AKM48?の巻き?

一通のメール

こんなメールいただきました。
「可能性があれば、旭化成 国産DAC AK4495EQ、AK4490EQ DAC非常に興味があります。」


そういえば旭化成のICについてはDAIは買ったことはありますが、まだつかったことありません。
DACについては買ったこともありません。別に国産を嫌がっているわけではないのですが、
機会に恵まれなかったのですが、ディジキーでも購入可能なようなので調べてみましょう。

AKMとは

旭化成マイクロデバイスの略なんですよね。おもわずAKBにすればいいのに、と思ったりしましたが
AKMの方が歴史は古いでしょう。
 とりあえずDIGIKEYで”AKM AUDIO”で検索すると、一杯リストがあがってきます。
少し整理してみましょう。

型番 パッケージ fs(kHz) 分解能(Bit) S/N(dB) 価格 備考
AK4490EQ 48ピンLQFP 768 32 120 707円 DSDも対応
AK4495EQ 44LQFP 768 32 123 1391 DSDも対応
AK4480 30VSOP 216 32 114 485円 DSDも対応

基本は32ビットなんですね。
なかでもAK4495がもっとも性能が高そうです。AK4490とスペック的にはさほど変わりませんが、
S/Nで3dB違います。3dBといれば30%程度の違いですが、たかが3dB、されど3dBです。
買うならやっぱりAK4495でしょうか。

ちょっとAK4495を調べてみる。

カタログをダウンロードしてみましょう。



とくにネーミングのQuality-oriented Premium という言葉に惹かれますね。
パッケージにおけるピン配置は下図のようです。左右と上にアナログ部分が対称に配置され、
下半分がディジタル部になっており、基板のノイズ対策レイアウトに考慮してあることがわかります。
といっても、大半のDAC素子はそのような設計にはなっていますが。



ピン配置です。

面白いのが、ピンの間隔が広いです。通常なら0.5mmが標準的ですが、
このICは0.8mmピッチです。これなら半田付けも簡単です。


ピン間隔が広いです。

ちょうど秋月で変換基板があるのもいいですね。でも、この変換基板だとブレッドボードを使うのは大変だな〜。


変換基板はありそうです。

さて、さて、どうしよう?

部品がとどいてました。 2015.7.13

しばらく出張続きでなかなか届いた荷物も開封する気力が落ちていましたが、
思い出したように開封しました。


aitendoさんの変換基板。180円のものを2枚購入。送料は490円でした。


DIGIKEYからAK4495も購入。


一応予備も含めて2個ゲットです。AUDIO 4PROってどういう意味だろう?


なるほど 2015.7.21

福島の球使いさんから教えていただきました。4proというのはプロ用なんですね。





進めていきましょう!

まずはaitendoさんから購入した変換基板に取り付けです。

変換基板に取り付け。

ブレッドボードにとりつけて、簡単に配線してまずはI2C通信がうまく動作するかを確認です。
まずはここまでは大丈夫のようです。

I2C通信が上手くいくことは確認できました。

気になるのは

データシートの推奨接続図をみていて、ものすごく気になるところがあります。
というのはVREFLLとVCOMLの間についている電解コンデンサの極性です。
VREFLL自体がGNDに接続されていますが、なぜでしょうね?
単電源で動作するICでGNDより低い電位があるのだろうか?
ICの中にチャージポンプ機構でもあるのかな?

じつは、変換基板をつかって確認したかったのは、このあたりの電圧がどうなっているかも
確認するのが一つの目的です。


なぜVCOMLが電解コンデンサの負側なんだろう?

とりあえず動かしてみましょう。

PCM入力のソースとしてはFFASRCを接続しました。

こんな感じで動作チェック中です。

まずは問題なく動作することを確認しました。アナログ電圧は5Vですが、振幅は約3V程度(pp)のようです。

まずは動きました。

VCOMは?

