(続)高性能アンプの検討記


超高性能オペアンプの代表であるOPA627に対抗すべく検討したプリアンプ基板につづく、
R.さんの高性能アンプの第2段です。

路の案を作ってみました。
少し見にくいと思いますが、基板のレイアウトを意識して、アースの
接続方法、電源配線のループ面積の縮小を加味した、回路の書き
方をしています。

回路の規模は大きいですが、初心者でも調整がしやすいのでは
ないかと思います。
安定化電源基板も不要な構成にしています。
位相補正はトラ技10月号の黒田先生の回路を拝借しています。
HPに掲載される場合にはコメント入れていただけると助かります。

DC性能、歪率ともバランスの良い回路になっていると思います。
どんなに長いケーブルがつながっても、アイソレーションコイルが
おかげで安定性が低下することもないと思います。

回路規模が大きいので、基盤のレイアウトが厳しい場合には、石を
少なくしていくことが可能です。

参考にDAC1794-Dの歪率と、現A6HPAの歪率を測定したものも
送ります。
(サウンドカードはE-MU4040を使用、HPAの負荷は100オームです。)
DAC1794-Dの性能をできるだけ活かせるように、より低歪を
目指したいと思います。

それでは。


A6HPAの歪み率


DAC1794-Dの歪率


そして頂いた回路案がこれです。部品点数は多めですが、基本的な回路構成はプリアンプ基板と同じ感じです。
電圧増幅段はツェナーにより定電圧化されています。出力段には保護回路もあります。この回路定数だと600mAで
リミッターが働きますが、ドライブTRのエミッタ抵抗を小さくすればより沢山の電流を流すことができますからパワーアンプにでも
できそうですね。もっともパワーアンプにするためには、ツェナーの電圧をもう少し高めにする必要があるかな?


(回路図をクリックするとPDFファイルが立ち上がります)

いつもは回路をもらったら数日でアートワークをしていましたが、ちょっと最近手が止まっています。
そうこうするうちにR.さんから修正回路をいただきました。3パターン有ります。
それぞれこまかいところが違いますが、1ポールと2ポールではフィードバックのかけ方がちがっています。
それぞれの特性も解析されています。

現在、検討中の回路ですが、電源電圧の利用効率が悪かったので、
少し定数と回路を見直しました。
本回路では黒田先生考案の新方式の位相補償を採用していますが、
1ポール補償、2ポール補償にした場合との特性を比較してみました。

2ポール補償なみに低歪になり、安定性も非常によいです。
非常に優れた方式のようです。

PA用途には20V以上は電源電圧がほしいところですが、HPAなら
このままで問題なく使用できそうです。

新HPA 1ポール


開ループゲイン                                      閉ループゲイン


スルーレイト

・1ポール補償全高周波歪率

Harmonic Frequency Fourier Normalized Phase Normalized
Number [Hz] Component Component [degree] Phase [deg]
1 1.000e+03 6.853e+00 1.000e+00 0.00ー 0.00ー
2 2.000e+03 2.390e-05 3.487e-06 -18.25ー -18.25ー
3 3.000e+03 2.237e-04 3.264e-05 45.33ー 45.33ー
4 4.000e+03 2.578e-06 3.762e-07 113.18ー 113.18ー
5 5.000e+03 4.670e-05 6.814e-06 86.70ー 86.70ー
6 6.000e+03 1.293e-07 1.887e-08 78.18ー 78.17ー
7 7.000e+03 3.479e-05 5.076e-06 94.52ー 94.52ー
8 8.000e+03 1.654e-07 2.413e-08 104.30ー 104.30ー
9 9.000e+03 2.659e-05 3.880e-06 101.11ー 101.10ー
Total Harmonic Distortion: 0.003413%
新HPA 2ポール


開ループゲイン                                      閉ループゲイン


スルーレイト

・2ポール補償全高周波歪率

Harmonic Frequency Fourier Normalized Phase Normalized
Number [Hz] Component Component [degree] Phase [deg]
1 1.000e+03 6.853e+00 1.000e+00 0.02ー 0.00ー
2 2.000e+03 9.649e-06 1.408e-06 -112.87ー -112.89ー
3 3.000e+03 1.666e-04 2.430e-05 6.33ー 6.30ー
4 4.000e+03 3.484e-06 5.083e-07 141.18ー 141.16ー
5 5.000e+03 7.883e-06 1.150e-06 21.06ー 21.03ー
6 6.000e+03 1.693e-06 2.470e-07 -177.56ー -177.59ー
7 7.000e+03 2.896e-06 4.226e-07 42.57ー 42.55ー
8 8.000e+03 1.233e-06 1.799e-07 -177.10ー -177.12ー
9 9.000e+03 1.207e-06 1.761e-07 107.37ー 107.35ー
Total Harmonic Distortion: 0.002438%
新HPA 新位相補償


