お気楽でないアンプのリニューアルの巻き 2008.3.30
ことの始まり
いつもは1/4Wの金属皮膜抵抗(100本で300円)を好んで使う私ですが、DAC1794-3.5では何をとちくるったのか
ちょっと色気を出して音響用抵抗なるものを買ってしまいました。勿論、音響用といってもそれほど高いものでは
ないのですが、常用の金属皮膜抵抗に比べて何10倍も高いものです。まあ、これでも結構悩んで買ったくらいですので、
価格差が100倍近くあるスケルトン抵抗みたいなものは、最初から考慮外です(笑)。
巻き線抵抗なるものがありますが、確かに特性はいいのですが、さすがに1本400円となると、ちょっと躊躇してしまいます。
1本、2本程度ならいいのですが、何10本もは・・・(爆)。
上から: 炭素皮膜(2W) @90円(1本単位) 音響用
金属皮膜(0.5W) @60円(1本単位) 音響用
金属皮膜(0.25W) @3円(100本単位)
その音響用抵抗なるものの効果自体はよくわからないものではあるのですが、なんとなく精神衛生上は良い感じです。
「要のところには音響用を使っているぞ!」という、安心感でしょうか。
しかし、音響用抵抗なるものは結構大きいです。
いつもつかう1/4Wの抵抗はリード間隔400mil(約1mm)で収まりますが、1/2Wのものは500mil(約1.25mm)ないと
実装が難しいです。これは上の写真をみてもらったらわかる通りです。
大きめの抵抗がつかえる様にリニューアル!
現在つかっているアンプを近々電流帰還アンプに取り替えようとたくらんでいます。
というのも、R.さんの設計した電流アンプですが、ものすごく電気的な特性がよいだけでなく
負荷にも強いのが特徴です。普通のアンプでは出力にコンデンサでもパラにつけようモノなら
いきなり発振してしまいますが、このアンプは発振しません。ものすごく安心して使えます。
ということで、このアンプを使おうと思っているのですが、抵抗のサイズを400milで基板を設計しているの
少し大きめの抵抗だとちょっと実装が難しくなります。そこで、抵抗サイズをすべて500milとして
設計し直しました。抵抗のサイズだけの変更で、回路自体はまったく同じです。
その他で若干変更したのは、電源の供給パターンです。電圧増幅部と電力増幅部のベタアースを分離して、
基板中央からもアースがとれるようにしています。こうすることで、中央から電源から供給すれば
電圧増幅段の電力増幅段から受けるGND電位変動の影響を小さくすることができます(できるはず?)。
抵抗サイズを少し大きくしたことと、部品間隔をすこし余裕をもたせたので基板自体は長さがすこし
大きくなってしまいましたが、これはしかたありません。
上:お気楽でないアンプ / 下:リニューアルお気楽でないアンプ
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何点かご意見をいただきました。
1.コパルRJ-13対応
これですね。少し大きめ(φ12.4mm)ですが、信頼性は高そうです。
同時に価格も高そうです(RSコンポでは@500円です)。
いまのパターンに実装しようとすると、D2と干渉してしまいますので、これは移動が必要そうです。
すこし抵抗のランドにかかるところがありますが、このくらいなら大丈夫でしょう。
変更前(D2と重なる) D2の位置を変更
2.DCサーボ対応
OPアンプを搭載したアクティブDCサーボの場合は部品点数が結構増えるのと、
OPアンプ用の電圧レギュレータもいるのでちょっと厳しいかもです。パッシブDCサーボは
可能性ありますが、電流帰還アンプで高抵抗の帰還をかけても大丈夫なのかな?
ちょっとこのあたりが土地勘がないです(汗)。
3.FET対応
これはTRのフットプリントが3角形なので、バイポーラでもFETでもどちらでも対応できそうです。
FETの場合は少しねじれることになりますが、まあご愛敬かな(汗)。
トランジスタのフットプリント例
627対抗プリアンプ基板もリニューアル!
