ちょっとTea Time!? AK4493S、AK4490Rはどう変わった? 2022.2.8

旭化成の宮崎工場で火災が発生したのが2020年の10月末。1〜2か月はまだ流通在庫でAK関連のDACなどのチップは
入手が可能だったが、火災の影響度合がわかり当面復旧の見込みがないとわかると、急にICの入手が難しくなりました。
いや、難しくなったというより全滅してしまいました。折角AKのDACで色々作りましたが、ICが入手できないので基板も結構余っています。
 あれから1年以上たち、AKMとしても別の場所で一部生産を始めたようです。そりゃ、ユーザへの部品供給がこれ以上滞ったら
マーケットを失いますからね。
 その中でAK4493とAK4490の後継機なるものもでてくる情報がありました。
旭化成エレ、高音質技術投入の新世代DAC「AK4490R」「AK4493S」 - AV Watch (impress.co.jp)

サフィックスが違うだけで型番が同じなので、ほぼ置き換えはできると思うのですが、すこし詳しく比較してみることにしましょう。

AK4493S vs AK4493

型番 AK4493S(新) AK4493(旧)
データシート ak4493s AK4493
THD+N -115dB -113dB 微妙に向上しています。
DR,S/N 123dB 123dB これは同じです。
ピン配置 説明がカラーになりました。
でも、ピンレイアウトはまったく同じです。
レジスター
マップ
相違があるのは07HのD7のみです。
MSTBNとあります。これはMCLKが停止したときに自動的にスタンバイモードになるようにするフラグですが、既定値は0(Enable)になっているので、何も変わっていません。


テスト回路定数 こちらもまったく同じですね。
THD-Nがすこし向上したのは、おそらく実装が異なったのでしょう。

結論:AK4493SとAK4493はほぼ同一でしょう。ハード、ソフトともに置き換え可能と思われます。


次の比較にいきましょう。

AK4490R vs AK4490

型番 AK4490R(新) AK4490(旧)
データシート ak4490r ak4490
THD+N -112dB -112dB これは同じです。
DR,S/N 120dB 120dB これは同じです。
ピン配置 説明がカラーになりました。
ピンレイアウトはすこし変わっています。
大きく違うのは
Pin1がNCからDVDDになった。
Pin16がDEM1からLDOEに変わった。
Pin18がNCからTESTEになった。
レジスター
マップ
レジスタマップは基本構造は同じですが、
違うところが多々あります。

結論:AK4490RとAK4490は別物です。電源ピンが異なるので置き換えは難しいでしょう。

では、次は?

AK4493SとAK4490は同じでは?
 上記で色々と比較して、AK4493SとAK4490Rは同じでは?という疑問が沸いてきます。
 ということで、この両者を比較してみましたが、ピンレイアウトもレジスターマップも同じ様子です。
 ひょっとしたら両者は同じもので、単にアナログ部分の性能で選別しているだけなのかもしれません。

型番 AK4493S(新) AK4490R(新)
THD+N -115dB -112dB 微妙にAK4493Sがよいようです。
DR,S/N 126dB 120dB 微妙にAK4493Sがよいようです。
ピン配置 両者は同じです。
レジスター
マップ
レジスタマップも同じです。

結論:AK4493SとAK4490Rは同一と思われます。単なる選別しているだけかも。

という比較結果になりました。とりあえず、AK4493Sは7月ころから市場にでてくるようなので楽しみにしていましょう。

(おしまい)