開ループゲイン                                      閉ループゲイン

スルーレイト

・新位相補償全高周波歪率

Harmonic Frequency Fourier Normalized Phase Normalized
Number [Hz] Component Component [degree] Phase [deg]
1 1.000e+03 6.853e+00 1.000e+00 0.01ー 0.00ー
2 2.000e+03 1.032e-05 1.506e-06 -119.33ー -119.33ー
3 3.000e+03 1.679e-04 2.450e-05 6.22ー 6.21ー
4 4.000e+03 3.474e-06 5.070e-07 140.83ー 140.82ー
5 5.000e+03 8.136e-06 1.187e-06 20.19ー 20.18ー
6 6.000e+03 1.710e-06 2.495e-07 -177.55ー -177.55ー
7 7.000e+03 3.187e-06 4.650e-07 39.22ー 39.21ー
8 8.000e+03 1.218e-06 1.777e-07 -174.20ー -174.20ー
9 9.000e+03 1.218e-06 1.777e-07 93.66ー 93.65ー
Total Harmonic Distortion: 0.002459%


そうこうしている間にも修正案2をいただきました。
歪率をみると上記のものに比べて1桁小さい値になっています。
2ポール構成のようですね。

より低歪な方向に回路を検討していたら、トランジスタ技術10月号のような回路に
なってしまいました。
しかし、歪率でいうと相当のレベルになっており、こっちの回路の方がシンプルでよいように思います。
こちらが本命案ということでどうでしょうか?

ちなみに8オーム負荷でも以下のような歪率になります。

Total Harmonic Distortion: 0.000144%

修正案2

開ループゲイン                                      閉ループゲイン

スルーレイト

・Ver2回路 新位相補償全高周波歪率

Harmonic Frequency Fourier Normalized Phase Normalized
Number [Hz] Component Component [degree] Phase [deg]
1 1.000e+03 6.854e+00 1.000e+00 0.00ー 0.00ー
2 2.000e+03 7.570e-06 1.104e-06 157.84ー 157.84ー
3 3.000e+03 3.447e-06 5.028e-07 145.62ー 145.62ー
4 4.000e+03 2.680e-06 3.910e-07 -179.58ー -179.59ー
5 5.000e+03 2.780e-06 4.055e-07 178.38ー 178.38ー
6 6.000e+03 1.764e-06 2.574e-07 -178.83ー -178.83ー
7 7.000e+03 2.256e-06 3.291e-07 -178.70ー -178.70ー
8 8.000e+03 1.317e-06 1.921e-07 -179.40ー -179.41ー
9 9.000e+03 1.871e-06 2.730e-07 -175.89ー -175.89ー
Total Harmonic Distortion: 0.000144%

さて、どれにしましょう?

修正案2でいきましょう。2006.12.23

まずは必要なパーツを基板にレイアウトしてみました。今回は比較的ゆったり目に配置しています。
抵抗については500mil(いつもは400mil)の長さとしています。
基板サイズは少々大きめで概寸が100×125mmです。
この基板上にはスピーカの位相補償回路は含めていません。それは電源+MUTE基板に搭載しましょう。



配線をしつつ部品の配置を微調整していきます。


ヒロさん

ご苦労様です。基板レイアウト拝見しました。
今の段階で是非とも見直し検討が必要な事項があります。

・電源入力の+−入力端子および出力TRのコレクタまでのラインを出きるだけ近づける。
・基板のデカップリングコンをできるだけ近づける。
・出力TRのコレクタまでのラインをできるだけ短くする。
・出力TRのコレクタまでのラインを入力ラインからできるだけ離す。

異常は終段がB級動作をするときに、信号電流を半波整流したような電流が流れるため、給電のループ面積を
小さくしないと、基板上に汚れた信号を撒き散らしてしまいます。

難しい注文ですが、低歪を実現するためには非常に重要なポイントになります。

それと、出力に接続するRC回路は直近に接続する必要があります。
逆にコイルは離した方が良いのです。

その他、NFポイントの取り方、デカップリングコンデンサの容量、リレー接点などと歪率との
関係の資料をお送りしておきます。
非常に勉強になりますよ。

プラスして、DC検出機能保護機能付きの保護回路の例もお送りしておきます。

R.さんから、早速突っ込みがはいりました(笑)。
思い切ってレイアウトを変更しましょう。パワトラの間隔が広くなりますが、その間に電源関係の部品を集約して、
GNDがあまり広がらなくしました。併せて電圧レギュレータも基板の上下に分散していたものも中央に集約しています。
あと位相補償のRCも加えました。LRについては基板の外配置です。
入力GNDは電源GNDから一気に直線的に引っ張ってやりましょう。



早速の対応ありがとうございます。
あと、細かな点を何点かリクエストします。

・入力のFETの距離を密着させやすいように近づける。(ドリフト対策)
・オフセット調整用VRの追加
・温度補償用TR(ヒートシンク側の6つの穴?)のB-C間に位相補正Cのパターン追加
・アイドリング調整用のVRの中点をTRのBに接続する方式(別途資料1983年6月のような接続)に変更
VRの摺動子に流れる電流が小さくなるので、長期の安定性が向上します。
・ドライバーへミニ放熱板が付けられる余裕の確保
・入力のACをカットしたい人向けにカップリングコン用パターンの追加(入力インピーダンスが高いので1uF以下で十分)
以上です。
このまま行くと今回のHPAはかなり完成度が高くできそうですね。
もし出来ましたら、DCサーボ用のOPアンプを付けられるようにしていただけませんでしょうか。DIP 8pin, C, Rが付けられるような捨てパッドだけでもあるとうれしいのですが。(ジャンパーで配線しますので、パターンは無くても結構です。) ご検討、よろしくお願いいたします


R.さんのお許しはなかなか出そうにないです(笑)。
STさんからのリクエストも入れて、少しユニバーサルスペースを設けました。
ひょっとしてイコライザーなんかにも改造できるかな?
まずはこんな感じになっています。あとは配線のチェックと、できるだけ配線を太く短くする工夫をしていきます。
電圧増幅段はベタの方がいいかな?

