本当にメモリが動いているかどうかわかりませんよね。
一番わかりやすい確認の方法は、聞いてみて音楽の遅れを実感することですが、夜も遅いので
音だしはできません。ということで、一番わかりやすい方法で写真をとってみました。
PCからUSB-SPDIF出力(48kHz出力)で、4kHzの正弦波を出してやります。そしてメモリーボードの送り出し速度を
48kHzと44.1kHzで比較すればOKです。
48kHz再生の場合は、オリジナルと同じ4kHzの出力 | 44.1kHz再生の場合は 4kHz×44.1/48=3.675kHzになります。 ピッタシですね。 |
上図のように、理論通りに周波数が変換されて出てきますから、メモリーバッファーは問題なく動いているようです。
あとは細かい確認作業!
メインのロジックは確認できましたから、あとは細かいチェックをしていきましょう。
今日も遅いので、作業は週末に残しておきましょう。
試聴の前にちょっと修正 2007.7.28
グリッジを取るために、さっきまで2200pFの大きなコンデンサをつけたが、直接大きな容量のCを駆動すると
ロジックICも負荷が高いので直列にRを入れてRCフィルタを構成しておきましょう。51Ωの抵抗を直列に挿入
しました。コンデンサの値は470pFまで下げています。
抵抗をシリーズに挿入。Cを入れてる前にパチリ。
グリッジはこのように取れました。このグリッジがD-FFをリセットさせて動作を不安定にしていましたが、
CRフィルターを入れると問題解決。波形は鈍っていますが、リセット信号なので問題はありません。
CRフィルタを入れる前 CRフィルタを入れた後
お楽しみの試聴!
接続するDACはDAC1794woDAIを搭載した機種を選びました。これだと、10Pのフラットケーブル1本で接続できます。
DAC側にはASRCも載っていますが、最初は使いません。
テストの様子。DAC1794woDAIの上にスペーサで取り付け。
なんか奇妙な感じ?でもおもしろ〜い
まずはCDP直接入力
まずはこんな感じで接続。ASRCは未使用
まず、普通にCDPを接続して普通にならしてみます。ノイズ等が出ないかの確認ですが、全く問題無しです。
正常に動作しているかを確認するには、音楽が遅れて鳴っているかどうかを調べればいいのですが、
CDPのアナログ出力に直接つながっているSPから、メモリーバッファーを経由してDACから出力される音とは
見事に1秒弱の時間差があります。でも、これって無茶苦茶奇妙な感じです。最近入った地デジのTVと
アナログのTVを同時に映している感じです(地デジとアナログでは映像が約4秒くらいずれるんですよね)。
無事、音楽がなることも確認できましたので、ちょっと遊んで見ましょう。
試しに、再生周波数を48kHzにするとトーンが変わります。10%程度周波数が上がる訳ですが、なんかいつも
聞いている音楽とは全然違いいます。ただ、入力周波数44.1kHzにして出力周波数を48kHzにしているので、
一定間隔でメモリーバッファー切れを起こします。ストップウオッチで計ったところ約16.6秒毎に音が途切れます。
これは計算すると
512000(メモリ容量)/8(1データ)/(48000-44100 周波数差)=16.41sec
となり、測定値とほぼ一致します。測定値が少し長目なのは指の反応速度遅れですね。
つぎに96kHzで再生すると、なんと倍速再生になります(笑)。でも、これはあまりにブチブチに切れます。
計算上は
512000(メモリ容量)/8(1データ)/(96000-44100 周波数差)=1.2sec
しかメモリに入りませんからね。
つぎは192kHzに設定! あれ、音が出てきません。ん・・・・・原因究明は後でやりましょう。
次はASRCを接続
まずはこんな感じで接続。ASRC+メモリバッファーを経由
こんどは違った遊びができます。
メモリバッファーへの入力を48kHzにして、出力を44.1KHzに設定するとキーが下がります。
さらに入力周波数を96kHzにすれば、キーが半分くらいになるので、スローモーション再生です(笑)。
まあ、こんな遊びはすぐにあきてしまいす。
96kHz入力、96kHz再生も問題無しです。
さて、ASRCに接続して入力192kHzで、出力192kHzにしてみました。
やはり音がでません(完全無音・・・・・)
192kHz再生にむけて原因追及?
