お勉強DAC3 検討メモ from 2005.11.14〜
このHPもDAC基板の情報発信から始まったものの、最近ではリリース中のDACが1つもないのは寂しい気がします。またいままでリリースしたDACの電源は、すべてが3端子レギュレータでしたが、ディスクリ電源基板の評価もよいようなので、電源部を強化したDACを作ってみたくなってきています。ということで、NEW−DACの検討を開始してみたいと思います。
1.構成案
電源基板込みであること。
意外と電源を別に組んで配線するのは動作確認を含めて面倒です。電源基板とDACは一体にしよう。
基板サイズはタカチ電機のOSシリーズの幅(?)23cmに収まるもの。
電源回路はディスクリ型を基本に
アナログ部とDAC部はディスクリ型に。ディジタル(5V,3.3V系)はLM317を使う。
使用DAC
基本は安価なPCM63P(20Bit)として、PCM1704(24Bit)も変換基板でオプションとしてつかえるようにしてみる。
PCM61P(18Bit)もつかえると面白いかな?
パラや差動は電源の負担も重いので、ここはシンプルにシングルに!
DIF部分
やっぱり高性能なDIR1703とDF1704の組み合わせ!現行品だし入手も簡単。
入力は同軸×2とディジタル×2。同軸出力はなし。
IV変換
ベーシックにオペアンプをつかった帰還抵抗式。オペアンプのパスコンは電解コンデンサとチップセラミックが併設できるようなパターン。
IV用のRは大きめの抵抗がつけられるようにする。
LPF(ローパスフィルター)
ここもベーシックにサレンキー型の-12dB/Octのフィルタ。
トランス
フェニックスのRコアトランス(RA40-072)を1個使うことを前提にして設計。
2.配布時は
主要部品はセットに
基板+IC+TR半導体+トランス+放熱板はセットにしたほうが便利かな?
価格
ふとHPをみて、お気楽に注文できるように(具体的には20000円以下)
時期
年内を目標
数量
すぐに売り切れになる量にはしない(が予測は難しい)。半年くらいでなくなるくらいが理想的かな。
3.おもむろに基板レイアウト検討
ざっと部品配置を考えてみる。基板サイズを195mm四方とすれば比較的ゆっくり実装できそうだ。
電源の放熱板もDAC以外は必要ないけれど、とりあえずどういった改造がされるかわからないので
安全のためにとりつけておこうかな。
DAI,DAC,IV&LPFの構成案が全然きまらない(BBSで要望が結構多い)。
とりわけDAI部でSSOPパッケージをつかうことは敬遠されている感じ。
たしかにSSOPを初めて半田付けするときはびびってしまうのも確かなんですよね。
ちょっとこの部分は後で考えるとして、まずは電源から描いてみましょう。
アナログ部用の電源回路はディスクリ構成です。
DAC部を作る前に電源部分のみを抽出してMINIディスクリート基板を描いてみました。
ようやく全体像が見えてきました。なんだか普通のDACになってきているな・・・・・
でも、試作にもっていくためにはもう少しの作業です。
基板サイズは195×185と比較的大きくなっています。そのため基板を電源とDAC部に2分割にします。
電源基板をディスクリート構成にしているので部品点数がレギュレータを用いた場合にくらべて多くなります。
そのためここでミスをするとDAC部も破壊しかねないので、電源とDAC部は最後にジャンパ線で接続する
ようにしていますが、分けるつもりならいっそのこと2枚構成にしてしまおうという考えです。
また2階建てにできるように基板の取り付けピッチがあった穴を追加でいれます。
2階建てにする場合は電源基板からDACへの電源配線がクロスになるので、DAC基板の反対側からも
電源供給できるようにDAC部に一部パターンを追加。DAIとIV部は基板の反対(下側)にはユニバーサル部があるので
なんとか配線できますが,DAC部にはユニバーサル部がないためです。
DAC基板の方が高さで300mil(約7.6mm)大きいのですがこのくらいの差なら大丈夫でしょう。
電源基板を大きくしてサイズを統一する手もありますが、。平面配置にした場合にはできるだけ小さい方が
