NOSDAC3の検討記

いままで作ったNOS(Non Over Sampling)のDACは

1.NOSDAC(初代) PCM61P (NOS/8Fs切り替え)
2.PCM1704−4D  PCM1704 (NOS/8Fs切り替え)
3.NOSDAC2     PCM1700 (NOS/8fs切り替え)
4.NOSDAC2-LITE  PCM1700/PCM58P (NOS/8fs切り替え)
5.DAC58S        PCM58P (NOS/8fs切り替え)

といった所です。こうやってみると必ずNOSだけでなく8FSの切り替え機能が付いていることが特徴です。
これはなぜかというと、NOSと8FSの違いを楽しむ(あるいは違わないことを体感する)ことが1つの目的にありました。
それと、いずれもそれらの製作時期ではディジタルフィルタがまだ安定して手に入ったというのも大きいでしょうか。

しかし、いまとなってはDF1704も入手できるかどうか危なくなってきているような感じですし、秋月のPD00601に至ってはいつ無くなってもおかしくありません。
DIR1703のように、入手難で悩む事態になるのもいやなので、現状で手持ちのICあるいは(いまのうちでも)安定して入手可能なICのみをつかって、
DACを考えてみることにしました。

主な仕様はこんなところでしょうか。

DAI  CS8416を採用(192kHzまで動作する)。
24→20Bit変換回路、リクロック回路内蔵
入力4チャンネル
DAC PCM63P(20Bit。タカさんところから分けてもらいました)
2パラ構成
DF 使いません。純粋にNOSモードオンリーです。
IV OPアンプをつかった変換方式
LPF 2次サレンキー
電源 3電源独立
アナログ、DAC:ディスクリート電源
ディジタル部はLM317を使用
その他 基板はDACと電源の2枚組み。
ケース内の配線が最小になるようにレイアウトを工夫

ブロック図は下のようになります。基本はお勉強DACVと同じような感じですね。
今回はPRIORITY ENCORDERを入れてみましょう。DAIの入力の4ch切り替えは3線(信号2、GND×1)で行えますが、
ロータリースイッチに2回路のモノが必要なので、配線が少し面倒です。
そこで、4→2のエンコーダを使うことで1回路のロータリースイッチで切り替えられるようにします。
これで配線もし易くなるはずです(その変わりにICが1個増えます)。


 ブロック図

部品配置はこんなところでしょうか。DACと電源基板は合わせて1枚にしてもよいと思われますが、
たぶん半田付け時のとりまわしが大変なので、2枚に分離しました。そのかわりにお勉強DACVと同様に、
電源とDAC基板は余ったリード線で接続し易いように、ピン配置を合わせましょう。

部品のレイアウト


パターン描き 2006.8.26
シコシコパターンを描きましょう。といっても他の流用部分が多いの、面倒な部分はベタ塗りだけです。
あ〜CADの新しいソフト欲しいな・・・・・(フリーでも良いのだけれどいまのが使い慣れているので、
同じ系列のソフトが良いのだけれど、これが高い!)。


(クリックするよPDFファイルが見られます)。

ふう、やっとできました。まだバグ取りはしていませんが、こんなところでしょう。

アナログ部のディスクリ化! 2006.8.27
朝起きてメールを見たら、R.さんからメールが入っていました。

「NOSDAC3のセールスポイントとしてサレンキーのディスクリ化を提案します。
DCサーボをかけてますので、左右で12石、OPA2134 1個で本格派DACにグレードアップです。
歪率、ノイズとも非常に優秀でNFBなしなので安定しています。
サレンキーの弱点の高周波の漏れは出力のRCフィルターで取り除いています。
欠点はDCサーボの出力抵抗で信号が分圧されるので、若干出力が下がりIV変換で嵩上げが必要です。
OPA627使うくらいならこっちの方がスマートな感じがします。
シングルDACの今後の標準仕様としてもいかがでしょうか? 」

いやいや、ありがとうございます。送付頂いた回路は下記の通りです。


R.さんから送ってもらった回路図。

先日リリースしたプリアンプ基板の後半部のダイヤモンドバッファーで電圧フォロアーとなっています。
そして、下側にサーボ用の積分器が入っています。サーボをかけずにカップリングCなどでDCを切るのであれば、
下側のOPアンプと抵抗2本、コンデンサ1個は必要ありません。
この構成はおもしろそうです。

でも、実装には問題が1つあります。トランジスタは12個で済みますが、その他の抵抗、ダイオードを含めると結構な素子数です。
んんん・・入るだろうか?まあなんとかなるでしょう。

  

 オペアンプをつかったIVとサレンキーのLPF回路         OPアンプIVとディスクリ回路によるサレンキー(窮屈です)

なんとか入りましたね。パスコンもつけったかったのですが、スペースが無かったのでこれは基板の裏につけました。
表面実装部品を取り付ければよいでしょう。あるいは普通のフィルムコンデンサを植えてもいいのかもしれません。
でもラインが短いのであえて取り付ける必要もないかな?

