ちょっとTea Time!? 5V→3.3Vレギュレータの代わりにDCDCは使えるか(NP1482)? 2025.8.18

最近のデバイスの必要電圧の主流は3.3Vだけど、供給する電源の電圧は5Vが多い。
USBの供給電圧が5Vに規定されていることなどもあり、まあこの事態はしばらくつづくでしょう。
それに、ACアダプタをみてみても5V以上がほとんどです。3.3VのACアダプタもあるようですが、
かなりマイナーな存在です。

ということで、基板を作成するときもデバイスが3.3Vのものだとしても5V入力にして、
内部で3.3Vを作成しています。そして5Vから3.3Vに変換するのに使うのが
3.3Vのドロップ型の電圧レギュレータです。
これが一番簡単ですが、3.3Vのバックライト付きTFTなんかをつかうと、電流が300〜400mAくらい
流れるので、結構発熱します。なんせ、電圧レギュレータは電圧降下分を熱エネルギで放出する
だけですからね。ということで、気休め程度にでも放熱を考えた実装を行うようにしています。

ちなみに、5Vから3.3Vに降圧させる場合、効率は最高でも66%です。


3.3Vのレギュレータを使うときは、すこし放熱を考慮した実装にしています。

バックライトだけならまだしも、さらにその他のデバイスへの電流供給を考えると、
ほんとにこんな簡単な放熱でよいのかなあ〜と心配になってしまいます。
ちなみに写真の3.3Vレギュレータでは放熱板なしの場合の最大許容電力はたかだか1W(@25℃)です。
周辺温度が高くなればもっと小さくなります。1Wだとすると5V入力なら最大電流は高々600mA程度
になります。やはり簡易でも放熱板は必要でしょう。

そこで、もっと簡単に大きな電流が得られないかとDCDCを探してみました。

これなんかどうだろう?

これがみつかりました。説明では入力最低電圧は4.75Vまで対応で、出力電圧も0.9Vから対応しています。
4.75Vって中途半端な数字のようですが、5V電源の許容範囲が一般に±5%なので、下限の4.75Vでも
動作しますよ〜ということを言いたかったのでしょう。

そして、このDCDCは安いです。送料がなければ1個48円です。まあ、送料込みだと1個72円ですが、
電圧レギュレータと同程度の値段なので気楽に使えます。


安いDCDCが見つかりました!


10個購入です。全部連結されていました。作るときは何枚単位で作るのかな?


裏面に使い方があります。入出力のGNDは共通です。

使用素子はNP1482DS

使用しているデバイスをみるとNP1482DSとあります。
データシートをみると、最大入力電圧が18Vとありますから、
あまり高電圧を入力にすることは想定していないような感じです。
おそらく9〜12V程度の入力をターゲットにしたものなのでしょう。


これが電源制御のICです。


最大入力電圧が18Vということは、あまり入力電圧が高いところでの使用を想定したものではなさそうです。

効率は高そう!

データシートをみると、出力電圧が3.3Vの場合の効率ですが、出力電流0.5A〜1Aでは90%を越えるようです。
さてさて、実力はどうでしょうね。

データシートでの効率はかなり良さそうです。

実力を調べる!

効率などの実力を調べるため、ブレッドボードに実装して測定です。
出力電圧は3.3Vにして、負荷は10Ωとしました。流れる電流は330mAです。

出力電圧は基板上の小さいVRで調整しますが、どうやら0〜15Vでのリニアな
変化なので3.3Vに合わせるのは、かなり神経を使います。


出力電圧3.3V、負荷抵抗10Ωとして調べてみましょう!


小型のVRで電圧を調整します。結構調整がシビアです。


いい感じ!

カタログでは入力電圧は最低で4.75Vとなっていますが、4V程度に下げても出力電圧はほとんど
変化しませんでした。効率は下がるかな〜と思いましたが、効率もほとんど変化なしです。
これはいい感じです。5Vから3.3Vを生成する場合は、このDCDCが重宝しそうです。


入力電圧を4V程度まで落としても、出力電圧(3.3V)はほとんど変化なしでした。


入力電圧を落としても、効率もあまり低下しませんでした。93%以上の効率があります。

出力変動はどうだろう?
 DCDCの場合、どうしても出力に大きなリップルが乗ってしまいますが、
測定結果では50mVpp程度ですから、いい感じです。
出力にコンデンサを追加してみると、さらに低下しました。
ディジタル回路に適用する場合は、そこまで下げる必要はないでしょうが、
やはりリップルは小さい方が気持ちがいいです。さらにLCフィルタなども入れれば
さらに安定するでしょうけど、そうなると、最初からリニアレギュレータをつかう方が簡単でしょう。


DCDCの出力リップルです。50mV程度でした。


出力に追加で47uF6.3Vのコンデンサを追加してみました。


こんな感じで出力にコンデンサを追加です。


およそ20mVppくらいにリップルが収まりました。
まあ、ピークノイズは結構でていますが。

まとめ
 5V→3.3VでつかえそうなDCDCを評価してみました。
 出力電流330mAでは効率93%とかなり高そうです。
 値段も安いので気楽につかえそうです。

(おしまい)