専用というわけではないけれど、このアンプ基板に接続しやすい電源基板も組んでみました。
ディジット御用達コンデンサ(1000uF/50V)を20個使います。あるいは3300uF/35Vのものでもいいでしょう。
いずれも10個200円だったのでお財布に優しい・・・・でも在庫まだあるかな?


とりあえず完成?2006.12.27

ベタを塗るかどうかは決めていませんが、とりあえずの完成版かな?回路図もパーツNoを書き直しました。

(クリックするとPDFファイルが立ち上がります)

ベタ塗りバージョン。電圧増幅段のところだけベタになります。

(クリックするとPDFファイルが立ち上がります)

パターンをチェックして、すこし修正。これで多分完成です。もう基板屋さんも休みにはいっているので、発注は年始になります。
こうやってパターンを晒せばチェックが入るかな?
 シルクのみ                         トップレイヤーのみ                 ボトムレイヤーのみ
 
(クリックするとPDFファイルが立ち上がります)


基板ができあがるのはだいぶ先の話しだけれど、部品集めは進めましょう。
今回のパワトラ関係は下記をつかってみようとおもっています。
最終段   C5200/A1943 Ic=15A、Pc=150W
ドライブ段 C4936/A1869  Ic=3A、Pc=10W
どちらも東芝のアンプ用途のもので、結構安価です。

電源基板も一応完成。2パターン描いてみた。
上と下でなにが違うかといえば、リレー内の2回路を一つにまとめてつかうか、あるいは個別で使うかの差異くらい。
ヘッドホン用ならこの基板1枚で電源供給は十分なので、2枚のアンプ基板に電源が供給できるように出力端子を
多目に設置。反対にパワーアンプ用にはアンプ基板1枚に電源基板も1枚つかうことを想定。電源端子類もアンプと
接続しやすい位置に設置している。


基板発注 2007.1.4
まだ基板屋さんはお休みだけだどデータだけ登録し発注手続き完了です。
1/15発送予定ですから1/16には手元に入りそうです。
結局注文した基板は次のような3面付け。アンプ基板×1に電源基板×2です。
それぞれ10枚の発注で計5万円強なり。1枚あたり1700円見当ですが、沢山作れば安くなります。
量産時の製作数は別途考えましょう。

またアンプ基板についてはBBSで差動入力のリクエストもあったので、IN-が取りやすいように若干パターンを修正しました。
オペアンプライクに使えるとおもしろいかもしれません。

(クリックするとPDFファイルが立ち上がります)

とりあえずは基板ができあがる1月半ばまで一旦お休みです。

2007.1.16 基板到着! 2007.1.18

正月休み明けはいきなり仕事でバタバタしてしまって、出張から帰ったら基板が届いていた。
今回は試作なので基板を分割するルータ代をケチって1枚物で発注しました。
切断するには汗をかかないといけないのですが、その分は報われそうです。
今回のヘッドホンアンプは部品配置に余裕を持たせたので意外と大きいです。
サイズで100×125mmあります。

届いた基板。サイズは100×400mmとちょっとでかい。

 
これがメインのヘッドホンアンプ                              電源基板

いきなり間違えた!
電源基板のシルクをみてなにか違和感を感じたのでよく見ると、アリャ〜!ネーム間違えました。
まあ、試作なのでご愛嬌です。


こんなところ間違えるなんて・・・・iが一つ多い・・・・


ちょっとだけ番外編

今日はお遊びの基板を作って寝ましょう。
今回の試作で余ったスペースにお気楽につかえる3端子レギュレータの電源基板を押し込みました。
LM317/337もお気楽ですが、ちょっとした回路の試作ではこれが一番簡単です。
この電源基板をつくったもう一つの理由は以前にja1wbyさんからコンデンサを沢山いただいて、それの活用のためでもあります。
電コンで560uFのものを300個ほどいただきました。ということで、このコンデンサに合うように基板のレイアウトをきめました。
この基板で必要な電コンの数は16個になります。
 
3端子用の簡易電源基板。                ja1wbyさんから頂いたコンデンサ。560uF/50V。

整流ダイオードもお気楽にと思いブリッジをつかいます。これは秋月のワンコインで5個はいっている
安価なものですが、600V 4Aと容量的には十分です。

これが@20円で買える秋月はすごい。

組み立て完成はこんな感じ。コンデンサが隙間無く納まっているのが解るでしょうか?
ちょうどアナログ回路用に正負15Vのレギュレータで組みました。
基板を除けば部品代は300円くらいかな?

