パラOPアンプ基板を考えてみる!の巻き 2019.2.12

こんな投稿を頂きました。

HPをみてみると、こんな感じでOPアンプをパラで接続してあります。
一般にOPアンプは1個あたり30mA程度が限界ですが、それをパラにすることで数100mAの出力を可能にした面白い構成です。


出展:http://www.aitendo.com/product/15115

そういえば以前に74HCU04のアンバッファーパラにしてアンプにしたことがあることを思い出しました。

こんなものも作ったことを思い出しました。

OPアンプを使うことで、動作電圧を高くすることもできますし、なによりもOPアンプの種類を色々と換えることができるのも面白いでしょう。
ただ、変更するといっても一気に30個近く変更する必要がでてきますが・・・・・

回路構成はどうなっているのかな?

基板パターンが公開されているので、回路がどうなっているか見ておきましょう。

出展:http://www.aitendo.com/product/15115

ボルテージフォロアのOPアンプをパラ化しているようです

基板のパターンから回路図を書き起こしてみると、こんな感じのようです。本来はOPアンプ部は14個のパラになって
いますが、ここでは2個パラであらわしています。

回路図にするとこんな感じです。

色々と改造のネタがみえてきます

上記の回路は極めてシンプルです。でも、そのシンプルさを生かして、いろいろと改造ができそうです。

1.OPアンプの1つをゲインアンプに変更する!
・電圧を稼ぐ
 もともとの回路ではボルテージフォロアーになっているので、増幅率は1です。すなわち0dBアンプになっています。
そのため、入力に接続するアンプの電圧がそのまま出力されますが、通常のアンプだと2Vrms程度なので、大きな
出力が得られません。たとえば8ΩのSPを接続した場合だと0.5Wの出力にとどまります。まあ、0.5Wあれば
かなり大きな音がでますのでディスクトップ用途にはぴったりかもしれません。
 もうすこし出力電圧に余裕を持たせるために、14個のOPアンプのうちの1つをゲインアンプに変更するといいかもしれません。
たとえば、下記のような入力部を6倍程度のアンプに変更しても面白いかもしれません。
 ただ、電圧を増大させてもOPアンプが13パラですから、最大出力電流は390mA程度です。ということで
8ΩのSPを接続した場合の最大電圧は3.12Vまでしかあがりませんから、ゲインを持たせる効果はないかもです。
もっとパラ数を増やさないとゲインを持たせる効果はないかもしれません。SPではなくもっとインピーダンスの高い
ヘッドホン(16〜32Ω程度)を接続するならいいかもしれません。

・オフセット電圧を低減させる
 入力にゲインアンプを入れることで出力電圧を増大させることができますが、副次的な効果としてオフセット電圧を
減らす効果も期待できます。というのも、オリジナルの回路だと14個のOPアンプの入力がすべてまとめられて、
入力抵抗の22kΩに接続されています。そのため、各OPアンプの入力バイアス電流(Ib)がまとまって22kΩの抵抗に
流れ込むのでオフセット電圧が発生してします。NE5534だとIbは標準で500nAですから14個集まると7uAです。
22kΩの抵抗に流れると154mVのオフセット電圧が発生する可能性があります。
 それに対して、最初の入力をゲインアンプに変更することで、入力バイアス電流によるオフセットの発生をOPアンプ
1個分に抑えることができます。ただ、ゲインを得た分だけはオフセットが上昇しますので、必ず1/14になるわけでは
ないですが、それでも数分の1にはなるはずです。

2.パスコンをすこし変更する。
 オリジナルの回路ではパスコンは+V(15V)と-V(-15V)の間に入っていますが、本来は+V、−VとGND間に入って
いたほうがいいかと思うので、これについても改造してもいいかもしれません。


OPアンプの1つをゲインアンプにすると出力電圧を増やすことができるので、面白い改造かもです。

3.フィードバック部分を変更する
 先の回路では ゲインアンプのフィードバックはゲインアンプ部出力からになっていますが、
下図のように0dBアンプのバッファー出力からフィードバックをかけるのも面白いかもしれません。
こうすることで、アンプのオーバオールでNFB(負帰還)がかかりますのでひずみ率の低減に効果があるかもしれません。
ただ、アンプの位相遅れの面から高周波特性はやや犠牲になります。ただ、オーディオ帯域では関係ないでしょう。
ただ、気になるのは発振の可能性でしょうか・・・・


アンプをオーバオールでNFB(負帰還)をかけて歪み率の低下を狙うことも!

