1794復権はなるか? の巻き 2012.6.2

なんとなくES9018Sが最高のDACのような雰囲気があるのだが、わがシステムでは
いまだにPCM1794,PCM1704が健在です。単にDAC9018Dなどがケースに収まっていないだけなの
かもしれませんが・・・・
 そんななか、いつも写真館に投稿いただいているMatsukataさんブログ(http://blogs.yahoo.co.jp/matsu_kat)
に少し寂しい見出しが・・・・
さらば1794 かあ〜。

PCM1794は純粋な電流出力のデルタシグマDACで、その基本性能も優れたものです。
ES9018Sに比べても安いし・・・。
でも、最近では入力はPCMやDSDを備えることが多くなったことから、とくにDSDにも対応した1794版
を聴いてみたくなりました。単にDSD入力でつかうだけでなく、クロック周りもジッタクリーナなどで
強化したものにすればES9018S同様、すばらしいDACになるのではと期待しています。
というのもES9018S自体も内部にジッタリダクション機能があるから、その性能を発揮しているのだと
想像できますからね!

まずはDSD1794を購入!

DSD入力ができる1794は型番がDSD1794(TI社)です。DSD1794はPCM入力もできますから、
どちらかといえばPCM1794の上位バージョンみたいな位置づけでしょうか。
まずは1つ、ディジキーで買ってみましょう。

あれれ?
さっそく届きましたが、パーツ袋をみてあれれ?です。型番は正しいのですが、
説明があっていません。16BitのADC?それも16QFP?
中身が違っていたらどうしよう・・・・

おかしな説明です。


中身は大丈夫でした。28PのSSOPです。

中身は大丈夫です。

さっそく変換基板にとりつけました。それにしてもも、最近は0.5mmピッチの半田付けに鳴れてくると
0.65mmが余裕でこなせるようになってきました。世の中の最小ピッチは0.3mmくらいかな?しかし
そこまでいくと、手半田なんかは無理だろうな〜。

変換基板にとりつけて実験開始!

まずは必要なICをブレッドボードに搭載して動作確認です。
上からPLL発信器、DSD1794そしてコントロール用のPICです。
DSD1794にはシステムクロックが必要ですから、PLLのMAX9485をつかって生成することにします。


まずは必要なICを並べて動作確認です。

久しぶりの作業再開です。

さて、変換基板のアップも少し撮っておきましょう。変換基板にのったICは今後ともよく使う可能性があるので、
MAX9548基板には必要なクリスタルとパスコンならびに共通のGNDを施しています。

PLL(MAX9548)の変換基板の部品の実装の様子。

とりあえず、

最初は入力にFFASRCなどのPCM信号を入れようかと思っていましたが、結構接続が面倒そうなので、
CS8416を同じブレッドボードに搭載してSPDIIF入力にすることにしました。ただし、CS8416のPCM信号を
DSD1794に入力することにします。


CS8416の変換基板にも必要な部品をあらかじめ搭載しています。

ロックしないな・・・・

PCM信号のDATA,LRCK、BCKはCS8416から供給し、システムクロックはPLLから供給しています。
すなわちシステムクロックはBCKに対して非同期になっています。
そのためか、アナログ信号に乱れが生じています。非同期だといけないのかな?

BCKとシステムクロックが非同期のため出力信号に乱れが・・・

マニュアルを読むとこんな記述があります。

LRCKとシステムクロックの関係が6BCK以上動くといけないらしいです。
よくわかんないな〜。

とりあえず、PLLは外部電圧により周波数を微調整することができる機能があるので
VRを増設することにしました。

周波数の微調整のためVRを搭載


ボリュームを動かすと周波数は11.289-11.291MHzの間で調整することができるようです。
 
f=11.291MHz                        f=11.289MHz

ちなみにBCKは2.8228MHzです。このちょうど4倍になればいいので、
VRの調整範囲内に収まるかもしれません。

BCKは2.8228MHz

やっぱりだめだな〜

なんとなく、信号が収まるところもありますが全然安定しません。
やっぱり非同期のシステムクロックはやめておいたほうがよさそうです。

CS8416からしステムクロックを供給すると

こちらはあっさり安定して動きました。やはり、同期信号を加える必要があります。

BCKとシステムクロックが同期すると出力信号も安定しています。

BCKと同期したシステムクロックを得るなら・・・・

やっぱりこのICの登場になります。DAC9018DやDAC9018SのアドオンにつかったICS570です。
ピン数を少ないICですが、機能も多くて使いやすい素子です。

BCK逓倍にICS570を使用しました。

これをつかえば、信号もあっさり安定化しました。

いきなりアートワーク 2012.6.30

DSDも動作することが確認できたので、ワートワークへとかかりましょう。
久しぶりの作業再開です。
 まず、DACの構成としては

 入力: SPDIF,PCM、DSD の3種入力
 出力: DSD1794のモノラルパラ出力(シングルパラでも可)
 システムクロック: BCKの逓倍+ジッタクリーニング

