ちょっとTea Time!? 電圧・電流検出IC(INA226)を動かしてみる! 2022.3.10

面白そうなICを見つけると、試しに購入したりしますが、大抵の場合はそのまま部品箱の肥やしになってしまいます。
まあ、書籍を買ってそのまま「つんどく」になってしまうのと良くにています。
大体、物というのは購入するまでに色々と考えるのが楽しくて、一度買ってしまったら興味が一気に下がってしまうことが多々です。

そういった感じで購入してしまったのがINA226です、
全体の電圧とシャント抵抗の小さな電圧の両方を測定することができるので、電源のモニタリングに最適です。
ちょうど、実験用電源についても少し強化したいこともあって、DIGIKEYで何個か買いました。
1個500円くらいだったと思います。 でも、いつ買ったのだろう?
勇んで買ったものの、手元にICが届いてちょっと意気消沈。なんて小さいのだろう?というのが購入時の印象だったと思います。
データシートでそのサイズはわかっていましたが、実物を手にするとやはり小さい。こりゃ変換基板を探さないといけなな〜。
でも、なかなか10ピンの変換基板ってないのですよね〜。ということでしばし放置していました。

INA226のブロック図です。シャント抵抗は負荷の入側、出側のどちらにでも接続できるようになっています。ICの内部はレールtoレールのアンプになっていますね。



DIGIKEYで1個500円ほどでした、でも、なかなか変換基板も見つからないのですよね・・・。
ということで部品箱の肥やし決定コース?

なぜかIC単体より安いモジュール基板もありました

いつしか変換基板を探している最中にINA226を搭載したモジュール基板がALIにはあることがわかりました。
どうやらAMAZONでも取り扱っているようです。
ALIだと価格は1/2ほど。なんでIC単体で買うより安いの?と思ってしまったりしますが、
大量に買っているからかな?
モジュール基板にはシャント抵抗のほかにプルアップあるいはプルダウンの抵抗が取り付けてありますので、
PICなどのマイコンに直接接続できそうです。


ALIではモジュールになったものが250円ほどで売られていました。
これだけで送付されてきました。しかし、どうしてこんな値段になるの?


シャント抵抗には10mΩの抵抗がついています。その他のチップ抵抗はプルアップ/プルダウンの抵抗でしょう。
このままマイコンに直結できそうです。


I2CアドレスはVCCへの接続で変更できるようになっています。
すなわちあらかじめA0,A1はGNDにプルダウンされています。

動かしてみましょう!

INA226のデータシートです。38ページもありかなりの分量です。
でも、基本的な使い方はとても簡単なようです。というのも、I2C通信でレジスタ01Hのシャント抵抗間の電圧と、レジスタ02Hの全体の電圧を読み出すだけです。
それぞれの1ビットあたりの分解能は2.5uVと1.25mVになっているので、あとは換算するだけです。
もっともINA226のいいところは、あらかじめ決まったレジスターに定数を書き込んでおけば、換算された電流値と電圧値、さらには電力値を読み出すことができます。
とくに、マイコンの容量が小さい場合や速度が遅い場合は、これをつかうと便利なんでしょう。 でも、容量に余裕のあるマイコンを使うなら、たとえ浮動小数点をつかうような
計算をするとしても、プログラム中で換算したほうが簡単かもしれません。
 弄るとすれば、レジスタ00HのConfigurationかもしれません。ここで、AD変換の速度や平均回数を設定しますが、まあとりあえずはそのままでいいでしょう。  

使うレジスターは01Hと02Hの2個だけです。ほかは何も弄りません。必要な電流・電圧への換算はプログラムの中でやってしまいます。

さて、実際に動かすためにブレッドボードに組み込んでみました。
I2C通信ですが、読み出しするレジスターが16bitなので、すこしだけプログラムを変更です。いつものDACなんかだと読み出しレジスターは8Bitがほとんどなので、
それ専用のライブラリをつかっていましたが、16Bit読み出しになるので2バイト分を連続して読み出すように変更です。


実際に動かすためにブレッドボードに組み込みです。電源電圧は5Vで負荷として150Ωの抵抗を接続しました。

あれ?

電源電圧5Vで150Ωの抵抗を接続しているので、流れる電流は33mAになるはずですが、
換算結果は36mAと約10%程度の誤差がでています。

電圧はほぼ5Vだけど、電流が36mAってちょっと大きいな〜。

誤差の原因は150Ωのセメント抵抗とシャント抵抗の誤差によるものでしょう。
とくに150Ωの抵抗はJクラスなので5%の誤差が想定されます。
で、とりあえずテスターで計ってみると、150.7Ω。接触抵抗を考えるとほぼ誤差はゼロだなあ〜。
となると、誤差の大半はシャント抵抗である10mΩにあるかもしれません。
でも、ブレッドボードでの接触抵抗を考えるとそちらが問題かもな〜。
ちゃんと半田付けして調べる必要がありそうです。
 ということで、半田付けして調べてみましたがほとんど変わりませんでした。
やはりシャント抵抗の誤差が大きい様子です。ちなみに、負荷に電源を供給している
実験用電源の電流値は33mAとなっており、こちらは正解のようです。当然のことですが、
負荷側の電源とINA226を含む測定側の電源とは分離しています。


ちゃんと半田付けしました。これで接触抵抗は下がるでしょう。


でも、電流値はあいかわらず36mAです。やっぱり、シャント抵抗の精度の問題でしょう。


実験用電源の電流値は33mAなので、やはり10%程度の誤差がでています。

まとめ
 INA226をつかったモジュール基板を動かしてみました。
流石に安価なだけあってシャント抵抗の精度は悪そうです。
まともに使うためには、校正する必要があります。
実際に電源に組み込むときには注意しましょう。

思い出した!

