部品箱整理その1(Dクラスアンプ) 2008.7.20
部品箱の中は、いつもごちゃごちゃしていて、おそらく使わないと思われる半導体やICやリレーなどがが満載です。
そのままゴミ箱に捨てても、たぶん困らないとは思うのですが、なぜか躊躇してします。
思いきって捨てれば、少しでも部屋が広く使えるのですが、
まあ、これは電子工作をする人の共通の悩みなんじゃないかな、
と勝手に想像してしまいます。
今回、部品箱になにがあるか調べていたら、こんなICがみつかりました。
たぶん秋月で買ったものだと思いますが、説明書が無かったので型番から探してみました。
まず2001D1とあります。メーカマークからTI社ですね。
こんなICがみつかった。
ネットとでくぐればすぐにでてきました。TIの1W DクラスアンプTPA2001D1というものらしいです。
そういえば、買った記憶がよみがえりました。
このサイズで8Ωのスピーカで1W出力が出せるので大したものです。
ちょっと、音質にも興味がわいてきたので作ってみることにしました。
回路はデータシートにあるものをそのままつかいましょう。外付け部品は発振用のCRならびにカップリング用のC
程度でそれほど多いものではありません。ただしIC自体がTSSOPパッケージ(0.65mmピッチ)なので変換基板が必要です。
組み立てみよう!
アンプを鳴らすには音源も必要ですが、こういったときにUSB-AUDIOが簡単な音源として使えます。
以前つくった1枚がどこかにしまってあるはずなのですが、どうも見あたりません(それこそ、どこかの部品箱
の中で眠っているはずなのですが・・・)。仕方なく、予備でとってあった基板で組み立てることにしました。
音源用のUSB−AUDIOととSSOPの変換基板など
目が・・・・
なんか最近、急に細かいものが見えにくくなってきた感じがします。ちょっと前まではSSOPパッケージでも
肉眼で半田付けのチェックができたのですが、最近ではルーぺが必須です。それでもちょっと心配なときは
最後の確認としてはディジカメのマクロで撮って確認します。最近のディジカメは画素数も多いのでかなりの
分解能で見えます(レンズの性能もあわせてよくなっているますね)。
P24,25の間で怪しいブリッジを発見! こちらは大丈夫。でも上下がちょっとずれています。
完成!
まずはUSB-AUDIOから。カップリングコンデンサは手元にあったセラミック(10uF)をつかいました。
こちらはアンプ基板。ユニバーサル基板の蛇の目の部分をうまくつかって組み立てます。
パスコン用のチップセラミックは空中配線になってしまってますが、これはご愛敬。
部品面側 半田面側
鳴らしてみよう!
USB-AUDIOとアンプ、そしてSPを接続して鳴らしてみました。音源はPCのHDDに入っていたPoulencの合唱曲
をつかってみました。
ちょっと音量が小さいようです。最初の設定はGAIN=6dBにしていましたが、変更して23.5dBにしました。
これで十分な音量です。しかし、ボリュームを最大にするとちょっと音が割れてしまいます。
十分といってもうるさいほどの音ではないレベルで音が割れるということは、なにが原因だろう?
1Wもあればうるさいくらいでなりそうなものですが、ひょっとしてUSBでの電源供給が追いついていないのかな?
まあ、そのあたりはあとで調べて見ましょう。
音質は
これは意外とクリアーでいいです。ノイズもほとんど聞こえません。
案外つかえるかも。
SPにつないで試聴の様子
出力波形をみてみよう
スピーカの出力端子からにオシロをつないで波形を観測してみました。
やっぱりDクラスアンプであることがはっきりわかります。普通のアンプだとギザギザのレベルの違う波が見えますが、
このアンプの出力は正負5Vのパルス状の出力になっています。変調周波数は250kHzくらいでしょうか。
音のレベル(振幅)はパルスの幅で変えられています。
これで音楽が鳴るのは、頭で理解できても、なんとなく奇妙な感じもします。
通常音楽再生時 通常音楽再生時(時間軸拡大) パルス幅が変わっています。
(1kHz正弦波)
音割れの原因は?
一つは単純にIC自体の出力オーバでしょうが、ひょっとして電源ラインのインピーダンスが高いかもしれません。
ということで、大きめのコンデンサを搭載してみました。10V2200uFのものです。
パスコンを追加で搭載
アンプの電源ラインを監視してみると、パスコンがないと400mV程度の電圧低下がありますが、
パスコンを入れると200mV以下に収まっています。Dクラスアンプでは電源変動がもろに音質に響きますから
これが音割れの原因になっているかもしれません。実際、パスコンを追加すことで音割れというか歪みは
小さくなったような感じです。
本来ならこんな簡単なアンプといえどもUSBから電源をとるのではなく、もっとしっかりとしたトランスなどの
電源から取り出して、かつ定電圧回路を通す必要があるかもしれません。
しかし、そこまでするなら、こんな簡単なDクラスアンプとは完全にアンバランスです。
やっぱりこの手のアンプは超簡単・小型につくってなんぼのものですからね。
パスコンを入れる前の電源電圧変動 パスコン(2200uF)を入れたあとの電源電圧変動
今回の実験では、こんな小さいアンプでsも割としっかりした音がでることが確認できたことが収穫です。
(これからどうしよう?)