としてみましょう。注意する点は、BCKをベースにシステムクロックを作る場合、
BCKに入力がなければDSD1794が動作することができません。そのため、
BCKに入力がないと判断したらCS8416のシステムクロックを仮に供給すること
にします。こうすれば、ハングアップを避けることができます。

DAC基板の構成です。

まずは、基板に必要になりそうな部品を載せてみました。
DAC9018Dに比べると、シフトパラDSD機能を搭載していないのと、1.2Vレギュレータがない分、
部品点数は少なめです。その分、電源ラインのパスコンについては強化できるようにしましょう。

まずは部品を配置してみました。まだまた途上です。

ひさしぶり作業再開 2012.7.15

パターン検討中です。



コードネームはDAC1794-6! 2012.7.16

必要なシルクの描画等はこれからですが、なんとか部品が1枚の基板に収まりそうです。
来週くらいで、パターンチェックをして試作にかけてみたいです。



ようやくアートワーク完成 2012.8.4

時間かかりましたが、ようやく完成です。動くかどうかは別ですが・・・(笑)。
しかし、最近は忙しいな〜。
半田面と部品面を特大表示です。




夏休みの工作ネタ到着! 2012.8.11

試作製作に出していた基板が到着しました。

部品面


半田面

早速組み立てていきましょう。必要な表面実装部品を部品箱をごそごそと漁って調達します。
ロジックICなんかは、適当に買ったりするので部品箱に一杯ありますが、いざというときに必要な
ものが出てくるので便利です。でも、大半は肥やしになるんだろうな〜。


金属トレイに必要なSMDをそろえました。

まずは表面実装部品をとりつけます。これらはピン間隔が狭いものが多いので、注意してとりつけます。
とくに細かいところはルーぺでの確認に加えてディジカメでもとっておきます。

SMDがとりつきました。


一番細かい半田付けはジッタクリーナ周辺なので、念のためディジカメで撮って半田の状態を確認しておきます。

あとは普通のRC等を搭載して完成です。
お出かけ用の写真もついでに撮っておきましょう。


お出かけ用の写真です。


左チャンネルのDAC部分


右チャンネルのDAC部分


ディジタル入力部分


ジッタクリーナおよびマイコン周辺

動作チェック!2012.8.18

基板も組みあがったことなので動作チェックにはいりましょう。
まずは液晶を接続してPICマイコン周辺の動作チェックです。液晶はいつもは5V動作品をつかいますが、
今回は3.3V品をつかいました。そうすれば、基板への供給電圧は3.3Vのみですみます。
DSD1794のアナログ部電源は5Vですが、3.3Vでも動作には支障ありません(出力が低くなりますが)。
チェックは3.3Vで行っておいて、実際の音だし時には5Vにすればいいでしょう。

まずは液晶動作のチェックから。問題なく動き出しました。

液晶が動くことを確認して、つぎはSPDIF入力からチェックです。これも問題なく動作しました。
つづけてPCM入力チェックです。DAIにSimpleDAIを接続してチェックです。
問題ないようです。ちなみにチェックには出力端子での波形をオシロでチェックしています。
実際の音だしはもう少しあとからです。

PCM入力でのチェック。これも問題なしのようです。

最後はDSD入力のチェックです。DSD出力にはUSB−AUDIOをつかっています。
こちらも問題ないようです。


DSD入力でのチェック


あとはジッタクリーナの動作確認もありますが、こちらも問題ないようです。
というわけで、基幹部分の動作は問題ないようです。
これから本格的にソフトを組んでいきましょう!

ソフトの仕様は

いつものように液晶表示器が不要なシンプルファンクションモードと、
多種な設定が変更ができるフルファンクションモードの2つにしましょう。
仕様としてはこんな感じでしょうか。

1.シンプルファンクションモード(JP1=ショート)

入力切替 ・P22〜24
 SPDIF1〜4
 PCM(I2S)
 PCM(RJ)
 DSD
 USB−AUDIO(PCM,DSD自動判定)
フィルタ切替え ・P21
 FAST/SLOW ROLL OFF
システムクロック ・P20
 ジッタクリーナON/OFF
 (周波数はBCKの逓倍設定)
ジッタクリーナ
時定数
・JP2
 High/Lowest


2.フルファンクションモード(JP1=オープン)


メニュー設定
 
キー定義
・P21〜24
 項目UP/DOWN
 パラUP/DOWN
入力切替 SPDIF1〜4、PCM,DSD、USB-AUDIO
入力フォーマット PCM入力時
 ・I2S(16,24)、RJ(16,20,24Bits),、LJ
フィルター切り替え FAST/SLOW ROLL OFF
DeEmphasis OFF,48,44.1,32kHz
出力位相 Normal/Inverted
ΔΣオーバサンプリング 64,32,128Times
システムクロック ・コネクタ入力クロック
・BCK逓倍
・BCK逓倍+ジッタクリーナ
ジッタクリーナ時定数 Lowest,Low.Mid,High


