FINAL FN1242A の巻き! 2014.9.23

 秋月からFN1242Aが消えてしばらくになり、もうこのICを使ったDACはDAC1242-5(QUAD)でおしまいかと考えていましたが、
DAC179X-2.1を作っているうちに、FN1242Aのモノラル仕様のシンプルなDACをつくってみたくなりました。
 以前につくったFN1242AのDACといえば、シングル使用のものか、あるいは32パラのような極端なもののどちらかでした。
そういう点でDAC1242-5は中間的な存在ですが、ディジタル入力インターフェイスもないし、出力アンプもない構成で、
どちらかといえばDACの部品的な構成でした。
 そういう点からいえば、今考えているDAC1242-2.1はこれで、モノ仕様ですべて収まるシンプルな構成にする予定です。
さて、最後まで企画が続くかどうか・・・・。

とりあえず基板ができました!

在庫切れとなっていたDAC9018Dの再製作にあわせて、無理やり押し込みました。
チューハイ呑みながらチェックしたので、動くかどうか心配です(笑)。
まあ、少々のことなら修正が可能です。


部品面のパターンです。


半田面のパターンです。チップコンデンサはすべて半田面に集約しました。

まずは電源部から組み立てです。

まずは上流からですね。電源部から組み立てて、出力電圧を確認します。
電源はアナログ、ディジタルなどすべて別給電することも可能ですが、
アナログ電源からすべて共通で低い電圧を供給することも可能にしています。
すべて独立電源とすると、正負15V、正5V,正3.3Vが必要になり電源だけでも大変です。
今回は正負15Vだけで動くように部品を搭載しました。


まずは電源部を組み立てです。

1つ目のミス発見!

C30の電解コンデンサの正負を区分けする線がずれていることを発見しました。

区分け線はもう1つ右にずれてなくっちゃ!           コンデンサはこの配置で実装です。

2つ目のミス発見!

これは、基板をみた瞬間に気づきました。CAD上ではなかなか気づかないのですが、実物になるとすぐに判るので不思議です。
資料をつくってワープロのモニターでは気づかないミスを、紙に印刷したらすぐにわかるようなものでしょうか。
ちょうど、ICのGND部分をベタ面に接続する必要があるのですが、ベタ面と絶縁していました。
これは周囲のレジストを削ってショートさせることで修正です。


修正前               修正部周辺のレジスト剥ぎ    半田で接続です。

電源部が完成しました!
電圧出力も正常であることを確認しました。これで、安心して下流側の部品を実装することができます。

電源部分が完成しました。

ひきづつきICを半田づけ!

つぎは、ディジタル部とDAC部の半田付けです。これらはすべて実装しないと動作確認ができないの、一気に半田づけです。
といっても夜はのんびり、TVを見たりグラスを傾けたり、体が細かい作業をさせてくれません(笑)。
まあ、のんびり進めましょう!!

ここで挫折しました(笑)。

一気に!
動作チェックができる最小限の構成の部分をくみ上げました。
アナログ部は、動いてからでいいでしょう。
アナログ部分は少々ミスがあっても、なんとでも修正できます。
ディジタル部でミスったら・・・・、またジャンクになってしまうかも・・・・・・。

ここまでできました。

確認していきましょう!

まずはプログラムを組むためのPIC−ICのPIN定義です。

Vdd E3 1 PIC16F886 28 B7 JP2
FN1242-EMPH0 A0 2 27 B6 JP3
FN1242-ML A1 3 26 B5 FN1242-R-MD
FN1242-L-MD A2 4 25 B4 FN1242-EMPH1
FN1242-MC A3 5 24 B3 SPD0(SEL)
FN1242-MUTE A4 6 23 B2 SPD1(SEL)
FN1242-RSTB A5 7 22 B1 PCM(SEL)
Vss 8 21 B0 DSD(SEL)
FN1242-FMT1 A7 9 20 Vdd
LRCK??? A6 10 19 Vss
PCM-SEL(LVC245) C0 11 18 C7 FN1242-FMT2
CS8416-RST C1 12 17 C6 FN1242-FMT0
CS8416-SDA C2 13 16 C5 SPDIF-SEL(LVC245)
CS8416-SCL C3 14 15 C4 DSD-SEL(LVC245)

回路図から再チェックしてテーブルをつくりましたが、なぜA6(PIN10)にLRCKが繋がっているんだろう?
ひょっとしてC1(PIN11)に入れたかったのを間違えたかな?
まあ、動作上は問題ないのでつづけましょう。

確認その1
最初はCS8416をのみを動作させて、SPDIF入力が動いているかどうかを確かめしょう。
CS8416の出力波形を確認して調べます。

まずはCS8416は問題なく動きました。

確認その2
つぎはSPDIF入力でFN1242Aがモノモードで動いているかどうかの確認です。
FN1242Aをモノで動かすにはソフトモードでの設定が必要です。
そのため、まずはSPDIF入力でCS8416を動作させて、FN1242AをI2S入力のモノモードで動かす
プログラムを簡単に書いて、動作確認です。

あれ?・・・あちゃ−−−−−
なぜか、FN1242Aの4つあるアナログ出力のうちの1つから出力がでません。
よくパターンを見ると、出力の配線は一つずていました。こりゃ、修正にはテクがいります。
が、なんとか修正しました。細い線をつかって半田付けしますが、
書く以上に微細な作業になります。

