ヘッドホンアンプ考の巻き! 2013.6.2

先日、部屋の片付けをしていたら古いSONYのヘッドホンプレイヤが見つかった。
USBタイプで容量は2GBなので、かなり初期型だが、問題なく動いた。
なつかしい曲が色々と入っていて、しばらく聞いていたが付属のヘッドホンがあまりよくない。
やはりヘッドホンは性能のいいものがほしいな〜と思っていたが、
あるときヨドバシに行ったときに、ふと思い出して品定めすることに。


これと同じタイプ(写真はYahoo 画像から引用)

KOSSが鳴らない・・・・

ヨドバシの店内のインナーヘッドホンの試聴用のコーナは、ヘッドホン(イヤホン?)がたくさん置いてあって、
コネクタが宙ぶらりんになっている。自分のプレヤにコネクタ差し込んで、直接的に音を確認できるので便利だ。

いろいろと聞き比べてみると、インナーヘッドホンとはいえ、いろいろと音が変わっておもしろい。
やはり値段が高いもののほうが低音もゆたかで、音の繊細さもいいような気がします。
しかし、3万円もするものがあるが、さすがに手が出ないな〜。



KOSSのヘッドホン。低音が豊かなことで有名ですが・・・・

そうこう試聴しているうちにKOSSのヘッドホンを見つけて試聴してみることに。
KOSSは以前に一度だけヘッドホンとして愛用していたこともあり、低音がよくでることで有名で
値段のそれほど高くないし、思わず期待した。
で、自分のウオークマンに差し込んで鳴らしてみると

低音が鳴らない・・・・

なんてことだ。まったく低音がでない。現在自分のつかっている安物のものの方が低音が豊かだ。
なんでだろう?ふとヘッドホンの表示をみてみると、インピーダンスが16Ωと低い。
ひょっとしてアンプがドライブができないのだろうか?

う〜ん、このウオークマンでは駆動力不足なのかな?
まずウオークマンから変更した方がいいかも知れないな・・・

やっぱりアンプは重要だな〜

自分のウオークマンでKOSSのイヤホンが鳴らなかったことはショックだった。
おそらくウオークマン内蔵のアンプだと、あまり出力も大きくないし、おそらくDクラスなのかな?
いづれにしても手にしたKOSSとは相性があわなかった。

新しいヘッドホンアンプがほしい!

結局、ヘッドホン(イヤホンだけど)を買わずに帰宅したわけだが、いまつかっているヘッドホンの
アンプも少し新調したくなってきました。といっても、ヘッドホン用のアンプ基板はすでにあるのですが、
一度作ってみたいものがあります。

電源一体型のコンパクトな基板をつくってみたい!

かなり昔ですが、オーディオテクニカのカタログにヘッドホンアンプの内部写真がありましたが、
一枚の基板に電源部、アンプ部、そしてボリュームを搭載したものです。配線も少ないし、
ノイズが入る要因も少なくなるでしょう。こんなアンプをつくってみたい気がむらむらっとしてきました。

オーディオテクニカのヘッドホンアンプの内部写真

この基板にはどんな機能があるのだろう?

しげしげと上の写真をみていると、
 1.左側の基板は整流用のダイオードがのっている。
 2.右側がメイン基板だが
   ・電源回路は定電圧化されていなのか? レギュレータらしきものは見えないが・・・・
    電力増幅段は非安定化で、電圧増幅段はほとんど電流も流れないからツエナー+TR程度で安定化させて
    いるのかな?
   ・出力のMUTE用リレーの横にあるICはなんだろう?
    出力のDC漏れを検知してリレをOFFにするものだろうか?それとも単なるタイマーかな?