パワーアンプ基板と同じ大きさになりましたが、部品配置はゆったりしています。
プリアンプ基板もリニューアル
パワーアンプ基板も電圧増幅部分を書き換えました。
こちらのパターンの方がすっきりします。ベタ塗り替えるのはまた大変な作業ですが、
美しさの追求です。
話かわって 2008.4.5
この週末は絶好の天気。桜も満開で、オフを楽しむには絶好の日和でした。
観光で訪れたわけではないのですが、ここはやっぱり人が一杯です。
時間があれば周囲や土産物屋もいろいろと散策してみたいところですが、
また紅葉がきれいになったころにても行きましょう。
さて、どこでしょう(簡単ですね)。
橋の上からパチリ。 観光地とあって警官も騎馬隊です。
アートワーク完成!
ようやくアートワークが書き上がりました。あれ、間違い発見!
バグだししなくっちゃ!
上:パワーアンプ 下:プリアンプ
(クリックするとPDFファイルが立ち上がります)。
ついでに電源基板もつくってみました。アンプと同一サイズなので、2段重ねにすることができます。
定電圧電源はLM317/337を使用しています。これが、部品点数も少なく、電圧の可変範囲も広くて使いやすいです。
(クリックするとPDFファイルが立ち上がります)。
そんでもって、基板発注!
完成予定は4/17頃でしょう。しばし休憩です。
またまた話は変わって
(1)VRの使い方は?
可変抵抗器(VR)を接続するときは、下図でいえば(b)の接続する方が一般的なのは
ご存じの通りです。理由は、万が一に接点が劣化して接触不良になった場合、(a)だと抵抗値が無限大
になってしまいますが、(b)なら最大でも抵抗器の抵抗値以上にあがることはないからです。
(a)あまり推奨されない接続 (b)一般的な接続方法
(2)バイアス回路におけるVRの位置は?
VRの使いかたのように、接点不良を想定すればバイアス回路におけるVRの位置は自ずと決まってきますが、
それぞれの方法にも一長一短があります。VRの接続位置はだいたい下記の3パターンがあるでしょう。
(a) (b) (c)
(a)の場合
バイアス電圧(E-bais)=Vbe(1+Ra/Rb) となります。可変抵抗Raが式の分子側にあるので、
この回路構成では可変抵抗の変化に大してE-biasがリニアに変化する特徴があります。すなわち
バイアス電圧の調整がやりやすいというメリットがあります。反対に、VRの接点不良が生じると
E-biasは急激に大きくなり、過大なアイドル電流が流れる原因になります。
(b)の場合
この構成はHPA-2で採用していますが、あまり見かけないと思います。最大のメリットは
可変抵抗器の接点に流れる電流が小さいので、接点劣化がしにくい点にあります。それと
接点電流が少ないので、音質にいいかもしれません(ちょっとプラシボ的です)。反対に
劣化が起こった場合は、(a)より大きなE-biasになりますので、万が一の場合は出力段のTRが
一気に破損する可能性があります。
(c)の場合
バイアス電圧(E-bais)=Vbe(1+Ra/Rb) であり、可変抵抗Rbが式の分母側にあるので、
この可変抵抗の変化に大してE-biasが双曲線で変化するので、ややバイアス電圧が調整しにくい、
点がデメリットであります。しかし、最大のメリットはVRの接点不良が生じてもE-baisが大きく
なることはない(反対に小さくなる)ので安心してつかうことができます。現在リニューアル中の
アンプ基板はこの接続方法です。
といったような得失です。もし、私が市販品の設計者なら、間違いなく(c)を選ぶでしょう。接点の劣化は
ほとんどおきないとしても、半田不良の可能性がないわけでもありません。万に一つでも不良が起こって
発火でもしようものなら全数リコールです。そんなリスクを犯すことは絶対にできません。
しかしながら趣味では、狙いにあわせた回路を試すことができます。やっぱり自作ができるというのは
選択子が広がるので、大きなアドバンテージです。
あなたならどれを選びますか?