おっと、積分用のオペアンプの+入力のGND接続が抜けていますね。
よし、デバッグだ!
ついでにPCM63P周辺のデカップリングコンデンサの間隔などを少し見直しましょう。

一応はデバッグ完了? 2006.8.31

一通りパターンを見直して、これで試作をしてみることにしました。

(クリックするよPDFファイルが見られます)。

ケース加工の巻! 2006.9.3

試作基板ができあがるまでに、ケースの加工にやっておきましょう。
使うケースはいつものタカチ電機のOS70-37-23SSです。なんとかの一つ覚えです(汗)。
まずは基板内のレイアウト決めですが、実寸サイズの基板シルクを印刷してケースの中に配置してみます。
基板のネジ穴はケースの”さん”のところに取り付けます。

ケースの中のレイアウト設定

パネルについては油性マジックで裏側に取り付け穴を書いていきます。
このときドリルのあける穴サイズも合わせて書いておくと、作業がスピーディに進みます。

パネルはマジックでカキカキ

今回は新兵器登場!
大袈裟なものではありませんが、BBSでお勧めのあったスーパー武蔵ドリルをつかってみることにしました。
モノタロウというところで購入 → http://www.monotaro.com
直径はφ3.4のもので10本で2600円くらいです → http://www.monotaro.com/p/0675/2015/
このドリルの特徴は先端にあり、ドリルとエンドミルの複合したような形になっています。


左が普通のドリル。右がスーパー武蔵ドリル

で、その切れ味はどうかというとこんな感じです。裏面のバリの様子を示しています。
 
  普通のドリルの場合                スーパー武蔵ドリルの場合。バリが少ない。

宣伝通り、バリは少なく真円度も良好です。まったくバリがないということはありませんが、軽くさらえればすぐに取れるバリですから、
作業効率もはかどります。でもこのドリルはプロ受けはしないような気がします。なぜかって?再研磨ができないですからね。
まあ、研磨自体も道具が必要で、日曜大工で工作する程度の人は一般に持っていないでしょうから(私もありません)、
関係ないといえば関係ありません。でも太いドリルだと1本1000円以上しますから、切り味が悪くなったからといって捨てるのも、
勿体ない気がします。

さて、加工も出来たのでレタリングも早々に済ませておきましょう。

加工完了!


レタリングも完了。

インレタでいつも困るのが、”P”がすぐなくなってしまいます。
POWER,INPUT,PCM,OUTPUT,OPTICALなど”P”の文字頻度が多いのですよね。


”P”の文字の頻度が高いのですぐになりなります。


インレタも終わったのでケースを組み立てにかかります。とくに難しいところはないのですが、
パネルにきずをつけないように注意して行います。ケースの組み立てが終わったらトランスと取り付けてAC電源を配線します。


ケースも組み立て完了

電源基板の製作!
さて、ここからは基板の製作です。今回はPCM63Pが4個のることから少し放熱板を大きくしようと思い、
デジットで少し長めの放熱板を買いました。いつもつかっているものより10mm長いので、放熱効果もその分高いでしょう。
これ一個で@120円でした。メーカは水谷となっていました。いつもつかっている放熱板がLSIクーラという会社なのですが、
会社が違ってても形ってほとんど同じ(というかそっくり?)なんですね。おかげで取り替えが楽です。


左がいつもつかう放熱板。 右が今回買ってきたもの。

折角長い放熱板を買いましたが、まずは小さい放熱板をとりつけて発熱の状態を監視したいと思います。
まずいようでしたら大きなものに取り替えましょう。PCM63Pは4つで−5Vが160mA程度なので小さい方でも
問題はないと思います。
 電源基板はすんなりとできました。緑のMUSEも少し前にたんまり買い込みましたが、色々とつくったせいか
かなり在庫がなくなってきました。そろそろ別の銘柄をさがさないといけません。といいいつつ、いつも値段を気にして買うので、
大抵は安物なんですが。この緑のMUSEもさほど高くないんですよ。

電源基板の完成。そろそろMUSEも在庫がなくなってきました。

電源をケースに組み込んで、トランス回りと合わせて入力セレクタやリクロック制御線を配線します。
もちろん電源のパイロットランプ(青のLED)も配線します。今回のNOSDAC3では、配線がコンパクトに収まるように、
電源基板に端子を設けて、いったんそこに配線するようにしています。そして電源基板をスルー(あるいは変換ICを通って)して、
DAC基板に渡るようにしています。こうすことで配線がとてもスッキリするはずです。


電源回りに配線も完了。予想通り、スッキリと仕上がりました。

さて、次はDAC基板だ!