なるほど!
 2013.6.3

hayaさんから回路図をいただきました。
なるほど、一般的な2段増幅器の構成ですが、特徴はいくつかあります。
まずバイアス電圧発生段がダーリントンになっています。おそらく出力がHEX-MOSで電流が少ないため、
それを補うため増幅率をあげたのでしょう。それと、2段目の増幅部分は通常はRですが、2N5401がつかわれています。
あと気づく点は、電力増幅段が電圧増幅段に比べて電圧が高いです。
これは、電力増幅段に非安定化電源を入れて、電圧増幅段に安定化電圧をいれているということですね。
電圧増幅段の入力電圧が16.5Vであることをみると、出力電圧は最大でも10〜12V程度でしょう。


こんな回路のようです。

久々の作業再開 2013.6.11

週末は出先のことが多く、なかなか作業がすすみませんが、すこしまとまった時間ができたので
基板のアートワークを開始しました。

今回のアンプはいろいろな基板を多層にできるようにするつもりなので、他の基板のピッチ
にあわせて、取り付け穴をいくつか設けています。
基板サイズも少し大きめです。

すこし大きめの基板サイズでアートワークを開始しました。

アンプの回路構成はどうしよう? 2013.6.26

アンプの回路はまだまだ悩んでいるけど、それ以外の電源部のアートワークを開始しましょう。


電源部からアートワークを開始しました。

回路はA12をベースに! 2013.7.4

回路はA12をベースにすることにしました。これは高速OPアンプのLH0032の等価回路になります。
性能がいい割に部品点数が少ないのがいいです。
電圧増幅段には途中で定電圧回路を入れています。出力のトランジスタはIRF240/9240のコンプリを使用しました。、

回路はA12をベースにしましょう!

必要な抵抗は約20本、トランジスタは20個です。
アンプ部に必要な部品を載せてスペース感を調べてみます。問題なく収まりそうです。
抵抗は400millピッチではなく、すこし大きめの500milピッチのものを使えるようしました。


基板に部品を配置してスペース感をみてみましょう!

一回路分を描いてみました!
部品配置を少しずつ調整しながら、パターンを描いてみました。

1回路分を描いてみました。



同じ配置なので、2回路はそのままペーストすればOKです。あとは制御部分です。


まずは一通り描けました!
チェックはこれからですが、まずは一通り描けました。
久しぶりの大型基板です。



まずはアートワーク完成!
連休明けくらに試作しましょう!

ミスがないかチェックしなくっちゃ!

基板ができました! 2013.7.23

試作基板がようやくできました。久しぶりに基板をつくるような気がします。

こちらは部品面です。


こちらは半田面。

作業は夏休みまでお預けかな?
すぐに組み立てたいところだけど、週末も出張だし、いつ作れるだろう?
やはり盆休みまでお預けかな〜。
でも、雰囲気だけ味わいたくて、ブロックコンデンサを挿してみました。

ブロックコンデンサを挿してみました!

組み立てていきましょう! 2013.8.3

まずは電源部分から組み立てていきましょう。

どんどん組み立てましょう!

電源部分がおおむね組みあがったので、電圧確認のためトランスを接続します。
トランスはいつものRA40-144を使います。

トランスと接続して電圧の確認です。

トランスを接続して電圧を確認してみました。
2次電圧がすこしばらつきますが、これはツエナーの精度でしょうか。
まあ、予定通りの電圧がよしとしましょう。
 
1次電圧(電圧増幅段の電源電圧)

 
2次電圧(電圧増幅段の電源電圧) すこしばらつきがあります。

アンプ部を組み立てよう!

その前に、コンデンサに溜まった電荷をぬいとかないと。
−−−−
さて、どんどん組み立てて行きましょう!
半田付けしていて、一箇所ミスがあることに気づきましたが、使わないところなので無視です(笑)。

まずは低い部品からドンドン半田付けしていきます。


使用したパワトラはIRPF240/IRPF9240を使いました。MOS−FETです。


エミッタ抵抗はMPCです。実はこれ、デジットで格安で売っていました。


エミッタ抵抗を取り付ける前に、パワトラをとりつけます。でないと、ネジがしめにくくなります。


入力FETはソケットにしました。

アンプ部はほぼ完成かな

ほぼアンプ部ができあがりました。今日はここまでにしておいて、明日動作確認しましょう!

明日に動作確認しましょう!

