デジタルディレイ(NJU26902)を試してみる?の巻き 2024.10.24

すこし前に,このような投稿(情報)を頂きました。


秋月電子からディジタルオーディオ用のディレイ素子が販売されています。
この素子のデータシートが2008年末頃に作成されたことを考えると、
ちょうとテレビのアナログ放送が停波する2011年のすこし前ですから、
ディジタル放送対応に向けた機器が大量に出始めたころでしょうから、
それに向けた製品と思われます。

おもしろそうな素子が秋月からでています。

データシートは2008年頃に書かれたもののようです。
TVのディジタル化に対応して開発された素子でしょう。

ディジタル放送ってちょっと遅れる

 ディジタル放送って生放送でもすこしタイムラグがあるのはよく知られています。そのため時報もなくなったようです。
しかし、普段はそれを気にすることはありません。2、3秒おくれても気にならないですしね。
しかし一度だけですが、ディジタル放送の時間ずれが、気になったことがあります。
それは野球を見に球場に行ったときです。食べるのと呑むのに忙しくて(笑)、球場内でTV放送をみていたときです。
そうすると球場から歓声がとんできたすこし後で、遅れてバッターが打ち返したりするシーンが何度もありました。
歓声があがる度に、TVをみることでシーンを見逃さないので便利は便利でしたが、ちょっと違和感がありました。
これが、デジタル放送って遅れるんだなあ、と実感した出来事です。

流石に、現地でTVを見ることは少ないとは思うので、ディジタル放送自体の時間遅延は問題にはならないはずです。
逆に問題になるのが、映像と音声のズレなのでしょう。画像と音声では処理の違いから、
かならずしも時間が一致しないことがあるようです。普段は違和感は感じませんが、
文献で映像と音声のずれがどの程度影響あるかの報告がありました。2006年発行です。
文献:マルチメディアにおける同期

この中に、人間の検知限界や許容限界が示されていました。


おそらくディジタル放送の初期は、こういった問題もあってNJU26902のような素子も登場したと思われます。
いまでは、ICの実装密度もあがっているでしょうから、こういった機能もすべて内蔵されていると思われます。
というか、アルゴリズムも改良されて映像と音声がズレないようになっているのかもしれません。

しかし、文献をみて面白いと思ったのは、音声が遅れることに対しての余裕度のほうが大きいことです。
音声が早い方については0.1秒も早いと、気になるようなことが示されていますが、遅れる方は0.2秒おくれると
ようやく許容限界になるようです。

帯に短し、襷に長し
 NJU26902の遅延時間を見ていると、大雑把な時間のずれを調整するだけです.
48kHzのサンプルでは、最大で85.4msまで遅延できますが、その分解能は1.33ms(64分割)です。
これを空間距離に換算すると、最大で29mで、分解能は0.45mです。
ホーンタイプのスピーカのタイムアライメント調整に用いるには、最大値は十分すぎますが、分解能は粗すぎます。
サンプル周波数を192kHzまであげれば、最大で7.6mで分解能で0.11mですから、これでも分解能はすこし粗い感じです。
帯に短し襷に長し、ってな感じです。
もっとも、この素子がそんなタイムアライメント調整の目的で開発されたものではないでしょうから、
ぼやいても仕方がないですね。




サブウーハにつかるかな?

ひょとしてサブウーハにつかえるかもしれません。というのもメインスピーカとはぜんぜん違う位置に設置する場合が
結構おおかったりします。たとえばPC部屋のシステムではメインスピーカは棚の上にありますが、サブスピーカは足元
近くにあったりと、距離にして1mくらい違います。サブウーハの音出し時間を3msほど遅らせれば、さらに音質が向上
しそうな予感もあります。あるいは、想定ですがAVシステムで耳に近いリアスピーカの距離補正用につかってもいいのかも
しれません。

PCM5142をつかってタイムアライメント機能を作成するつもりですが、ちょっとした時間差補正をしたい目的には
NJU29602って面白いデバイスかもしれません。

いきなり基板をつくっちゃえ!

いつもは、まずはICを入手して、ブレッドボードで動かしたりしますが、今回はぶっつけ本番で基板作成です。
というのも、久しぶりに他の基板を作成することにしたので、そのついでです。
いつもは基板サイズをほぼほぼ統一しているので、基板の面付を行っても余るスペースは
ほとんどありませんが、今回はPA3886DC基板も追加で作るつもりです。というのも、中古ですが
LM3886はまだ沢山手元にあります(なんせ安かったので。でも、歩留まり悪ったです)。
ただ、この基板は小さいので隣に余分なスペースを作ってしまいます。
いつもは、こういったスペースができれば実験用のユニバーサル基板を作っていましたが、
そういった基板も手元に沢山あるので、もう要りません。
 そこで、なにかに活用できないかなあ〜とおもってNJU26902の試作基板を作ってやろう!
と思った次第です。小さいエリアですが、そのくらいは実装出来るでしょう。


PA3886DC基板の横にすこしスペースができたので、なにか作ってみましょう!

NJU26902ってつかうのもすこし面倒

NJU26902の動作電圧は2.5Vになっています。3.3Vなら実験も含めて簡単なのですが、ちょっと中途半端な電圧です。
しかし、ロジック系の動作電圧って、最初は5Vが主流で段々低下していますが、なぜかほぼ66%(2/3)ステップになっていますね。
ちょうど 5V → 3.3V → 2.5V → 1.8V → 1.2V という感じです。これって規格かなにかあるのだろうか?
でもロームやDAC素子(BD34301)などは1.5Vも必要だったから、電圧はメーカが自由に決めていいのかな?



NJU26902の動作電圧は2.5Vとちょっと中途半端です。

5Vで動く基板にして、周囲とのインターフェイスには3.3Vが必要なので3.3Vレギュレータを搭載するとして、
3.3Vから2.5Vを生成するレギュレータが必要になりそうです。運よく、秋月にも2.5Vのレギュレータがあったので、
それをつかえばよいでしょう。100mAの容量しかありませんが、NJU26902は標準で1mA程度の消費電流なので、
問題なしです。


とりあえず3.3Vのレギュレータはこれを使いましょう。


2.5Vのレギュレータも秋月電子にありました!

こんなパターンを描いてみました

マイコンはなくて、単純にジャンパー設定で調整できるようにしました。
時定数調整については8回路のDIPスイッチをつかうようにしました。
さすがにジャンパーピンの抜き差しって面倒ですからね。


小さい基板にNJU26902の実験用基板ができました。

さて、この基板も面付に加えて作成しましょう。

(つづく?)