ぼちぼちとDAC基板も製作にかかりましょう。いがいと部品点数が少ないのですぐに作れるでしょう。
まずは定石通り小さくて背の低い部品からとりつけます。今回はCS8416が唯一のSOPパッケージですので半田付けにチェックにルーペは必要ありません・・・
といいたいろころですが、最近どうも目が遠くなったような気がします・・・やっぱ年かな?


CS8416とチップコンデンを取り付けます。

一気にDAI部を完成させます。ICにソケットはつかっていません。というのも丸ピンのICソケットは
IC以上に高かったりするのでロジックICごときには勿体ないかなと思っています。よっぽと不安のある
(ICを取り替える可能性が高い)場合は別ですが、直付けとしましょう。
 さて今回のロジックICはすべてHCシリーズをつかいました。
あ、74574だけはHCがなかったので、AHCをつかっています。
DAI部が完成したので、とりあえずこの部分だけで動作確認です。といっても入力信号を入れて、
BCK、WRCK、DATA信号が出ているかどうかを確認するだけです。まずは問題なく出ているようです。
DAI部分が一番配線が複雑ですから、ここでつまずくとちょっと面倒です(といっても、実はトラブリました。それは後述)。

DAI部分が完成。

次はDAC部分を組み立てます。ここも部品点数が少ないのですぐに組み立てられます。
PCM63Pもソケットなしです。この部分はすでにDAC63-4Sで実績があるので、トラブルは多分ないので、
信頼性の低いソケットの使用は避けます。さて、今回のNOSDAC3ではで電解コンデンサの配置を少しかえました。
写真でOSコンが実装されていますが、DAC63-4Sでは間隔がすこし狭くてコンデンサが隣同士で当たってしまうとのメールをいただきましたので、
今回のNOSDAC3では0.5mmずつですが横にずらしました。これですこし太めのOSコンもすんなり収まりました。

DAC部も完成。ここの製作は部品がすくないので楽です。

最後はIVとディスクリバッファーの部分です。ここが一番部品点数が多いのですが、
同じ定数の抵抗やダイオードが多いので案外短時間で組み立てることができました。
裏には、パスコンとしてセラコンも入れています。フィルムを好まれる方も多いのですが、
半田付けが難しい(パッケージがすぐにとけてしまう)らしいので、熱につよいセラコンをもっぱらつかっています。

 IVの抵抗値は680Ωをつかいました。これで出力は概ね2Vrmsになります。今後、電子ボリュームを検討しているので
DACの出力電圧も統一化をはかっていこうと思っています。
 
 IVとディスクリバッファー                            裏面にはパスコンも実装

DAC基板の完成!
すべての部品を取り付けてDAC基板の完成です。ここで、記念撮影でパチリ。いつもながら上手く撮れません・・・

お出かけようの写真です。

ケースに取り付け
DAC基板をケースに取り付けます。そのあと電源基板と配線を行いますが、端子の位置を電源基板とDAC基板で一致させているので、
抵抗などの余りのリード線でチョイチョイとつなげていきます。この部分だけでも、配線が少ないとケース内が綺麗におさまります。

 DACとアナログ電源部の接続                            ディジタル部とセレクタ信号の接続

動作確認!あれ?
さて、電源も接続できたので動作確認をしていきましょう。最初に電源をいれるときはいつも緊張しますね。
いつものように、PCからディジタル信号を取り出してWAVE GENERATORで信号をつくってDACにいれます。
そして、出力端子をオシロにつないで
電源ON!綺麗な正弦波がでるはず・・・・
ですが、なにもオシロに出ません(汗)。DAIの部分でBCK,WRCK、DATAの信号がでていることは確認しているので、
ノイズくらいでても良さそうなのですが、信号はゼロのまま。
DACやアナログの電源を調べても正常ですし、何がおかしいのだろう????(汗汗)。

もう一度、オシロでDAI出力を見てみましょう。WRCKもDATAも正常にでています。
こんな信号になっていたら、フォーマットがずれていても普通はノイズくらいでるはずです。
ひょっとして、どこかの信号線がGNDに落ちているのでは(汗汗汗・・・・)。


