ミニシリーズの巻き? 2014.5.10

まずは電源
すこし小ぶりの基板をつくる場合が多くなりましたが、それにあわせて電源基板も小ぶりのものが
あれば、多層階にするのにも便利なので少し考えてみることにしました。

1.LM317/337用基板
 最近秋月でもLM317の他に、LM337も手にはいるようになってきました。LM317/337はどちらも
1.2V以上で電圧設定ができる便利な石です。

LM317/337用の電源基板

2.Non-NFB電源基板
 以前にNon-NFB(non Negative Feed Back)電源は電源電圧の安定性はすこし低いが、反対に出力電圧の過渡応答が穏やかなので
音質がいいのではという議論がありました。non-NFBという名前がついてはいますが、単純にツエナーダイオードを使用した
シンプルな定電圧電源基板です。

non-NFB電源基板

3.シンプル電源基板
単純に平滑部だけの電源基板です。リードタイプのものなら3本、ブロックタイプのものも搭載できるように
描いてみました。

シンプル電源基板

ミニシリーズには

トランジスタもチップタイプのものが使用できると便利そうです。
 
秋月HPから。2SC3325

でもどうせつかうようにするなら、通常のTO-92パッケージと同居ができるようにすれば便利そうですが、
そうしてしまうとあまりサイズ的なメリットがでそうにありません。どうしようかな?

チップ用のパターン(SOT-23)とリードタイプのパターン

ところで使えるトランジスタは? 2014.5.14

秋月電子にはいろいろなチップトランジスタがありますが、中にはとても小さいものもあります。
半田付けのしやすを考えるとSC-59サイズのものがいいかもです。
で、SC-59のものを調べてみるとコンプリメントペアで使えそうなものが2組ありました。


秋月で手にはいるSC59チップトランジスタ

NPN PNP 容量 サイズ 備考
2SC3325 2SA1313 50V 500mA SC-59
2SC2712 2SA1162 50V 100mA SC-59


ちなみにSC-59パッケージはこんな寸法です。
リード間のピッチも2mm程度なので普通のDIPと同じ間隔で半田付けできるはずです。

 
SC-59のチップ寸法


SC-59のランドパターン

共通パターンとするには?


チップ部品とリード部品を同居させるにはどうしよう?
2つのパターンを並べてみると下図のようです。まあ、できるだけ近づけて共通化すればいいでしょう。
でも、チップ部品を使うからといって部品面積は全然減らないです。
むしろ増えちゃいますね。
 
SC-59パターンとTO-92パタンを描いてみました。       同居させるとこんな感じ?

一気に!

お気楽でないPA(電流帰還アンプ)を描いてみることにしました。
従来のものに比較して面積は半分です。
そのため入力のカップリングコンデンサなどのサイズは小さくなってしまいました。


お気楽でないPAのミニ版です。


いろいろなリクエストが・・・

本企画を進めているうちにいくつかのコメントをいただきました。
さて、どうしましょう・・・・


あれ? 2014.5.15
間違いをご指摘いただきました。


今一度、LM317/337のピン配置を確認しました。

LM317                         LM337

ついでに回路例も確認です。あ、R1は出力からのFBでしたね。


ということでパターン修正しました。

修正したパターンです。

基板は完成すれど・・・ 2014.5.28
ひととおり描いてみた基板ができあがりました。
でも、直近で作ってみる暇はなさそうな予感・・・です。

 LM317/337をつかった汎用の電源基板(TYPE−J)


 ツエナーをつかった汎用の電源基板(TYPE−K)


 シンプル電源基板(Mini Simple Power Unit)


 お気楽でないアンプのMINI版

部品を載せてみよう。 2014.5.31

ちょっと雰囲気を楽しもうと思って部品を載せてみました。
まずはシンプル電源基板ですが、秋月で買った4700uF/50Vのブロックコンデンサや
2200uF/35Vのリードタイプのコンデンサを搭載です。

秋月で購入した4700uF/50Vのコンデンサを搭載してみる。


秋月で購入した2200uF/35Vのコンデンサを搭載してみる。

シンプル電源基板ではかなり余裕がありますね。
次に定電圧基板にリードタイプのコンデンサを搭載してみましたが、まだ余裕ありそうです。
もう少し太いコンデンサも乗りそうです。


秋月で購入した2200uF/35Vのコンデンサを搭載してみる。

試しに・・ 

DIGIKEYでTO220パッケージのウルトラファーストの整流ダイオードを買ってみました。
型番はNXP社のBYU25FC-600です。
容量的に600V5Aなので、小型のパワーアンプでもつかえそうです。



買ってみたTO220パッケージのダイオード。

ダイオードの向きは?

