4580の等価回路を試してみる?の巻き。 2013.1.19

こんな書き込みがありました。



なにやらMUSESの回路は4580と同じで、違う点は製造プロセスにあるらしいです。
たしかに、4580は優れた性能で音的にも中音域の厚い音であり、さらに安価という
使いやすいオペアンプではあります。
 しかし、それとは価格が100倍くらいちがうMUSESと同じ回路とはびっくり。
もちろん、100倍値段の差があるからといって100倍回路が複雑なことはありえないですから、
100倍製造プロセスに気をつかっているということでしょう。
あるいは品質管理(完成後の品質評価)にそれだけ、コストがかかっているのかもしれません。


高価なMUSESも4580と同じ回路?

4580の等価回路についてはJRCのマニュアルに掲載されています。
ちょうどこんな感じですね。
入力段がPNPなのが、すこし興味の引くところです。


4580の等価回路。

この回路が本当に動くのかどうかを確認するために、SPICEに入れてみました。
まずは、非反転増幅器を組んでみます。

SPICEで確認してみましょう!

タイムリーに追加コメントいただきました。回路図に誤植があるようですね。


ということで、回路図の修正とともに入力オフセット調整用の抵抗も追加しました。



さて、これでSPICEを動かしてみました。
周波数特性です。

周波数特性

上図の回路図でどのくらいの電流が流れるか調べてみると
初段トランジスタ: 0.1mA
2段目のトランジスタ:0.6mA
バイアス電流:0.2mA
くらいです。

少し低いようですがR8を調整すれば変更できます。
この回路ではQ14が定電流回路になっていて、
Q3,4,6がカレントミラー回路を構成していて、初段および2段目の電流を設定しています。

狙いとしては、
初段トランジスタ: 0.3mA
2段目のトランジスタ:2mA
バイアス電流:3mA

くらいを狙いましょう。バイアス電流をもう少し流すには、バイアス電圧を上げる必要がありますが
この回路図ではほぼ1.2V固定になるので、下駄を履かせるためにダイオードを追加しました。
さて一部を変更して、ほぼ狙いの値になりました。

変更後の回路です。

入力をJFETに変更してみました。ついでに、差動アンプ回路として動くような回路構成に変更しました。
これで汎用的につかえる構成になります。


パターンを描いてみよう!

部品を配置してパターンを描いてみました。入力のトランジスタはPNPとJFETのどちらもつかえるようなパターンにしてみました。
追加でLPFにもなるように、コンデンサのパターンも追加しています。



仕上げは

部品のナンバリングをしなおして、回路図を確定させます。
そのあと、アートワークに部品NOを打っていきます。

回路図のナンバリングを変更


配線パターンも完了。この時点でチェックをしておかなくっちゃ!

パターン完成!

あとはベタを塗って完成です。

A13アンプ基板のパターン完成しました。

試作基板できました、あれ? 2013.1.31

試作基板ができあがりました。
でも、一瞬みて違和感があります。
あれ?パスコンのところのパターンを間違えてしまいました。
CADでは気づかなくても、実物をみるすぐにと”あっ”と気づくんですよね。

試作基板が完成です!

パスコンのGNDを接続する位置を間違えていました。V−のラインが直接GNDに落ちていたので、
その部分をカッターで切って絶縁します。あとは、GND部分がベタ面に接続できるようにベア面のレジストをカッターで
けずりました。
 
修正前のパターン                           修正後のバターン

いきなり、これだとあとあと思いやられるかもです。

組み立ててみましょう! 2013.1.31
まずは抵抗あたりから半田付けです。
入力のトランジスタのところはJFETの部分はソケットを挿してみました。
電源のパスコンには2012サイズのチップコンデンサを取り付けています。

まずは背の低い部品を取り付け。

残りの部品を取り付け
あとは、トランジスタなどの残りの部品をとりつけます。向きに注意しなくっちゃ!

残りの部品をとりつけ!

動作確認!まずはJFETから

入力段のトランジスタにはJFETの2SJ103をつかいました。
動作は問題ないのですが、最初は何も考えずに適当に2本を差し込んだところオフセットがゼロになりません。
そこで、適当に差し替えてゼロ調ができる組み合わせを選びました。はやりソケットにしておいて正解でした。
というより、ちゃんとペア取りしないとだめなんでしょうね。

入力にJFET(2SJ103)をつかっています。

入出力の波形を確認してみました。100kHzくらいではまったく問題ありません。
1MHzでもわずかに振幅が低下していますが、優れた特性を示しています。

  
f=1kHz(上:入力、下:出力)               f=100kHz(上:入力、下:出力)



f=1MHz(上:入力、下:出力)

次はPNPトランジスタでチェック!

今度はバイポーラにとりかえです。定番の2SA1015をとりつけました。実際には半田付けはしていません。
単純に基板に差し込んだだけです。トランジスタの選別はまったく行っていませんが、ゼロ調はすんなりできました。


PNPトランジスタを取り付けた(挿しこんだ)様子。

入出力波形をみてみました。100kHzくらいではまったく問題がありませんが、1MHzでは出力が三角波になっています。
なぜかな?ひょっとしてちゃんと半田付けしないとだめかな?

 
f=20kHz(上:入力、下:出力)                 f=100kHz(上:入力、下:出力) 


f=1MHz(上:入力、下:出力)

もう少し調べてみましょう!

周波数を細かく設定してしらべてみました。400kHzではほとんど歪はみえませんが、700kHzあたりから歪はじめるようです。


400kHz                         700kHz                        800kHz


 1MHz                       2MHz

オーディオ帯域では問題ないですから、よしとしましょう。

両方のチャンネルを組み立て

ここまでくると音を聞きたくなってきます。
まずは両方のチャンネルを組みたてましょう。
そしてお出かけ用の写真をパチリです。

お出かけ用の写真です。

試聴!

アンプの構成は差動入力になっているので、差動出力であるDAC1794-6と接続して試聴することにしました。
音楽ソースはいつもの耳蛸のジャズナンバー(木住野佳子さんのピアノ)です。

最初に聞いたときは「中音域がとても厚いホットな音」と感じます。もともと4580がそういう音調だったこともあり、
おそらく先入観がほとんでしょうが(笑)。

でも、使用する部品や回路定数をいじればMUSEみたいに化けるのなら面白いかもです。
いつも使っているトランジスタの2SC1815/2SA1015以外でつくってみるのも面白いかもです。

まあ、それはいつかやるとして、週末ということもあり音楽に浸って楽しみましょう!


DAC1794-6と接続して試聴です。

(つづくかな?)