上がWRCK、下がDATA。信号はでているようですが・・・

ん?なにかおかしいぞ。
オシロの波形をみて原因がわかりました。なにか違和感があったのですが、WRCK信号の極性が反対です。
データのラッチはWRCK信号の立ち下がりで行われるはずですが、上の波形ではWRCK信号の立ち上がりでデータがラッチされるタイミングになっています。
どうやら、LとRのWRCK信号を取り違えたのでしょう。しかし回路図を間違えたのかな?もう少し、回路図とパターンを見比べてみる必要があります。
そして、本当に間違っているところを見つけました。原因はLとRのDATAが入れ違っていました。
WRCK信号自体はLとRとでは、単純に反転同士なので、上記のようにWRCK信号の極性を間違えたと思いましたが、
実際にはDATA側を間違えたようです。


パターン修正!
DATA線をLR入れ替えるのは比較的簡単です。信号線が部品面に出ているところで入れ替える(左図)のが
もっともスマートそうです。しかしパターンの切断は基板が汚くなるので、ダンピング抵抗をたすきがけに取り付けるのもいいかな?
でも、これも見栄えが悪そうです。

パターン修正案1                      パターン修正案2

というわけで見栄えを優先させるために、基板の裏側で作業をしました。データ信号のLRを途中で入れ替えました。

最終的な修正方法。基板の裏なので見えない。

パターン修正により無事に信号がでることが確認できました。

完成!
さて、入出力端子を接続すればDACも完成です。今回も同時入力2、光入力2と多いのですが
基板の片側のみに配線が集中するレイアウトにしているので比較的スッキリと配線ができました。

入出力部分の配線

ケース内の配線はこんな感じですが、配線がいままでのDACの中ではスッキリと収まったと思います。

完成!スッキリした配線(自画自賛?)

音だし!
今回の特徴はCS8416の192kHzでのNOSDACであるということもありますが、
出力のディクスクリ回路もどんな音がでるか楽しみです。特性の測定も含めて、
気もあせりますが今日は遅いので明日にやりましょう。


日も昇り作業再開です。朝一番にメールをみたらこんなコメントをいただいていました。

「I/V変換に680Ωを使用されていますが これだと 1.6Vrms弱の出力になる気がします
4mA p-p のPCM63Pの出力x2個分を 2Vrms = 5.66Vp-pに変換するには
計算上 大体710Ω程度の抵抗になるかと思います
そして I/V変換後のディスクリサレンキーは ゲイン1にみえます
したがって それだけなら 680Ωで2Vrms弱になると思います
しかし ディスクリサレンキーの回路の入り口に DCサーボのフィードバックが入っており 
その結果 I/V変換後の出力は サレンキーに入る前に 200Ωと820Ωで分圧されているように見えます
 するとここで820/1020で 2割出力が減りますので その分 I/V変換の出力を嵩上げして
 880Ω位の抵抗値でI/V変換しないと 2Vrmsにならないような気がします 実際には910Ωあたりでしょうか」


あ、すっかり忘れてました。ダイヤモンドバッファーのゲインは1ですが、入力のところで分圧されるので出力が少し落ちます。
(ちなみに回路定数も上のほうでUPしてあるものと少し変更しているので、ちょっと分圧の程度も違います)
IV抵抗は680Ωでは低いので、1kΩに変更しましょう。

IV抵抗680Ωの場合。1.42Vrms            IV抵抗1kΩの場合。約2.1Vrms

つかった抵抗は相変わらずの1/4Wの金属皮膜です。これが安価で一番性能が安定していると思っています。

IV抵抗 1/4Wの金属皮膜(@3円)。

オフセットは?
NOSDAC3の終段はR.さん設計のダイヤモンドバッファーとなっていますが、オフセットキャンセルのためのサーボ回路もはいっています。
実際の出力オフセットをみてみましょう。
IV出力直後のオフセットでも2.6mV程度ありますが、さすがにサーボが効いているとDC漏れはほとんどありません。
参考にサーボ用のオペアンプを外しても数mV程度のオフセットですから問題ないでしょう。
ただ、オフミに持っていくには嫌がられるかも(笑)。

なおサーボ回路に用いるオペアンプ自体のオフセットがあれば意味がないのでえ、低オフセットタイプのOPA2134(FET入力)をつかっています。

オフセット値の実績

IV出力後の
オフセット(mV)
バッファー出力
オフセット(mV
サーボ無しのときの
バッファー出力(mV)
L-channel -1.3 -0.3 -7.1
R-Channel 2.6 -0.3 -6.2


サーボ回路にはFET入力のOPA2134をつかいました。
波形もみてみましょう。
別に面白いものではありませんが、IV直後の波形と出力波形を比べてみました。出力波形にはLPFが入っていますので、
IV直後の階段波形は抑制されています。
 
                      IV直後の波形(典型的なNOSのフィルター無し波形です)


                      バッファー出力の波形(LPFのため階段状の信号は取れています)

192kHzは大丈夫?