基板を考えてみるかな?

使用するCR部品に表面実装部品を使うことで実装密度があげられそうなので、もっとパラ化ができそうです。
まずはDUALのOPアンプを使用して、目標として40パラを考えてみましょう。

40パラだと
 40パラだと出力電流は 30mA×40=1.2A まで出せそうです。8ΩのSPを接続した場合には、
最大電圧は9.6VですからOPアンプの動作電圧範囲内です。そして出力は1.2×9.6/2=5.8Wまで得られます。
これだけあれば、メインアンプとしても使える出力になるかもしれません。

実際に描いてみましょう

基板サイズはいつもつかっている標準サイズに抑えて、そこに必要な部品を載せてパターンを考えてみましょう。
OPアンプはDIPサイズのDUAL品をつかいます。パスコンと合成用の抵抗はチップ部品を使用して面積を減らします。
割と余裕で収まりそうです。


40パラは収まりそうです。

ところで、気になる発熱は・・・・
まず、つかうOPアンプをどれにするかですが、たくさんつかうこともあるので安価なほうがいいですよね。
秋月で売っているDUAL OPアンプだとNJM4580DDが25円/個と安いです。これなら40個つかっても
1000円ですから、かなりオキラクです。半田付けは面倒そうですが・・・・

このOPアンプなら25円で購入できます。

このICの場合の消費電流は無負荷時で6mA(最大9mA)です。すなわち無負荷時の消費電力は6×15×2=180mWです。
そして、パラアンプ基板を8Ω負荷に接続して最大出力をだした場合のOPアンプの消費電力は1個あたり(15-9.6)*0.03/2=81mW。
DUALなので、その倍の162mWです。
 したがって、OPアンプ1個あたりの消費電力は180+162=342mWです。
一般にDIP8パッケージの熱容量は85℃/Wなので342mWだと29℃になります。室温が25℃だとして54℃まであがることになります。
夏場だともっと温度があがるので厳しいかもしれませんが、そもそも最大出力で連続的に鳴らすことはないでしょうから、
まず発熱は大丈夫でしょう。

まずはこんな形かな?

最後にGNDパターン(ベタ)を追加すれば完成です。結構パターンが入り組む感じです。



ベタを追加しました。

これで一応完成です。

さて試作にだそうか、どうしようか・・・・思案中です。

おっと!追加の情報も

さらにこんな投稿もいただきました。


どうやら単電源で動くバージョンもでたようです。これならACアダプター1個でオキラクに使えそうです。
で、早速パターンを拝見です。

GNDの生成がシンプルです。

単電源で動かす場合は主に2つあり
 ・入力信号を中点電位まで引き上げて使用する方法・・・一般的な単電源の方法。ただし出力にカップリングコンデンサが必要。
 ・中点電位をGNDにして使用する方法・・・・出力のカップリングコンデンサが不要。


どうやら、後者の中点電位をGNDする方法が取られています。で、その回路部分がシンプルです。

出展:http://www.aitendo.com/product/15809

GNDは抵抗で分圧して、その電位をコンデンサに蓄電して使用する方法のようです。コンデンサに大容量のものを用いて、
そのフライホイール効果でGND電位を安定させようとする仕組みです。


回路にするとこのような形です。

GND電位をみてみましょう!

このようなシンプルなGNDの生成だと出力がどのようになるか見てみましょう。
ということで、回路にそれぞれ電圧を与えます。ここではOPアンプにはLT1028Aをつかってみました。

このような回路でシュミレーションしてみましょう!

