ちょっとTea Time!? 細い線vs太い線? 2020.11.15

最近HPの更新が滞っていましたが、夜な夜なこんなものを作っていました。CPM68Kの4号機です。
というのは、2号機を主に弄って遊んでいますがVGA接続PS2キーボード接続やらで増改築が増えてきて
だんだん基板が見苦しくなってきたこともあり、新築して気分転換をはかるためです。
まあ、単に半田付けがしたかったという理由も大きいですが・・・・・。
 でも、新築するといっても同じものをつくっても面白くないので、メインメモリーを8MB(2号機は4MB)に増やして、
拡張用にMC68000び出力ピンをすべて外部に取り出せるようにしました。今後は拡張用にVRAMへの書き込み速度を
維持しつつ、画面のチラツキを押さえられるデュアルVRAMのグラフィックボードを取り付けようかと画策しています
(これについてはまだ妄想段階ですが・・・・)。

最近夜な夜なこんなものを作っていました。4Mbitのメモリーを16個搭載して、
メインメモリーを8MBとしたCPM68K-4号機です。


メモリーはSMDタイプを使用して、変換基板に乗せて2階建てにしています。SMDタイプのものを使った理由は
DIPタイプのものに比べて安かったからです。



配線はφ0.29mmのポリエステル銅線をつかっています。もうちょっと綺麗に配線するつもりでしたが、
まだまだ修行が必要です。



一部配線が束になっています。被覆が薄いので線間のクロストークがすこし心配だったりします。



こちらは2号機です。メモリーの増設や、VGAカードやPS2キーボードの取り付けに伴って増改築が繰り返されて
つぎはぎになってしまいました。



2号機の配線はφ0.16mmのポリエステル線をつかってほぼ最短距離で配線しています。
電気的にはこちらがいいのだろな〜。

ちょっとがっかり・・・・

4号機をつくって、動くところまではきましたがちょっとがっくりすることが発生です。
それは、2号機と同じ動作速度が得られません。
2号機では50MHzでも動作したので安定動作のために40MHzで動かしていました。
でも、VGAカ-ドをとりつけると動作が不安定になったので、すこし落として33MHzで動かしていました。
それに対して、4号機では40MHzの水晶発振器をとりつけたら本体だけでも動きませんでした。
33MHzの発振器では動作したので、とりあえず安定動作のために25MHzの水晶で動かしています。
すなわち4号機は2号機の75%程度の速度しかでていません。
 まあ、MC68HC000の動作速度が16MHzなので、本来は良しとしなければならないところなのですが、
ちょっと残念な結果でした。

 で、何が原因かを調べるために同じ周波数で同じプログラムを走らせてみて、データバスの信号を
比較観察してみました。
 結果としては2号機の方が信号線のノイズも少なくて、また信号の立ち上がりも早くなっています。
この理由として4号機の問題点を挙げるとすれば
 1)ドライブするSRAMの量が増えて負荷が重たくなった(2号機の2倍駆動)
 2)配線が長くなった。
 3)線を束ねた。
 4)配線が太くなった。

でしょうか。
 いづれにしても、もう修正は困難ですが後学のために、まずは4)の配線の太さの影響があるのかないのかの
調査を行ってみました。一番、影響は少ないと思われますが、念のための確認です。
これが、今回のTeaTimeの目的です。

テスト基板 データラインの信号波形 動作速度
(使用MC68HC000は16MHz品)

2号機

ドライブするSRAMは8個
配線はポリウレタン線(φ0.16)
配線方法はランダム(最短経路)
常用動作 33MHz

(50MHzでも動作実績あり。
 40MHzで動かしていたが、VRAM
ボード追加して動作不安定になり
33MHzに落とした)

4号機

ドライブするSRAMは16個
配線はポリウレタン線(φ0.29)
配線方法はできるだけ整然
 (配線が束になるためやや長い)

上に比べると信号の立ち上がりが遅くなっています。
それと、信号ラインンのノイズも大きくなっています。
常用動作(当面) 25MHz

(40MHzでは立ち上がらなかった。
 33MHzでは動作確認したが、
 安全をみて25MHzに落とした)。


細い線vs太い線?

細い線と太い線を比べた場合、大きく違うのは電気抵抗です。勿論太いほうが電気抵抗が小さくなり、スピーカケーブルなどでは
太い線が重宝されます。直流の電気抵抗で考えればφ0.4mmの銅線で0.12Ω/m、φ0.16mmですら0.75Ω/mです。
でも、この値ってディジタル回路の信号線では関係ないでしょうね。
 気になるのはむしろインダクタンスです。といっても線の太さであまり大きな差があるわけではありません。1mのリード線だと
φ0.16mmで1.8uH、φ0.4mmで1.6uHらしいです。あまり有意な差とはいえないですね。ちなみに、1.8uHのインダクタンスがあると
40MHzでの交流電流に対しての電気抵抗は452Ωになります。リード線の電気抵抗って、もはや線の太さではなくて、インダクタンスが
支配的ということですね。

 ここまでだと、線の太さや長さには、あまり影響がないといえそうです。でも、念のため確認してみることにしました。
手元にある4種類の配線材料をつかって、信号線を通過したのちの信号の波形を比較です。

簡単に実験

実験方法としては
  発振器(40MHz) → プローブポイント1 → 配線(1.2m) → プローブポイント2 → 1kΩ負荷抵抗(GNDへ)

としました。なお、配線はできるだけコイル状にならないように注意しました。

実験の様子です。

結果は・・・・
 まあ、予想通りというかあまり変わりはしませんでした。というか、1.2mの配線したらすごく波形がひずみますね。
ここまで配線を伸ばすことはありませんが、かなりひどい歪みかたです。

線種 信号波形
上段:プローブポイント1
下段:プローブポイント2
ポリエステル線
φ0.29mm
ポリエステル線
φ0.16mm
ETFE電線
φ0.4mm
ETFE電線
φ0.25mm

結論としては
 信号の波形はかなりひずみますが、手持ちのどの線をつかっても結果は大差ありません。
すなわち配線の太さはあまり気にしなくても良さそうという結果に落ち着きそうです。
やはり波形のノイズや立ち上がりの遅延は、配線を束にしたり、長くなったり、またドライブする素子の数が増えたということに
なるのでしょうね。

(補足1)やっぱり遅れるんだ〜
今回の実験で、信号波形の歪みもありますが、時間遅れがよく確認できます。
信号の立ち上がり部分で比較すると、1.2mの配線長で4ns遅れているので電流の伝播速度は30万km/sです。
すなわち、ほぼ光速と同じですね。まるで理科の実験ですね。

1.2mの電線を伝播するには4nsの時間がかかることがわかります。
理科の実験ですね。