完成したお気楽電圧レギュレータ。



まずは電源基板から 2007.1.20
週末の夜ですので、ちまちま作り始めましょう。まず電源コンデンサ以外の部品をすべて取り付けてみました。
整流ダイオードは600V/2Aのものです。これは秋月売っているVISHAY製GPP20Jというものです。
20個100円でした。その他、オペアンプもLM358(5個100円)です。
安くて便利な店ですが、いつまでも同じ物があるとは限らないのが怖いところです。

電源用コンデンサの実装はこれから。

コンデンサはなにを使おうか?

電源コンデンサは当初は1000uF/50V LXZという低ESRのものをつかうことを想定しています。
これはデジットで@20円で売っていたもので、並べてつかってもお財布には優しいです。
直径はφ16.2ですが、この電源基板ではすこし余裕があります。
コンデンサを10個並べて10,000uFです。ヘッドホンでは十分でしょう。

LXZを並べてみました。


こういう選択もありかな?

こちらは秋月で売っていた4個100円のコンデンサ。容量単価ではこちらの勝ちです。
ニチコンだったかな?

こちらのコンデンサも安い。

このコンデンサの直径は18mmあるので、ちょっとサイズオーバですが
10本並べてみると、かなり窮屈ですが入りそうです。
10本あれば33,000uFですから、ダイオードが飛びそうで心配です。

かなり窮屈ですが、入りました。

もうすこし本数を減らしてコンデンサ5個にすれば千鳥配置で余裕ができます。
5本でも16,500uFですからかなりの容量になります。でも空いたパターンが少し寂しい。

これならスッキリ!


やっぱり当初路線で・・・・・

やっぱり、もともとの設計で進めましょう。基板の色調もこちらのほうがよさそうです(音はわかりませんが)。
で、LXZを20本半田付けして完了!このコンデンサだとリレーの高さと一致するので、横から見ると高さが揃って綺麗です。
ちょうど御堂筋のビル街のような感じです(関西ローカルですんが・・・・)。

高さも揃って綺麗にみえます。

MUTE用の電源トランス線は基板内のAC1,AC2に接続接続することになりますが、
今回(というより大半の場合は)メイン電源のトランスと併用するのでジャンパーをしておきます。

電源とMUTE回路を別トランスにする場合は、ここに接続。

ジャンパーは基板の裏側にあるので、半田でブリッジしてやれば完了です。
  
MUTEと電源回路のトランスを併用する場合のジャンパーパターン (左:接続前、右:接続後)

そして電源基板の完成!
こんな感じで完成しました。さて、次はいよいよアンプ基板にかかりましょう。

完成!

次はアンプ基板にかかろう!

まずは小物である抵抗器あたりから半田付け。抵抗器は数と種類が一番多いのでパーツ箱から探すのに時間がかかります。
これが終われば、あとは早くできます。今度の基板は部品間の距離を多めにとった(500mil)ので全体に余裕があります。
今回気付きましたが、部品の配置に余裕があると半田付けが意外と簡単です。あたりまえといえば当たり前ですが、
隣とのブリッジをあまり気にする必要がないですからね。

まずは抵抗器を取り付け。

この基板ではひとつだけリードタイプの部品を表面実装部品のようにとりつけるところがあります。
それはC11ですが、ランド穴が裏面のパターンを細くしそうだったので、あえてこうしました。

表面にとりつくコンデンサ。取り付けは意外と簡単です。

バイアス電圧を発生させるトランジスタ(C13)については外付けが可能です。その場合はジャンパー線
が必要なのでJP1のところを半田でブリッジさせます。

ジャンパーは半田ブリッジで済ませましょう。

完成するとこんな感じです。今回は試作なので、FET(2SK117)の選別はしていません。
まずはこれでどのくらいオフセットが出るか実験してみようと思っています。
それと位相補償関係のCも、この段階ではとりつけていません。発振するのかしないのか、
安定性についても調べてみようと思います。

ひとまず基板は完成!

最後にパワートランジスタを取り付けます。今回は試作なので銅板(100×200×2mm)のものに穴をあけて
基板とともにとりつけました。この銅板はデジットで買いました。1枚860円でしたが、将来はもっと高くなるのかな〜
と心配したりします。なんせ銅の価格ってここ数年で4倍以上になっているらしいですからね。
銅板は重みがあるのと熱伝導もよいので、アルミに比べると触った感触が冷たいです。
これくらいの大きさだと、かなりバイアス電流を流すことができそうです。

銅板の上に基板を仮組。

パワトラの取り付けの様子はこんな感じ。基板にはケーブルを介さず直接半田付けしています。
パワトラはあとで再利用しますから、リードをできるだけ残すようにしたいので、基板のスペーサは15mm高さのものをつかいました。

銅板へのトランジスタの取り付けの様子


さてここからが本番! 