1)入力振幅100mV、オフセット電圧0Vの場合(f=100Hz)

オフセット電圧が0Vの場合は、とくに問題ないようです。

まずは入出力信号ですが、一致しています。


電源電圧も12V電源がGND基準で-6V,+6Vに分割されています。

2)入力振幅100mV、オフセット電圧100mVの場合(f=100Hz)

つぎに、入力にオフセット電圧を100mVほどかけてやります。この電位はOPアンプの入力バイアス電流によって
自然発生する可能性がありますし、低周波数の入力が重畳する場合もありうるものでしょう。
これでシミュレーションすると、入出力に大きな乖離がみられます。その原因は電源電圧にあり、
中点電位点が大幅に移動したためのようです。


入力信号(青)に対して出力信号(緑)とに乖離がみられます。


電源電圧が -9.5V、2.5V となっておりかなり非対称になっています。

これだと、かなり再生に影響がでそうです。基板内でもオフセット電位が発生しないようにしないと
いけないことになりますから、使い方が難しいかもしれません。

3)入力振幅0mV、オフセット電圧20mVの場合

単純にオフセット電圧が20mVあった場合ですが、これでもかなり大きな中点電位のずれが発生するようです。

20mVのオフセットがあれば、電圧は-7.5、+4.5Vとかなり非対称になります。


GND電位を安定させるのなら

これも一般的な方法ですが、OPアンプをつかってGND電位をドライブするのがいいでしょう。
すなわち入力電圧を分圧したものをOPアンプに入れて、その出力をGNDにするというものです。
そうすれば、極めてインピーダンスの低いGND電位を得ることができます。
 難点といえば、部品がふえてしまうということですが・・・・


GNDを強化しようとしたら、このような回路になるでしょうね。

入力振幅100mV、オフセット電圧100mVの場合(f=100Hz)で計算すると

問題なく、期待する結果になりますね。電圧も-6V、+6Vで分圧されています。


入出力は一致します。


電源電圧も綺麗に分圧されています。

OPアンプのばらつきは? 2019.2.18

OPアンプをパラにして電流を加算する場合に、OPアンプの出力にばらつきがあると予期する効果が得られません。
たとえば1Ωの出力抵抗を挟んで合成する場合、出力に1mVの誤差があると出力できる電流は1mA減ります。
5mVの誤差だと5mAです。OPアンプの最大出力が30mA程度であることを考えると5mAは決して小さい値ではありません。

普段はOPアンプのばらつきは考えたことはありませんが、手持ちのOPアンプでどの程度の出力のばらつきがあるかを
調べてみました。

NE5534で試してみましょう!
本来は使う予定の安い4580DDあたりで試したかったのですが手元にありませんでした。
ということで手元に数があったNE5534で試してみることにしました。ちょうど10個ピックアップしました。

NE5534を10個ほど集めました。

基本はボルテージフォロアーでテストします。テストはいつものブレッドボードで行います。

ブレッドボードでテストです。

測定結果は
OPアンプをボルテージフォロアにした場合で、入力をGNDに接続した場合の出力電圧を測定しました。
結果は下表の通りです。結構大きなオフセットがあるのと、OPアンプ間のばらつきが結構大きいですね。

No
0Ω帰還のボルテージフォロアー

11kΩでNFBをかけた場合
1 -0.9mV 2.9mV
2 -7.2mV 4.5mV
3 -2.9mV 7.6mV
4 -4.2mV 10.0mV
5 -4.0mV 2.8mV
6 -5.7mV 6.4mV
7 -4.4mV 7.6mV
8 -3.4mV 8.0mV
9 -0.2mV 8.0mV
10 -5.4mV 7.4mV