念のためASRCを通して32〜192kHzで動作するか確認しておきましょう問題ないようですね。
残念なのは光入力にはTORX179をつかっていますが96kHzまでしか対応していません。
192kHzで動かすには同軸が必要です。


         Fs=32kHz                     Fs=44.1kHz


        Fs=96kHz                      Fs=192kHz


いよいよ本格試聴!
こういうときは耳タコのソースをつかうのがいいですね。
木住野さんの優しいタッチのピアノのメロディーラインが聞こえてくると、なぜかホットしてきます。
1曲目はForest Rain。霧深い森のなかでぽつりぽつり降る雨が、だんだん強くなってきます。
でも、そこは森の中。色々な生き物たちがなにやら楽しげに遊んでいるような雰囲気です。
そして雨が止むと、いつもの静かな森に戻ってくる。こんな感じの曲です。

あ、曲に聴き入ってしまいました。音楽にゆっくり浸りたくなる音という表現がぴったしなんでしょう。

試聴につかったお気に入りのCD


とりあえず一段落

NOSDAC3には有効ビット数を簡単できる機能があります。
20BitのDACを搭載していますが、実質分解能を1〜20Bitまで1ビット毎にちょっとのジャンパーで簡単に変更できます。
これについては、おいおい実験してみたいと思います。
まずは、完成したNOSDAC3にしばらく通電して調子を上げさせていきましょう。


NOSDAC3で遊んでみよう! 2006.9.13

NOSDAC3は基本的にはPCM63P専用の設計です。しかしながら、JP4を変更することで16,18,20,24ビットのDACに取り替えることもできます。
もっとも取り替えるためには変換基板が必要です。PCM1704に変更したくても、いまとなっては価格が上がってしまっていますので、ちょっと躊躇してしまいます。
またPCM61PやPCM56に変更するのも、これまた石の入手が難しいです。結局はPCM63P専用なんですよね。
JP4は、ほかのDAC-ICもつかってみたい場合の隠しコマンドみたいなものです。

JP4でDACの種類を変更することが可能です。

ではNOSDAC3で何を遊ぶのか?それは有効ビット数を変えて、音質の違いを体験することができます。
JP4の上に「Effective Bit」というパッドがありますが、ここから接続先を変えることで実効的なDACの分解能を変化させることができます。
もちろんデフォルトは20Bitになっています。
そしてJP4の接続先を変えることで16,18Bitへと変化させることができます。
変更するためには、予め→のところのパターンをカットしておきます。

有効ビット数を変えるためのパターンカット

有効ビットを変化させるといっても18や16では面白くありません。
NOSDAC3では1〜20ビットの任意の分解能に設定するとができます。
もちろんPCM1704に変更しておけば、1〜24ビットで変更できるはずです(ためしてはいません)。


有効ビット数を変えるための「Effective Bit」からの接続先を下表にしめします。

IC8 IC9 IC10
Pin 分解能 Pin 分解能 Pin 分解能
3 1 3 9 3 17
4 2 4 10 4 18
5 3 5 11 5 19
6 4 6 12 6 20
10 5 10 13 10 21
11 6 11 14 11 22
12 7 12 15 12 23
13 8 13 16 13 24


具体的な変更方法はこんな感じです。写真では8ビットにしたところです。


 PCM63Pを8ビット分解能で動作させる接続法

8ビットなんて音楽にならないのでは?と思われるかもしれませんが、波形をみれば意外となめらかです。
これはLPFを通っているからなのですが、IC変換直後をみれば離散的になっている様子がわかります。
で、肝心の音楽はというとレベルの高い録音のCDを聞いている分には、ぱっと聞いた感じではわからないかもしれません。
もっとも違う点は、小さくヒスが聞こえる点ですがこれを除けば普通に聞くことができるようです。
もっとも録音レベルの小さいときには、ヒスが気になるのはしかたありません。


8ビット分解能の波形(LPF通過後なので比較的なめらか)               8ビット分解能の波形(IV直後なので離散的)

しかし12ビットくらいになると、ぱっと聞いた感じでは多分違いはわからないかもしれません。
一度、友人等で試してみたら面白いでしょう。

それよりもなによりも、自分の耳がどこまで違いが聞き分けられるのかを知る貴重な経験です。ちなみに私の場合は○○ビットです(汗)。
まあ、こんな遊びができるのも自作ならではの楽しみですね。

(つづく)