動作確認に入っていきましょう。組み立てるのは簡単ですが、予期した動きをしないと困りますからね。
まずは電源基板から。何度もつくったことのあるMUTE回路ですし、それに単なる平滑回路ですから、
間違うこともないとは思います。でも、こんな簡単な回路でも電源を入れるときは緊張してしまいます。
今回つかったトランスはRSコンポーネンツのトロイダルトランスです。
出力が0−18×2(1.4A)のものです。
電源を入れて素早く電圧を測ってみます。電圧計が23.1Vを示しましたのでOKです。
MUTEリレーも電源投入後、3秒ほどたってONしました。
これで電源回路の動作確認完了です。さっそくアンプにつないでみましょう。

トランスをつないで電源ON!

アンプにつないで、テストの準備が整いました。出力端子はオシロにつながっています。

動作確認のセットアップ。

あ、電源を入れる前にパーツの付け忘れがありました。
下の赤枠でくくった抵抗2本とコンデンサ2個です。R.さんの図面では150pになっていますが、
手持ちでは100pと220pしかありません。どちらにしましょうか?

付け忘れていた素子部分。

コンデンサの選択は周波数特性を確認して選びましょう。すでに、R.さんの定数から変更しているところも
あるので再度計算し直しました。
まず大きな変更点はFB抵抗値で元々は3.9k/1kの組み合わせで5倍に設定されていましたが、
私の場合は9.1k/1kで10倍にしています。
またDCサーボの定数も元々は0.1uFと4.7MkΩでしたが、手持ちの抵抗器の最大値が1MΩだったので、
ここも1uF、1MΩに変更しています。

そしてC3,C4を220pFで計算するとこんな感じです。ちょうど1MHzで-3dBくらいの周波数特性になっています。
下限については-3dBで4Hz程度ですから、ヘッドホンでも十分でしょう。スピーカなら10Hzくらいでしょう。

C3=C4=220pFの場合

つぎにC3、C4を100pFにしてみましょう。周波数特性はぐんと伸びて1MHzでも-0.5dB程度でしょうか。
こっちでもいいけど、不必要に周波数特性を上げても良いのだろうか?

C3=C4=100pFの場合

ここは220pFにしてみましょう。
コンデンサの値はどちらでもよかったのですが、とりあえず220pFにしておきましょう。
というのは220pFが3個しかなく、ステレオ用には足りないので試作ということなので100pFを温存しておくことにしました。
#また近々に日本橋に買い出しに行かなくっちゃ!

電源ON!
部品もとりつけて早速電源をいれてみましょう。結構緊張する一瞬です。
でも、無事動きだしました。

調整箇所は2箇所あります。
バイアス電流:VR2を回すとバイアス電流が増えていきます。VRが中点位置で約1mAで、
最大まで回すと270mAになりました。ヘッドホンでもパワーアンプ用途でもこの定数でOKそうです。
Aクラスパワーアンプにするには、すこし定数の変更が必要でしょう。

オフセット:今回FETは選別していませんが、ボリュームVR1が中点位置で発生したオフセットは
-80mVと小さめでした。VR1を30度程度回してやると、オフセット0mVに調整できました。

周波数特性は?
いつものごとく、周波数特性を見ていきましょう。
オシロの上側(Ch.2)が入力電圧で振幅で約400mVを加えています。
オシロの下側(Ch.1)が出力電圧で振幅はゲイン10倍ですから約4Vになっています。

無負荷の状態ですが、位相補償関係のCが無くても発振せずに動いているようです。
周波数1MHzのときに振幅が70%(-3dB)程度になっていますが、これはシミュレーション通りです。
周波数特性はまったく問題ないですね。

           f=1kHz                              f=10kHz                        f=100kHz


             f=300kHz                        f=1MHz


Tea Time 2007.1.21

久しぶりに日本橋でお買い物。今日は昼から家族で昼食に出かける予定なので、帰宅時間は11:30分を予定。
家を9:35分に出発して、デジットの近くのコインパーキングに車を停めて、店に入ったのが丁度10:02分だった。
やはり休日は道がすいています。
 で買う予定のものはアンプを作るために不足していた部品たち。
1.ツエナーダイオード
 R.さんの指定では15Vでしたが、電源電圧が高めなのでもう少し高い電圧値のものとして17.2Vもかった。
余裕をもって10本づつ買ったが、いま気づいたけど10本程度じゃすぐに消費してしまいそう。
ちなみにこのアンプ基板はにツエナーは必須ではありません。無い場合でもリップルフィルターとして機能しますし、
いままでの動作チェックでもツエナーは入っていません。パワーアンプに仕上げる場合は、抜いたほうが電源電圧が
有効につかえるでしょう。

15Vと17.2VのツエナーDiを10本ずつ購入

2.1000uF/50Vのコンデンサ
平滑コンデンサも残りも少ないので買い足しました。いつもは10個づつに袋に小分けしてあるのですが、
何袋かレジにもっていったら元袋(50個入り)を出してこられたので、そちらに交換してもらいました。
店の人も再度小分けする手間が省けますからね。
一袋換算では1000円です。

  1000uF/50Vのコンデンサ

3.15Ωの酸化金属皮膜抵抗器
スピーカの位相補償用の抵抗器(10Ω)をさがしていたら、これが目につきました。
15Ωで3W(2W?)のものが100個で100円です。いわゆる半端ものなんでしょうね。
抵抗値も10Ωに限定する必要もないので、これに変更しました。

15Ω酸化金属皮膜抵抗器

4.その他
 100p、220pのフィルムコンデンサやタカチのYM350ケースなど
 デジット以外ではテクサンでALPSの可変抵抗器(10kΩA)など。

あまり時間も無いので、11:00には日本橋を退散。
帰りも道がすいていて、11:30には帰宅。せわしかった・・・・


負荷をつないで見よう!