いいので、このままでいきましょう。
PCM1704→PCM63P変換基板をつかうと、そのままPCM1704をこのDAC基板で使うことができます。
PCM1704には20BITモードがあるので、PCM63Pとの比較もおもしろいかもしれません。
しかし、高価なPCM1704ですからやはり24BITでつかいたいですね(ディジフィルのジャンパー変更で24BITも対応です)。
ついでにこんなものも作ろうと思います。普通のリクロックボードですがDAC基板に差し込むオプションの形になっています。
機能としてはDATA、WC、BCLKのどれをリクロックするかを選択できるようにしたのと、
リクロックそのものをジャンパ1つのON/OFFできるようにしています。
74HC254と74HC574を搭載するようになっています。
また水晶発振ですが、安価な水晶発振動子をつかってオーバートーン回路も組めるようにしてみました。
もちろん、普通の水晶発振器もユニバーサル部に載るでしょう。高周波数発振ではオーバートーンより水晶発振器を購入した
ほうが間違いがないかもしれません。
ん??? なんかこの回路(上の基板パターン)間違っているな・・・・・ ちょいちょいとなおして完成(ほんとかな?)
基板発注!
じっくりチェックすれば、色々とミスが出て来そうですが試作ですので、とりあえず作ってみましょう。
サンプルレートコンバータと合わせて2005.12.11にインターネットで発注しました。さて、ワクワクどきどき。
基板の発送は12/19とメーカから連絡がありました。ということは12/20に到着予定です。恐らく週末の3連休には
動作確認ができるかもしれません。
基板到着!
写真に写っているのは電源基板、DAC基板、そしてリクロック用の基板です。
あと写っていませんがPCM1704→PCM63P変換基板もあります。
では製作しよう!
とくに製作上で難しいところはありません。部品を最初に揃えておけば2〜3時間もあれば完成するでしょう。
というかDAC8D SUPERを経験していれば、ともても部品点数が少なく思えます。
まずは電源基板から組み立てます。
DACとアナログ部の電源はディスクリ構成です。
今回用いた電源用のトランジスタは2SA2057と2SC5739のコンプリです。電源なのでコンプリにする必要はありませんが、まあ気分的なものです。
Ic=3Aなので容量的に余裕があります。
まずは電源基板が完成した時点でトランス(RA40-072)をつなげて電圧の確認をします。
実績値は
ディジタル用+5V = 5.06V
DAC用−5V = -5.00V
DAC用+5V = -5.03V
アナログ用+15V = +15.03V
アナログ用-15V = -15.02V
とほぼ狙い通りの電圧です。DAC用電源についてはダミー抵抗(10Ω)を挿入して電圧を再測定しましたが変化なしでした。
もちろん1次側の電圧は10.24V(無負荷時)→9.24V(I=500mA)と変化しました。
つぎはDAC部を作ります。これもSSOPの半田付けにすこし時間がかかる程度ですぐに完成します。
完成したDAC部。DACとアナログ部はOSコンを使用しました。
アナログ部のオペアンプはOPA134PAをつかいました。OPA627ほどではないにしても、かなり高音質なICで値段も安いです。
LPFのコンデンサは銅箔フィルムです。秋葉の海神無線で購入したものです。パスコンは0.1uFのフィルムコンデンサですが
併設してチップC用のパターンがあるので、これをつかっても面白いかもしれません。
DIR回りです。このあたりのコンデンサが寝ていますが、これはあとでリクロック基板の実験をするときにコンデンサが邪魔しないように高さ制限をしたためです。
パルストランスはインダクターコイルをバラして使用しました。これなら50円で済みますし、コイルを巻く手間も省けます。
DAC部が完成したら電源基板と接続します。電源基板とDAC基板との電源端子は同一レイアウトにしていますので、抵抗やコンデンサのリードの残り等でジャンパー線を作って接続します。
動作確認をしよう!