動作確認! あれ?  2013.8.4

アンプ基板なので、とくに問題なく動くだろうと思って、電源をいれました。
でも出力電圧はゼロのまま。電力出力段にまったく信号がきていない状態です。
なぜだろう?ちょっとあせりましたが、よく部品を確認すると、トランジスタの向きが
1つだけ間違っていました。間違っていたのは入力FETの動作電流を決めるトランジスタです。
これが動かなければ、後段も全然うごかないはずです。

動くことを確認したのち、アイドル電流を調整しようとしたところ、VRを絞りきった状態でも、
アイドル電流が0.1A程度流れます。設定としては20mA程度でよいと思っているので、
抵抗R9を1.8kから1.3kΩに変更しました。調整用のVRは500Ωを使っています。

抵抗も変えたのので、アイドル電流20mA、オフセット電圧ゼロに調整して波形をみてみることにしました。

さて波形をみてみよう!
入力にDDS発信器の出力をつないで、入力と出力をオシロで確認します。

動作確認の様子。

周波数特性は

200kHzまで信号を入れてみましたが、まったく問題ないでしょう。

  
f=1kHz                            f=20kHZ                         f=200kHz

出力振幅は?

出力振幅を調べてみました。クリップする寸前の電圧をみてみました。
大体12〜13Vのようです。これは電圧増幅段の電源電圧がおよそ17Vで、MOSFETの降下電圧4Vと駆動トランジスタの降下電圧0.6を
考えると17-4-0.6=13.6Vですから、まあ計算通りでしょう。
 どちらかといえば電圧増幅段のツエナーには18Vをつかっていますが、もう少し高い電圧をつかったほうがよいでしょう。
おそらく20〜21V程度が適していると思われます。

 
出力段のクリップ寸前の波形              クリップしたとき。

動作確認も出来たので

入力FETは熱結合がしていなかったので、瞬間接着材で両者をくっつけることにしました。
 
くっつける前の入力段のFET                         瞬間接着材でくっつけました。

次は、コントローラ部分を組み立てましょう。
次は、MUTE用のリレーや電圧オフセットモニタの部分を組み立てることにしましょう。
この部分の部品は少ないので、組み立ては短時間で済みます。

コントローラ部分を組み立てました。

ソフト作成の備忘録

PICのI/Oの定義を備忘録のためメモです。

RA0(AN0) N.C
RA1(AN1) POWER MONITOR
RA2(AN2) AMP1 OUTPUT
RA3(AN3) AMP2 OUTPUT
RA4(AN4) N.C
RA5     Vcc
RA6     N.C
RA7     N.C

RB0     RELAY CONTROL
RB1     LED
RB2     N.C
RB3     N.C
RB4     S2
RB5     S3
RB6     S1
RB7     N.C

ソフトとしては、基本的には下記の機能を持たせる予定。
@スタートアップリレー制御
  電源ON後の2秒(あるいは3・5秒)後にMUTEリレーOFF。
  電源電圧が定常値の75%になった時点でMUTEリレーON。
  時間はS1で設定(既定値は2秒)

A出力オフセットモニタ
  オフセットが2Vを超えた時点でMUTEリレー強制ON。
  あるいは上記機能のOFF。
  機能はS2で設定(既定値はオフセットモニタ機能ON)

こんな感じで組みましょう。

ソフトはそれほど難しくないので、MUTE基板を参照にしてくみ上げました。

まずはお出かけ用の写真!

これからいろいろと基板を追加して組み上げていくので、いまのうちにお出かけ用の写真をとっておきましょう。


お出かけ用の写真です。

どんどん積み上げてきます(笑)。

この基板は基本的にはヘッドホンアンプと電源基板のコンビネーションしたものですが、他の基板サイズと
ネジピッチをあわせているので、いろいろな基板を積み上げていくことができます。
ヘッドホンアンプにはボリューム調整がないので、ここには電子ボリューム基板を載せることにしました。
そして、ソースはDAC2704をつかって、あまりのスペースに電子ボリュームの表示用のLEDも載せました。
そして、電源TYPEーHも搭載しました。この出力はまだ使用していませんが、DAC基板を載せたときの電源
にしようと思っています。

いろいろと他の基板を搭載したヘッドホンアンプ基板です。

まずは試聴!