パーツボックスを探していたら、6.8Ω/20Wのセメント抵抗がでていきたので、これを負荷がわりにつかいましょう。

負荷用の抵抗です。

テストの前に、本日日本橋で仕入れた部品を実装します。
ツエナーダイオードは17.2Vのものを使用。ツエナー自体の電圧は実測で17.23Vと17.66Vでしたが
出力電圧はトランジスタの電圧降下があるので、それぞれ16.54Vと16.94Vでした。
この電圧の場合、アンプの出力最大電圧は15Vくらいでした。
その他に追加した部品はスピーカの位相補償用のCRで0.047uF/15Ωを実装しました。

ではテストに移りましょう。

オシロの上側(Ch.2)が入力電圧で振幅で約400mVを加えています。
オシロの下側(Ch.1)が出力電圧で振幅はゲイン10倍ですから約4Vになっています。

振幅自体は無負荷とほぼ同じですが、高い周波数になると波形にひずみが見えてきます。
100kHzでは位相遅れもほとんどなく波形も相似性を保っていますが、
300kHzでは位相も少し送れ、出力波形もなんとなく崩れてきていますね。
1MHzになると波形の上下対称性がづれているのがよくわかります。
まあ、ビデオアンプではないのでこれだけの性能が得られればアンプとしては十分でしょう。

  
           f=10kHz                              f=100kHz     

  
  f=300kHz                            f=1MHz

とりあえず、アンプ基板の動作確認はこれでOKとしましょう。
結局のところ位相補償はスピーカ出力のCRしかつけていませんが、とくだん発振などもなく安定しているようです。
もっとも、実際のスピーカ負荷になるとケーブル長が長くなったりして、何が起こるかわからないので、実機のときには
取り付けたほうがいいかもしれません。


ケースにはどのように納めようかな?

比較的加工が簡単なタカチのYM350を準備したので、これをつかってみましょう。
ボリュームは入力部の配線が短くなるようにシャフトで延長してみたいと思います。
ケース内のレイアウトはこんな感じになりそうです。トランスが接近していますが、たぶん大丈夫でしょう。
まあ、ぼちぼちと作業を進めていきましょう。

ケース内の配置はこんなかんじかな?

作業再開!2007.1.28

まずはボリュームのステーから組み立てます。このステーはアルミのLアングルから切り出したものです。
結構厚めですが、このくらいあると頑丈で前後に揺れなくて都合がいいのでした。
問題は、このステーと同じ高さの位置にケースにブッシュ用の穴をあける必要がありますが、
いかんせんYM350のケースは1mmの薄いアルミで曲げて作ってあるので、ドリリングが難しい。
すぐにケースがしなって穴の位置がずれてしまいます。結局、1mmほど下側に穴があいてボリュームの軸とずれてしまいました。
左右のずれはOKですが、上下の平行なずれはユニバーサルジョイントではそのガタを吸収しきれません。

  
 まずはボリュームをステーに取り付け。            やっぱりずれたか・・・・

といっても焦る必要はなく、ブッシュの穴をヤスリでゴシゴシと削って長穴を開ければすぐに修正できます。
ほらね、ボリュームの軸心が一致するようになりました。ここまで、できれば、あとは適当な位置にボリュームを固定するだけです。

  
ケースの穴をヤスリで拡張!                   これでピッタシ納まりました。

ボリュームの固定位置を慎重に確かめながら取り付けビスで固定します。少々斜めになっても回転には支障ありませんが、
出来るだけスムーズに回った方が気持ちよいですしね。

位置を確かめながらビス止め

その他の必要な機構部品も取り付けてしまいまし。ここまでできればあとはひたすら半田付けするだけです。

ケースの加工も完了したので基板を並べてみました。

電源基板に位相補償用のLRをとりつける。
コイルはφ1mmの被覆銅線をつかいます。太めのマジックインキに4.5回巻き付けてコイルをつくりました。
コイルを巻いたあとで、被覆を剥がす作業は面倒なので、最初に所定の長さに導線を切り出して両端の被覆を剥いたあとで、
コイルの形に巻いていきます。

位相補償用のコイル。もちろん手作りです。

コイルを電源基板に実装して完成!