全体の接続が完了したら電源を投入します。DACの場合はさほどドキドキ感は低めです。すでに電源部の動作は確認していますし、
DAC部においてもDAIはすでに動作実績のある基板パターンをほぼ流用してますし、DACやIV部もやはこしいところはありません。
電源を投入して同軸信号を入れれば、いとも簡単に動いてしまいました。ただ、また音質については評価をしていません。
単にオシロで波形を確認したままです。
リクロック実験
今回はリクロック用の基板もつくってみました。DAC基板にアドオンできるようにしています。
IC3つだけなので製作もあっという間です。リクロックしたままだと音質の評価がしにくいので、ジャンパー一つで
リクロックのON/OFFが切り替えられるようにしてあります。リクロック用のラッチには74AHC574をつかいました。
74AC574のほうがいいかもしれませんが、通販でDIPタイプを買おうとしたらこれしかありませんでした。
DACの制御線はBCK(BitClock)、WC(WordClock)、DATAの3線がありますが、どの制御線をリクロックするかを選択できるようにしています。
今回は実験なのでBCKもふくめてすべてリクロック対象としました。
DF1704のBCK出力は20Bit時で約10MHzですので、リクロック用には当然ですがそれ以上の周波数が必要です。
クロック発振は基板上のユニバーサル部に組み込むことになりますが、今回は手元に40MHzのオシレターがありましたので
これをつかいました。もちろん、基板上の74AC04の空きゲートをつかってオーバートーン発振も可能です。
基板の裏側の配線です。水晶発振器なので単純に電源をつなぐだけで動作します。
リクロック基板をとりつけるためにはDAC基板にも接続ピンをとりつけます。リクロック基板は10P(5P×2)のターミナルを2つで差込みます。
DAC基板のコネクタの裏側の配線は切断します。カッターで溝を切って、半田ゴテの先で熱をあたえながら力をかけてやると簡単にパターンが剥がれます。
リクロック基板を実装した状態です。とくにリクロックした状態でも問題なく動きました(当たり前?)
音質のほうはどうでしょうか?そのまえにケースに入れなくっちゃね。
ケースに収めよう!
YM-350というケースに収めました。1mm厚のアルミ製なので質感はそれなりですが、加工がし易いので便利です。
左下に見えているのはお気楽HPAで、これ単体でヘッドホンをつなげて音の確認をできるようにしました。
PCM1704下駄基板
製作ついでにPCM1704→PCM63P変換基板も作製しました。両面に部品を半田付けしたあとに連結ピンを半田付けして完成です。
基板の裏にはパスコン 基板の表はPCM1704(Kではありません)
完成したらDAC基板のPCM63Pと差し替えます。まずはPCM1704は20ビットモードで動作させました。
こうすれば単純に差し替えるだけで音がなります。
DAC基板に挿した様子。
PCM1704下駄基板をはめると問題が少し生じます。リクロック基板と干渉して、コネクタが奥まではいりません。
少しささるので動作はするのだけど、ちょっと不安定です。絶縁につかっているセロテープも破れたら危ないし・・・・
というわけで、すこし高さを稼ぐためのスペーサを作りました。単純にピンとコネクタを半田付けしたものです。
これをあいだに差し込めば、約15mmくらいは基板を高く取り付けることができます。
絵をかけばタコになるかな(足10ポン)
ついでなので、PCM1704を24ビットモードに変更します。折角高いICですのでフル性能でつかわないと勿体ないですよね。
ジャンパーを切断するだけでOKです。
またジャンパーを使うこともあるでしょうから、このままにしておきます。
併せてDAC基板のジャンパーも変更します。DF1704では24ビットモードにするにはW0,W1をそれぞれHレベルにする必要があります。
デフォルトでPULL DOWNされているので、ジャンパー接続してHレベルに変更します。
ジャンパー線が切りやすいように長めになっています。
さて、スペーサを取り付けてさらに浮かした状態のリクロック基板です。
あまり見栄えのよいのもではありませんが、自作ですからなんでも有りです。
リクロック基板がだいぶ浮く形になりましたが、ケース上蓋いは干渉せずに済みました(ほっと一安心)
隙間はギリギリセーフ
さあ、これで24Bitモードの8fsでのリクロックで動作することになりました。
リクロックしてもノイズもなく問題ないようです。
ところでリクロックの効果は?
