USB-DACは実現するか?の巻き 2008.2.4

ちょっとTeaTimeの巻き!ではお気楽にUSB-DACで遊ぶつもりでしたが、なんやかんやで
結局ユニバーサルで一から組むことになってしまいました。しかし、いろいろと調べることができた
のは大きな収穫です。それ以上に以外とUSB-DACでもハイファイであることにビックリです。
こりゃ、ちゃんとした基板にしたらもっと上が狙えるかな?という気がしてきます。
そこで、ちょっと簡単に仕様を考えてみましょう。

1.バスパワーモードでつかう(やっぱりこれがお気楽です)。
2.光出力、同軸出力を備える(これがあると他のDACへの接続も簡単です)。
3.ボリュームコントロールスイッチをとりつけられるようにする(経験から必須だと思います)。

こんなことを考えて、ちょっと基板を描いてみましょう。



サイズは46mm×102mmくらいになりました。ケースに入れたときに奥行きが浅くなるように
USBや光コネクタを基板の長辺側にとりつけています。
これはこれで便利そうだけど、でもちょっと趣味性が低いかな?

もうひとつはセルフパワーで、両チャンネルともセパレート電源(レギュレータ分離)として、
パワーアンプ内蔵にして、あとはスピーカをとりつけるだけにするとパワードスピーカが簡単に
くめたりして面白いかも。

さてさて、どうなるやら。

(2008.2.9)

こんなコメントをいただきました。

8539 re:8532 USB-DAC hoge  - 2008/02/07 10:38 -
>高音質をねらうということで電圧出力型のDACを使うというの
>はどうですか。2704内蔵のDACは性能が悪そうなきがします。
>電流出力型DACを使うのが理想だけど大げさですね。
>あとOPアンプでヘッドフォンアンプを組み込めないでしょうか

高音質というのなら、2704より2702のほうがいいかもしれません。
PCM2702については、DesignWaveMagazine2000年6月号に開発経緯が"USBスピーカ用D-Aコンバータの開発物語最短時間PLL法を導入して低歪み率を達成"として掲載されてますので、ご参考に。

そうなんですよね。PCM2702は機能が少ないのですが、スペックは2702番以降のものに比べて優れています。
これについては比較をしてみるとよくわかります。

PCM2702 PCM2704? PCM2705? PCM2706? PCM2707?
性能 Dレンジ(dB) 100 98
チャンネルセパレーション (dB) 103 70
THD+N(%) Vout=0dB 0.002 0.006
S/N比(dB) 105 98
パスバンドリップル(dB) ±0.002 ±0.04
機能 バスパワー/セルフパワー切替え
SPDIF出力
DAC-IF(3線出力)
外部ROM
ヘッドホン出力
外観 パッケージ 28SSOP?? 28SSOP?? 28SSOP?? 32TQFP?? 32TQFP??

それにPCM2702はピンアサインがきれいでアナログとディジタルの分離がし易い利点もあります。

PCM2702のピン配置

性能を狙うのならPCM2702かな?しかしSPDIFくらいの出力はほしいな〜

さて、色々調べて見ましょう。

USB-DACを製作していたりして、色々と気付いたことがありますので、ちょっと調べて見ましょう。

1.Vcomは使えるか?

PCM270×は3.3Vあるいは5Vの単一電源で動きますので、アナログ出力はVcc/2を中点とした動作
をします。そのため、外部出力をだすには普通はカップリングコンデンサでDCカットが行われています。
そしてオペアンプでバッファーするときも、大体入力にカップリングコンデンサが入っています。
折角PCM270×にはVcom端子があるのに使わないのでしょうね。これを負入力とした差動アンプとすれば、
カップリングコンデンサが不要になるのに?ちなみにVcomはDACの共通電圧となっていてVccp/2です。

ということで、Vcomを含む他の電圧を調べてみました。
結果はこんな感じです。

PCM2704 バスパワーモードでの測定値

Lチャンネル Rチャンネル Vccp
Vcc 3.371V 3.388V Vccp=3.332V
Vout 1.687V 1.695V Vcom=1.670
Vcc/2 1.6855V 1.684V Vccp/2=1.666V

なるほど、VcomとVoutの電圧は20mV程度のずれがあるようです。
これでは、Vccpをつかって完全にオフセットをなくすことはできません。
しかしよく見ればVCCもバラバラですね。VoutならびにVcomが、それぞれVccとVccpの
1/2にほぼ等しくなっていることを考えると、セルフパワーにして外部から同一の電圧を
与えれば、VoutならびにVcomが一致するのではと期待できます。

2.MUTEはどうするか?