ソフト制作開始! 2012.8.25

ソフト作成にあたっては、操作スイッチも必要なのでそれらをとりつけました。

操作スイッチの取り付け

ソフトは基本的には必要な機能を盛り込むだけなのですが、DSD1794は少し気をつけるところがあります。
というのもDSD1794にシステムクロックが供給されていないと、I2C通信ができません。
すなわち、入力信号がないと何も動かないことになります。そのため、入力信号の有無を検知(具体的には
BCK信号をセンサ)して、入力がない場合はDSD1794をアクセスしないようにします。
しかし、パラメータ設定等は随時できるようにしないといけないので、パラーメータを変更した場合は、
DSD1794が動作を開始したのに、まとめてパラメータデータを送信するようにしないといけません。
このあたりがすこしややこしいです。

でも、ソフトの作成ってパズルみたいで面白いです。


いつもの雰囲気の表示です。

大枠は完成です。

組み入れた機能はこんな感じです。まずはフルファンクションモードです。

画面 説明(パラメータ)
Front
page


フロントページ

入力表示
 SPDIF1〜4
 PCM-IN
 DSD-IN
 USB-AUDIO

電子ボリューム
入力周波数

マスタークロック
 PORT-SC コネクター入力
 MULT-SC BCK逓倍
 MULT-JC BCK逓倍+ジッタクリーナ
M01 ディジタルフィルター切り替え

Sharp Roll off
Slow Roll off
M02

SPDIF入力時マスタークロック設定

DIRECT IN コネクター入力
BCK MULTPLY BCK逓倍
BCK MULT+JC BCK逓倍+ジッタクリーナ
M03 PCM入力時マスタークロック設定
M04 DSD入力時マスタークロック設定
M05 ジッタクリーナバンド幅設定

LOWEST
LOW
MID
HIGH,
IGHEST
M06 PCM入力フォーマット

16,20,24Bit 右詰
24Bit 左詰め
16,24Bit I2S
M07 出力位相設定

Normal output 通常位相
Inverted output 反転
M08 オーバサンプリング設定
32,64,128times fs
M09 De-Emphasis 周波数設定
Disabled
32,44.1,48kHz
M10 De-Emphasis 制御
Disabled, Enabled
M11 入力周波数表示

試聴しながらのソフト仕上げ

ソフトの動作確認には、オシロで出力をみながらすればいいのですが、実際の使用感を考えてソフトを仕上げる
必要があります。たとえば、入力切替した場合にでも未入力端子を選択したときに不要なノイズがでないように
MUTE機能をかけたりする必要があります。
そのため、最終的には音がでるようにしながら仕上げていきます。

ということで、音がでるように組み上げましょう。

IVアンプ+差動アンプという構成が標準的ではありますが、今回はすこしシンプルに攻めてみましょう。
構成としてはパッシブIV+差動パワーアンプです。

IV抵抗はDAC基板側に接続して、抵抗のリード線をつかってそのままアンプに接続します。

DACに搭載したIV用の抵抗(47Ω)

差動アンプにはRenewA12をつかいました。これならヘッドホンなら楽々駆動できます。
すでに組んであったRenewA12を差動アンプに改造してつかいました。

DAC基板出力とRenewA12基板入力はほとんど同じ位置なので、簡単に接続できました。たまたまですが(笑)。

DAC基板とRenewA12を接続。

さて、これで試聴環境は整いました。


試聴の準備完了です。


久しぶりに

木住野佳子さんのピアノジャズから選んで聞いていますが、ひさしぶりの1794サウンドもいいものです。
いつもは1795をつかっていますが、また違った味です。音の迫力があるんですよね〜。

さて、この環境でソフトの仕上げにかかりましょう。

あ〜びっくりした!


SPDIF入力とPCM入力は問題なく動作確認して、最後はDSDということでUSB−AUDIOを接続して
電源ON!そして、音楽信号を入れるといきなり爆音!
すぐさまボリュームを落としても反応せず。そのままアンプの電源OFFしましたが、ヘッドホン壊れるかとおもいました。
DSDでは音量調整できないのかな?
 確認のためDSD1794のデータシートをながめてみると、音量調整ができるはPCMのみのようです。


DSDで音量調整はサポートしてないようです。


最後はDSDで動作確認しました。DSD128入力時です。

完成!
いろいろとチェックしてみると、色々とバグが出てきましたがシンプルファンクションモードも含めて(たぶん)完成しました。
まだバラックですが、久しぶりにマライヤを聴いていますが、歯切れのいい音がでてきます。

机の上はまだまだ散らかっていますが今日の作業はここまで。
ウイスキーを傾けながら聴く音楽は最高です。
週末はまったり過ごしましょう。

(そろそろ終了かな?)