TAA4100を試してみる、の巻き 2016.4.7

秋月電子のHPをみていて気になるICがありました。
Tクラスアンプらしいです。


で、おもむろに購入です。
 
裏面の金色は何めっきかな?銅めっきかな?


ちょっと扱いにくいのが千鳥配置のピンです。


手前のピンをすこしペンチでずらしていきます。



ユニバーサル基板に刺さりました。

周辺部品を取り付けていきましょう!

とりあえず1チャンネル分だけとりつけました。

併せてパターンも考えていきましょう。2016.4.9

基板に必要になりそうな部品を乗せて密度感をみてみましょう。
ICを基板の長辺側にとりつけるか、短辺側にとりつけるかで雰囲気がかわってきます。

長辺側にICを取り付けてみました。



短辺側にICを取り付けてみました。

雰囲気的には長辺側にとりつけたほうがいいかな、という感じがしますね。

基板はこんな形です。 2016.4.12
こんな感じでしょうか。
電源ON時のポップノイズ低減のためのSLEEP/MUTE制御のためにPICを搭載です。
あわせて外部MUTE用リレーの出力端子もつけてみました。
電源OFF時対応のため電源ライン電圧監視も行います。
あとはL,CともSMDがつかえるようにしてみました。

基本はすべて秋月で集められそうな部品を想定しています(笑)。


色々と考えながら描いてみました。

そういえば、

ユニバーサル基板に組み込んだTAA4100もあるので動かしてみましょう!

結構な発熱もあるようなので、放熱用の両面テープで放熱板を取り付けました。


とりあえず手元にあったスピーカに接続です。

問題なく動き出しました。
一応波形をみておきましょう。
T-Classだとキャリア周波数が乗っているのがわかります。一方B-Classモードだと波形は綺麗ですね。
どちらでも動かせるのがこのICの面白いところです。
  
T-CLASS モードで動作             B−CLASSモードで動作

消費電流を調べてみました。
まず電源電圧は15に設定します。


AMモードだと0.25Aです。

AMモード。

T−CLAAAモードだと0.22A

T−CLASSSモード

T−CLASSでも意外で電流を消費するんですね。というかBクラスのAMモードも多いいな〜。
たぶん内部の処理で色々と消費するのでしょう。
電源電圧15Vで0.2A以上ですから、無負荷の定常状態でも3Wの消費電力です。
こりゃ、放熱板の設置は必須ですね。T−CLASSだったら省略できるかな〜と思っていましたが、
考えが甘かったようです。

フィルタの効果は?

試作基板ではインダクター15uHとコンデンサ0.33uFの2次のLPFを構成していますが、
どのくらい効果があるのか調べてみました。
もともとのキャリア周波数は約580kHzで約20Vの振幅があります。

元信号は矩形波で40V(580kHz)


フィルターを通すと400mVになっています。約1/50になっていますね。
減衰率で34dBです。

フィルター後は400mVです。


一応SPICEで計算してみました。



計算値は36dBくらい。

SPICEの結果も36dBくらいなのでほぼ合っていますね。

4次にするともっと減衰できそうですが、基板上には乗らないだろうな〜。

大丈夫かな? 2016.4.14

ダイオードを表面実装に限定し、インダクターのサイズも限定すれば4次のローパスフィルーターとなる
基板もできそうです。
大出力を可能にする1枚と、小出力だけど滑らか出力の1枚のコンビかな〜。



ちなみに4次のフィルターにすると定数はこんな感じかな?



減衰率は60dB以上になりますから、キャリアはかなり取り除けます。

いちど基板をつくってみましょう!

基板を試作してみましょう。 2016.4.17

電源用に超シンプルな定電圧基板もつくりましょう。ツエナーを使用した3段ダーリントン構成です。
終段のパワトラは外付けを想定しています。


こんな感じの超シンプルな定電圧電源もあせて作ってみましょう。

基板がとどきました。 2016.4.25


2種類のTAA4100用の基板がとどきました。


ICのピンとぴったし合うことを確認しました。


連休は帰省するので、どこまでできるかな〜。

できるとこまで 

懇親会帰りで朦朧としてますが(笑)、基板を前にすると無性に部品を実装してみたくなりました。
ということで、どんどん乗せていきましょう。

まずはTAA4100以外を乗せてみました。


一応お出かけの写真です。



放熱板を放熱シールでとりつけました。


放熱板と基板とのクリアランスです。

ついでに

もう一枚のLPFが4次のタイプも組み立てましょう。インダクターを搭載してみました。

4次のLPFをもつタイプもくみたてましょう!