基板到着 2008.4.17
予定通り試作基板が到着しておりました。
プリアンプ基板を前作と比べてみると、2回りくらい大きくなった感じです。
パターン配線の幅も余裕がある分太くなっています。
左:リニューアル後 右:前作のプリアンプ基板
左:リニューアル後 右:前作のプリアンプ基板
まずはプリアンプ基板
回路定数はマニュアルのp.3のヘッドホンアンプ用の定数でくみたてました。
ちょと変更した点は、R11,12を4.7Ωから10Ωに変更。変更した理由は、単に4.7Ωの抵抗がなかったからです(^^;)。
あとは、終段のトランジスタには2SC4935,A1869をつかいました。これは汎用のパワートラです。
また、終段にはちょっとかっこつようと思って放熱板もとりつけています。
その他のトランジスタは2SC1815/A1015。FETには2SK30Aをつかいました。
初段にくるのでIdsが10%以内のものでペアになるものをつかっています。
やっぱり基板サイズが大きいだけあって、部品の配置も余裕があります。
余裕があると、組み立てるのも簡単になるメリットも生まれてきます。
完成したプリアンプ基板
動かしてみよう!
回路は実績のあるものですが、パターン間違いがないかがハラハラどきどきです。
まずはすべてのLEDが点灯しなければいけませんが、それは無事クリアーしました。
これで、ちょっと一息。ついでにアイドリング電流をはかったら8.5mAくらいです。
プリアンプあるいはヘッドアンプではちょうどいいくらいでしょう。
LEDがすべて点灯して一安心
入力に信号を入れて、出力を観測します。ゲインは5倍で設定してありますが、問題ないようです。
ちなみに電源電圧は正負15Vで、アンプ出力は無負荷の状態です。
上:入力(500mV/div)、下出力(2V/div) f=10kHz, 上:入力(500mV/div)、下出力(2V/div)
f=100kHz,
負荷をつなげてみよう
ヘッドホンの負荷を想定して47Ωの抵抗をつなぎます。
発信器の出力電圧が低いので、出力がクリップするところまでは上げることができませんでしたが、
出力で振幅10Vがでているので問題なしです。この状態でしばらくすると、放熱板をとりつけた
終段のトランジスタも幾分暖かくなってきます。もちろん、負荷抵抗はかなり熱いです。
負荷抵抗を接続 出力(下側)も10V振幅がでています(f=20kHz)。
つぎはパワーアンプ基板
定数なマニュアルと基本的には同じです。ただし出力のトランジスタに2SK1528/J200をつかうことを考えて、
R15を390→750Ωに変更しました。これで、アイドリング電流はVR2を一番絞ったときには17mA、VR中央位置で
85mA、VR最大で300mAとちょうどいい感じです。使用したFETは以前にデジットで安売りしていたときに購入したものです。
いくらかは忘れました・・・・・・
完成したアンプ基板 使用したFET
FETのとりつけは、今回は基板の動作確認だけということでかなり横着してとりつけています。
テストなのでまずはFETを仮付け。
電源基板も今回つくっていますので、パワーアンプのテスト用に組み立てました。コンデンサは1000uF/50VのLXZです。
基板に余裕があるので、秋月の3300uF/50V品も実装できますので、容量重視ならそちらの方がいいでしょう。
どちらをつかっても安いものです(@20円と@25円の違いです)。
整流ダイオードは秋月の400V/5Aのものです。これも結構安かったような記憶があります。
電源基板も完成
電源基板の上にパワーアンプ基板を重ねて接続してテストをしました。こうすれば配線も楽です。
実際にケースにいれるときには、あまり電源の近くにアンプがあると、精神衛生上わるいかもしれませんが、
多段実装できるとサイズ的な余裕ができて便利なんですよね。
パワーアンプ基板のテストの様子
出力も無事でています。ゲインを20倍に設定していますが。入力が1Vppで、出力が20Vppですから、OKです。
入力(1ch、0.5V/div)と出力(2ch:5V/div)
ついでに・・・・
プリアンプ基板用の定電圧電源としてLM317/337を使った電源基板もつくりましたので、
こちらも動作確認をしておきました。
リニューアル基板完成!
回路は前作とまったく同じですが、基板サイズをすこし大きくして500milサイズの抵抗がつかえる
基板のリニューアル化完了です。
話は変わって
こんなんがあるとは知らなかった・・・