理想ダイオードを試してみる。 2014.5.24

いぜんにBBSで理想ダイオードについてアップして、同時に秋月電子から試しに購入してみましたが、
いかんせんSSOPパッケージで変換基板がなかなか手にはいらなかったこともあり、ほったらかしになっていました。


秋月で買ったけど、部品箱の肥やしになっていました。

でも、思い出したようにDIGIKEYで買い物をするときについでにDIPパッケージのものを買いました。
1個1000円以上しますが、変換基板や配線の面倒さを考えるとこちらのほうが楽です。

DIGIKEYでDIPタイプを購入。秋月でもDIPタイプ売ってくれないかな〜。

理想ダイオードでダイオードの役割を行うのがMOSFETです。ここで用いるMOSFETで一番大切なところは
やはりON抵抗の小さいことでしょう。市販品の中には1〜3mΩのものも結構ありますが、ここは秋月で
買えそうなところということでIRFI3205を用意しました。


用意したのはIRFI3205です。4個必要です。

IRFI3205はON抵抗8mΩと結構高性能です。ただし、VDSSが55VなのでDACなどには問題ないですが、
パワーアンプを使用するには注意が必要です。パワーアンプにつかうなら100Vクラスのものを用いた方が
いいでしょう。

IRFI3205のスペックです。

理想ダイオードの利用メリットは?

工業的に考えればなんといっても効率の向上が最大の目的です。
たとえば普通のシリコンダイオードだと順方向電圧が0.6Vありますので、これが電力損失につながります。
フルブリッジにした場合には2個のダイオードを通過しますから、1.2Vの損失です。
たとば1Aの電流を流した場合、それだけで1.2Wの電力をダイオードで消費してしまいます。
損失だけならまだしも、発熱が大きくなりますので実装も大変になります。

シリコンダイオードを抵抗値に換算したら、0.6Ωすなわち600mΩになります。
これが数mΩのMOSFETに変更できれば、損失は100分の1以下になります。
これが理想ダイオードを用いる最大のメリットですね。

実際の回路は
これは極めて簡単です。


ブレッドボードで組んでみましょう!

まずはLT4320から
こんな感じで組んでみました。もっとうまい配置があったかもしれませんね。

まずはブレッドボードで組み立てました。

無負荷の状態ですが電圧を測ってみましょう。トランスの入力電圧(AC)を出力電圧(DC)を
比較してみます。
入力電圧は9.02Vですね。これを理想的に整流すると9.02×1.414=12.75Vになります。
この回路の構成では12.09Vですね。約0.66Vの低下です。

 入力電圧(AC) 理想D         出力電圧(DC) 理想D

次は普通のシリコンダイオードで
秋月で売っている判用品の1N4007をつかってブリッジを組んでみました。

汎用のダイオードを用いてブリッジ接続です。

こちらも同様に、 無負荷の状態ですが電圧を測ってみましょう。
入力電圧は8.95Vです。なぜか先ほどの測定に比べて7mVほど低下していますが、なぜだろう?
まあ、誤差かもしれませんし、ひょっとして無駄電流が流れているのかもしれません。
出力電圧は11.27ですから理想ブリッジダイオードと比べて、約0.7V程度低い値になっています。
これが損失の差になりますね。

 入力電圧(AC)  汎用D             出力電圧(DC) 汎用D

ほんと久しぶりに作業再開! 2014.7.26

シンプル電源基板を理想ダイオードバージョンに描いてみました。
シングルのダイオードも代わりに使用できるパターンです。ただし、ブリッジダイオードのパターンはなくなりました。
理想ダイオードのコントロールICは秋月からSSOPパッケージがでていますが、
製作のし易さを考えてDIPパッケージの想定にしました。


こんなパターンです。


制御部の拡大です。


気になるコメントが・・・



これは事前に試してみる必要ありますね。

1.単電源構成

単電源の構成です 正常な電圧がでています。

2.単電源構成(電解コンデンサは直列接続)

単電源の構成です。ただし電解コンデンサは直列接続。 正常な電圧がでています。

3.両単電源構成(電解コンデンサの中央にトランスCT接続)

両単電源構成(電解コンデンサの中央にトランスCT接続) 電圧がかなりドロップしています。

どうやらCTトランスの使用は想定していないようです。
電圧を見てみると正側は問題ないようですが、負側が4V程度電圧が低いようです。
4VというのはMOSFETのゲートドライブ電圧に近いので、なにか関係あるかな?
ひょっとしてすべてN−FETで構成していますが、両電源とするには
負側はP−FETで構成する必要があるのかもです。でもどんな回路が必要なんだろう?

単電源回路で描き直してみました。

LT4320もDIPとSSOPの両方が使えるようにしています。


単電源で書き直しました。

基板ができあがりました。 2014.8.15


出来上がりました。

一枚分ができあがりました。 2014.8.19


一枚分完成です。


ICは秋月で売っているSSOPタイプを使ってみました。

比較確認してみましょう 2018.8.21

ショットキーダイオードを使用した電源基板と理想ダイオードを使用した本基板との出力電圧を比較してみました。
フルブリッジの構成で約0.6V程度の差がでていますね。

接続の様子 出力電圧
FAST
ショットキー
使用の場合
理想ダイオード
(MOSFET)の場合

もう1枚作成しました。

2枚つづりのもう一枚の基板をつくりました。こちらの方はDIPタイプのLT4320を使用しています。

DIPタイプのLT4320を使用しています。


やはりDIPは実装が簡単です。

両電源構成にしてみました!
2系統のトランス出力と、電源基板を2枚組み合わせて両電源を組んでみました。
正負ともどちらも正常な出力が得られましたね。
やはりLT4320をつかって両電源を構成するには、センタタップのトランスではなくて、
2系統のトランスと電源回路も2回路必要でしょう。

両電源での動作確認の様子

 
正電源出力                    負電源出力


(つづく)