この結果からどの程度、出力電流が減りそうか試算してみましょう。
とりあえず0Ω帰還のボルテージフォロアの結果を用います。

結論としては、このOPアンプを10個パラにした場合で7.92mAの減少が見込まれます。
本来は10個のパラで30mA×10=300mAの電流が得られるはずですが、実際には292mA程度になります。
でも、この値は予想よりいいです。もっと小さくなるかと思っていましたので。
300mAに対して292mAなら、有効出力は97%ですからね。
測定結果をみたときは、OPアンプの選別をしないといけないかな〜ともおもいましたが、まあ不要でしょう。

ついでに、
入力バイアス電流による誤差も測定してみました。入力に1MΩの抵抗をつないでGNDに落とします。
そうすると-306mVの出力になりました。すなわち306mV/1MΩ=306nAが入力端子に流れこんでいることになります。
結構大きいですね。入力抵抗が高い機器と接続する場合にはオフセット電圧に注意が必要です。

R=1MΩ  OUT=-306mV

オフセット電流 306nA


ちがうパターンも描いてみましょう

単電源で動くように電源電圧の1/2電位を基板内のGNDにしたバージョンも描いてみましょう。
GND電位を強化するために、GND駆動のOPアンプもパラにします。


このような形の回路図になります。


こんな形のパターンです。

1/2GND電位は20パラ構成です
信号駆動部は20パラですが、その駆動電流を受け止められるようにGND駆動のOPアンプも20パラにしています。
下図のパターンの四角で囲んだ部分がGND駆動用のOPアンプです。
コードネームは MULTI−OPA POEWR AMPLIFIER TYPE−Bです。


GND駆動用のOPアンプもかなり数が必要になります。

試作基板が届かない・・・・ 2019.3.4

先週末に依頼した基板が届く予定でしたが、またまた納期遅延が発生したようです。
受け取り先を帰省先にしていたので、次回受け取るのはまた1週間先になりそうです。
折角、基板が届いたら色々と実験したいことがありましたが・・・・

まあ、帰省先でできることで遊んでみましょう。

ユニバーサルでパラ基板を作る

手元にあるユニバーサル基板でパラアンプ基板をつくってみることにしました。配線を簡単にするために
とりあえず一列でICソケットを並べます。基板の長さからOPアンプを8個並べるのが限界でした。

こんな感じでICソケットを並べて配線しました。8個のDUAL OPアンプなので16パラになります。


それぞれのICにはパスコン0.1uFもつけています。

動作確認

まずは1個だけOPアンプを載せて動作確認です。確認したかったのは、入力オフセット電圧と出力オフセットです。
入力には22kΩの抵抗を入れていますが、実測で入力オフセットならびに出力オフセットはどちらも約3mVでした。
で、8個並べたら25mV程度でした。まあ、問題ない程度のオフセットでしょうけれど、やはり入力段にもう1個OPアンプを
いれて、オフセットを下げるようにしたほうがいいでしょう。

まずは1個OPアンプを載せて動作確認です。1個だとオフセットは3mV程度でした。

負荷をつないでみましょう!

帰省先にも色々と部品をおいてはいますが、負荷抵抗として使える数Ωのセメント抵抗がありません。で、苦肉の策で
33Ω(だったかな?)の抵抗を10本束ねて3.3Ωの負荷とすることにしました。


抵抗を10本束ねて低抵抗にして負荷とします

負荷をつないて出力をみてみましたが、振幅10Vでも綺麗な波形がでることが確認できました。
負荷抵抗が3.3Ωなので振幅10Vですから、約300mAの電流が流れていることになります。
16パラ構成なのですくなくとも500mA程度は流せそうですが、なんせ実験用電源の電流容量が小さいので
このあたりが限界です。

振幅10Vでも綺麗な出力が得られることを確認しました。

はやく基板がとどかないかな〜

2週間後・・・・ 2019.3.14
ようやく届きました。メーカの配送先住所の間違いで、一旦宅配会社で預かりとなってから、宅配会社での
処理の遅れで結局1週間以上の遅配となってしまいました。発注してから2週間以上たってしまいました。
まあ、こういうこともあるのかな〜。週末に組み立てようと思っていましたがなかなかうまくいかないものです。

届いたのはマルチOPアンプ3兄弟!

