ちょっとTea Time!? ポリウレタン被覆銅線の許容電流は? 2020.7.5

 7セグメントのLEDはたまに使って遊んでいます。実用的にはLCDをつかったほうが表示内容も多いし、
電力も少なくて済みますが、LEDはそれはそれで趣があります。
#(というか、単に貰い物もふくめて一杯手元にあるだけですが・・・)

 7セグを沢山並べて点灯させるときは、勿論配線数が少なくなるダイナミック点灯です。ただし、ここで
一番面倒なのがLEDの配線です。LEDを並べた分のリピート配線が必要で、ここの配線が簡易になると
工作も楽になってきます。
 いままでは、ラッピングワイヤなどをつかって配線していましたが、半田の熱で被覆が溶ける
ポリウレタン被覆銅線をつかうと、配線が楽になりそうです。ただ、懸念は今持っている銅線の直径が
φ0.15mm程度(被覆こみで約0.16-0.17mm)と細いので、どこまで電流が流せるか、また電流が流せても
電圧降下がどの程度あるかが心配です。
 そこで、色々と調べてみることにしました。休日の頭の体操です。ボケ防止に(笑。


LEDがいっぱいあったので、作ってみた時計です。コイン電池の裏にRTCがあります。


久しぶりに通電!あれ?一部接続不良があるようです。



ラッピングワイヤーを事前に等間隔に被覆を剥いておいてから半田付けしています。
結構面倒です。


こちらの例では裸すすめっき線をつかっています。ピン間を通しています。
結構きわどいところが多数あります。あとで見ると、ところどころ半田がとれてました。

 
ポリウレタン被覆銅線。熱で被覆がとけるので、巻きつけて半田するだけで配線ができる優れもの。
CPM68Kなんかで使いました。これが使えると便利ですが、手持ちの物がφ0.15とちょっと細いです。
大丈夫かな?


一般的な銅線の許容電流は

ちょっとWEBで銅線の許容電流を調べてみました。その一例は下表のようなものです。当然のことながら、断面積が増えると
許容電流が増えますが、単純に断面積には比例しません。許容電流は銅線の放熱が重要で放熱のための表面積がポイントです。
単線だと断面積が100倍になっても、表面積は10倍にしかなりませんからね。
 この表では一番小さいサイズが0.75mm2しかありませんので、それ以下のサイズについては外挿で求めましょう。


電線の許容電流例です。 引用: https://densenkan.com/know/densen11-1.html

こういった類の電線です。

グラフにすると
電線のサイズ(断面積)と許容電流の関係をグラフにしてみました。両対数にするとほぼ直線になりました。
近似線は

 LOG(許容電流) = 0.63×(LOG(断面積mm2)) + 1.22

という感じです。ここから、φ0.15mmの銅線の許容電流をもとめると1.28Aになりました。
意外と流せるものですね。LEDの点灯電流を15mAとして、10個のダイナミック点灯だと150mA必要になりますが、
大丈夫ですね。

  
 サイズと許容電流の関係をグラフにしてみました。両対数にすると、ほぼ直線になります。これから、ポリウレタン被覆銅線(φ0.15mm)の
許容電流を計算すると約1.28Aになりました。


電圧降下は?
 あと気になるのは電圧降下です。配線が長くなると、抵抗で電圧が落ちるのでLEDの下の桁になるほど暗くなるようではかっこ悪いです。
で、LEDを10桁並べてみるとその長さは約130mmです。配線はたるませて行うので、全長で300mm必要になると考えると、
ポリウレタン被覆銅線の抵抗は0.28Ωです。結構大きいです。そこに150mAの電流が流れると、電圧降下は42mVになります。
まあ大丈夫ですね。5V電源でLEDを動かすとして、トランジスタでの電圧降下を1.2V、LEDの電圧降下を2.5Vと見込むと、電流制限
抵抗には残りの1.3Vになります。電流制限抵抗を10Ωとすると一番左のLEDには130mA流れますが、一番右のLEDは126mAとすこし
低くなりますが、まあ人間の目にはわからないでしょう。
 もし気になるようなら、点灯時間をすこし左側に比べて長めにすればいいでしょう(って、そんなことまでする?)。