データシートをみて向きを確認です。

向きはこんな感じになります。

作ってみよう! 2014.6.2

ミニシンプル電源基板
まずはシンプル電源からです。こちらは4700uF/50VのブロックコンデンサとTO-220ごULTRA FASTの
ダイオードを使いました。
動作確認もOKかな〜とおもいつつ、電源を入れると負側の電圧が低い?
よく見ると、負側のコンデンサの向きを間違えていました。
修正して取り付けて、通電後動作を確認しました。

シンプル電源基板が完成しました。

TYPE-J電源基板 LM317/337
次はLM317/337をつかった電源基板です。こちらも、すぐに完成しました。
電解コンデンサは秋月の3300uF/35Vを4本つかっています。
こちらはすんなり動作を確認しました。

TYPE-J電源基板(LM317/337)が完成しました。


ミニアンプ2を作ってみよう。

お気楽でないPAのMINI版を作ってみましょう。
今回のトランジスタはリードタイプの2SC1815/A1015ではなくて、
チップトランジスタの2SC3325/A1313を使用してみることにしました。
もちろん、2SC1815/A1015でもいいのですが半田付けが簡単なのでチップタイプをつかいました。

2SC3325です。耐圧など2SC1815とほぼ同じです。

部品をどんどん載せていきましょう!


まずはちいぷトランジスタを取り付けます。リードの屑がでないので、すいすい半田付けが進みます。

まずはチップトランジスタの取り付けます。

入力のカップリングコンデンサは

この部分は特性のいいフィルムコンデンサが必要となりますが、BBSでもリクエストがあったように
チップフィルムコンデンサをとりつけられるパターンも併設したので、今回は薄膜高分子積層コンデンサ
をつかいました。10uF/25Vのものです。1個200円と結構します。

入力のカップリング用コンデンサ

とりつけは基板の半田面にとりつけます。

半田面にコンデンサをとりつけました。

どんどん!!

つぎは抵抗ととりつけていきます。背の低い部品からとりつけるのは鉄則です。

抵抗をとりつけました。

完成!

抵抗をとりつけたら、ほぼ80%完成です。あとはLEDやコンデンサや背の高いものを取り付ければ完成です。
なぜ抵抗の取り付けが大変かというと、部品箱から所定の値の抵抗を探すのに時間がかかるんです(笑)。

完成しました!

動作確認をしていきましょう!

動作確認のための電源は実験用の正負15Vのパワーユニットを使いました。
給電は電圧増幅段と電力増幅段を分離することができますが、今回は同じ電圧にすることにしたので
あらかじめ、電源端子の部分をブリッジしておきました。

電圧増幅段と電力増幅段は同電位でつかいます。

パワトラはMOSFETをつかいました。IRFP240/IRFP9240です。

パワトラをとりつけ。


放熱板も仮ですが取り付けました!

動作確認!

さて、必要な電源と入力(発振器)を接続して動作確認をしていきましょう。

動作確認の様子です。

トラブル続出???

1.片方のLEDが点灯しない・・・・

電源を入れてみると、出力電圧が11Vくらいになっています。オフセット調整してもピクリとの動きません。
あれ?よく見るとLEDが片側(負側)が点灯していません。どこか半田不良がないか探してみると、
チップトランジスタの足が一箇所未接続でした。それを修正してオフセット調整でゼロ調ができました。

2.出力はでるがアイドリング電流が流れない・・・・・

今度はエミッタ抵抗の両端の電圧を、アイドル電流調整用のVRを回しながら測ってみると0.000Vから動きません。
あれ?バイアス電圧を測定してみると、VRを回しても0.71〜0.75Vの範囲でしか動きません。
でも、とりあえず入力信号を入れてみると出力は正常にでてきます。

出力は問題なし。アンプとしては動いているようです。

どうやら、バイアス電圧を発生させるところのパターンミスがあるようです。
さっそくパターンを眺めてみると、見つけました!2〜3回見直したはずなんだけどな〜

パターンを一箇所切断して、パターンのレジストを一部削って1本ジャンパーを飛ばしました。

黄色線が切断箇所。                                  1本ジャンパーを飛ばします。


この修正で無事アイドル電流も流れました。放熱板も小さいので20mA程度に設定しています。

周波数特性をみておきましょう!

300kHzでも問題ありません。-3dBのポイントをおよそ2.7MHzのようですが、おそらく位相補償のコンデンサが入っているかもしれません。
位相補償が必要かどうかも、一度検証してみないとだめですね。

  
1kHzの波形


300kHzの波形。振幅の低下はありません。


2.7MHzまであげると約-3dBの振幅低下があります。

出力電圧は?

動作確認には15Vの電源をつかっていますが、出力電圧はどこまで得られるかを調べてみました。
徐々に入力信号の振幅をあげていくと10Vを超えるあたりから出力の飽和が生じるようです。
およそ電源電圧のマイナス5V程度の出力が得られるようです。
これはMOSFETの動作電圧が4V近くあるため、FET駆動のトランジスタのVbe(0.6V)を加えると
どうしても電源電圧の4.6V以下の電圧しか得られないです。
 電源電圧を効率よくつかうなら、電圧増幅段の電圧は電力増幅段の5V増しくらいにするのがいいでしょう。
でも、2電源準備するのも面倒ですが・・・。
となればやはり20〜25V程度の電源を用意することになりそうです。


電源電圧15Vでは出力は10Vが限界です。


NON-NFB基板も完成しました。 2014.6.3

TYPE-K基板も完成です。動作も問題ないことを確認しました。
出力電圧は15Vに設定しています。

基板完成です。


ミニアンプがV2へバージョン変更になりました。 2014.10.5



V2基板になりました。


念のため動作確認しています。


大丈夫ですね。V2基板ではバイアス電流の調整VR2も右側に回すと電流値が大きくなるようになっています。

(つづく)