動作中にVCOMを測定してみましたが、ほぼVcc/2のようです。それも極性はプラスです。
どうやらデータシートが間違っているようですね。
データシートの間違いは結構あるので、注意してみないといけないです。

VCOMの極性は+です。

やっぱり 2014.7.25

このような投稿をいただきました。

やっぱりそうだったんですね。評価基板があるようなので、そのマニュアルをネットで探してみました。
”AK4495 評価基板”で検索するとヒットしました。
AK4495SEQ.pdf

たしかにVCOMLは極性+になっていますね。

VCOMに接続のコンデンサ極性は+側でした。ICマニュアルと反対です。

これで安心してパターンがかけます。

パターンを描いていきましょう。

VCOMLの極性はちゃんと+にしておきましょう。

パターンの作成にかかりました。

新年だあ〜 2016.1.6

新年は帰省先のパソコンでもCADをいじってパターンを書いて遊んでいました。
で、描いている途中にQUAD構成にしたくて、そうなるとパッケージの大きいAK4495ではすこしきついので、
パッケージの小さいAK4490で描いてみることにしました。

AK4490のQUAD構成のDACです。


1個あたりのパターンです。

リハビリモードです(笑) 2016.3.11

あれこれ2ヶ月以上作業を中断していたら、すっかり忘れていますね。こりゃ、リハビリモードです。
さらに、ブレッドボードもAK4137に乗っ取られたままなので、その撤去からはじめないといけません。

さて基板のパターン描きまで終わっていましたが、試作にこぎつけられなかった大きな理由が一つあり、
それはDSDモードでモノラルモードがサポートされているかを確認できていなかったからです。
というのもAK4490/95をパラで使用して、そのうちの何個かをLあるいはRに固定して使用する場合、
DSDでモノラルモードがサポートされていなければ、入力データをそれぞれのAK4490/95のL、R入力に
振り当てる必要があります。実は、それを実現しようとすると各AK4490/95に追加のロジックICが複数個
必要になり、基板の上に乗らなくなってしまいます。
 ということで、DSDモードでモノラルモードをサポートしているかの確認が最大の目的です。
それにしても、前述したように久しぶりの作業なのですべて忘れています。まずはPCM入力での動作から
確認しなくっちゃ!


ブレッドボードがAK4137(SRC)に乗っ取られたままです。取り返さなくっちゃ!


AK4495用にブレッドボードを再構築中です。

準備完了!

準備がほぼ完了しました。ソース源には直近でリリースしたSRC4137を用いました。SRC4137はPCM出力、DSDS出力の両方を
サポートしているので、こういったときにはうってつけです。

SRC4137と接続して動作確認の環境がようやく整いました。

まずはPCMでの動作確認です。


PCMでの動作確認です。ここまではまずは順調です。

DSD動作モードに変更!

SRC4137の出力をDSDモードに変更して、出力を入れかえます。

SRC4137をDSDモードに設定。

そして入力データをRチャンネルのみアクティブにして出力はLチャンネルを観測します。
すなわち、Lチャンネルからは信号は観測されません。

Lチャンネルから出力はでていません。

そして、モノラルモードに設定して、かつ出力をRチャンネルに設定します。
このときの設定はRegisiter2に0xAAという値を書き込めばいいことになります。
すなわちDSDモードで、モノラルモード、Rチャンネル設定です。


レジスターに必要な値を書き込み!

を!

DSDモードでももモラルモードをサポートしてるようです。ぶじ、LチャンネルからもRチャンネルデータが出力されました。


DSDでもモノラルモードはサポートされているようです。

これで、基板パターンの最終チェックにかかれそうです。

わすれかけた頃に作業再開です。 2016.4.7

パターンを見直して、部分的に修正をかけました。
しかし、しばらくほったらかしにすると完全に忘れてしまいますね。
これから短期に仕上げていきましょう・・・ってできるの?(笑)

たぶんこれで大丈夫かな?

完成かな? 2016.4.12

ベタGNDを塗って仕上げです。

そろそろ試作にかかりましょう。 2016.4.17

基板ができてきました。いつとりかかれるかな〜。


ようやく出来ました。

半田付け開始! 2016.5.8

まずはDAC素子以外を半田付けしましょう。電解コンデンサの代わりに、大容量のセラミックコンデンサをとりつけました。
秋月で6.3V/100uF品などが入手できるので、電源ラインに多用しました。
チップ部品だと、背が低いので、そのあとでもDAC素子の取り付けが可能です。
まちがっても普通のリードタイプの電解コンデンサを取り付けた後ですは、DAC素子の取り付けは困難ですからね。