 
こんな感じで修正しました。             拡大鏡を通しての撮影です。

これで、まずは出力がでることを確認しました。ふう、疲れました。

確認その3

アナログ部を確認していきましょう。
まずは、ivアンプでではありませんが、初段のバッファー部分を組み立てて動作確認を行いました。

初段のアナログ部の動作確認

 
テストの様子                           問題なく出力が得られました。

初段バッファーは反転アンプになっていますが、OPアンプのオフセットを低くするために、
アンプの正入力にはVCC(5V)を1/2に分圧した電圧を加えています。
ちなみに、これはマニュアルに記載してある回路図例を参考にしました。

この部分がVccを1/2にしている部分です。単純に抵抗2本で分圧しています。



分圧後の電圧です。

確認その4

最後に差動合成アンプを組みたてました。
これで基板自体は完成です(まだソフトが残っています)。

基板が組みあがり、動作確認の様子です。

ここまでくれば大丈夫でしょう・・・、と思っていたら落とし穴が一つありました。パターンを1箇所修正です。
でも、難しくはありません。
さて、出力波形を確認しておきましょう。
正弦波、矩形波、パルスの出力を確認しましたが、リンギングの少ないフルーエンシ型のディジタルフィルターの特徴がよくでています。
  
出力波形を確認しました。とくに矩形波、パルス波ではFN1242Aの特徴がよくわかります。

PCM入力で確認してみよう! 2014.9.27
PCM信号のソースはRenew FFASRCを用いています。
FFASRCを用いると44.1〜192kHzで一気に動作確認ができるので便利です。

Renew FFASRCと接続してPCM信号入力の動作確認です。


192kHzで動かしています。


問題なく動いているようです。


最後はDSDで確認です。

DSD入力の確認のために用いたソースはADC4222です。


DSDでの動作確認の様子です。

 
64DSDで動作確認!                    128DSDでもOKです。

ついでに、少し高めの6.144MHzでも動作させてみましたが、こちらも問題ないようです。

6.288MHzでの動きました。BCKの波形です。

これでDSDでの動作も確認できました。

あとはソフトを整えたら完成ですが、一部難しい修正があるのでリリースするときには修正版にしないと
いけないですね。さて、いつになるやらですが・・・・。

試聴してみましょう! 2014.10.19

試聴のソース(機器)はDSDとしたいこともありUSB-AUDIOを使いました。いつもは、適当な配線でDACに接続するのですが、
いい加減に面倒になってきたので、簡単な変換l基板を作成しました。

こんな回路です。LEDはDSDモードのときに点灯します。


完成した変換基板です(部品面)                    半田面

このような変換基板を作っておくと、今後もDAC等の動作確認が便利でそうです。

いよいよ試聴!

試聴の音楽は自炊でDSDファイルに変換したデータを使います。 ※DSD楽曲って今売ってるのかな?
曲は大黒マキさんからの軽快なものをピックアップ。久しぶりに聞きます。
いざ、音がでてくると「あれ、FN1242Aってこんな音だったけ?」という印象です。
どちらかといえば、大人しい音の印象があったのですが、今回聞くとものすごくビビッドな感じです。
DSDフォーマットにした効果かな?それとも加齢がすすんで、大黒マキさんの曲が刺激的になってきたのだろうか?(笑)。
まあ、色々と考えられますが、音楽に浸って週末を楽しみましょう!

バラックで試聴です。


修正基板が出来上がりました! 2014.11.4

V2基板が出来上がりました。今度は大丈夫でしょう!

V2基板が完成しました。基板の日付がSepになっているのはご愛嬌。すでに11月です(笑)。

勿体無いので・・・

部品を早速とりつけたいところですが、肝心のFN1242Aがすでに貴重品と化しているので、
一度試作した基板から取り外して再使用しましょう。ICだけでなくコンデンサ類も再利用予定ですので、
まずは使えそう、、、というより外せそうな部品を選択して外していきます。

どんどん部品を取り外します。

ICの取り外しはすこし厄介ですが、SSOPは小型である分はずしやすいです。
まずは十分に半田を足に盛ってやって、熱が伝わり易いようにしておきます。

まずは半田をタンマリと盛ります。

あとはすばやく、両側の半田を加熱してとりあえず半田パッドから移動してやります。
このとき力を入れると足が曲がるので、あくまで半田が完全に溶けて素子が動き易くなるまで
じっくり加熱します。

まずはパターンから外します。

無残だな〜動くかな〜〜

取り外したICの足には半田がタンマリくっついていて無残です。
このあと、半田吸い取り器で半田を除去しますが完全に取り除く必要はありません。
この半田をつかって、半田付けを行えばいいですからね。

とりはずした状態です。


ある程度半田が残っていますが、このまま半田付けします。

とりあえず付替え完了!

まずはつけかえ完了です。ルーペでよく半田の付き具合を観察しておきます。

確認は十二分に!

大丈夫かな????

まずは最小限の部品を搭載して動作確認です。
恐る恐る電源投入・・・・無事波形がでました!
やっぱりICって熱に結構強いな〜というのを再認識です。
もっともリフローで使用することを前提にしているので、半田ゴテ程度の熱では
びくともしないのかな?
 でも、あまり過信せずに半田付けはすばやく行いましょう!


まずは必要最小限の部品を実装して動作確認しました。問題なく動作しました!

動作確認ができたこともあり、残りの部品も実装しました。

V2基板が完成しました。

回路図はこんな感じです。→DAC1242-21.pdf
まだ間違いあるかもしれませんが・・・


ようやく 2014.11.20

準備ができたので、リリースしました。これが最後のFN1242AをつかったDACになるでしょう。

(つづく?)