せかっくここまで組みあがったこともあり、試聴してみましょう!


試聴時の様子です。

試聴! 2013.8.7

構成はお気楽構成に
 PC → DAC2704 → EVC1159 → 一体型HPA →ヘッドホン(オーディオテクニカATW-W10VTG)

です。ちょっとソース部分が16Bitで頼りない感もありますが、
EVC1159の電源は一体型電源の2ndパワーユニットを使用。トランスはパラ取りして使っています。

上記の構成で合唱曲を聴いていますが、アンプユニットの回路構成の特徴がでているのか、
結構スピード間もあっていい感じでなります。まあ、プラシーボ全開ですが(笑)。
なによりいいのは一枚で完結しているので、とてもシンプルな感じがいいです。

やっぱり、このヘッドホンアンプの実力を生かすにはDACを搭載すべきかもしれません。
ちょっと、構成は考えてみよう〜っと。

SP用アンプも試してみましょう!

もともとヘッドホンアンプとして製作しましたが、アンプの回路自体は普通のパワーアンプと同じですから、
SPの駆動もできます。もっとも出力の点では劣りますが、ディスクトップのアンプくらいの出力は出せるでしょう。
ということで、ONKYOのスピーカを接続してみました。
 音量、音質とも問題なく、非常にクリアーな出力です。心配していた放熱板の発熱も大したこともないようです。
通常の音量では、ほとんど1Wも出力がでていないということでしょう。

ディスクトップ用のアンプとしてテスト中です。

ケースに収める前に!

机の上にアンプ基板を展開するとスペースもとるので、早々にケースに収めたいところですが、
なかなか作業に移れないこともあり、机の横のラックに立てかけることにしました(笑)。
こうすれば、スペースはとりません。人に見せられたものではないですが・・・・。
立てかけたというより、結束バンドで吊り下げた感じです。

机の横のラックに立てかけました。

構造改革? 2013.9.8

いまのソースはDAC2704をつかっていますが、尾グレードアップを行っていきましょう!
ソースにはDAC9018Sを使う予定です。
まずは、吊り下げたアンプ基板を取り外して、とりつけていた電子ボリュームとDAC2704を取り外しました。

まずは元の状態に戻しました。

最初にDAC9018Sの出力バッファーとしてのA13アンプ基板を搭載します。写真をとって気づきました、A13基板に1個TRの
つけ忘れがあるのに気づきました。とりつけなくっちゃ!
このA13基板の電源はヘッドホンアンプ基板の2ndパワー電源から正負15V電源をとっています。

最初にA13基板を取り付け。

つぎにDAC9018Sをつりつけです。この電源はヘッドホンアンプ基板にとりつけたTYPE−H基板から電源を供給しています。

次にDAC9018Sを取り付け。そしてDAC2707をとりつけて動作確認です。I2S入力モードで動作させます。

よこからみるとこんな感じです(ハウルの塔?)

だいぶ積みあがりました。

再度完成?

もういちどラックに吊り下げて完成です。

またまた吊り下げました。

音だししましたが、ES9018のクオリティの高さを感じますね。

調子にのって!

さらに最近作ったDUAL JITTER CLEANERをDAC2707とDAC9018Sの間に挟むことにしました。
電源はTYPEーH基板からパラ取りしています。


さらにDUAL JITTER CLEANERをとりつけ!

んん・・・だんだんオブジェみたいになってきたな〜


どんどん積みあがります。

いいのだけど・・・・

音はジッタクリーナ機能を追加して、さらによくなったような気がするのですが・・・・・・
いかんせん、TYPE−H基板の放熱板は相当に熱くなります。
そりゃ、DAC9018SとDUAL JITTER CLEARの2枚に電源供給するとなると、
かなりの電流になりますからね。もちそうだけど、ちょと安全側にたってジッタクリーナははずしましょう。

最終的にはジッタクリーナははずしました。また、背を低くするためにDAC2707は裏側で取り付けました。

まあ、こんな感じでいろいろな基板と組みあわせを楽しんでいます(笑)。

(おしまい)