ちょっとTea Time!? リレーの動作速度を調べてみる。 2020.3.30
リレーは便利な素子で色々なところに使います。アンプ出力のMUTE回路や、アンプの入力切替によく使います。
MUTEにつかう場合は、リレーの動作速度なんかは全然気にする必要がありませんが、アンプの入力切替につかう場合はすこし気にする必要があります。
というのも、ロータリースイッチの種類でいうショートタイプ(隣の接点に移るときに両方が一旦ショートするタイプ。その反対はノンショートタイプ)を模擬しようとすると
リレーの動作速度を知っておかなければなりません。ショートタイプにしないと、場合によっては入力の切り替えにポップノイズがでる可能性があります。
ということで、よくつかうリレーの動作速度を調べてみることにしました。
よく使うリレーは
秋月の100円のリレーが安価で、12V2接点と使いやすいので重宝しています。これを調べてみましょう。
ここで、カタログを見れば動作速度が書いてあります。このリレーだと動作時間6ms、復帰時間3msとあります。
この値を使ってもいいのですが、実際の回路に適用した場合にどうなるかの確認です。
え?なぜ変るのかって?
それは実験してのお楽しみ!!!
これを調べてみましょう! |
評価の回路は
下図のようになります。 リレーの接点が動けば12V、GNDの値を示します。また、接点が中間にある場合は1/2Vcc(=6V)になるようにしています。
また、重要なポイントはリレーのOFF時の逆起電力がトランジスタにかからないようにリレーにはダイオードを並列に接続しておきます。
評価の回路です。リレーの逆起電力防止のためにダイオードを入れています。
測定結果は
下図のようになりましたが、動作時間は6ms、復帰時間は約8msです。動作時間カタログ値どおりですが、
復帰時間は倍以上遅くなっています。知りたかったのはこの値です。
測定結果です。動作時間6ms、復帰時間8msです(ダイオード有り)。
ダイオードを省略すると・・・・
ちなみに、ダイオードを省略した場合も測定してみましょう。評価回路は下図のようになります。
評価の回路です。リレーの逆起電力防止ためのダイオードを省略しています。
測定結果は・・・カタログ通り
下図のようになりましたが、動作時間は6ms、復帰時間は約3msです。
動作時間,復帰時間ともにカタログ値どおりです。
測定結果です。動作時間6ms、復帰時間3msでカタログ通りです(ダイオードなし)。
復帰時間の違いはダイオードの有無の差
復帰時間が大きく違うのはダイオードの有無の差ですね。
では、ダイオードなんか取り付けなくてもいいのでは・・・ということになりそうですが、
ダイオードが無いと、かなりの高電圧がトランジスタに作用する可能性があります。
ということで、ダイオードの有無でトランジスタのコレクターに作用する電圧を測定してみましょう。
測定はリレーがOFFになった時の電圧です。
ダイオード有り: 12V (電源電圧と同じ)
ダイオード無し: 140V
なんと、ダイオードが無い場合は140くらいまで上がっています。これってトランジスタの耐圧を越えています(壊れちゃう・・・)。
これを防ぐためにダイオードは必須なのです。
で、リレーのカタログにはそんなことは無視して、一番早い条件で復帰する時間を書いているわけですよね〜。
では、なぜダイオードがあると復帰時間が延びるかですが、これはリレーをOFFにしたときに、
電磁コイルに蓄えられたエネルギーをダイオードがあることでリレー自身で消費するので、
その分復帰時間が遅くなることになります。
ダイオード有りの場合のトランジスタのコレクタ電位。リレーOFF時には電源電圧の12Vになります。
ダイオード無しの場合のトランジスタのコレクタ電位。リレーOFF時にはなんと140Vくらいまで上がっています。
まとめ
よくつかうリレーの動作時間、復帰時間を調べてみました。
ダイオード無し | ダイオード有り | |
動作時間 | 6ms | 6mS |
復帰時間 | 3ms | 8ms |
*電源電圧12V) |
ということで、余裕をみればリレーの動作時間、復帰時間ともに10mSくらいをみておいて設計するのが良さそうです。
(おしまい)