 DACの出力がVcc/2を基準にでているため、電源の入り切りでのポップノイズは必ずでます。
ということで、すくなくともセルフパワー時のシステム(要は高性能を狙う)にはMUTE回路は必要そうです。
そこで、出力の出方をモニターしていみると、電源投入直後からゆっくりとVcc/2に向かって上昇していきます。
これはVcomに接続したコンデンサのチャージに時間がかかるということですが、だいたい2秒程度で安定します。
すなわち電源入りきりで3秒程度はMUTEは必要そうです。
 もう一つはPCとの接続時の変化ですが、これ自体では出力は若干振れるような気がしますが電源が入っていれば
基本的な出力レベルはかわりません。PCの接続についてはSUSPEND端子をモニターすればわかることですが、
これでMUTE制御っているのだろうか?
具体的にはアンプと同じように電源に連動してMUTEをかければいいような気がしてきました。


そういえば・・・・・2008.2.16

すでにバスパワーについては試作に出しているのを忘れていました。
最近、なにかと急がしかったからな〜。

試作基板が完成していました(忘れてた)。

部品は手元に全部あるので、チョイチョイと組んでみましょう。
ものの1時間もあれば組上がります。一番面倒なのはパルストランスのコイルほどきと、
被覆剥きかな。

組上がったUSB−DAC。


エ〜!!!

DIGIKEYのPCM2704の在庫状況をみたら、非在庫保有品になっていて、最小発注数量は141個あるいは2000個のリール
になっているじゃないですか!!!!え〜そんなのないよ(泣)。


とりあえず 2008.2.23

試作でつくった分だけリリースしようっと!
マニュアルはこちら。

完売御礼!
リリースにしては数が少なかったのBBSにも上げませんでしたが、
早々に完売しました。ありがとうございます。
追加製作もしていますので、今しばしお待ちください。


ちょっと一息 2008.2.27

すこし前にデジットで買ったD級アンプが手つかずだったのでちょっと組み立てみよう。
いつかったのかな、と思ったら ちょっとTeaTimeの巻き! の日付をみたら昨年の12月頃のようです。

組み立てて見よう!

ちなみに、ここに使われているICはあまり聞いたことはないのですが、
下記の製品のようです。

データシートをDLしてちょっと抜粋しました。
用途としてはHiFIというよりは、PCなどの簡単なアンプがメインのようです。

組み立てはあっという間!

部品点数も多くないですし、それに部品の種類が少ないので
あまりマニュアルを見ることなく、適当に部品を差し込んで半田付けして完了!
ひょっとして10分もかからなかったかも。


完成!

動作確認!
このアンプの動作電圧はデジットのマニュアルには3〜4V推奨となっていますが、
ICのデータシートには標準で5Vとなっているので、ここは5Vを接続しましょう。
音源としてはUSB-DACをつかいます。そして、その光コネクタの近くに取り出し口のある
5V端子から電源を引っ張りだしてやりました。これで動作確認はできます。

USB-DACと接続して動作確認!

まずは1kHzの信号を入れて確認。無事動作しているようです。
ん?ちょっと正負が完全に対照になっていないようです。
ボリュームを絞ったらよくわかりますが、若干のオフセットがあります。
そして出力レベルをゼロにすると、約450mVのオフセットがあることがわかりました。
これって、ちょっと大きくないかな〜
小型のスピーカに接続するなら、このくらいは大丈夫なんだろうか・・・・
まあ、それについては実際に試聴して確かめるしかありません。
 
 無事動作確認!                        オフセット有り?


450mVくらいのオフセットの模様。

やっぱりD級アンプ!

信号を細かくみると約600kHzの信号でスイッチングしているのがよくわかります。
あたりまえですが、正真正銘のD級アンプでした。


しかし、このサイズで2W+2Wのステレオアンプになるのですから、大したものです。
じっくりスピーカにつないで音質は評価して見ましょう!

試聴!
さっそくスピーカにつなげて見ましょう。使うスピーカはFOSTEXのFE87をつかったものです。
かなり昔につくったものなので、コーン紙にはシミができていますが、問題なく音はでます。
それに、低音はでませんがボーカルなんかはとても再現能力が高いです。

スピーカにつないで試聴準備。


往年のスピーカなのでコーン紙にシミがでています。残念!

駄目だ!!!!!

こりゃ駄目です。まずヒスノイズが結構大きいです。それに、CDをならすとピーという小さい音が鳴ります。
この音の発信源はUSBのデータ受信のタイミングが1kHz毎なので、この音だと思いますがちょっとよくわかりません。
しかしながら、音に集中して聞くような雰囲気ではありません。
問題はディスクトップPCにあるかと思って、ノートPCにも接続してみましたが結果は同じでした。


ノートPCでも結構ノイズがでます。

ノイズの原因はUSBの5Vラインのノイズかと思って、PCM3704のVDD(3.3V)に接続してみました。
この出力はレギュレータを通った後なので、ずいぶんとクリーンになっています。
でも、結果は同じです。ひょっとして電源系では無いのかな?
アンプ自体の問題となると、結構シリアスだな〜。

電源をVDDに変更しても、やっぱりノイズは出ます。

こうなったら、アンプの電源を別電源からとってみよう!
USBのバスパワーで使える魅力はなくなりますが、まずはノイズの原因抽出です。

(つづく、かな?)