調べていくと読み出し側のシフトレジスタ(74166)のLOAD(STB)信号が192kHzではパタリと消えます。
理想的なタイミングは下図のようになります。
ちょうどRD信号をMCKの立ち上がりでラッチしてLOAD信号を作り出しています。
回路図では、さらにラッチの出力とRDのORを取って、LOAD信号が不必要に長くならないようにしています。
下の写真から、192kHzではMCKのRD信号の幅が狭くて、MCKの立ち上がりでとらえられなくなっているような感じです。
RD信号幅は1.5MCK幅になるはずですが、再生周波数が高くなるにつれで徐々に短くなっているように見えます。
上:RD信号 下:MCK信号 |
上:RD信号 下:MCK信号 |
上:RD信号 下:MCK信号 (200nS/DIV) |
44.1kHz再生時(チャート通り) | 96kHz再生時(ややRD信号遅れるが余裕有る) | 192kHz再生時(タイミングずれ?) これではRDのLOWをラッチできない。 |
原因はどうやら、グリッジ除去のためにつけたCRフィルタによるD-FFのリセット信号の遅れが原因の様です(リセット信号が遅れる分、
RD信号の立ち下がりが遅くなる)。これの対策には、グリッジフィルターの定数を短くすればいいいのですが、短くするとグリッジが
とりきれません。フィルタ定数を弄る前にグリッジそのものが短くなるように非同期カウンタを74HC393から74VHC393の
高速版に変更することになるでしょうか。
それよりも、ロジック全体を見直したほうがいいかもしれませんが、これはすこし面倒。
ここは割り切りも肝心。
192KHzはソースもないし96kHzまでに限定しちゃいましょう(余裕を見れば48kHzまでかな)。
非同期カウンタを変更して192kHzのトライは別途やってみましょう(ホントかな?)
DAC1794−3へ接続してみよう!
本日のメインイベント〜! 赤コーナ〜メモリーバッファー、青コーナ〜DAC1794−3!!!!
折角ここまで来ましたから、つないで見ましょう。
接続するところはここしかありませんが、CS8416からPCM1794へ接続するダンプ抵抗を外して配線を行います。
まずは改造する前。 抵抗を外して半田を吸い取る。
コネクタ接続のためのポストを立てる。
直接配線してもよかったのですが、最終形が思い浮かばなかったのでまずはコネクタ配線としました。
ちょど、抵抗の間にあったJP8のピンも活用させてもらいましょう。JP8の端は3.3V電源になっていますが、
パターンをカットして5V電源に切り替えておきます。このピンからメモリバッファーに電源を供給してやります。
ところで、このメモリーバッファーってどのくらいの電流を消費するんだろう?あとで計って見ましょう。
JP8の部分を5Vに接続変更。
中継基板の作成
接続ケーブルは10Pのストレートのフラットケーブルをつかいますが、中継基板が必要になります。
ちょうどこんな感じでやっつけ仕事でくみたてました。ジャンパー線がわりに51Ωの抵抗をつかっています。
ちょうどダンプ抵抗になっていいでしょう。
中継基板の表側 中継基板の裏側
いよいよ接続!
接続はケーブル1本でつなぎます。メモリーバッファーの電源はDAC1794-3側から供給していますから、
メモリーバッファーへの接続は同軸入力のみとスッキリしています。
DAC1794-3とメモリーバッファーを接続
DAC1794-3とメモリーバッファーを横から見た様子。
さてさてどんな音かな?
手軽な試聴環境としてHPA-2とヘッドホンをつかって音を確認して見ましょう。
耳タコのラフマニノフを選んできて、お気に入りの楽章を演奏させます。
しかし、まだまだ慣れません。何かというと、曲送りの操作をしても曲が途切れるまでワンテンポ遅れます。
勿論、これはメモリーに入っている分を吐き出すのでしかたありません。CDPと一体型で設計すれば、
曲送りと同時にデータ送出をストップすることもできんですけどね。まあ、気になるレベルではないので
よしとしましょう。
#慣れない点がもう1つ。CDP(ミニコンをつかっている)のレベルメータの振れと全然合いません。
#これも当たり前ですね。
さて、最初の音がでたとき「すこし空間が明るくなって、楽器を扱う音が聞こえるような・・・・」と感じましたが、
まあリクロックのON/OFFの違いがわからない耳ですから、あまり信憑性はありません(笑)。
でも、ジッタフリーを実現(完全フリーじゃないが、すくなくともDAI単体よりは格段にUP)した安心感は、
音楽にのんびり浸れる環境(ハードだけじゃなく心理的な側面を含む)を構築するには、
極めて有効じゃないかと思います。物理的な効果が明確な実用的アクセサリー(?)かもしれません。
いや、DAIがついているから必要機能+アクセサリーかな?
いずれにしても、これからどうするかちょっと音楽を聞きながら考えて見ましょう。
CDPとメモリーバッファの周波数差のインジケータ。
これを眺めながら、これからどうしようか・・・・と思いを馳せています。
(後編その2へつづく)