今回は3種類のマルチOPアンプ基板は3種類です。

1.正負両電源のステレオタイプ(MULTI-OPA POWER AMPLIFIER)
OPアンプを正負電源で動かします。片チャンネルで20個のDUAL OPアンプをパラにしているので、
全部で40パラの出力になります。

正負両電源のステレオタイプ(MULTI-OPA POWER AMPLIFIER)

2.単電源のステレオタイプ(MULTI-OPA POWER AMPLIFIER TYPE−B)

 単電源の1/2電位をOPアンプバッファーで駆動してGNDにしています。通常単電源で動かすアンプの出力は
DCカットのために大容量のコンデンサが必要になりますが、GND電位を作り出しているのでコンデンサは不要になります。
ただし、電源のGNDと信号のGNDは、電位が異なりますので共通にするとはできません。ACアダプタでオキラクに
動かすことを想定しています。

単電源のステレオタイプ(MULTI-OPA POWER AMPLIFIER TYPE−B)

2.正負電源のモノラルタイプ(MULTI-OPA POWER AMPLIFIER TYPE−C)
OPアンプを正負電源で動かします。20個のDUAL OPアンプをパラにしているので、全部で40パラの出力になります。
片チャンネル分のみになります。出力にはSPの位相補償回路ろしてLCRが搭載できるようになっています。

正負電源のモノラルタイプ(MULTI-OPA POWER AMPLIFIER TYPE−C)

さっそく組み立てていきましょう!


いつものごとくリード線が要らないチップ部品から取り付けていきましょう。チップ部品は半田付けが楽といっても
数が多いので、結構時間がかかります。OPアンプを40個使う基板では、1個のOPアンプあたり2個のチップ
コンデンサと2個のチップ抵抗の計4個必要で両端の8箇所の半田付けが必要です。さらにOPアンプに8個です。
すなわち1個あたりのOPアンプで計16箇所の半田付けです。OPアンプが40個とすれば640箇所の半田付け。
さらにその他も含めると約700箇所の半田付けになります。これって修行に近いです(笑)。


まずは部品面にチップ抵抗(1Ω)を取り付けです。


裏面にはチップコンデンサを取り付け。

とりあえずICソケットを使いました。

ICソケットは8PINの丸ピンタイプだと秋月で15円/個ですが、ばね板タイプのものだと10円/円なのですこしだけオキラクに使えます。
さらに秋月だと480個買うと1個あたり4.5円とかなりオキラクになります。でも480個買ってつかい切れるだろうか・・・・
ばね板タイプは安いですが、このソケットはICを挿すのがすこし難しいのが難点です。
本当は、ソケットは不要なのですが、まずは何がおこるかわからないので、安心のためにとりつけました。

ICソケットはばね板タイプをつかいました。いつもつかう丸ピンタイプに比べると安っぽく見えますね・・・実際安いけど(笑)。


ICを載せると、なんとか様になってきました。

まずはTYPE-C(モノタイプ)の動作確認です。
あまり間違う要素もないはずなのですが、うっかりミスをしたとことがありました。信号入力のGND端子の
のGND配線が抜けていました。ということで、最寄のGNDラインからジャンパー線で飛ばしました。

TYPE−C基板で一箇所修正です。

つぎつぎに組み立ていきましょう!
 のこりの基板もどんどん組み立てていきましょう。

正負両電源のステレオタイプ(MULTI-OPA POWER AMPLIFIER)が完成しました。


単電源のステレオタイプ(MULTI-OPA POWER AMPLIFIER TYPE−B)が完成しました。

さて、動かしてみましょう!あれ?

正負両電源のステレオタイプとTYPE−Cは問題なく動きましたが、TYPE-B基板がなぜか動きません。
TYPE-B基板はOPアンプで電源の1/2電位をGND駆動するものですが、電源に15VをいれてもGND電位が
なぜか14Vになってしまいます。OPアンプの入力電位も異常です。なぜだろう!