LPFにつかうコンデンサを一部、チャンネルで変更してみました。
初段のコンデンサは左側に0.47uF、右側を0.22uFにしています。
左側のコンデンサのほうが容量は大きいですが、サイズは小さいです。

4次タイプのアンプ基板も完成しました。

PICのプログラム 2016.4.27

動作にはPICが必要なので、そのプログラムを書きましょう。
プログラムは基本は電源ON/OFF時のMUTE制御です。
備忘録代わりですが、PICのピンアサインです。

VDD VSS
P5 Pin9 MUTEB(Active Low) P0 電源監視(AN0)
P4 外部リレー出力 P1 Pin6 SLEEPB(Active Low)
P3 VDD P2 PIn7 AM(Active High) ClassT=LOW


動作シーケンスは下記の通りです。
初期状態
 MUTEB=SLEEPB=外部リレー出力=LOW

電源ON時
 1秒後にSLEEPB=HIGH
 2秒後にMUTEB=HIGH
 3秒後に外部リレー出力=HIGH
とします。

電源OFF時
 即時 MUTEB=LOW
 その後(すぐに) SLEEPB=LOW、外部リレー出力=LOW

です。さて、早速プログラムを書き込んで動作確認といきましょう。

動作確認中

まずは、電源とスピーカを接続して動作確認です。
入力には発振器を接続です。
電源をいれるときは緊張の一瞬ですが、
無事音がでることを確認しました。

こんな感じで接続して動作確認中です。

電源は

無負荷時の電源電圧を測ってみました。
電圧は実験電源の最大電圧の19Vに設定しています。
このときの電流は約0.2Aです。消費電力で約4Wですね。
 
無負荷時時の電源電圧

波形は

LPFの回路は15uHのコイルと0.1uFのコンデンサなので、カットオフ周波数は高めです。
本来はコンデンサは0.33uF程度はほしかったのですが、おもわず手持ちで横着しました。
ということで、結構キャリア周波数が乗っていますが、
これはクラスDとしては当然なのでしょう。数100kHzですから聞こえませんしね。


波形を見るとキャリアが乗っています。

4次LPFの基板はどうでしょうか

つぎに4次のLPFを持つ基板で動作確認していきましょう。
基本的に出力のフィルタ部分のパターンが違うだけなので、動作は問題ないでしょう。
予想通り、問題なく動きだしました。


4次のLPF基板の動作確認です。

消費電流はやや多目のようです。おそらくフィルタ部分で消費されている電力が大きいのでしょう。


消費電力はやや多めです。

波形は

波形はやはり4次だけあってキャリアが大きく取り除かれています。


4次フィルタはやはり綺麗です。

フィルターを2次にするか4次にするかは用途で変わるのでしょうね。
2次フィルターの場合だと、大きなコイル(インダクター)が搭載できるので大出力に対応できます。
4次フィルターの場合だが、コイルは小さ目になるので相対的に出力は押さえ気味にならざるをえません。
それに音はどうちがうかな?

つづいて

電源基板も作ってみましょう。

電源基板(TYPE-L)です。コンデンサはリードタイプとスナップタイプの両方に対応しています。


スナップタイプのブロックコンデンサを搭載してみました。


こんな感じで搭載します。

まずは

電源基板が完成です。

お出かけ用の写真です。

出力段のトランジスタにはなにをつかおうかと部品箱をゴソゴソさがしていたら、ちょうどよさそうなものがありました。
サンケンのパワトラです。Ic=12Aあるのでちょうどいいでしょう。
 
出力段に用いたトランジスタ。

動作確認のために小さいですが放熱板ととりつけて基板と接続しました。


これで電源基板の動作確認ができます。


ツエナーは3本直列です。

ツエナーは3本直列できるようにしていますが、今回は5Vのものを3つ使用しました。
ということで15V基準電源ですが、3段ダーリントンなので電圧降下が0.6×3=1.8Vくらいはります。
ということで最終の電圧は13.2Vくらいになるはずです。

では、動作確認をしてみましょう。

電源をつないでチェックしてみましょう。

簡単に直流電源をつないでチェックです。

入力電圧が19Vに対して、出力は13.06Vでした。
一応予定していた電圧がでています。

 
入力電圧                出力電圧

でも、TAA4100の標準電圧が14.4Vなのでもう少し高いほうがいいな〜とおもい、
さらに部品箱を探しました。ん〜適当なものがないな〜。とりあえずこのままで使っていきましょう。

AMモードで動かしてみましょう

基板の裏にはT-ClassモードとAMモードを切り替えるためのジャンパーパッドを設けてみました。
TAA4100を活かすにはT-Classでの使用が基本でしょうが、小出力ならAMモード(Bクラス)もありかもです。
AMモードならインダクターもいらないですしね。