LEDを10桁並べると約130mmの幅になります。たるませて配線すると配線長300mmくらいになるでしょう。

まとめ
 LEDのダイナミック点灯の配線に細いポリウレタン被覆銅線(φ0.15)をつかっても問題ないようです。

 もう、この銅線をつかって工作をしたくてたまらない自分がいました(笑。

一応・・・
 気になったので、半田の取れていたところを修正しておきました。
 
 表示のおかしかった配線を修正しました。

さっそく作ってみましょう! 2020.7.8

LEDは沢山あるので16桁にしました。こんな一杯つけて何を表示させるの?という感じですが、
時計なら、西暦、月日、時間(秒まで)、曜日までいけそうです。
 いつものラッピング線での配線ならば、気が遠くなりそうなところですが、ポリウレタン被覆銅線ならば
快適です。
 回路としてはLEDのセグメント駆動用には2SA1015をつかい、各LEDの桁駆動にはMOSFET(IRFW540)をつかいました。
MOSFETは秋月の福袋に入っていたもので、全部で200個以上あったと思います。使わなくっちゃ〜。
ただ、MOSFETをつかうため、PICは5V用のものが必要です。ゲートをONさせるには最悪で4V必要ですからね。


16桁の表示にしてみました。左に並んでいるTRは各セグメント(A〜G,DP)の駆動用の2SA1015です。


LEDの配線もポリウレタン被覆銅線なら快適です。結構短時間でできあがりました。

まずはテストプログラムを組んで、点灯テスト

LEDの点灯は2kHzで行います。16桁なので8ms(120Hz)です。このくらいまで上げると、ちらつきはわかりません。
まずはテストプログラムを組んで、LEDの点灯状況の確認と、バグだしです。

テスト点灯させましたが、変なところが満載です。まあ最初はこんなもんです。59点くらいかな?まあテストなら落第ですが・・・・。
点灯状況から色々なことがわかります。
 @7セグメントのa,bを入れ違えて配線している → ソフトで修正
 A点灯していない桁がある → 1つはMOSFETのGND配線が抜けていました。もう1つはソフトのバグでした。
 B7セグメントの一番下(d)の点灯が不安定。→?????

最初の@Aはすぐに原因がわかりましたが、Bがよくわかりません。まずは配線チェックしますが問題なし。
次は、電圧を調べますが、どうやらTRのベースに電圧がかかっているが、コレクタの電圧が反応していません。

・・・・反省材料だなあ・・・

Bの症状からトランジスタの動作不良のようですが、あまり素子自体の問題は考えずらいです。
で、すぐに思いついた原因はトランジスタの間違えです。で、確認したところ本来は2SA1015をとりつけなければ
いけないところに、2SC1815がとりついていました。そりゃ、動かないわけだわ。
 でも、必要なトランジスタの8個については、200個入りの袋から取り出したものなので、すべて同じはすなのにな〜。
おそらく、以前に未使用のトランジスタを戻すときに袋を間違えたのでしょう。いつもなら、型番を確認してから取り付けるのですが、
袋から取り出したということで確認を怠ってしまいました。反省材料です。
 このトランジスタの入れ替えが一番時間がかかってしまいました・・・。


最初のテスト点灯です。まあ、1回目はこんなもんでしょう(笑。



1個トランジスタを間違えていました。


本来は2SA1015のところに2SC1815が刺さっていました。
この取替えに結構時間がかかりました。

修正完了!

トランジスタを入れ替えたら、問題なく動きだしました。

動き出しました!あとはRTCを取り付けてソフトを書けば時計の出来上がりです。

でも、環境にやさしくない・・・

しばらく通電してみましたが、結構基板が暖かくなります。電流値はおよそ650mAです。5Vですから3W以上の
消費電力になります。これから夏場なのに暑苦しいし、それに環境にもやさしくないです。

ちなみに、3Wの電力を1年間使い続けると電気料金でおよそ700円くらいですね。
すくなくとも、夜間の暗いときにはLEDの表示ヂューティを下げてるようにしたほうが良さそうです。
それに、部屋が真っ暗でLEDが煌々と点いていたらまぶしいです。
また人がいないときは消灯するように焦電センサーをとりつけたらいいかも・・・・・
って、なんやかんやつけるとそれだけでコストがかかっちゃいますね(笑。

とりあえず、楽しい工作のひと時でした。ちゃんちゃん!

(おしまい)