原因発見!
 原因を探るためにGND電位を駆動しているOPアンプを一旦すべてソケットから外します。
そうした場合、OPアンプの入力電位は正常になりました。ということはOPアンプを挿すことで異常が発生するようです。
ということで、すこしづつOPアンプを差し込んで、どこで異常が発生するかを調べていきます。
すくなくとも1個OPアンプを挿した段階では問題ありません。さらに1個、つぎに1個と差し込んでいって、ある位置の
OPアンプを差し込んだ時点でGND電位が変動することがわかりました。そして。そのICの裏面の半田付けをみると
なんと、細いブリッジを発見です。なんと2.54mmピッチの半田づけでのブリッジとは思いもよりませんでした。
この原因は、半田コテを滑らしながら半田付けしているので、そのために髭がのこったのでしょう。


こんな髭のブリッジが残っていました。2.54mmピッチで失敗するなんて・・・・。

本格的に動作確認をしていきましょう!

1.TYPE−C(モノタイプ)
まずはシンプルなTYPE−C(モノタイプ)で基本性能を確認してみましょう。

無負荷時の特性は
まず入力なしの状態で諸特性を調べてみましょう。
まず気になる消費電流は100mAほどでした。ICを21個使っているので、1個あたり約5mAになります。
使用したOPアンプはNJM4580DDなのですが、データシートをみると消費電流は標準で6mAですから、ほぼ妥当
な値ですね。
 また出力オフセットは6.9mVでした。入力バイアス電流が100nA(TYP),500nA(MAX)なので
入力抵抗を22kΩにしているのでオフセットの発生は2.2mV〜11mVの範囲ですから、ほぼ妥当な値でしょう。


まずは入力なしの状態で電源(正負15V)をつないで動作確認です。


無負荷時の電流は100mA程度


出力オフセットは6.9mV

負荷をつないでみましょう!

手元にあった2Ωの抵抗を負荷にしてテストです。
入力電圧をどんどん上げていって、いきなり電源の容量MAX(500mA)近くまで出力をだしてやりました。
このとき、出力電圧は3.2Vでした。負荷抵抗が2Ωなので1.6Aまで出力がでていることになります。
ちなみにOPアンプを20個使用しているので40パラになりますが、各OPアンプの出力は40mAになります。
おそらくOPアンプの出力限界を超えていると思いますが、どうやら電流制限回路は入っていないのかもしれません。
まあ、40パラの構成で1.6Aの出力がでることは確認できました。ただOPアンプは結構発熱します。

なお、1.6Aの電流がピークで流れるということは実効値は400mAになります。実験用の電源でもそこまでピーク電流
を得られるということですね。ただ、基板上のコンデンサの容量は十分に確保しておく必要があります。


このような形でテストをおこないました。


消費電流は正負で約470mAです。


出力電圧は3.2Vの振幅です。

もうすこし負荷の抵抗値を上げてみましょう
こんどは10Ωの負荷としました。

負荷抵抗を10Ωに変更です。

このときは、まだまだ電圧を上げることができます。ただし、あまり上げると出力電圧がクリップします。
およそ12〜13Vが最大電圧です。まあ、電源電圧が15Vなので妥当なところでしょう。
ちなみに出力の最大電圧が12Vとして負荷抵抗が10Ωなので、ピークで1.2A流れていることになります。

 
これがクリップする限界の最大電圧です。


12〜13Vを超えると出力がクリップします。

2.TYPE-B(ステレオ、単電源)

こちらも動かしてみましょう、ということでTYPE-B(単電源で動作する、ステレオタイプ)を接続します。
電源は15Vとしました。

TYPE-B基板を試してみましょう!