裏面はこんな感じ。


部品面はこんな感じ。コンデンサはすべてセラミックとしました。

まずは動作確認のため、AK4490を1個だけ搭載しましょう


まずは一個だけAK4490を搭載しました。

備忘録

ソフトを組んで、動作確認のためにPICのIOポートの定義について備忘録をつくっておきましょう。

MODE設定
 M0 PIN_A1
 M1 PIN_A2
 M2 PIN_A3
 M3 PIN_A4
 M4 PIN_A5
 M5 PIN_C5

E−VOL AN0
 
入力設定
P16 RJ24 PIN_B7
P15 RJ16 PIN_B6
P14 LJ   PIN_B5
P13 I2S   PIN_B4

P11      PIN_B3
P10      PIN_B2

P9  FLT  PIN_B1  FILTER SELECT
P8  D/P PIN_B0  INPUT SELECT H=DSD L=PCM

INNER CONTROL
SDA PIN_C3
SCL PIN_C2

PDN PIN_C1

PCM PIN_C6 (ACTIVE L , PCM SELECT)
DSD PIN_C4 ((ACTIVE L,, DSD SELECT)
PCMMCK PIN_C7(ACTIVE L , PCM SELECT)


I2C ADRS
 IC6 0x20
 IC7 0x22
 IC8 0x24
 IC9 0x26


動作モード

本基板では最大4個のAK4490を搭載できるようにしてみましたが、動作モードとしては色々と遊べるようにしてみましょう。

1)一番シンプルな構成です

1CHIP STEREO

2)標準的な構成

2CHIPS SINGLE MONO

3)やや豪勢

4CHIPS DUAL MONO

4)超豪勢(笑)。2枚必要です。

4CHIPS QUAD MODE (NEED 2 BOARDS)

年だな〜 2016.5.11

どのようにソフトを記述するかを考えようとしたときに、過去に取り組んだ内容をほぼ忘れてしまっているな〜。
また、マニュアルを読み返しです(笑)。ほんと、年取ると物忘れが大きくなります。というか、物を覚える力が衰えるのかな?
それを補うためには、やっぱりメモですね。ということで再び備忘録です。

まずはAK4490の制御レジスターの構成です。それほど、設定可能なパラメータは多くありません。


レジスターの値の確認にいちいちPICに書き込んでいると大変なので、
I2CコントローラをPICに置き換えてチェックをしていきましょう。

大活躍のI2Cコントローラです。


入力にはSRC4137を接続します。これでPCM.,DSDの出力は自在にあつかえるので便利です。

あれ?

レジスタを設定して動作させると、Lチャンネルからは問題なく出力がでましたが、Rチャンネルから出力がでません。
PCM入力なので、どちらか一方がおかしいことは考えにくいのでアナログ回路部の問題でしょう。
ということで、電圧をチェックしていて一箇所パターンの間違いをみつけました。
しかし、4個あるDACあるうちの1箇所だけ間違えたようですが、なぜそのようになったのか覚えていないです(汗)。
やっぱり忘れるのも早いな〜。

でも、修正箇所が判明したので早速修正です。
 
修正箇所はIC6(AK4490)の近くのC14の裏側のパターンです。      本来黄色矢印の部分はベタに接続してはいけません。

修正箇所は

1箇所のパターンカットと、1箇所のジャンパーです。
 
黄色線をカット(Yellow Line REMOVE)      修正例です。
青色線をジャンパ(Blue Line Connect)     Modified pattern

これで無事右チャンネルからも波形がでました。

これでOKです。

いっそのこと、一通りDAC素子を乗せてチェックしてみるかな。

とりあえず 2016.5.11

DAC素子を全部実装しました。そしてお出かけ用の写真をパチリです。

お出かけ用の写真をパチリ。

ようやく 2016.5.27

動作のためのプログラムの作成にかかれました。
一気に全体のプログラムを書き込んで動作確認です。


SRC4137と接続して動作確認中です。


まずは簡単なモード0での動作確認です。

ソフトの仕様を確定させるためにも、あらかじめマニュアルも作成しておきましょう。
まだまだ動作確認は途上です・・・。

あ、やっぱり 2016.5.28


ソフトチェックしながら、出力を確認していて、なぜか出力レベルがおかしいところがあることに気づきました。
パターンをみると余分に接続されているところを見つけました。やっぱり色々とバグはありそうです。

