次なる企画(DAC編)? 2006.3.12

はじまり 2006.3.12

お勉強DAC3(DAC63S)もおかげさまで、すべて頒布が完了しそうです。
実は、次ロット製作に必要なICは揃えてあるのですが、同じものを作っても面白くないので、
すこし趣向を変えてつくってみようかなと思って、現在のところ案を検討しています。

1.お手軽DAC2(基板群の下側)
 構成はTC9245+PD00601+PCM63Pシングルといたってシンプルな構成です。さらに電源回路も同居させました。
デュアルオペアンプをつかってIVとLPFを構成します。電源にいたっては15V程度の1トランス構成を考えています。
これ1枚ですべて完結するので、超お手軽なDACです。さらに0.65mmピッチのSSOPをつかいませんので製作時の
トラブルも減るでしょう。

2.PCM63のパラDAC(基板群の右上)
 基本構成はPCM63Pの2パラですが、ドータボードをつかって4パラまで増設可能にしようかなと思っています。
IVとLPFはシングルオペアンプをつかいます。DAIは含めてませんが、ASRCおよびTC9245-DAI、さらにあらたに設計する
汎用DAI(下)と接続出来るようにしようかと思っています。
 サイズはASRCと同一にしているので、重ねて使用することも可能です。

3.汎用DAI(基板群の左上)
 
基本構成はDIR1703とDF1704をつかい96kHzまで入力可能です。
1つの出力はDIRからの直接出力を1つつくりましょう。Right Justifiedにしておけば24BitのNOSDAC用のDAIとしてもつかえます。
さらにジャンパー設定がいろいろできるようにしておけば他のDAC-IC(PCM1794やPCM1716など)にもつなげられるでしょう。
もう一つの出力はDFからの出力ですが、出力ビット数をジャンパーで切り替えられるようにしておけば、16〜24Bitの汎用の
DACとしてつかえます。

まだまだ、CAD上で部品を配置して様子をみているだけですが、これから色々と考えてみたいと思います。




お手軽DAC2 コードネームはDAC63S-Mini 2006.3.18

まずはパターンを書いてみました(新幹線の中で描くと酔いそうになりました)。
コードネームはDAC63SよりコンパクトになりますのでDAC63S-Miniです。
DAC63Sと同じようにリクロック基板も搭載可能なようにしています。
DF(PD00601)の制約から使えるDACは16〜20bitになります。
DAC63SではPCM1704への拡張を考えましたが、MiniではPCM56P,61Pなどの往年のDACを使えるような
変換基板も描いてみようと思います。デジットで安く買えるAD1856/60あたりも使えるでしょう。


DAC63S−Miniです。


変換基板

基板データもできたことだから試作発注しました。納期は4月12日の予定です(2006.4.3)

基板が予定より1日遅れで到着しました(2006.4.13)。

到着した基板。結構小さいです。

この基板はいままでつくったDACの中でも最小サイズの部類にはいります。
電源まで含めたDACとなるとたぶん一番小さいでしょう。基板としては99×135mmです。
それに基板サイズもさることながら、必要な部品点数も少ないというのも特徴です。
またトランスも1個で済むように設計しています。そのトランスも全波整流の場合はセンタータップ付のトランスが必要にはなりますが、
半波整流であれば単一出力のトランスでも動作します。そのくらいのトランスならパーツ箱に転がっているかもしれません。
とにかく簡単に組み上げるにはもってこいの構成のDACです。お手軽DAC2の名前の由来でもあります。
部品表が電源部をふくめても1ページに収まってしまいます。とういことであらかじめ部品表をつくっておいて部品は準備しておきました。


これだけで基板がすべて完成してしまいます。
 
さておもむろに組み立てていきましょう。今回は試作ということもあるのでまず電源部から組み立てます。
セオリーでは背の低い部品から半田付けしますが、電源で失敗したら下流の部品をすべて破壊してしまいます。
そのため少々組み立てる順番は前後させました。
電源部は、3端子レギュレータを取り付けて、チップコンデンサや電解コンデンサを取り付ければ完成です。

電源部が完成した基板

トランスをつないで想定どおりの電圧がでていることを確認してまずは一安心。
まあ、3端子レギュレータをつかって失敗することはほとんどないはずです。
が、簡単なところほどパターン間違いがでるというものです。
で、電源が正常なことを確認したので、ICを含むその他の部品を半田付けします。
部品点数が少ないのと、ほとんどがDIPですし、表面実装といってもSOPは1.27mピッチですからあまり神経をつかうところはありません。
部品表にしたがって粛々と半田付けを増やしていきます。1時間もかからずに基板は完成しました。


基板が完成!