おそらく1.5年前に購入したんでしょう。
このICを買ったときにちょうどこんな検討していたんだ〜
www.easyaudiokit.com/bekkan2020/TeaTime_7/i2c_isolator.html
正負電源の電圧・電流測定にINA226を使おうとしていたようです。

となるとこの時に買ったI2Cアイソレータも部品箱の肥やしになっているということだなあ〜
次はこれを動かしてみましょう!

(おしまい)


変換基板を探してみましょう! 2022.3.12

モジュールになっているものはいいのですが、IC単体のものもそのままだと本当に勿体ないので
もう一度変換基板を探してみましょう。

まずINA226のピンピッチが0.5mmなのでそれに合致するものを部品箱から探してきました。


このあたりが0.5mmピッチで考えられる変換基板になりそうです。

その1)本命だったのになあ〜
まずは一つ目です。これが大本命!
DIP8への変換基板です。ピン数が足りませんが、一番端のピンなのでワイヤーをとばすこともできるでしょう。
でも、実際にICを載せてみてショックです。幅が足りません。ああ〜企画倒だあ〜。
これがつかえれば、一番コンパクトでよかったのですが残念です。

無理して使おうと考えれば、ICのピンをすべて内側に折り曲げてやれば幅は足りるのですが、
上手くリードフォームできるなあ〜。

まあ、他の変換基板でだめなら試してみましょう。

大本命だった変換基板です。



幅が足りません。ICのピンを内側にまげてやればなんとかなりそうですが・・・・

その2)これも幅がぎりぎり足りない・・・・
2つ目は2つのピンピッチに対応して変換基板です。これは、結構幅がひろそうでしたが、
実際にICを載せてみるとぎりぎり足りない感じです。ああ、これも駄目だなあ〜。
 
2つのピンピッチに対応した変換基板です。

 
上手くいくかな〜と期待しましたが、ぎりぎり幅が足りない感じです。


その3)AITENDOさんの変換基板

これはいけそうですが、なんせ大きすぎます。これ1枚で4つのINA226は載せられるので
いいかもしれませんが、基板のサイズとして大きすぎるな〜。

AITENDOさんの変換基板です。幅が広いので色々なICが載せられそうです。
でも、すこし大きすぎ。



これならば十分に実装できます。それにしてもパターンが細いなあ〜。

その4)【番外】これでもいいかも

ひょっとしてQFPの変換基板も使えるかもしれません。QFN24用の変換基板で試してみました。
うまく乗りそうですが、それにしてもこの基板でもかなり大きいです。それに1個しかのりません。

これなんか使えるのでは?



ぎりぎりですが、乗りそうな感じですね。

その5)加工したら?

QFN48の変換基板も0.5mmピッチです。これをつかう手があるかもしれません。
でも、そのままだとパターンの間隔が広すぎるのでICのピンが届きませんから、すこし縮める必要があります。
ということで、早速加工してみました。
ちょうと1ピッチ2.54mmだけ縮めてやれば、うまくICを搭載することができました。
これ一枚で2個までINA226が乗りそうです。
ただ、この基板を使う難点はピンが千鳥になるので、配線の時に間違い易くなりそうな点でしょうか・・・。

  
もとのQFN48の変換基板の真ん中で切り離して2つに分離です。


幅を2.54mmだけ縮めました。変換基板の固定はピンヘッダを使っています。
強度を上げるために、補強のリードを取り付けて半田しています。



これは良さそうです。ちょど、2個まで搭載できそうです。

さてさてどうしよう?

まずは本命基板をつかうことにしてみましょう。これがでれば一番コンパクトですし、
さらに、ピン配置がストレートになるので間違いがすくなくなります。
でも、かなり難しい作業でした。
というのもピンの折り曲げにバラつきがでるので、基板に載せたときに浮くピンがでてきます。
そうなると、そこの半田付けが難しいです。半田を大盛にしてから、吸い取り線で除去するのですが、
除去が足りないとブリッジしたままだし、吸いすぎると離れてしまいます。何度かやってようやく
全ピンがとりつきました。最後にテスターでつかって入念に導通チェックです。


まずはピンセットで足を折り曲げます。ざっと折り曲げると足が接触してしまいます。
このあと、針などで間隔を修正です。



針をつかって足の間隔を調整です。



こうすれば変換基板に半田付けできるでしょう。


ピンが浮いていると、なかなか半田が付かなかったりします。
右から2番目がついていません。



最後にピンに取り付けて完成です。結構手間取りました。

やり方変更!

ピンを直角に曲げたあとで、足をニッパで切ってから取り付けることにしました。
そうすれば、切断位置は直線で揃うので半田付けが簡単になるはずです。
実際にやってみると、半田付けはすこし簡単になりましたが、問題もあります。
というのも、接触点が点になるので半田をある程度つけないと接続の信頼性に
心配がでてきそうです。


足を曲げたあと、ニッパで切り離してみることにしました。
でも、すこし半田付けが簡単になりましたが・・・・

ということで、最終的には足を折り曲げるのだけれど、
きちんとすべて折曲がるまで入念にピンセットやマイナスの精密ドライバの
折り目をつけることにしました。この方が、半田付けが線(あるいは面)になるので
信頼性の点でよいでしょう。

変換基板への実装完了!

とりあえず、購入した4個のINA226がすべて変換基板に取りつきました。
これで、部品箱の肥やしからの脱却の第1歩を踏み出しました(笑。

変換基板に搭載が完了しました。


一応、すべて動作することを確認するために通電テストしてみました。

(とりあえず、これでおしまい)