R12の右側が該当箇所です。

 
黄色の部分をカットです(Cut Yellow pattern)


修正例です。(Modified)

これで大丈夫でしょう。

ということで、PCM入力でフィルターの特性をみてみました。
ソースはUSB-DACを使いました。DAC2707です。
DAC2707はそのままのディジタルデータが出力されます。たとえばパルス出力は、そのままパルス出力がでてきます。
ASRCなどを通すと余分な補間フィルタがかけられるので、DAC4490のフィルタをうまく評価できないのです。


ソースにDAC2707を接続してフィルターの特性をみてみました。

パルス入力でフィルターの特性をみてみましょう。


インパルス入力を入れて、DAC4490のフィルタ特性をみてみましょう。

P9
(FLT0)
SD
P10
(FLT1)
SLOW
P11
(FIL2)
SSLOW
Wave Signal
OPEN OPEN OPEN
Default setting
SHORT OPEN OPEN
OPEN SHORT OPEN
SHORT SHORT OPEN
OPEN OPEN SHORT
SHORT OPEN SHORT
OPEN SHORT SHORT
SHORT SHORT SHORT

これからわかるように、SSLOW(Super Slow)のビットをSHORTにすれば、ほとんど素のパルスが出力されるようです。

DSDをみてみましょう。

DSDのソースにはSRC4137を使います。これをつかうと、色々な周波数に切り替えることができます。

SRC4137と接続してDSDでの動作確認です。

インパルス応答を測定しました。
やはりサンプル周波数が高いほうがいいようです。すなわちDSD64よりDSD256にしたほうが波形が滑らかです。

MCK
SRC4137
#1
(MHz)
FS
SRC4137
#3
DSD out
SRC4137
#10
BCK
(MHz)
11.29 512 64 1.41 DSD32
22.58 512 64 2.82 DSD64
22.58 512 128 5.64 DSD128
22.58 512 256 11.29 DSD256
22.58 256 64 5.64 DSD128
22.58 256 128 11.29 DSD256
22.58 128 64 11.29 DSD256
45.16 512 64 5.64 DSD128
45.16 256 64 11.29 DSD256
45.16 512 128 11.29 DSD256

試聴準備

試聴のために差動アンプを接続します。アンプにはA13アンプを用いました。
もともとはプリ用などの基板ですが、ヘッドホン程度なら問題なく鳴らせるので、これをヘッドホンアンプとしても使います。
なお、DAC4490-5はモード4で動作させます。
すなわちこんな感じで接続します。


モード4で使用しました。


出力に差動アンプ(A13)を接続します。


DAC4490側の出力抵抗は16kΩとしました。また右側のA13アンプは入力側の4.7kΩの抵抗を短絡させました。


回路にするとこんな感じです。

ちょうどいい感じです。

出力レベルはほぼ2Vrmsになりました。ちょうどいいレベルです。

出力レベルの確認です。

いよいよ試聴!

さて、ヘッドホンを接続して、いつものお気に入りの今井美樹のレーベルからFOR LIFEを選択して鳴らしてみました。
電源を入れ徐々にDAC4490-5の電子ボリュームをあげていきます。いきなり目の前に音場が広がり、すっぽりと暖かい音にくるまれるようです。
いや〜旭化成さんのDACを聞くのは初めてですが、これ、いいですね!!
もうちょっと音量を上げたいところですが、ヘッドホンアンプとして2Vrmsではちょっとだけ低かったようです。


長く使っていますが、お気に入りのヘッドホンです。

DSDでも聞いてみましょう。

今度はDSDでも聞いてみましょう。
マスタークロック22.58MHzでDSD256にアップサンプリングして聞いてみましょう。

DSDでの接続です。 SRC4137 → DAC4490-5 → A13 の接続です。

DSDに切り替えると、これまた切り込み感が増した感じですね。

もうちょっと聞いていたいけど、そろそろ出かけなくっちゃ・・・。

レベル確認 2016.6.5

PCM入力時とDSD入力時でのレベル差がないか確認です。
A13アンプの出力での確認ですが、PCM、DSDで切り替えた場合にもゼロレベルも振幅も変わらないですね。

DSD PCM
ゼロレベル
(INPUT = ZERO)
最大振幅
(Maximum
AMPLITUTE)


(続く?)