まずは音だし!
では、早速入出力をつけて音だしです。
いとも簡単に鳴り出しました。また、きわめて普通に鳴りますが、音質はPCM63Pらしさが出ていると思います。
PCM1704まで繊細な音ではありませんが、細かい音もよくでています。
フィリップス系のよくいわれる濃厚なサウンドとはたぶんちがうでしょう。
このあたりは完全な好みの世界ですね。

リクロック基板の登場
さて、次はリクロック基板の登場です。リクロック基板を取り付けるためのPINを立てるためには予め半田面のパターンを切っておきます。

裏面のパターンをカット。カッターで簡単に切断できます。


部品面は10PのPINを立てておきます。

リクロック基板はDAC63Sより借用しました。アドオンして電源を入れると、これもいとも簡単に鳴りました。
まあ、あたりまえといえばあたりまえです。

リクロック基板を搭載した状態


PCM61Pに換装!

さて、往年のPCM61Pに乗せ変えてみましょう。変換基板も作成済みです。

変換基板

変換基板はチップCを4つ取り付けてソケットとピンを取り付ければすぐに完成してしまいます。

変換基板の完成

おもむろにPCM63PからPCM61Pに乗せ替えました。


もちろんのことながらデフォルトで20Bit設定になっているジャンパーは18Bitに切り替えます。

ジャンパーは18Bitに変更

ついでにリクロック基板もとりつけます。PCM61Pの変換基板をとりつけていますのでリクロック基板と干渉しますから
ゲタスペーサをつかってリクロック基板を浮かせます。このあたりはDAC63Sとまったく同じです。



PCM61Pでの音だし!

やっぱりPCM61の音がするような気がします。ちょうど中音域に厚みがある感じの元気な音です。
PCM63PやPCM1704とはキャラが違います。

さて、音だしもできたことなのでケースにいれないといけないですね。
折角の小型のDACですから、ケースも小型に納めたいものです。

トランス変更(2006.4.17)
折角のDACなのでトランスをEIからトロイダルに変更しようとおもいます。RSで売っている15VAのものです。
小型ですし、漏れ磁束が少ないので近接させて配置してもハムには悩まされずに済みそうです。

小さいトランスを準備。さて、いつケースに収まるだろうか?

さて、DAC63S-miniのケーシングもしたいところだけど、ちょっと小粋なケースは通販しないといけない模様です。
ということはGW中の完成は無理なので、やりかけのPCM63Pの4パラ基板検討を再起動させましょう。

コードネームはDAC63−4S 2006.5.5

4パラ基板は最初に考えていたドータカードをつかった2階建て構造から平屋建てに変更しました。
変更の理由はとくにないのだけれど、DAIを載せないということに加えて、基板サイズをDAC63Sと同じにしよう
と考えたら部品のレイアウトに余裕が出来たので、あえて2階建てにする必要がなくなりました。
さあ、一気に描いてみましょう。コード名はDAC63-4Sです。末尾の4Sはシングル(差動でない)4パラの意味です。

DAC63-4Sには電源基板も専用のものを作ろうかと思いましたが、LM317/337用ですでに描いたものを並べると
DAC基板の幅にぴったし収まりました。ということで、電源基板の新規設計はおあずけです。
DAC用は電流が結構流れるので大型の放熱板が搭載可能な電源基板B2を想定しています。

電源基板とDAC間の配線はジャンパー線などで簡単に接続できるように電源端子の位置を合わせました。
1つ残念なのはディジタル部の電源端子は基板の取り付け穴の関係で少しずれてしまいました。
なおディジタル部分の回路はDAIは非搭載でリクロック回路だけが搭載されています。

電源基板はDAC63Sと同じディスクリ型の電源基板も使えそうですが、小型の放熱板では
DAC部のトランジスターの発熱がすこし厳しいかもしれません。
DACの消費電流は約300mA(-5V)になりますから、5Vの電圧ドロップで使うと1.5Wの発熱です。
放熱板が30℃/Wとすると外気温+45℃になりますから夏場はチンチンでしょう(壊れることはないとは思いますが、精神衛生上よくないかも)。
放熱板を大型化するなどの工夫が必要そうです。

基板にあけた取り付け穴は外周部に6カ所ありますが、これはDAC63Sと位置コンパチです。
さらに内側に4個の穴がありますが、これはASRCを2階建てで搭載するためのものです(結局2階建て(汗))。

肝心のDAIは外付けになりますが、1つはASRCを用いる場合と、TC9245-DAIを使うことを想定しています。
もう一つはDIR1703-DF1704をつかった汎用のDAIを作るかどうかですが、これはちょっと思案中。


DAC63-4Sと電源基板。

これも最終版ではありません(未チェックです)が詳しいパターンを見たい方はこちら。よく見ると間違いだらけです(汗)。

LM317/337の性能は優れているのだけれど、さらに電源重視のとなるとやっぱりディスクリディスクリ電源基板との組み合わせかな?

後編につづく