ADC(Analogue to Digital Convertor) の巻!

いつもDACばかり作っていますが、音の入り口をディジタルにするものが前から興味があって、今回ADCを作ってみました。
私の音楽ソースとしてBGMかわりにTUNERが結構多いのですが、この信号をDIGITALにしておけば、
信号切り替えはDAC側でできますし、将来的にはフルディジタル化もできそうです。
試作した回路はBB社のデータシートそのままです。
うまくいけば配布もしたいと思っていますが、タカさんの二番煎じになっちゃうので了解はいただきました。


基板設計!
基本構成はADCに24BitのPCM1804を使いDIT4192でSPDIFに変換してパルストランスで送り出します。
クロック発振にはPLL1707をつかいました。
電源は正負12〜15V電源のみをつかい、そこからレギュレータで分圧して5Vをつくっています。
3.3Vはさらに5Vから分圧しています。そのため5Vのレギュレータには結構な電流が流れるので放熱板をとりつけました。
いろいろなモードに変更できるようにジャンパを設けています。
デフォルトは384fs、PCM、IISです。
 

 今回の基板はたまたま(2005年)5月初旬に発注した試作基板に、もぐり込ませることができました。
一度発注してしまった基板データでクリアランス不足があって、メーカからデータを修正して送ってほしい連絡があったので
面付けも修正してこの基板がめでたく試作の運びとなりました。

試作基板完成

サイズは104×81mmで最近のNOSDAC2とかに比べると小さく感じます。
サイズの割には部品点数が結構あります。




一気に組み立て!
部品をあらかじめそろえてあれば、1時間弱で完成します。


動作確認!
入力には発振器を取り付けて、出力はDACに接続し動作確認しました。
問題なく動き、とりあえず完成!音質の評価はどうしようかな?
DACの出力をADCに入れて、再度DACで変換することになりそうです。



音質評価!

必要なのはアナログ信号なのですが、完成したてのNOSDAC2-LITEの信号を入れました。
DAC(中央)の右側にADCがうつっています。このケース自体の役割は、

    ディジタル入力→DA変換→AD変換→ディジタル出力

ということになります。




実装した状態(適当にとりつけています)。

そして、このディジタル出力をDAC1704-4Dにつないで音質の劣化を評価しました。
DAC側のSWで入力を瞬時に切り替えて聴き比べるわけです(レベル差がボリュームで2目盛りほどあるので(素通しの方が音が大きい)、DAC1704-4Dの方が優位だな〜)。

で、結果からいうと音の広がりが少し狭くなる感じがあります。ブラインドで判るかどうかは自信ありませんが切り替えた直後の比較での印象です。ただADCの特性かNOSDAC2-LITEの特性かの切り分けはできません。
やっぱレベル合わさなくっちゃ。まあ、実用上は問題ないですね。小生のようにTUNERをソースに使う場合にはまったくもってOKです。

私が気にするのはノイズですが、ボリュームを最大にして比較しました。DAC1704-4D素通しではノイズはありませんが、ADCを通すと僅かにヒスノイズが乗りますが、これも問題にならないレベルのようです。ADCの入力を短絡してやればノイズは減りますが、無くなるわけではないのでADC内でもノイズが出ているようです。気を付けなければいけないのがディジタル線のとりまわしです。テストではいいかげな配線で同軸線がADCの入力オペアンプの直近を通っていましたが、このとき混変調ノイズがでてしまいました。線を離すと消えます。やはり、この辺りは実装に注意が必要です(線もツイストにする等の心配りも必要でしょう。今回はGND-信号は単なる平行線です)。

96kHz/24Bit!
折角このADCをつかうなら、96kHz24Bitにしたいです。というわけで、ジャンパ設定をどうすれば変わるか整理してみました。
数個のジャンパーで変更可能です。実際に96kHzにしてDAC1704に入力してみましたが、動作は問題ありません。
でも24BItデータで送られているのかな?あ、音質評価を忘れている・・・・という今頃はまたバラバラに分解されて・・・・・



とりあえず専用のケースにいれよう!

弁当箱シャーシに格納されてしましました。でも、これで評価はやりやすいです。


96kHzの出力波形

同軸出力の波形をみて見ました。

まず出力に何もつながずに調べてみます。
振幅で8Vp-pくらいでています。
それにしてもパルストランスの巻き数が多かったのか結構なオーバシュートがでています。

  出力解放時:2V/div,50ns/Div オーバーシュートが見える。

次に出力をNOSDACにつないでみました。NOSDACは75Ωの抵抗で受けています。
気になるのはゼロV近傍での信号変化です。なんでしょう?トランスの巻き線が多くて、
何か共振しているのかな?ケーブルでの反射かな?
でも、問題なく動いているんですよね。結構NOSDAC(TC9245)のノイズ耐性は強いようです。
しかしTC9245って48kHzまでのはずなんだけど、平気で96kHzにロックします。

 NOSDAC接続時:0.5V/div,50ns/Div GND付近の信号は?

こういう場合の対処はダンピングのために抵抗を入れると良さそうなので75Ωの抵抗を直列にはさんでみました。
ゼロV付近の信号はだいぶ小さくなりましたが、まだ見えます。

 出力に75Ω抵抗をシリーズに接続
NOSDAC接続 0.5V/div,50ns/Div
 GND付近の信号はだいぶ小さくなりました。

もう少し抵抗の値を上げてみることにしました。270Ωを接続しています。
これで綺麗な信号になりました。精神面でもこのくらいなら安心できます。

 出力に270Ω抵抗をシリーズに接続
NOSDAC接続 0.5V/div,50ns/Div
 綺麗な波形になりました。

今回使ったパルストランスは素性の知れない適当なフェライトリングに導線を10回巻きしたものですが、
これがいけなかったのかもしれません。それにマニュアルでは1次と2次の巻き線数比は2:1になっているけど、
おかまいなしに1:1で巻いたのも悪かったかもしれません。今度はフェライトを変えてやって見よう!

  
 最初に取り付けたトランス(素性不明)            次に試したトランス(実はこれも素性不明)


試したトランスの効果は?

同様にダンピングの抵抗が無いと、ゼロV付近に変な信号がでます。

 NOSDAC接続時:0.5V/div,50ns/Div

ダンピングの抵抗を入れると綺麗に収まりました。
先ほどのトランスに比べても幾分、波形が綺麗(線が細い)です。

出力に270Ω抵抗をシリーズに接続
NOSDAC接続 0.5V/div,50ns/Div

むむむ・・・トランスを変更してもあまり効果は無かったようです。
ダンピング抵抗が挿入出来るようなパターンに変更した方がよさそうですが、部品面には配置する場所がありません。
基板にあえて取り付ける必要もないのですが、配線をスッキリさせたい場合も考えて裏面(半田面)に取り付けられる
工夫をしておきましょう。でも、素性のハッキリとしたトランス(フェライトリング)なら、問題ないのかな〜?

恐らくの原因は
たぶんトランシーバ(DIT4192)のドライブ能力の問題かもしれません。
そもそもSPDIF信号は0.5Vp-pですが、上のオシロの波形を見れば1Vp-p以上あります。
出力機器につないだときに0.5Vp-pを確保できるだけのドライバーだとしたら、これらの出力はオーバなんですよね。
やはりマニュアル通りトランスの巻き線比は2:1にした方がよさそうです。
でも、もうめんどくさくなってきたので、出力に270Ωの抵抗を入れてお終いにしてしまいます!

(つづく)