クロックの有無を何度となく瞬時に切り替えて聴き比べてみました。
その結果は・・・・「コメントは差し控えさせていただきます」ということにしましょう。
結局自分の耳で確かめないと面白くないですからね。
リクロックに必要な周波数は?
手持ちにある水晶発振器を用いて、どのくらいの周波数が必要か調べてみました。
確認したのは10MHz、12.288MHz,19.66MHz、40MHzです。
動作確認をしてみた水晶発振器
10MHzの場合:ほとんどノイズです。
12.288MHZの場合:微かに信号も見えますがノイズですね。
19.66MHzの場合:信号がハッキリみえますが、ノイズもあります。
40MHzの場合:ノイズありません。
ということで、リクロック周波数は40MHzはあった方が安全なようです。もっと高い周波数でもよいと思いますが、ICの動作周波数を考えて選択しなければいけません。(2005.12.29)
クリスタル交換(2006.1.14)
先日、秋葉に行ったときにクリスタルを買ってきて取り替えてみた(千石 @550円)。
まだ動作確認しかしていないが、問題なく動いているようだ。
しかし周波数が高いためか発振器の出力振幅は2.2−3.7Vの間で振れている。
40MHzのときは0.8-4.4Vだったから半分以下の振幅です。でも2.5Vをまたいで振っているのでAHC574は問題なく動作しているようです。
これより高い周波数でも大丈夫かな?
PCM1704使用時のノイズ(変換基板バグと対処法)
DAC63SにPCM1704を変換基板を取り付けて使用する場合、ボリュームを上げるとノイズが出ることがわかりました(PCM63Pを用いた場合と、PCM63Pでリクロック基板を用いた場合は問題ないのですが・・・)。配線によってもノイズの出方が異なります。
ノイズの状況はヘッドホンで普段聴くボリュームの位置が9時の位置とすると、12時の位置あたりでハムと高周波のノイズが聞こえだします。
スピーカの場合は3時の位置あたりになると耳をそばに近づけると聞き取れます。ハムに関してもPCM63Pの場合だと発生しませんので、配線の問題はなさそうです。また同軸入力のケーブルの位置を変更するとノイズの出方も変化します。おそらくPCM1704に下駄をはかせているのでどこかでGNDループができているか、あるいはアースのインピーダンスが高いのかを疑っていますが、なんなんだろう・・・・・
実用上は問題なさそうなのですが、気になるレベルではあるので調査!
どうやらとんでもない思い違いがあったようです。
PCM63PとPCM1704ではREF端子のコンデンサの取り付き方が異なりました。
PCM63P:電解Cを接続して+5Vへ
PCM1704:電解Cを接続して-5Vへ
間違いによって部品の破損はありませんが、どうやらこれが原因のようです。
対処には電コンの極性および接続先を変更する必要があります。DADC63Sのマザーを変更するのは大変なので、PCM1704基板に電解コンデンサを抱かせて症状が変わるかトライ
してみました。
REF端子のコンデンサ変更でハムノイズが消え、 SERVO端子のコンデンサ追加で高周波ノイズが消え、まずは問題解決したようです。
パターン切断1カ所、コンデンサ追加が2カ所必要になってしましました。
詳しくはバグ情報を参照ください。