もう1枚のアンプ基板をつくる!2007.2.2

トランジスタの向きは注意が必要ですが、1枚完成基板があるとそれに合わせてつくれば楽チンです。
一部のフィルムコンデンサの色が違いますがこれはご愛嬌です。

必要な2枚の基板も完成

基板が完成すればケースへの組み込みです。このときパワートランジスタも同時にとりつけますが、
今回つかうケースはタカチのYM350という1mm厚のアルミのケースです。加工はしやすいのですが、
剛性はあまり高くありません。そのため、トランジスタを直にとりつけた場合に、できるだけ不要な力がかからないように、
リードをくの字に曲げてとりつけます。こうすれば、少々ケースが歪んでも、この部分で応力か吸収できます。


リードは予め曲げておきます。                   ケースと基板とトランジスタ

さて、部品や基板を取り付けた状態はこんな感じになります。
パワートランジスタがパネル前面近くに並びます。ちょうどケースの折れ曲がる位置ですから
強度的には強いところなので、あまり不要な力はかからないでしょう。
この位置ですから、しばらく通電していればツマミあたりがホッカとするかもしれません。

トランジスタはパネルに近い位置です。

最後にケース内での配線が残っていますが、この状態で1枚パチリ。

完成までもう少し!配線前の状態。

Before & After 

配線する前(上)と配線後の写真(下)ですが、あまり変わりませんね。それだけ配線長が短くて済んだということでしょうか。
ボリュームシャフトの延長の効果がでています。また、偶然でしたが電源基板とLEDの配置が近接していたおかげで、
LED配線も短くてすみました。ただ、電源スイッチの取り付け位置を読み違えて、基板を25mm浮かして取り付けることに
なってしまいました。ケース上蓋とのクリアランスは1mmちょっとです(ヒヤヒヤものです)。


完成!


LEDの配線もスッキリ

ボリュームツマミを回すと、すこし摩擦感があります。これはシャフトがアルミなのでバリとかが出やすいためでしょう。
真鍮やステンレスならそんなこともないとは思いますが、アルミ棒が安かった(φ6で220円/m)ので、ついこれを選択してしまいました。
摩擦感を無くすためにシャフトの軸受けのところにはグリスを塗りました。
ホームセンターに行けば色々なグリスがありますが、今回はこれを買ってきました。
モリブデン入りのグリスで青虫みたいな大きなチューブに入っています。これで約250円でした。
安いのはいいのだけど、これだけ買ってどうするの?(笑)。
     
モリブデン入りグリス。文庫本と比べても大きなサイズ。   軸の中にグリスを塗布。余ったグリスは拭わなくっちゃ。

調整&音だし!

まずは電源投入。異音や発熱する部品が無いか確認します。
といっても、今回のアンプ基板にはそれぞれ3個のLEDがついていますので、それらが薄暗く点灯すれば回路的には
問題なく動いていると思っていいのかもしれません。

調整箇所は2カ所でバイアス電流と出力電圧オフセットです。
バイアス電流はヘッドホンアンプということで50mAに設定。本当は10mAもあれば十分でしょう。
出力電圧オフセットは0Vを狙いますが、そこまであわせ込むのも難しいので0.3mV程度で妥協しました。

さて、ヘッドホンをつないで音だししてみましょう。

ん?わずかにハムが聞こえてきます。
症状としては
ボリュームの位置の依存性はありません。トランスから距離の異なる左右でもハムの出方は同じです。
ということでトランスからの漏洩磁束の影響ではなさそうです。
気にならないレベルといればそれまでですが、ヘッドホンでは意外と音に集中できますので、
ハムが無いにこしたことはありません。

この場合のハムの対策はGND回りが多いので、色々と探ってみると
GND線を入力部にあててみると、ハムが小さくなる。
入力部近くのパターンを取り付けネジと接触させるとハムが小さくなる。
といった感じです。入力部のGNDインピーダンスがすこし高いのか、あるいは静電ノイズ?でしょうか。

対策としては追加でGND線を引き回しました。少し太めということでφ1.6の屋内配線用の単線をつかいます。
基板にこの線を直接半田づけするには太すぎるのと、基板に力がかかりますから、
ラグ端子を基板の取り付けネジで部に取り付けて、そこを起点にした配線を行います。
そして、そこから基板のGNDパターンに半田付けするようにしました。
こういった配線の半田付けにつかうこての容量は大きいほうがいいですね。いつもの25Wのコテだとなかなか暖まりません。

  
追加のGND線 電源基板→アンプ基板


追加のGND線(その2) 電源基板→ヘッドホン

上記の対策でハムは収まりました。定電圧電源を使う場合は、少々GND電位が変動してもハムがのることはないのですが、
非安定化電源を使う場合はGND強化は必須です。そういえば、いままで非安定化電源のヘッドホンアンプって作ったこと
ないかも。それらもGND強化をしてやれば、音質もよくなるかも知れません。

試聴!