ではAMモードに変更しましょう。

 
(1)これがデフォルトの状態。T−Classモードです。        (2)T-Classのジャンパー部分を切断します。


(3)AM側のパッドを半田でジャンパーです。これでAMモードになります。

やはり
AMモードだと波形は綺麗ですね。当然のことながらキャリアーは乗りません。


AMモードで動作中です。

もとに戻して
再度T-Classに戻しておきましょう。

T-Classに戻しました。


波形にはキャリアが載っています(2次LPF版です)。


まずは鳴らしてみましょう2016.5.5
まずは電源から組み立てです。手元にあったトロイダルトランスを接続します。


まずはトランスを接続して電源を用意しましょう。

トランスの出力は18Vです。115V品なのでもう少し電圧は低くなりますが、
整流後には20Vをすこし超えるくらいの電圧が得られそうなのでこれで十分です。
出力も1.4Aの倍ですから3A近くは得られます。


トランスの出力は18Vです。

まずは小型のスピーカを接続して鳴らしてみました。
あたりまえですが、問題なく音がでます。いや、想像以上にいい感じです。
ディジタルアンプってあまり聞いたことがないので、あまりいい印象を持っていませんでしたが、
なかなかいいかもしれません。こりゃ本格的に鳴らしてみましょう。


意外といいかも!

試聴!

おもむろに小型ですが、スピーカを持ち込んで全体を結線です。
ソースにはFFDAC1795をつかいました。ちょうど、これにはボリュームコントロールがついているので、
パワーアンプ直結には都合がいいです。


こんな感じで試聴用に接続してみました。

まずはPA4100-4thからです。4次のLPFを搭載したアンプ基板です。
まずはDACの電源を入れ、それからアンプ基板の電源をONします。
約2秒後に音が出始めます。そしてDACのボリュームを徐々にアップです。
いや〜ほんとに普通になります。というか、これだけのシンプルな回路で
これだけ鳴れば上等ですね。
ほんとお気楽なアンプにはもってこいかもしれません。


まずはPA4100-4thから鳴らしてみました。

一通り曲をかけたあとは、次にPA4100に乗せ換えです。こちらは2次のLPF構成です。
最初鳴らしたときは、PA4100-4thに比べて、なんとなく音の抜けがいいような・・??
おそらく、単なる、LPFの次数とインダクターの見た目によるプラシーボ99%でしょう。

どっちもいいな〜が結論かな。でも、部品点数の少なさではPA4100が有利かも。



次はPA4100から鳴らしてみました。

暖かい

BGM代わりに2時間程度試聴を続けましたが、放熱板は電源、アンプともわずかに暖かい程度です。
常用出力なら、この程度の放熱板で十分かもしれません。

さて、使っていて少し不便なところがありました。それは電源OFF時です。
というのも電源OFFを行うと、PICで電源電圧を監視しているので素早く出力が
OFFになるのはいいのですが、出力がOFF(MUTE)になると同時にアンプ基板の消費電流が
激減します。すると、電源基板の電圧がなかなか下がりません。このときPICはすでに
SLEEP状態なので、再起動するためには一旦電源を落とす必要があります。ということで、
次にアンプを再起動するには少し時間が必要になってしまいます。これは、電源基板に
搭載するコンデンサの容量が大きくなるほど、時間は長くなることになります。
 さて、これを改善するためには、電源基板には常に100mA程度の電流が流れるように抵抗
を接続するのが簡単です。でも、無駄に消費電力を増やしてしまいます。折角のディジタル
アンプの効率の良さが・・・・・とここで自己矛盾に気づきました(笑)。ディジタルアンプの
電源なんかに、効率の悪いシリーズ電源なんか使うなよ〜という声が/(^^;)。
ディジタルアンプにはスイッチング電源が本来はマッチするんでしょう。
ん〜、矛盾をはらみますが趣味の世界ですから無視無視です。
簡単には抵抗を接続するのがいいでしょう。抵抗値としては100オームくらいがいいでしょう。
130mA程度の電流が流さるので、3W以上のセメント抵抗が必要です。
あ、そうだ!
エコにこだわるなら、電源スイッチに連動させて、抵抗に電流が流れるようにすれば
いいんだ!すなわち電源OFF時に抵抗に電流が流れるようにすればいいわけですね。

ソフト修正 2016.5.7

電源OFF時のシーケンスとしてMUTEだけでなくSLEEPもかけていましたが、
MUTEだけにすることにしました。こうすれば、電源OFF後にもICが約100mA以上の電流を消費しつづけるので、
はやくコンデンサのチャージを抜くのに役立ちそうです。

リリース用に

オプションパーツとして、インダクターも用意しました。
手持ち分なので、それほど数はありませんが・・・・いづれも秋月で購入した方が安いです(^^;)
青色のインダクターはTDKの15uH(φ11.2mm)です。

(つづく?)