ちょっとTea Time !?  視聴室用のポータブル電源を作る! 2020.2.5

視聴室にバラックの基板を持ち込んで動かすときには、当然のことながら電源が必要です。
いままでは、この電源BOXをつかっていました。正負15V(0.5A)と5V(3A)出力があるので、
大抵の用途には事足りていたのですが、なんせ気になるのはスイッチング電源であるこということ。

高周波ノイズなんか、聞こえることはありませんがあまり精神衛生上よくありません。
ということで、電圧ドロップ型の視聴室用の電源、それもポータブルなものを作ることにしました。


いままで、持ち運び用の電源はスイッチング電源を用いたものです。
軽くていいのですが、やはりスイッチングというところに抵抗がでてきます。

ケースはアクリルで

夜の自由時間もあまりないので、簡単に加工できるアクリルでケースをつくります。


まずは必要な材料を切り出して、部品を取り付ける穴をあけます。
CNCで穴あけをします。

加工が終わったアクリルに必要な部品を取り付けていきます。
トランスはRコアトランスをつかいました。これ一つで色々な電圧が得られるので、こういった用途には便利です。

切り出したアクリルに必要なコネクタ類をとりつけます。

仕様は
 これは簡単に
  正負15V(1A程度:シリーズレギュレータ)
  正5V(1A程度:シリーズレギュレータ)
  正5V(最大5A、DCDCコンバータ)
 を得られるようにします。本当はDCDCコンバータは載せたくなかったのですが、DACの中でもとても大食いのものがあって、
DAC9038Dなんかは1.6Aの電流を必要とするので、シリーズレギュレータではもちません。そのため、電流が得られるDCDCも
搭載しています。
 なお、使用したシリーズレギュレータはすべて3端子レギュレータの7815,7915,7805です。
 これを用いた理由は、簡単に扱えるのと、なんといっても保護回路が充実しているので出力が短絡しても壊れないからです。

出力端子は
 4P航空コネクタ(正負15V、5V、GNDの複合出力)×2
 5VのDCジャック×2(シリーズレギュータ用)
 5VのDCジャック×1(DCDC用)
としました。ジョンソン端子などでもよかったのですが、あまり自由度がもたせると電源の接続間違いが発生する可能性があります。
ということで、接続をも間違えないうに、最初からDCジャックや航空コネコネクタを用いています。
 

どんどん組み立てて行きましょう!


一応、配線は終わりました、最後のチェックが終わったら側面と蓋を接着します。

動かしてみましょう!
配線自体は簡単なので、あまり失敗する要素はないのでいきなり通電です。
出力のモニターには電圧計を4つ使いました。本来は電流も測定できるようにしたかったのですが、
サイズが大きのと、すこしお高いので、今回は電圧だけの表示です。もし、過電流がながれたら
電圧も低下するので、異常については判別できるだろうと思っています。
 ここで、用いた電圧計は2.5Vから動作するもので、自身の電圧を表示するものです。
ALIで送料込みで1個$0.71でした。4つでも$2.84なので300円くらいです。
なんで、こんな値段でできるのか見当もつきませんが、安価なのは助かります。


安価な電圧計なので4個つかいました。


これを使いました。送料込みで1個$0.71です。


気になるのは出力ノイズ

まず、DCDCの出力ですが、やはりそれなりにノイズはあります。
まあこれは仕方ないです。これでも、出力にインダクタ(10uF)と電解コンデンサ(47uF)を入れているので
かなり小さくなったほうです。


DCDCの出力ノイズ。無負荷時。

で、すこし気になったのがシリーズレギュータのノイズです。
この出力がDCDCのノイズをすこし拾っていることがわかりました。

シリーズレギュレータの出力(無負荷時)。DCDCのノイズが飛びついています。

さらにDCDCの出力に2Ωを負荷をつないで2.5A流すと、シリーズレギュータ出力への
飛びつきも大きくなります。


シリーズレギュレータの出力(DCDCの負荷2.5A時)。

DCDCは使わないときは、切り離せるようにしておいたほうが良さそうです。

シリーズレギュターの出力ノイズが低ければ、このままケースの側板と蓋を接着して
完成させようかと思いましたが、DCDC電源に追加でスイッチを1個とりつけてからにしましょう。

でも、今日は遅いのでドリルを回したら、家族の顰蹙(ひんしゅく)を買うので止めておきましょう。
また、明日にでも作業再開です。

作業再開!

さっそく、DCDCの電源を個別に切れるようにスイッチを追加しました。

アクリルなので穴はすぐに開きます。適当な隙間をみつけてスイッチをとりつけました。

あれ?

 さっそくDCDCの電源をOFFにした上で、シリーズ出力の5Vの電圧波形を確認です。
あれ?まだスパイク状のノイズが乗っているな〜?

DCDC電源をOFFにしてもスパイクノイズが乗っています。

この原因は、スタンド照明のノイズがオシロのプローブに飛び込んでいたようです。
ちょっと、お粗末な話でした(笑。
スタンドはインバータの蛍光灯なので、結構ノイズがでるようです。


スタンドの電源を切れば綺麗になりました。

完成!

ネジの締め忘れがないかを確認したのち、最後に側板と天板を接着して完成です。これで、もう何も手出しはできません(笑。
途中で壊れたら、壊れたときです。


前面の様子です。テプラをべたべたと貼っています。


右側面の様子。可変抵抗の調整は穴をあけないと無理です。表示電圧はDCDCの入力電圧です。
およそ20Vから5Vに降圧させています。



裏面の様子。放熱板は3枚連ねていますが1mmの隙間があります。本当はピッタシになる予定でした。
これは放熱板の寸法は60(幅)×30(高さ)×31(奥行き)ですが、高さと奥行きを間違えて
しまったためです。まあ、空気穴ということで・・・。


左側面の様子です。電解コンデンサは1個ずつですが、比較的大容量のものを入れています。
15V用は3300uF、5V用は8200uF、そしてDCDC用は3300uFです。

これで、懸案の視聴室用の電源もできました。
こんな小物でも、出来上がるとなぜか嬉しくなってきます。

<失敗談>

実戦につかって、正負15Vの出力にも負荷をつないだら、なにやらケースの中からジリジリという小さい音がします。
出力電圧は正常なのですが、ものすごく気になります。で、すでに接着済みですがケースの中をみてみると、
一箇所半田付けを忘れているところがありました!

飛び出しているリードは、あとで基板のベタGNDに半田付けする予定でしたが忘れていました。
正負15V用の平滑コンデンサのGND側になります。これが未接続ということは電解コンデンサが
GNDに対して浮いた状態です。


修正には、もちろんケースに穴をあけなくていけません。半田コテが入る最小の大きさということで、
φ6.5を4個あけて連結して四角にします。半田ゴテは入りますが、当然のことながら半田も入れなくては
いけないのですが、同時に挿入すると半田が半田コテの筒に触れてしまって溶けてしまいます。
そして、溶けた先の部分がケースの中に落下・・・・。放っておけば、どこかに触れてショートするので
除去しなくてはいけません。これが結構難渋・・・・。
 苦労の末、無事に修理完了です。


半田コテを通すためにあけた穴です。


なんとかベタGNDの部分に接続することができました。

この修理で負荷をかけても、音はしなくなりました。

ケースの側面に空いた穴は、なんか適当なシールでも貼ってごまかしましょう!(笑

(おしまい?)