ハムも収まったので、早速お気に入りのCDをかけて聞いてみましょう。
ソースとしてつかったDACはORIGINAL NOSDACです。シングルPCM61Pですが、
素直な音ながら暖かみのある中低音を聞かせてくれます。
ソースのCDは「のだめ」の中ででてきた「ラフマニノフ ピアノ協奏曲No.2」です。この曲は3枚持っていますが、
ランラン(Lang Lang)の演奏が一番お気に入りです。

まず音量レベルはボリューム位置で約10時です。ゲインが10倍でヘッドホン保護抵抗が入っていないので、
ボリューム位置は少し低めです。反対に、いつもつかっているDAC1794+ヘッドホンアンプでは、ゲイン5倍で
保護抵抗100Ωが入っているため、常用のボリューム位置は2時くらいです。

最初に出てきた音を聞いて、やっぱりアンプで音が違うものだな〜というのが第一印象。
電流帰還アンプの音が非常に正確なモニター調の音とすれば、このアンプは懐深いおおらかな音といった感じです。
聞き疲れしにくいタイプの音でしょうか。すこし暖かいコンサートホールの椅子に座って、ウトウトしながら音の中に
浸るような雰囲気で聞くことができます。かといって音離れや、分解能が悪いわけではありません。

しかし、電流帰還アンプと比べてもまったく意味がないことですね。
そもそもソースとなるDACが違うし、出力のトランジスタ(MOS/バイポーラ)も違うし、何の比較になっているかわかりません。

ごちゃごちゃ考える前に、休日ですのでのんびりを音楽を楽しみましょう。

完成したヘッドホンアンプで試聴!

6230 祝 新HPA完成。 R.  - 2007/02/03 12:21 -
やはり出力がバイポーラの特徴が良く出ているみたいですね。
電流帰還でも出力がバイポーラだとゆったりした音になります。
私の好みとしてはバイポーラです。

アイドリング電流の安定度はどうでしょうか?バイアスのトランジスタを熱結合した効果が出ていますか?

ハムが出る件ですが、電源基板の方も問題しているかもしれません。
コンデンサーへのチャージ電流のアース側のリターンが、アースパターンの抵抗値でハムの電圧を発生
させてませんでしょうか?
アースを電源基板のどこから取り出すかで、ハムの大きさが変化するのではないかと思います。


さっそくR.さんからコメントありました。

アイドル電流については、まだきちっと計っていませんが、50mAほどなので発熱も少なくて影響がでるかどうかすらわからないかもしれません。
気になるハムについては追試してみました。GND接続の位置を変えてハムの出方を確認したところ、
ハムの大きな順に

電源端子部  > 入力端子の周辺(シャーシアース含む) > 電源端子部+入力端子の周辺(シャーシアース含む)

の様な気がします(僅かな量なので主観の入った耳判断です)。で、見かけ上は入力端子の方がGND点としては良さそうに見えるのですが、
実際にハムに対して効果大だったのがそれらのGND位置よりもケースの蓋をする ということのようでした。
基板パターン内での電位差を抑える点からは電源端子部へのGNDがもっとも有効なはずですが、
「入力端子の周辺(シャーシアース含む)」が基板ベタ面をできるだけシャー電位に等しくしてシールド性を高めるという点で、
ハムに対してより効果がでたとおもいます。
アンプ製作はバラックで組んでも、その性能がわからないということなんですね。
とくにFETのように入力抵抗の高い素子をつかった場合は注意が必要なのでしょう。


パワーアンプの実力や如何に?

このアンプの回路構成自体はパワーアンプのそれと全く同じなので、ほとんど回路定数を弄ることなく
パワーアンプにも転用可能と思われます。ということで、パワーアンプにつかっても大丈夫かどうか確認してみましょう。

保護回路を切る!

ヘッドホンアンプ用に組んでいたので、電流が約600mAに制限されています。
パワーアンプにつかうにはもっと電流が流れる可能性があるので、電流制限のための保護回路を切っておきます。
R34,35の抵抗をショートさせておけば、電流制限はかからなくなります。

電流制限回路を切る!

まずはこの状態(無負荷)で出力の最大電圧を調べてみましょう。電圧増幅段には約17Vの定電圧電源が入っているので、
最大出力電圧は16Vくらいです。これを少しでも超えると途端に電圧の高いところで歪んでしまいます。
  
最大電圧は16Vくらい。                      16Vを越えると波形は頭打ち

では、負荷抵抗をつないで見ましょう。6.8Ω20Wのセメント抵抗ですが、ほぼスピーカの負荷抵抗に等しい値です。

負荷抵抗を接続。

この場合、最大電圧は14Vくらいまででています。ただ、それを越えると波形が歪むようです。
無負荷では16Vまで出ましたが、負荷をつなぐと電源電圧が低下するのでどうしても出力電圧が低下してします。
無負荷時の電源電圧は21.3Vですが、負荷時の電圧は18.7Vでした。
しかし、ここまで電流を流せるとなると電源電圧を高くすれば、かなりパワーの有るアンプになりそうです。
ちなみに6.8Ω負荷で最大電圧14V出ましたので、最大出力は約29Wです。実効出力はその半分の14Wくらいですから、
これでも実用上は十分でしょう。
出力増大には電圧を上げればいいのですが、2SC1815/A1015をつかうとすればVceの電圧を越えるでしょうから、
TRの選定には注意を払う必要がありそうです。ちなみに2SA1015/C1815のVceは最大で50Vです。
  
6.8Ω負荷時の最大電圧                      最大電圧を超えるとこの通り。


(つづく・・・・・かな?)