まずは入力を接続しない状態で出力オフセットを測定しました。NJM4580DDをつかっています。
もちろん基準電位は電源電圧の1/2電位です。測定結果は10mV以下でした。
あとで他のOPアンプでも試してみましょう。
 
入力なし時の出力オフセット電圧です(NJM4580DD使用)

無負荷時の消費電流は約230mAでした。OPアンプが41個つかっているので、結構流れます。
15V電源なので、消費電力は3W強になります。そのため、基板はほんのり暖かくなります。

無負荷時の消費電流は約230mAです。結構ながれます。

出力は
15V電源なので振幅は最大でも7.5Vを超えることはできませんが、OPアンプでのドロップ分があるので
通常は5Vくらいでしょう。測定してみると案の状、5V近傍でドロップです。

出力が5Vを超えだすと波形がクリップします。

負荷(10Ω)をつないで最大出力をかけてみましょう。
といっても電源の最大容量が500mAなので、あまり無理はできません。
もちろん先ほど測定したように電源電圧15Vなので最大で5V程度になりますが、
それでも出力がクリップするくらいに出力を上げても大丈夫のようです。
現状では5V出力として負荷抵抗10Ωなので500mAは流れていることになります。

出力を上げると電源電圧が律束してクリップします。

入力段のアンプをOPA2134に変更!

NJM4580DDを入力段につかった場合の出力オフセットは10mV以下と実用的には問題ありませんが、
もうすこし小さくできることを確認するために、入力段アンプをOPA2134に変更してみました。
OPA2134はFET入力なので入力バイアス電流も極めて小さく、オフセット電圧の低減が見込めます。

入力段アンプをOPA2134に変更してみました。

結果は大成功です。左右でそれぞれ1.3mV、0.1mVとかなりオフセット電圧が小さくなりました。
出力段のバッファーアンプは安価なNJM4580DDにならざるを得ませんが、入力段のOPアンプについては
すこし高性能なものにしたほうがいいでしょうね。

 
左右でそれぞれ1.3mV、0.1mVのオフセットです。

音だし!その前に

配線しやすいようにターミナルを取り付けておきます。そして、お出かけ用の写真もとっておきました。

正負両電源のステレオタイプ(MULTI-OPA POWER AMPLIFIER)


単電源のステレオタイプ(MULTI-OPA POWER AMPLIFIER TYPE-B)

いよいよ、音だし!

音だしのためにはソースが必要なので、Simple Entry DAC (AK4490)を使いました。
音源はいつものCD(今井 美樹さん)です。
スピーカはサブシステムのONKYOのD202AX(16cmウーハの2WAY)をつかいました。
たしかインピーダンスは6Ωだったかな。

まずは正負両電源のステレオタイプから

 最初に鳴らした印象としては、極めて素直な音がするな〜という印象です。
もっとNJM4580DDの中音域がゴリゴリするようなおとかと思っていましたが、
なにも色付けのない感じでしょうか。他のOPアンプに変えれば音も変わるかもしれませんが、
なんせ40個のOPアンプを交換する気にはならないです。


このような形でソースを接続しました。正負両電源のステレオタイプの試聴です。


試聴につかったD202AXです。

すこし気になったのがOPアンプの出力を直接SPに接続すると発振しやすいというご意見もあったので
波形を確認しておきました。発振もなく問題ないようです。
しかし今一度波形の振幅レベルをみていると、普通に聞く分には1Vもあれば十分なのですね。

発振もなさそうです。

次は単電源のステレオタイプです

ひきつづき単電源で動作するステレオタイプのアンプ基板の試聴です。
電源電圧は15Vにしています。30Vで駆動すると、発熱が大きいので連続運転なら15V程度
がいいでしょう。それに15V電源でも出力は5Vは出ますから十分な出力が得られます。

音はといえば・・・う・・・ん、正負両電源のものと違いがわかりません・・・。
そりゃ同じOPアンプですからね。

単電源のステレオタイプの試聴です。

こちらも発振はありませんでした。まあ、同じ回路なので、問題ないでしょう。


こちらも発振はしていないようです。

ついでに・・

正負両電源のモノラルタイプの基板も試聴してみましたが、正負両電源のステレオタイプとこれまら
違いがわかりません。そりゅあ同じ回路、同じ部品ですからね。


正負両電源のモノラルタイプのお出かけ用の写真です。

そろそろ

(つづく?)